Jeremy のことが知りたくて ~ ジェレミー・ブレット(Jeremy Brett)を愛するかたへ

英グラナダ・テレビでシャーロック・ホームズを演じた俳優の人生を言祝いで

前回、Paul Annettがサインした、「ぶなの木屋敷の怪」撮影時の写真をご紹介しましたが、そこに"2014"とあることから、2014年9月に行われた"Gillette to Brett IV"の時にサインしたのではないかと書きました。そこで今日は"Gillette to Brett IV"でPaul Annettが披露した、グラナダシリーズのメイキャップ・スクリーンテストの映像のことをお話しましょう。

"Gillette to Brett"はアメリカで開かれるホームズファンのためのシンポジウムで、今年その5回目が行われます。2003年の第一回の時には、Edward Hardwickeも参加しました。その時のことは以下の記事に書きました。ジェレミーのために、エドワードは当時住んでいたフランスからはるばるアメリカに行ってシンポジウムに参加する決心をしました。
Edward Hardwicke のお誕生日です

今日お話するのはその第四回、"Gillette to Brett IV"の時のことで、1つ目のリンク先は"Gillette to Brett IV"のトップページ、二つ目はPaul Annettの紹介、3つ目は"Gillette to Brett IV"の写真アルバムです。
http://wessexpress.com/html/g2b4main.html
http://www.wessexpress.com/html/paulannett.html
http://wessexpress.com/html/g2b4album.html

写真アルバムの真ん中あたりに、Paul Annettが壇上で話したときの様子があります。たとえばこちらの写真です。
http://wessexpress.com/html/g2b491.html
http://wessexpress.com/html/g2b492.html

スクリーンの下、壇上の向かって左がPaul Annett、そして映し出されているのが、グラナダシリーズのテスト映像です。ジェレミーがよく話していたカメラ・テストの映像が残っていて公開されたのか!とびっくりなさるかたもいらっしゃるでしょう。カメラ・テストについては、たとえばこちらの記事で書きました。
カメラ・テストの時のメイキャップ:1988年のインタビューより

こちらの新聞記事からの引用を再掲します。
The debonair new resident of 221B Baker Street
by Hilary DeVries
The Christian Science Monitor, October 25, 1988
http://www.csmonitor.com/1988/1025/rbrett.html

「カメラ・テストはひどいものでした。不安で緊張していたのです。ホームズの知性を外見でそれらしく見せようとして、額を白く塗って、暗い青紫色をここにつけました」と言って、両手を喉のところにあてた。「そしてせかせかと歩きました。」

"Then I did a camera test and I was terrible. I was so nervous. To try and give the illusion of intelligence, I painted my forehead white and I had a black, gentian violet under here,'' he says, putting hands to his throat. "And I think I walked rather fast. [...]"


それ以外にも、Bending the Willow (David Stuart Davies著)にはこんなふうに書かれています。

グラナダの倉庫のどこかに、ジェレミー・ブレットのスクリーン・テストの映像が残っている。「ぞっとするよ」笑いながらジェレミーは言った。その映像には音は入っていないが、ブレットがホームズの衣装とメイキャップで映っている。「僕はホームズを白黒で思い浮かべたんだ。あの挿絵のようにね。だから顔に白をたくさん塗ったんだよ。そうすると目のふちが赤みを帯びてみえる。インフルエンザか何かにかかっているようにみえた。そして変な歩き方で、小走りしているみたいだった。」思い出して大声で笑った。「まったくひどかった。」

Somewhere in the vaults at Granada is Jeremy Brett's film test as Sherlock Holmes: 'It's ghastly,' he told me, laughing. The film is silent but shows Brett in costume and make-up. 'You see I perceived Holmes as being black and white, rather like the drawings, so I proceeded to cake my face with white make-up. And of course if you do that your eyes and the rims around them appear red. I looked as though I was ill, had flu or something. And I had a funny walk. It was like a waddle.' At the memory of this he broke into a roar of laughter. 'It really was awful.'


スクリーンテストを複数回行っていて、ジェレミーが話していたのと、Paul Annettがみせてくれたのとが、別の時の映像だという可能性もありますが、そうであったとしてもそれほど時をおかずに撮影されたものでしょう。

上でご紹介した写真アルバムでみる、スクリーンテスト映像の中のジェレミー、どうでしょう? "I was terrible."というほどとは思いませんが、" I was so nervous."と言っているとおり、緊張している感じはあります。そんなに真っ白なメイキャップとは思いませんが、濃い化粧という感じはします。

長くなりましたので、次回に続きを書きます。それにしても暑いですね!

RM
前々回の記事で、「ジェレミーはラッシュ(編集前のフィルム)の時からちゃんとみる俳優でしたから」と書きました。ジェレミーがラッシュをみることについては、以下の記事で触れました。
ジェレミーがラッシュを熱心にみること:本より、そして1991年のインタビューより

この記事でご紹介した二つのうちの一つは、Paul Annettの言葉でした。Paul AnnettはThe Solitary Cyclistなど、シリーズ中の3作品を監督しましたが、2017年12月11日に亡くなりました。そこで今日は、Paul Annettが亡くなったときのあるtweetではじめてみた写真をご紹介したいと思います。

でもまずその前に、Paul Annettの言葉を再度引用します。David Stuart Davies著、Bending the Willowからです。

ジェレミーはラッシュのすべてを熱心にみた。ラッシュをみるときにいつもそこにいた俳優はジェレミー以外にはCharles Danceしか知らない。いつもその場にいて熱心に検討に加わった。撮影の技術的な側面に対して彼は鋭い感覚を持っていた。

Jeremy was extremely keen to see all the rushes. He was probably the only actor I know, other than Charles Dance, I think, who came to every session of the rushes. He was there every time—very much into what was going on. He had a very keen sense of the technical side of things.


今日の記事とは関係はありませんが、好きなインタビューなので、もう一つ、ジェレミーがラッシュをみることに関するジェレミーとエドワードの言葉も再度引用します。出典はこちらです。
"Holmes' Encore"
The Armchair Detective, Vol.25, No.1, 1992

TADとあるのはインタビューアです。

TAD: 完成前の映像で自分をみるのは、お二人はイヤですか?

ブレット: 自分をみるんじゃないんですよ。みるのはそれ以外です。たとえば話がどう運ばれているかをね。画家が絵を細かく検討するときのように、親指で自分をかくして、まわりで何がおきているかをみるんです。

ハードウィック: 以前はよくジェレミーと議論したんですけど、ワトスンを演じるようになってすぐの頃、ジェレミーがラッシュをみるのにすごく熱心なので、こう言ったんです。「僕はみていられない。すごくイヤなんだ。」完成してからみるのはいいんですよ。でもいま撮影しているという時にラッシュで自分をみると、がっかりしてダメなんです。ジェレミーは「うん、でも自分をみているだけじゃないよね。他の人、照明や音響や、みんなの仕事をみている。みんなほめられて励まされたいんだ。ラッシュで彼らの仕事をみて、翌日『すばらしかったよ!』って言ってあげられるよ。」ジェレミーの言うとおりです。でも自分が思っているようには演じることができていないから、やはりみるとがっかりします。

TAD: Does it bother either of you to watch yourself in previews?

Brett: Well, you don't look at yourself. You look at other things. The storytelling, for instance. You put a thumb over yourself, like a painter examining his work, and watch what goes on around you.

Hardwicke: I used to get into an argument with Jeremy about this. When I took over the part of Watson, he was very keen about going to rushes. I said, "I can't. I just cannot face it. I really hate it." I don't mind seeing a completed film. But when I'm in the process of working, I find it personally very destructive to see rushes. Jeremy would say, "Yeah, but you're not just looking at you. All the other people—the lighting man, the sound man—they all want a pat on the back. And if you watch it, you can go up the next day and say, "Terrific!" And he's quite right. But you never end up doing what you think you're doing, and I find it discouraging.



さて本題にもどりましょう。Paul Annettの写真で、このブログですでにご紹介したものととしては、以下の3枚があります。
建築中のグラナダスタジオでの写真;A Study in Celluloidより
向かって一番左。
建築中のグラナダスタジオでの写真;The Television Sherlock Holmesより
上から2枚目、向かって右。
ウェブサイト "Jeremy Brett Information" のご紹介(7)ホームズ撮影舞台裏の写真
の上から3枚目の写真、顔が腕で隠れていますが、一番左。

そしてPaul Annettが亡くなったときに流れたtweetの一つがこちらです。日付は2017年12月12日となっています。
https://twitter.com/sherlockeditor/status/940724440979054592

写真が4枚あるうちの2枚目は白黒の写真に白字でPaul Annettのサインが入っていて、サインの宛名として書かれている名前(名字は書いてありません)がこのtwitterの主の名前と一致します。サインの最後に"2014"とありますから、2014年9月に行われた"Gillette to Brett IV"で、Paul Annettから直接サインをもらったのでしょう。("Gillette to Brett IV"についてはあらためて別の記事で触れるつもりです。)

そしてこの写真がちょっと素敵な舞台裏(behind-the-scenes)の写真なのです。これはThe Copper Beeches(ぶなの木屋敷の怪)の撮影時ですね。221Bの部屋で、ハンター嬢を演じたNatasha Richardsonが椅子に座っていて、監督のPaul Annettが寄り添い、ジェレミーが後ろに立っています。3人ともいい笑顔です。

で、気になるのはジェレミーの左手、親指と人差し指と中指で何かを持っているように見えるのですが、これ、なんでしょう?私には、小さな白っぽい円筒形のもの、上面が色が濃い何かにみえます。そして、何も気づいていないPaul Annettの頭の方に、後ろからその色の濃い部分を少し傾けているようにみえるのです。白黒であることもあって、はっきりとはわかりません。でも最初みたとき、ふただけ黒い、太めのマジックペン?ふただけ色が濃い、卓上塩入れ?それとも小さなマイク?と思いました。ジェレミーが何かいたずらしているのかしら。そして傾けている先は明らかに、NatashaではなくPaulなんですよね。

茶目っけのあるジェレミーなら、後ろからいたずらしているというのもありうると思うのですが。うーん、わかりません。どうお思いになりますか?でもとにかく、撮影当時の雰囲気を想像できる、よい写真です。

RM
大雨で被害にあっていらっしゃらないとよいのですが。


前回Shutterstockにある写真をご紹介したので、「ネット上のphoto archiveから」のシリーズを久しぶりに書いてみます。

今までの記事はこちらです。年月が過ぎて、クリックしてもきちんと飛ばないものもできてしまいましたが。たとえば(2)のCorbisは(6)のGetty Imagesに売却されました。(1)のMirrorpix、(5)のANPは個々の写真のアドレスが変わったようですが、トップページのアドレスは変わりませんから、興味のあるかたは"Jeremy Brett"で検索してみてください。

ネット上のphoto archiveから(1):ArenaPALとMirrorpix
ネット上のphoto archiveから(2):Corbis
ネット上のphoto archiveから(3):Photoshot
ネット上のphoto archiveから(4):TopFoto
ネット上のphoto archiveから(5):ANP Historisch Archief
ネット上のphoto archiveから(6):Getty Images
ネット上のphoto archiveから(7):Getty Images その2
ネット上のphoto archiveから(8):Getty Images その3

さて、前回ちょっと触れたShutterstockにあるジェレミーの写真はすべて、私は以前はイギリスのRex Featuresのウェブサイトでみていました。現在は両方のサイトでみています。Rex Featuresは2015年にアメリカのShutterstockに買収されたからです。これはそれに関するThe Guardianの記事です。
https://www.theguardian.com/media/greenslade/2015/jan/16/new-york-company-buys-rex-features-the-paparazzi-agency

Shutterstockでは、Rex Featuresよりもpreviewの写真が大きいです。それではShutterstockだけでよいかというと、写真のwatermark(透かし)の位置が違うので、二箇所のサイトを知っておく意味があります。

素敵な写真がたくさんあります。検索してみてください。トップページのアドレスはそれぞれこちらです。
https://www.rexfeatures.com
https://www.shutterstock.com

Shutterstockで検索した結果のページはこちらです。検索後、古い方から並べ直しています。うまくご覧になれないようでしたら、検索窓に"Jeremy Brett"と入れて、その右が"All Images"になっていたら"Editorial"に変更してください。
https://www.shutterstock.com/editorial/search/jeremy-brett?&sort=-date
700枚近くの写真があります。(ジェレミーではない写真も少しあります。説明の中にジェレミーの名前があるものなど。)

何枚かご紹介しましょう、と言っても選ぶのに苦労しますが。

まずは1988年の写真から。Jeremy Paulが"The Musgrave Ritual"の脚本でエドガー賞を得た時の写真で、向かって左からEdward Hardwicke、Jeremy Brett、Michael Cox、Jeremy Paulです。Michael Coxの顔、前回の記事でアドレスを書いた、"The Creeping Man"の動物園の掃除人と同じことがおわかりになるでしょう。
https://www.shutterstock.com/editorial/image-editorial/itv-archive-673391qm

大好きな写真です。すでにMichael Cox以外は故人となってしまいました。Jeremy Paulが亡くなった時の記事でもこの写真をご紹介しました。小さいですけどwatermarkなしの写真を載せました。
Jeremy Paul

以下の3枚はClaphamのおうち(フラット)の屋上での写真ですね。はじめてではありませんが撮影日までは知りませんでした。1991年3月12日となっています。
https://www.shutterstock.com/editorial/image-editorial/actor-jeremy-brett-pictured-at-home-1036630a
https://www.shutterstock.com/editorial/image-editorial/actor-jeremy-brett-pictured-at-home-1036581a
https://www.shutterstock.com/editorial/image-editorial/actor-jeremy-brett-pictured-at-home-1036359a

ホームズの写真は選ぶのが難しいですが、たとえば"The Six Napoleons"のこの写真なんてどうでしょう。雰囲気があって好きです。
https://www.shutterstock.com/editorial/image-editorial/the-return-of-sherlock-holmes-tv-drama-1266408iq

RM
プロデューサー Michael Cox(マイケル・コックス)は、原作に忠実なホームズというこのシリーズの方向を決めて、ジェレミーをホームズ役に選んだ、シリーズの生みの親です。ジェレミーにとっては盟友と言えるでしょう。原作から離れようとする脚本家や監督に、マイケルは企画の段階から、そしてジェレミーは現場で反対してきましたから。

そのマイケル・コックスは、"The Creeping Man"を最後にグラナダシリーズから離れます。"The Creeping Man"はグラナダシリーズ中の第5シリーズの最後の作品でした。

その"The Creeping Man"に、彼は最初で最後の出演をしています。ちょっとだけです。本当にちょっとです。ジェレミーと一緒にうつったりもしていません。実は顔もうつっていません。

でも宣伝用の写真ではジェレミーと一緒、そして顔もちゃんと写っています。たとえば商用写真アーカイブShutterstockのこちらにあって、watermark(透し模様)がついていますが、右下の虫眼鏡マークをクリックするともっと大きくなります。この写真の撮影のとき、ジェレミーとマイケルはどんな話をしたかしら、と思います。
https://www.shutterstock.com/editorial/image-editorial/the-casebook-of-sherlock-holmes-tv-drama-1266482ar

向かって左がジェレミー、そして右がマイケルです。そう、マイケルは動物園の従業員役なんです。ドラマの中では下のリンク先の写真で手にしているシャベルで使い古しの敷き藁をすくって、黙々と手押し車に積み上げています。
https://www.shutterstock.com/editorial/image-editorial/the-casebook-of-sherlock-holmes-tv-drama-1266482ay

私がこれを知ったのは、彼の著作 A Study in Celluloidのこの部分からでした。

"The Case-Book of Sherlock Holmes" の最後の作品で、グラナダシリーズに最後の別れをそっと告げた。動物園でのシーンのためのセットがあるのだが、このシーンは私の最初で最後の出演にちょうどよいチャンスを与えてくれるように思った。注意深く見てもらえれば、みすぼらしい服の男が動物園にはつきものの汚れ物をシャベルですくっているのが、私だとわかるかもしれない。

I made an unobtrusive farewell to the series in that last film for The Case-Book. There is a sequence set in a zoo which appealed to me as an opportunity for my first and last personal appearance. The eagle-eyed may spot me as a shabby workman shovelling up the waste matter in which zoos are so rich.

いえいえ、顔が見えないので、マイケルの顔を写真で知っている私にもわかりませんでした。でも上のリンク先の宣伝用写真をみて、わかりました。

ジェレミーはラッシュ(編集前のフィルム)の時からちゃんとみる俳優でしたから、この場面もマイケルや監督やスタッフと一緒に「むずかしいね。わかんないよね」なんて笑いあっていたかもしれません。

RM
前回の記事で、「ジェレミーがいたら、打ち上げのようなチャンスは絶対逃さなかったと思うので」と書きましたが、そう思ったわけをお話します。

"a roll with Jeremy"の写真集の最初に書かれたMarcus Tylorの文章については、たとえばこちらで引用しました。
Marcusからのローズ・プリントのお知らせ(2)と、撮影当時のこと(写真集からの引用)

この文章の終わりの方に、クリスマスパーティのことが書かれています。これは、The Secret of Sherlock Holmes'が上演されていたWyndham's Theatreの楽屋でマーカスが'ジェレミーを撮影してから、約2ヶ月後のことです。撮影後にマーカスは'A walk in the Woods'という芝居に関係していて、'A walk in the Woods'と'The Secret of Sherlock Holmes'の合同のクリスマスパーティにジェレミーもマーカスも参加しました。そしてこれが二人が最後に会ったときとなりました。

a roll with Jeremy Brett
by Marcus Tylor
Blurb, 2010.

このパーティはWyndham's Theatreの楽屋口からすぐのところにあるChez Solangeで行われた。ジェレミーはパーティを逃すようなたちではないから、当然ながらそこにいた。背が高くてハンサムで、いつもの白いズボンと濃紺のセーター、左胸には一輪の赤いバラをピンでとめていた。私はパーティの喧騒のなかででしゃぱって声をかけるようなことはしなかったが、私たちは視線をあわせて、それぞれ自分のグラスをあげて挨拶を交わした。もちろん、私たちはもう二度と会うことがないとはその時には知るはずがなかった。

I am informed that this was at Chez Solange’s restaurant inches away from the Wyndhams stage door. Jeremy, never the type to miss a party was there naturally, tall and handsome as ever in his trademark tight white pants and navy jumper with a single red rose pinned onto the left side of his chest. I did not impose myself upon his company amongst the bustle that evening, but we did exchange a glance and raised our glasses to one another in salutation. Of course at that time, I was oblivious to the fact that we were regrettably never to meet again.


この"never the type to miss a party" (パーティを逃すようなたちでは全然ないから)という記述を覚えていたので、前回「ジェレミーがいたら、打ち上げのようなチャンスは絶対逃さなかったと思うので」と書いたのです。


なおこの時のジェレミーの服装は、上の文章では"in his trademark tight white pants and navy jumper"となっていますが、"tight"はわざと訳しませんでした。いつものあの白いコットンパンツは"tight"とは言えないような気がしたからです。もっとも"tight"という英語の単語のニュアンスを私が取り違えているかもしれません。

またもう一つ、私が考えているあの服ではないという可能性もありますが、これは否定できます。以前マーカスが一枚の写真をメールに添付して、「この写真はネットにあったんだけど、これがまさにあの最後に会ったときにジェレミーが着ていたのと同じ服で、赤いバラもついている」と書いてくださったことがありました。やはりあのちょっとゆったり目の白いズボンでした。

この写真はご存知の方もいらっしゃるでしょう、赤いソックス、緑の芝であぐらをかいて、左手をこちらに向けて左腕を上にまっすぐあげて、顔じゅうで笑っている写真です。ふわっと風になびいた髪の毛が光を浴びています。

少しさがしたのですが、今はネット上に言葉が入ったものしかみつかりません。たとえば、以前活発だったジェレミーのファン・フォーラムではこちらのページの上から6枚目にあります。
https://jeremybrett.livejournal.com/67522.html
以前はこのページのそれぞれの写真をクリックすると、対応する大きな写真に飛んでいたのですが仕様がかわって、投稿者の写真アルパムの1ページ目に飛ぶようになりました。28ページ目にありますので、大きな写真をご覧になりたいかたはどうぞ。(携帯向けページではまた仕様が違うのかもしれません。)

あ、言葉を書き入れる前のものも、アルバムの25ページ目にありました。

RM

追記:マーカスがジェレミーの胸にあったバラの花の思い出を大切にしていることは、こちらに書きました。
Marcusからのローズ・プリントのお知らせと、ジェレミーと赤いバラの思い出
IMDbのThe Good Soldier (1981) のページ (https://www.imdb.com/title/tt0085022/)に新しい写真がアップロードされたのに気がついたのは、数ヶ月前でした。Wayback Machineで調べたところ、2016年3月から2017年2月の間に加わったようです。公の宣伝用写真ではないと思われるものも含まれること、画質が荒いことなどから、撮影に関わった人が持っていた写真かもしれないと思っています。

The Good Soldier についてはこのブログでは、たとえばこちらで触れています。
The Good Soldier (1981)
The Good Soldier(1981)の写真

上の記事でも触れましたが、ジェレミーが演じたアッシュバーナム大尉は、実に複雑な人間でした。グラナダ・シリーズのプロデューサーMichael Coxは、この作品での大尉役と"Rebecca"でのMaxim de Winter役をみて、ジェレミーがホームズを演じることができると感じた、とA Study in Celluloidの中で書いています。再掲します。

二つの「氷山」のような役だ。その性質の8分の1だけが表に出ていて、残りの8分の7は---そしてそれは危険な8分の7なのだが---彼の内に隠されている、そんな二人の男だ。

Here are two 'iceberg' characters, men with one-eighth of their personality showing above the surface and the other―and dangerous―seven eighths concealed below.


加わった写真は5枚、その中でジェレミーが写っているのは3枚です。その中で今日特にご紹介したいのはこちらです。
https://www.imdb.com/title/tt0085022/mediaviewer/rm2436633600

かんかん帽をかぶって、左手をあげてニコっとしています。今調べたら、かんかん帽(これ、今や死語でしょうか?)は英語でboaterというのですね。

これは宣伝用にポーズをきめて撮られたというよりは、撮影中のスナップ写真のようにみえます。第一、氷山のようなアッシュバーナム大尉にはみえないのですもの。この笑顔は素のジェレミーのような気がします。

ちなみにこの服装のシーンは作品中ではほんの数秒、遠くからの撮影でせりふもきこえません。スクリーンショットです。(まわりを少しトリミングしています。)
The Good Soldier

映像では向かって右に座っているNancy (Elizabeth Garvie) が写真ではいないので、彼女が撮ったスナップかも、などと想像しています。

加わった写真のうちの一枚は、撮影打ち上げの乾杯のようです。
https://www.imdb.com/title/tt0085022/mediaviewer/rm2604405760

ジェレミーがいたらいいなあと思って眺めたのですが、いないようです。写真にみえる二人の俳優の衣装は、大尉の死後、それまでのことを振り返って二人が長い話をするときのものなので、これを撮った時はジェレミーはすでに撮影の場にいなかったのかもしれません。ジェレミーがいたら、打ち上げのようなチャンスは絶対逃さなかったと思うので、残念がったことでしょう。

ジェレミーが写っている、その他の写真2枚をご紹介します。宣伝用に撮られたものかもしれませんが、今までみたことはありませんでした。

こちらはジェレミーは大尉のままでしょうが、後ろの二人は役からすこし離れているみたいです。お葬式の時の衣装ですから。
https://www.imdb.com/title/tt0085022/mediaviewer/rm2168198144

こちらは二人とも役の顔ですね。
https://www.imdb.com/title/tt0085022/mediaviewer/rm2503742464

RM
前回の2枚の写真、ご覧になれたでしょうか。あの2枚以外にもよい写真、珍しい写真が多かったですね。

今日はThe Problem of Thor Bridge(ソア橋の謎)について、Michael Coxの本、A Study in Celluloid から引用します。アーチェリーのシーンについてですが、まずはその少し前からです。

ソア・プレイスでギブソンを待つ間、ベイツはホームズとワトスンにピストルが置いてあった部屋と、子供達の教室をみせる。この教室でミス・ダンバーがブラジルの文化や歴史の知識を教えていたのだ。脚本を担当したジェレミー・ポールは、このシーンをつくったおかげで、コナン・ドイルのもう一つの冒険譚である「失われた世界」の舞台を話題にできて喜んでいた。

While they are waiting to see Gibson at Thor Place, Bates shows Holmes and Watson the gun-room where the pistols were kept and the schoolroom where Grace Dunbar taught the children about their Brazilian heritage. This allowed Jeremy Paul to work in a happy reference to the location of another Conan Doyle adventure, The Lost World.


本を読むときは読み飛ばしているところも、こうして訳すときは映像を見て、原作を読んで調べます。そしてはじめてわかることがあります。

子供達の母の国であるブラジルのことを教える目的でブラジルの写真や彫刻、剥製、装飾品などが並んでいる教室へ、ホームズとワトスンは入っていきます。このシーン自体が原作にはありません。そしてグラナダ版ではホームズは写真の1枚を手にして、"See, Watson, Ricardo Franco Hills."と言います。このリカルド・フランコ丘陵はコナン・ドイルに縁の深い土地だということを、私は知りませんでした。

下のリンク先の記事によれば、この丘陵地帯のことをColonel Percy Harrison Fawcett が講義したのをきいたドイルが、その土地の様子に魅了されて「失われた世界」を書いたとのことです。脚本家もジェレミーも、わかる人だけに目配せをしたのですね。

The rich imagery of Fawcett's reports was not lost on one member of the audience. Sir Arthur Conan Doyle shared the explorer's vision, going on to write The Lost World, the classic novel where a scientific expedition encounters pterodactyls, dinosaurs and ape-men.
http://www.phfawcettsweb.org/hills.htm


Michael Coxの本、A Study in Celluloid にもどります。

ベイツが話している途中で、やってきたギブソンが厳しい調子でそれを遮るが、その後はギブソンはホームズに協力的で、率直に状況を語る。これは原作ではベーカー街から一旦飛び出して、もどった後でホームズに話した内容だ。実際この後もギブソンは二人の客を丁寧に扱うようになって、敷地を案内して自分のアーチェリーの練習に付き合わせることまでする。目立つこの場面は、ジェレミー・ブレットの弓矢のわざを役立てるために台本に加えたものだった。ただ、ホームズはギブソンを負かしてしまわないように気をつけているが。

Bates is interrupted by a stern but cooperative Gibson, who now offers the information which, in the story, he provided on his return to Baker Street. He has, in fact, become quite hospitable, taking Holmes and Watson for a stroll through his estate and even inviting them to join him in archery practice. This flourish was written into the script to take advantage of Jeremy Brett's skill with the longbow, although Holmes is careful not to outdo his host.


ここでもう一つ知ったのは、原作では一度221Bを飛び出したギブソンが部屋に戻って来るということです。グラナダ版では戻りませんね。戻らない代わりにワトスンの「実際的な」助言と二人の握手があります。こちらの方がいいですね!

そして原作では221Bに戻ってきて話す内容が、グラナダ版では教室の中、敷地を歩きながら、そして敷地内のアーチェリー場で語られます。ここでホームズも腕前を披露します。これはジェレミーの古くからの友人である脚本家ジェレミー・ポールがジェレミーのために入れたシーンなのですね。ジェレミーがアーチェリーが得意で、大好きで、いつか作品で弓を引くことができたら、と思っていたことを知っていたのでしょう。 (In fact, I've never even drawn a bow in a film or in a play, although I'd love to. 「実際、映像でも舞台でも弓を引いたことは一度もないんですよ、やりたいと思っているのですが。」)
アーチェリーに関する1989年の記事より(5)

そうであれば、無理に右腕を使ったり右利きの代役を使ったりせずに、ここはジェレミー自身が利き腕の左で弓を引く決心をしたのもわかる気がします。

そしてMichael Coxが「ホームズはギブソンを負かしてしまわないように気をつけているが」と書いているので気がつきましたが、ジェレミーは手加減しなければ、二本とも的の真ん中に当てられたということなのでしょうね!

RM
6月4日追記:下では「この二つをクリックすると、どちらも、現在出品中のジェレミーの別の写真にredirect(転送)されます」と書きましたが、もしかしたらスマートフォンでは転送されずに元の画像のサムネイルが表示され、サムネイルをクリックすると写真をみることができるかもしれません。私は携帯電話は持っていないのですが、iPod touchは持っていて、試してみたらちゃんと写真をみることができました。

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明日の土曜日から留守にするので昨日短い記事を書いたのですが、今日確認したら、リンク先が削除されていました!ああ残念。で、どんな記事だったかというと...

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最近eBayに、同じ出品者から珍しい写真、よい写真がまとまって出ています。すでに落札されているものの中から二枚、今日はご紹介しましょう。

https://www.ebay.com/itm/352351689943
https://www.ebay.com/itm/142795670276
6月1日注:この二つをクリックすると、どちらも、現在出品中のジェレミーの別の写真にredirect(転送)されます。この写真もとーっても素敵です。はじめてではありませんが、以前から知っていたものより画質がすごくいいです。ただこれが落札されると、また別の写真に転送されるようになるでしょう。)

1枚目はネット上に今までもありました。でもこちらの方が画質がよいです。2枚目は私は初めてです。そしてこの二枚の写真の裏には同じ撮影者の名前が記され1973年10月と書かれていますし、服も一緒ですから同じ時の写真でしょう。ジェレミーは40歳になる直前です。

1枚目をみると割とほっそりして見えるけど2枚目は結構ガッチリしていて、同じ時の写真であることを思うと、それもちょっと面白かったです。病気の時は別にして、ジェレミーはほっそりしているようにも見えるけど、胸板はかなり厚いんですよね。時計はやはり右手にしています。左利きだからなのでしょう。

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というのが、昨日書いた記事でした。5月20日と22日に落札されたものですから、こんなにはやく削除されるとは思っていませんでした。

1枚目と同じもので以前からネット上にあったのは、たとえばこちら、Facebookのここにあります。
https://www.facebook.com/jbtribute/photos/576725852363901

2枚目については以下のリストで、サムネイルならみることができます。この出品者のもので、ジェレミーの写真だけ検索した結果のリストです。6月1日現在、上から2枚目にありますが、新たに落札された写真は上に加わりますからこれ以降順番が下がっていくでしょう。
https://www.ebay.com/sch/nordicpix/m.html?_nkw=jeremy%20brett&LH_Complete=1
(このアドレスはしばらくしたら消します。この出品者により、ほどなくすべての写真は削除されるでしょうから。)

ガッチリしてみえる、と書いた意味、わかっていただけたでしょうか。

また、このリストをご覧になると、珍しい写真も何枚かあるのがおわかりになるでしょう。たとえば白くて長いマフラーを首にかけたスーツ姿でこちらをみて微笑んでいる写真は私は初めてです。同じ時と思われるものをChristopher Bigginsの自伝"Just Biggins"で見ました。(Amazonのこの本の"Look Inside"で"jeremy Brett"と検索すると、写真をみることができます。)
https://www.amazon.com/dp/184454852X

ハムレットの写真もありますね。1961年に劇場で演じた時のもの(横顔の写真)と、1994年放送のBBCのドキュメンタリー番組 Playing the Daneでハムレットの1シーンを演じたときのもの(骸骨を手にした写真)があります。1961年の舞台のことは何度かここで書きましたが、1994年10月放送のドキュメンタリーでのジェレミーの言葉についてはまだで、いつか書くつもりです。1995年にジェレミーは亡くなりましたから、映像でのインタビューとしては最後か、それに近いと思います。(1994年4月のマンチェスターでの短い映像の方が後の可能性もあります。)

RM
前回の記事にもたくさん拍手をくださって、ありがとうございました。そして非公開の設定でのコメントも頂きました。かつてNHKでご覧になって、ブルーレイで見直していらっしゃるんですね。ジェレミーのホームズはずーっと愛されていますね!

ここにいらっしゃるかたは、もちろん気がついていらっしゃるでしょうが、りえさんのブログも更新されていました!舞台"The Secret of Sherlock Holmes"の話題でしたね。

さて、前回の続きです。前回書いた後で、「私はこの記述の信憑性は低いと思っています」と書いたのには、理由の説明が足りなかったのではないかと感じました。「思っています」なのですから、所詮推測や感想に過ぎないのですが。

IMDbでは "whenever Holmes had to write something close up" と書かれていて、ホームズが文字を書くところが大写しで映るときは「いつでも」代役を使った、とされています。一方Michael Coxの本では "if ever he had to write anything" とあって、"if ever" はたとえばウィズダム英和辞典によれば「もし一度でも, とにかく」の意味ですから、何か書かねばならないときが「一度でもあれば」、ジェレミーはどんなに苦労しても右手を使った、と書かれています。ですから正反対の記述です。

IMDbの記述には出典がないのに対して、Michael Coxはシリーズの産みの親でプロデューサーです。それに「踊る人形」ではMichael Coxの言葉どおり、ジェレミーは明らかに自分で(暗号を)書いている。それならやはり、IMDbの記述は疑わしいのではないか。それが前回の主張の根拠でした。

でも「踊る人形」で明らかにジェレミーが書いていることがわかるのは暗号であって、解読した結果を黒板に書くところは手だけが映っているので、ジェレミーが本当に書いているかわかりませんね。ただ暗号の人形を書くよりもアルファベットの大文字のE, L, S, Iを書く方がかえって簡単そうなのと、Michael Coxがわざわざ「踊る人形」の項目のところで、ジェレミーは右手を使って書いたと言っているのですから、「踊る人形」の中で文字を書くシーンはすべてジェレミーだと、私は思ったのです。

さてそれでは、ほかの作品ではどうでしょうか。手の代役を使ったのでしょうか。Michael Coxの記述を100%信じるならば手の代役はまったく使わなかったことになりますが、プロデューサーが知らないところで代役が使われた可能性もないではありません。

ほかの作品で、文字を書いている手が大写しになるものとして思い出すのは、The Creeping Manです。Michael Coxは本のなかでこのエピソードに関して、'Come at once if convenient—if inconvenient come all the same' のメッセージをそのまま入れたと書いていて、でもそれ以上のこと(代役の有無)には触れていません。

そこでこの場面の手を確かめてみました。




Marcus Tylor氏が撮った写真から、手の部分を頂いてきました。

さあ、皆様はどうお思いになりますか?違うかもしれませんが、私は実はこれはジェレミーの手じゃないか、と思っているのですが。

ところで今回、The Creeping Manでワトソンへのメッセージを書いている場面を見ているときに、面白いことに気がつきました。1枚目は書き始めで、"come at once"まで書いたところ、2枚目はそのあとにカメラがホームズの顔を映して、また手元にもどったときのものです。

文字が微妙に違いますね。よく似ていますけど。

最後の画面では"same"を書く途中から、署名を書くまでが映ります。途中にちょっと不本意な文字があって、"same"以降を書くところのクローズアップを撮り直すために、もう一度書き直したのではないでしょうか。うふふ、まったくの想像ですけど。そして不本意なところができてしまったのは、利き手じゃない方だったからかもなんて、想像の上に想像を重ねています。

ソア橋の、的を射るシーンについて書こうと思っていましたが、今日は前回の続きになりました。

RM

先週の記事にたくさんの拍手を頂きました。2ヶ月以上更新していなかったのに、見にきてくださるかたがこんなにいらして、そして拍手のボタンを押す手間を厭わずに何かを伝えてくださるということに心底驚き、ありがたく感じてこころがあたたかくなりました。

それだけジェレミーが愛されているのですね。1980年代から90年代にNHKでご覧になったかた、それ以降の再放送で、またDVDやブルーレイで、最近はネット配信でご覧になったかた、時期や手段は違ってもジェレミーのホームズに魅了されるひとが途絶えることなく続いています。そしてそのために、ジェレミーの話題をぼちぼちと書いているこのブログにも、拍手を下さるのだと思います。書いていることはすでにご存知のことであったとしても、ここに来ればジェレミーのことがいつも話されているのを、好ましいことと思ってくださるのでしょう。


カエルさんから、ジェレミーが左利きであることについて、「ジェレミーの(ホームズの)仕草(2)」の記事にコメントを頂きました。

ジェレミーが左利きであることを私がきちんと知ったのは、グラナダシリーズのプロデューサーであるMichael Coxの本からでした。Michael Coxが"A Study in Celluloid"の中で、"The Dancing Men"の制作について書いているところです。

ワトソンはホームズが顧客に思いやりの気持ちを示さなかったことに失望するが、ホームズが言うように「彼は同情してもらいに来たのではない」のだ。今ホームズがやらねばならないのは暗号を解くことだ。そしてこの課題に焦点をしぼるために、我々はホームズに紙ではなく黒板を用意した。しかしジェレミーにとって、何か書くシーンがあるのは簡単なことではなかった。ジェレミーはもともと左利きだが、ホームズがそうではないのは確かだと思っていたからだ。何か書かねばならないときは、 ジェレミーはどんなに苦労しても右手を使った。

Watson obviously despairs of Holmes' lack of sympathy for his client, but as Holmes says, 'he doesn't come to me for sympathy'. The business in hand is the cracking of the code, and to focus clearly on this we gave Holmes blackboards rather than slips of paper. Whatever we gave Jeremy Brett to write on set him a problem, however. He was naturally left-handed but convinced that Holmes was not. So, if ever he had to write anything, Jeremy did it the hard way and forced himself to use his right hand.


こうやってあらためて読むと、以前は読み飛ばしていた事柄に気がつきます。原作では黒板に暗号を書き写したり、そこで解いたりしないのですね。グラナダ版でホームズが黒板を前にして暗号を解いているのは、名シーンの一つですけれども。

そしてジェレミーはやはりホームズに合わせて、苦労しても右手を使って書いたのですね。確かにジェレミー自身が書いているというのは、映像をみればわかります。

ところが以前からネット上では、ジェレミーが文字を書くときはhand double(手のみが映る代役)を使ったという記述が時々みられます。たとえばIMDbにもあります。訳すと「ホームズが文字を書くところがクローズアップで映るときはいつも、手のみが映る代役が使われた」(https://m.imdb.com/name/nm0107950/trivia)。出典は書かれていません。私はこの記述の信憑性は低いと思っています。

それでは「ソア橋の謎」で左手で弓をひいたのは、どんな決断からだったでしょうか。はっきりとはわかりませんが、これについては次回書くかもしれません。

RM

追記)自分のための覚書として。
シャーロッキアンは先刻ご承知なのでしょうが、ホームズが右利きと考える根拠を知らなくてネットで調べました。私が読んだのはこちらで、
http://www.sherlockholmes-fan.com/an-interesting-question-about-sherlock-holmes-hair-hats-magnifying-glass-and-more.html
その根拠となるのは"The Sign of the Four"の"He took out his revolver as he spoke, and, having loaded two of the chambers, he put it back into the right-hand pocket of his jacket."という一文だそうです。ここでの"He"はホームズです。

 RM

Author: RM
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