Jeremy のことが知りたくて ~ ジェレミー・ブレット(Jeremy Brett)を愛するかたへ

英グラナダ・テレビでシャーロック・ホームズを演じた俳優の人生を言祝いで

まずは、前々回の「その1」の最後で触れた、The Tempestの舞台写真のアドレスです。1枚目は知っていましたが、2枚目、3枚目はジェレミーの顔の部分のみを集めたコラージュのような写真として、Brettish Empire でみたことがあるだけでした。4枚目ははじめてです。いずれも、RebeccaのJeremy Brett Information(JBInfo)のTumblr(http://jbinfo.tumblr.com)からです。

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独特な雰囲気の舞台ですよね。写真をみる限りでは、ほとんど舞台装置なしのようにみえます。これをメキシコで、どんな映像にしようと計画していたのでしょう。


さて、前回のRADIO TIMESのインタビュー記事の続きにいきます。部分的な引用です。

'My feeling is that if you move on, go abroad, you get away from being "old boot",' he says, 'someone predictable, expected. I like to think I pop up everywhere like a jack-in-the-box.' [...]

'I left England because I was getting too comfortable. I had a house. I was getting tummy. I was joining clubs. I'm not really like that. [...]'

'I've always had a wanderlust. Now, travelling keeps me frisky, keep the tummy off. [...]'

He was born near Meriden, at the very centre of England. He's very English, 'more English than I realised until i went to live in the States.'

[...]

Success is not something he's prepared to settle down with; he's one for moving on. He's charming, kind, quick to praise others --- but, like Vincent, there's much more to him than that.

'I obey the rules of any establishment,' he says, 'as long as I don't have to belong to it all of the time.'

「外国へ行くと、『履きふるされた靴』のような気持ちから解放されます。人に思われているとおりの人間という気持ちを持たずにすみます。びっくり箱の人形のように、突然飛び出すのが好きなんですよ。」

「イギリスにいるのが心地よくなりすぎたので、国を離れたのです。家も持ったし、おなかもいつもいっぱい、クラブにもよく行っていました。本当はそういうたちではないのですが。」

「旅に出たいといつも思うような人間なんです。旅をするとエネルギーに満ちあふれます。おなかが出たりしないのです。」

彼はMeriden(メリダン)の近く、イギリスのまさに真ん中の地で生まれた。とてもイギリス人らしいイギリス人だ。「アメリカで暮らしはじめるまで、自分がこんなにイギリス的とは知りませんでした。」

(中略)

彼は成功に満足してそこに安住するようなことはできなくて、次へと進むのが好きなのだ。チャーミングで、あたたかくて、まわりの人の良いところをすぐにみつけるタイプの人間だが、Vincent(註:この記事の前半で紹介している、ジェレミーが演じた役名)と同じように、そのような外見以上のものを持っている。

「体制側がつくった規則を普通は守りますが、でもそれも、権威者の側にいつも味方することになるならご免です。」



ジェレミーはこころがあたたかくて、本物の紳士で、でもそれだけではない、いろいろな顔を持っているということがわかりはじめたのは、いつ頃だったでしょうか。たとえば、いたずらっぽい笑顔も、子供みたいなところがあるのもそうです。

ここに書かれているような、wanderlust「漂泊の思い」をいつも持っている、というのもそうです。以前の記事で、ジェレミーが自分のことを something of a gipsy(「放浪癖がある」と訳しました)と言っていたのをご紹介したこともあります。ジェレミーがこう言ったのは、イギリスを出る数年前のことでした。また、南アメリカでのヒッチハイクの旅のこと、ハワイへ突然飛んだ時のことも思い出します。

そういう、自由を好み冒険が好きなジェレミーだから、イギリスを離れる決心をしたのだと思います。

そして最後の段落の発言も興味深いと思いました。別のインタビューで、母が自分にやりたいようにやらせたのは、自分がrebelであることを知っていたからだ、と言っていたように記憶しています。rebelというのは辞書でひくと、(権力支配などに)反抗する人、といった意味があるようです。上からああしなさい、こうしなさい、と言われてきくような性質ではなかった、ということで、直接には俳優への道を進むことについて言っていたのだと思います。

俳優を志した時以外にも、ジェレミーのそういう面を感じることがあります。因習や権威者に従うこと、世間体を気にすることよりも、もっと大切なものが自分の中にあることを知っていたのだと思います。イギリスを出るのも、人の思惑を気にしていたら、できなかったことでしょう。

こうしてジェレミーのいろいろな顔を知るのが好きです。

RM
10月にHaunted: The Ferryman (1974) のDVDが発売されます。昨日気がつきましたので、うれしくて、前回の続きをご紹介するという予定を変更して書いています。イギリスのアマゾンのページは以下の場所です。
http://www.amazon.co.uk/dp/B008CZOOPC

ジェレミーの出演作品のDVD発売は、去年の8月のThe Merchant of Venice (1973)9月のThe Good Soldier (1981) 以来です。この二つの作品はそれまでにDVDになったことがありましたので、再発売でした。前者はイタリアなどで発売された版がありましたし、後者はアメリカですでに発売されていましたが、昨年イギリスでも入手できるようになったのでした。

今回の作品はVHSとしては発売されたことがあるようですが、DVDとしては私が知る限りでははじめてです。こうして今も新しくジェレミーの出演作品がDVD化されるということは、なんとうれしいのでしょう。

この作品は、りえさんが2回にわたって紹介してくださっています。2回目の記事にはお話の核心部分も含まれていますので、知りなくない方は2回目は購入後にご覧になるのがよいかもしれませんね。以下は1回目のページのアドレスです。
http://blog.goo.ne.jp/rie_002/e/95fc5518731ea5e91361bc72db2e1413

ホラー作品ですが、どろどろしたホラーではなく、話が進んでいくにつれて徐々に背筋がぞっとする、というタイプの作品です。私はどろどろは不得意なのですが、ありがたいことに血は一滴も出ません。(水に落ちて泥んこにはなってしまいますが。)そして、ジェレミーファンの間では有名な、"The towel scene" (タオルのシーン)があります(うふふ)。

発売されたら、もう少しくわしくご紹介するかもしれません。これは「名作」というたぐいの作品ではなく言わば娯楽作品ですが、楽しんで作られた、良くできた作品だと思います。ジェレミーには珍しい現代もので(アメリカでは何本かありましたが、イギリスでは少ないです)、ジェレミーもおもしろく思いながら撮影にのぞんだのではないでしょうか。

イギリスのアマゾンで、すでに予約ができるようになっています。日本のアマゾンにはまだ登録がありませんが、日本からでも手軽に買えるようになるとよいですね。

RM
前回の記事で、アメリカへ行く決心をした時のことにジェレミーが触れているインタビューをご紹介しました。それでもう一つのインタビュー記事を思い出しました。イギリスを離れた年と言っている1977年から5年後の、1982年9月の日付けのある記事ですが、イギリスからアメリカへ移った当時のことも話しています。

1982年の9月というと、ホームズ役の話がいったん保留になった後、著作権の問題が片付いてドラマ化が最終的に決まった頃です。(「ジェレミーが読んだホームズの本;The Television Sherlock Holmesより」のコメント欄に書きましたが、The Television Sherlock Holmesの序文でジェレミーが、休暇でホームズの原作を読み直した後の9月にプロデューサーから電話があった、と言っています。)インタビューがおこなわれたのは、その電話より前ではないかと想像しています。インタビューの場所はロンドンです。

今日はまださわりだけになります。でもこのインタビューの最初の部分もなかなか興味深くて、DVDになっていないしYouTubeにもない"The Last Visitor" という作品の中で演じたVincent Tumulty役のことをジェレミーが話しています。

Faced with success
RADIO TIMES, 11-17 September, 1982

[...] "It was more complex than anything I've had to do before. He's a man who's perfectly controlled but screaming inside. [...] I just had to keep bringing my own performance down. It was a mass of restraint. What emerged was someone I, as an actor, looking at myself, personally didn't know."

「今まで演じたどんな役よりも複雑で、自分の感情を抑えることができる人のように外からはみえて、実際には内では苦痛の声をあげている人物なのです。抑えた演技をする必要があって、それはずいぶん制限が大きいものでした。その結果、私が今まで知らなかったような人物像になりました。」


今までのどんな役よりも複雑、という表現はホームズの時にもよく言っていましたね。ジェレミーは演じることが好きで、新しいことに挑戦するのが好きなのだなあ、とつくづく思います。ホームズはワトスンに「助けてくれ」と言えない、と言っていたことも思い出します。外にはあらわれない内側の声を演技であらわすということもまた、ジェレミーにとって、いつもわくわくする挑戦だったのでしょう。

間を少し飛ばして、次へ行きます。

He went in 1977 'to be a Movie Star!' He shrugs. 'Well, I did episodes of The Incredible Hulk and Hart to Hart.' A pause... 'I wasn't the Hulk.'

But he was Dracula, breaking all house records in Los Angeles, San Francisco and Chicago. He has just finished filming Macbeth with Piper Laurie for American TV. And his acclaimed production of The Tempest in Toronto is now being filmed in Mexico.

1977年にアメリカへ行った。「映画スターになるためにね!」彼はそう言って肩をすくめた。「『The Incredible Hulk(超人ハルク)』と『Hart to Hart』に出演しました。」少し間をおいて続けた。「でも超人ハルクじゃなかったんです。」

しかし彼はドラキュラだった。ロサンジェルス、サンフランシスコ、シカゴで劇場の記録をすべて塗り替えた。今はちょうどアメリカのテレビ局のための「マクベス」の撮影が終わり、トロントで舞台監督をつとめて好評だった「テンペスト」をこれからメキシコで撮影しようとしているところだ。


「The Incredible Hulk」についてはやはり、端役にすぎなかった、というニュアンスの発言だと思います。ジェレミーはこういうふうに、自分のことを笑い話のタネにするようなユーモアも持っていますね。アメリカで映画スターになりたかった、という話題では、1989年のBBCのラジオ番組では特に「カウボーイになりたかった」と言って、インタビューアを笑わせていました。

「テンペスト」はジェレミーが主演し、監督もつとめた劇でした。その後映像化を考えていたことは知っていましたが、メキシコで、という話があったことはこのインタビューではじめて知りました。どのくらい具体的に話が進んでいたかは知りませんが、映像作品としてみてみたかったと思います。資金が集まらなかった、と言っているのを読んだことがあります。他のインタビューでは、トロントでの「テンペスト」はあまり満足いく出来ではなくて、監督と主演を一人でつとめて消耗してしまった、と言っていました。だからこそ、映像化でもう一度挑戦してみたかったのかもしれません。

トロントでの舞台写真で、すごく雰囲気のあるものを3枚くらい知っています。場所を思い出したら、こちらにアドレスを書きましょう。ああ、書いているうちに、映像が残っていないことがすごーく残念に思えてきました。

次回はこのインタビューの続きから引用してご紹介します。

RM
Google News Archiveを検索してみつかるドラキュラの頃のインタビューを、もう一つご紹介しましょう。

'Dracula' role providing new life for Jeremy Brett
Williamson Daily News, Nov 14, 1978
http://news.google.com/newspapers?id=m4FDAAAAIBAJ&pg=6668,3652894

これにも先日ご紹介したこの写真が使われていますね。(クリックでこの写真がある元々のサイトへ飛び、そこで写真をクリックすると最大になります。)
[Jeremy Brett in Dracula] Digital ID: 2025116. New York Public Library

それではご紹介します。最初の部分の訳ですが、ところどころ省略しています。

ドラキュラは多くの人にとっては死の象徴だが、ジェレミー・ブレットにとっては 生を意味する。

ブレットは現在ロサンジェルスの舞台でドラキュラを演じている。この英国出身の俳優は、ロンドンでのキャリアを捨てるという危険をおかしたのだが、今それがむくわれていると感じている。

「ロンドンで安定した生活をおくりすぎていたのです。自分のやっていることに満足して、カクテルパーティにもしょっちゅう行くような生活でした。」

彼はロンドンの舞台になくてはならない俳優の一人だったので、ロンドンをはなれるという考えはとても思いきったものだったが、ブレットは数年前にそう決心して実行した。

「アメリカに移ることで、イギリスにいる家族や友人にショックを与えてしまいました。その上アメリカで、ゼロからやり直さなければならなかったのです。簡単なことではありませんでした。」

演ずる役はほとんどまわってこなかった。かろうじて「Young Dan'l Boone」にゲスト出演し、「Incredible Hulk」のとある回では主人公Hulkの敵を演じた。それからイギリスに呼び戻され、「Rebecca」で主役を演じた。

しかし今、ドラキュラのおかげで、ハリウッドはブレットに気がついて注目するようになった。今ではプロデューサーや監督やテレビ界のおおものが公演を観に来て、役の提案も舞い込み始めたそうだ。「今までぎりぎりの状態も経験しましたが、やっと前に進むことができて、とてもうれしいです」とブレットは言う。


役がなかった頃もあったのですね。自分でいつも仕事をさがしていた、とThe Black Box Clubのインタビュー(1989)で言っていたことを思い出します。(この記事でふれました。)でもそうやって何とか得た「Young Dan'l Boone」や「Incredible Hulk」での役は、本来ならジェレミーが演じるようなものではなかった、と思う人がたくさんいます。ジェレミーは役を選ぶべきだった、それをせずにB級作品に出たために、一流の俳優としての評価を得ることがなかなかできなかった、という意見もきいたことがあります。BAFTA賞を得ることができなかったことについても、そのことを理由の一つとする人もいました。

でも、アメリカに行ってゼロからやり直して端役でも演じたなんて、ジェレミーは残念なことをした、間違っていた、とは私は全然思いません。インタビューでは言っていませんが、アメリカに行った理由の一つは、Joanと結婚したからでしょう。そしてとても大きな理由はここで述べているように、イギリスでの安定した生活や、ロンドンで積み重ねた俳優としての実績から一歩をふみだして、アメリカで新しい冒険をはじめてみたかったのでしょう。それはいかにもジェレミーらしいことです。ジェレミーにとって、後から悔やむことは何もなかったことでしょう。

そして、それまでのなかなか演じる機会がまわってこなかった数年がすぎて、舞台にもテレビにもふたたび活躍の場所を得つつあるこの頃のジェレミーに思いを馳せてみます。

RM
「お鼻の話」です、「お花の話」ではなく。

前回の記事「舞台 Draculaの頃のインタビュー;新聞記事(1979)より」で、「『鼻の穴が大きいんです。』彼は鼻の穴を広げて、危険な印象をかもし出した。」と書いたところは、原文では"'I have enormous nostrils.' He flared them to menacing effect." となっています。これで思い出したのですが、1992年のインタビューで、ホームズを演じる時、"[...} my nostrils flare [...}."と言っています。

その部分を引用して抄訳します。TADとあるのはインタビューアです。

Holmes' Encore
The Armchair Detective, pp.4-13, Vol.25, No.1, 1992

TAD: ジェレミー、同じ役を、毎回どうやって新しい気持ちで演じることができるのですか?

Brett: どんなふうにホームズを演じたらよいか、今でも学んでいる最中なんですよ。本当にむずかしいのです。まだ半分も彼の演じかたをわかっていません。いつもやりすぎてしまいます。いろいろなことをやってみるのが問題なんです。ホームズはうちに秘めたエネルギーを持ったままで、外には大いなる静けさをあらわします。そのとき私は静かにしているのですが、でも体がいろいろと動いて、鼻の穴を膨らませたり、眉をあげたりしてしまうんです。そうすると、体のいろいろなところをやたらにぴくぴく動かしている俳優、になってしまいます。

(追記:「鼻の穴を広げる」とはじめは書いていましたが、この記事の文章の訳としては「鼻の穴を膨らませる」にかえました。コメント欄でナツミさんとお話していて、こちらのほうがよいと感じたからです。)

最後の2つの文章の原文は "But I twitch, my nostrils flare, my eyebrows arch. It comes across as an over-the-top twitching actor." です。いつもながらジェレミーは謙虚で熱心で、そしてユーモアも忘れないのですよね。

眉がアーチを描くのは、これはもう見事ですよね。人はあんなふうに、それぞれの場面で微妙なニュアンスをともなって、眉を動かせるものなんでしょうか!ホームズを演じるとき以外のジェレミーでは、あれほど見事な眉の動きをみたことがないので、ホームズを演じる中でつくっていった動きなのでしょうね。

そして、鼻のことです。これ、私は気がつかないし気にならないのですが。ホームズの鼻の穴、広がっていますか?

そもそも"my nostrils flare." を「鼻の穴が広がる」と解釈してよいか、100%の自信はないのです。私の辞書にはそのものずばりの例文がなかったので。でもGoogle Imagesで検索すると、確かにそういう画像がたくさん出てくるので、多分大丈夫でしょう。

『Scrawl』のインタビューから(1989年)(2)」の記事でご紹介したインタビューでは、「ホームズを演じるようにと言われたとき、驚きました。僕の鼻はそんなに大きくないのに、なぜ僕なんだろう?って。」と言っています。ホームズの鼻はhawk-like noseと言われていますね。ジェレミーはホームズにうってつけの鼻を持っていると思います。だから逆にこんなふうに、自分の鼻をジョークのタネにするのかもしれませんね。

そして、物理的に鼻の穴は広がらなくても、ジェレミー本人としてはやり過ぎたと思うときもあって、それを鼻の穴で象徴的にあらわしたのではないかと思うのです。でもそんな心配はないですよね。ホームズの感情にそってジェレミーの表情は実に見事に動いて、見ている人を魅了しますもの。

ところで私がジェレミーのホームズをみて驚くのは、目が「物理的に」(つまり修辞的に表現して、ではなく文字通りに)輝くところです。どうやったら、あんなことができるのでしょう!

RM
ドラキュラの写真を見ていただきましたので、今度はドラキュラの頃のインタビューを少しお届けしましょう。Google News Archiveの記事からです。

Google News Archiveというサービスでは無料で古い新聞記事を見ることができて、しかもその検索機能はとても使いやすいものでした。たとえばある検索語でヒットする記事の、年ごと、あるいは月ごとの数を示すグラフを表示させることもできましたし、その年(あるいは月)の記事を一覧表示させることもできました。その他の絞り込み検索も非常にやりやすかったのです。

私は以前から、Google News Archiveで年代順にジェレミー関連の記事を調べて、重複するものや、テレビ欄のプログラム案内のみの記事はのぞいた後で、記事のページのアドレスを書いたリストを作ってフォーラムで少しずつ紹介していました。アメリカでドラキュラを演じていた頃については、短いものも長いインタビュー記事も含めて、15くらいありました。

ところが残念なことにGoogleはこのサービスを縮小させていき、去年以降おそろしく使いにくいものになってしまいました。新しい記事が加わらなくなっただけではなく、専用の検索ページがなくなりました。かわりにGoogle Newsの検索ページを使うしかないのですが、バグが多くて、たとえば検索結果が100を越えると101番目からはみることができないのです。

そのような訳で、検索が非常にやりにくくなりましたが、以前リストを作っていたなかから、ジェレミーがドラキュラについて話しているインタビューをご紹介しましょう。

Dracula Given New Portrayal
Audience Feels Pity For New Count

The Milwaukee Sentinel - Feb 14, 1979

http://news.google.com/newspapers?id=UY5QAAAAIBAJ&sjid=8xEEAAAAIBAJ&pg=6788,2839853(ごめんなさい、これは同じ記事の、続きのページのアドレスでした。正しくは以下のアドレスです。)
http://news.google.com/newspapers?id=UY5QAAAAIBAJ&pg=3351,2820970



すでにご紹介した、この写真が使われていますね。(初めての方へ。写真をクリックするとNew York Public Libraryのページに飛び、そこで写真をもう一度クリックすると最大の大きさになります。)
Dracula, 1978 Aug.-Nov. Digital ID: 2025113. New York Public Library
最後にTurn to Page 10とあるとおり、この記事は同じ日の別のページに続く、かなり長い記事です。

こちらが続きのページで、ここにもすでにご覧になった写真が使われています。
http://news.google.com/newspapers?id=UY5QAAAAIBAJ&sjid=8xEEAAAAIBAJ&pg=6788,2839853
Dracula, 1978 Aug.-Nov. Digital ID: 2025136. New York Public Library

最初の部分を引用します。訳は部分訳です。

現在ドラキュラを演じている英国出身の俳優ジェレミー・ブレットは、私たちの中にもドラキュラがいる、と言う。

私たちは誰もが、こっそりと誰かの血管にキスをして、ヘモグロビンを堪能したいと切望している、という意味ではなく、「私たちの中にもドラキュラが住んでいて、誰かのことをぞっとさせて驚かせたいんですよ。弟とか母親とか、そういう誰かをぞっとさせたいんです。」

「みんな、どんなふうにしたら、自分が人をこわがらせることができるか知っていて、たとえばベッドにいたずらをして寝ようとする人をぎょっとさせたり、扉の向こうに隠れていて急に驚かせたり、その扉の上にバケツをセットしておいたり。」

それではあなたの場合は、どういうところが一番怖いのかと尋ねると、ブレットは答えた。「怒ると、姿勢を正してみせて、この大きな鼻でひとを怖がらせます...」あごに指をあてて、少し持ち上げてみせた。「鼻の穴が大きいんです。」鼻の穴を広げて、危険な印象をかもし出した。「この大きな声でわめきます。ドラキュラの役のために声の高さを4音下げましたからね。」


いかがですか?自分のどこがこわいか、楽しくご機嫌で話している様子ですよね。それから、ひとを怖がらせるのが好きなドラキュラは誰の中にもいる、という感じ方も面白いと思います。決して、私たちとは何の関係もない怪物としては見ていないのですね。

いつもジェレミーは役の理解と解釈に情熱を傾けて、紙を切ってつくったようなぺらぺらの人物ではなく、奥行きを持った人間として演じようとしていました。そのドラマや劇の中に直接はあらわれない逸話をよく考えていました。そういうジェレミーが、怪物であるドラキュラについても思いをめぐらしていることが、このインタビューの後半にも出てきます。


ところで、このように当時の新聞を紙面そのままの形で読むことができるのは、うれしいですよね。新聞社のデータベースは今では多くが有料で、しかも紙面そのままよりも、テキスト化されている方が多いです。それにくらべて、このような形の方が臨場感があって、たやすく時間を越えていけるような気がして、私は好きです。1979年の2月のジェレミーがどんなだったかを感じることができるような気がします。

RM
「その3」で終わりのはずだったのに、あれれ?と思っていらっしゃるでしょうか。27枚の写真を全部ご紹介するのは、いくらなんでもやりすぎだと、ここに来て下さるかたにあきれられるだろう、と思っていたのです。でもたくさん拍手をいただいたし(わーい!)、コメントもいただいたし(わーい!)、皆様も楽しんでくださっているようなので、「その4」まで続けることにしました。

この写真がある元々のサイトのNew York Public Library Digital Galleryにいらして「Dracula」で検索すれば、残りの13枚の写真がみつかるとはいえ、ジェレミー以外の俳優の写真もあるし、同じネガに由来する重複したファイルもあるし、少々面倒かもしれませんね...というのをもう一つの言い訳にして、全部いっきにご紹介しましょう。今までと同様、写真をクリックすると元のページへ飛び、そのページで写真をもう一度クリックすると最大の大きさになります。

左の写真は、これはちょっと笑っちゃいます。正直に申し上げると、私は「ドラキュラ」の小説も舞台も映画も、読んだりみたりしたことがないのです。それででしょうか、なんのためにこの左手が頭におかれているのか、ドラキュラの癖(?)なのか、私にはわかりません。右はたしか、劇場で販売されたパンフレットの表紙にもなっていたと思います。
[Jeremy Brett in Dracula] Digital ID: 2025110. New York Public Library[Jeremy Brett in Dracula] Digital ID: 2025116. New York Public Library

これは2枚ともはじめて、左の写真は、手の表情がおもしろいです。右は、実に美しくマントがひるがえっていますね。
[Jeremy Brett in Dracula] Digital ID: 2025124. New York Public Library[Jeremy Brett in Dracula] Digital ID: 2025117. New York Public Library

この内の2枚ははじめてでした。2枚目の写真は前回ご紹介したものと似ていますが、少し違うのですよ。
[Margaret Whitton, Nick Stanna... Digital ID: 2025133. New York Public Library[Jeremy Brett, Margaret Whitto... Digital ID: 2025118. New York Public LibraryDracula, 1978 Aug.-Nov. Digital ID: 2025130. New York Public Library

右側ははじめてみた写真で、十字架を向けられた時の劇的なシーンです!
Dracula, 1978 Aug.-Nov. Digital ID: 2025137. New York Public Library[Nick Stannard, Jeremy Brett a... Digital ID: 2025122. New York Public Library

どちらも見たことがありましたが、今回のほうが画質がいいです。左は小さいですが、雰囲気がありますね。
[Margaret Whitton and Jeremy B... Digital ID: 2025132. New York Public Library[Jeremy Brett in Dracula] Digital ID: 2025125. New York Public Library

最後の写真はダイナミックですね!たしか、りえさんのブログでみせていただいたと思います。マントがきれいにひるがえり、手の表情が独特で、左足が後ろに曲げられていて、実に印象的なポーズです。こちらを「動」とすると、左の写真は「静」で、マントだけがゆるやかに舞っています。
Dracula, 1978 Aug.-Nov. Digital ID: 2025141. New York Public LibraryDracula, 1978 Aug.-Nov. Digital ID: 2025143. New York Public Library

いかがでしょうか。この4回で、New York Public Library Digital Galleryにある写真27枚全部をご紹介しました。一緒に楽しんで下さったようでしたら、とてもうれしいです。次回からはのんびりと行きましょう。

RM
まだ素敵な写真がたくさんありますが、あと8枚だけ選びました。この内の5枚は以前から知っていましたが、いずれも今回の方が画質がよいです。前回と同様、クリックでNew York Public Library Digital Galleryのページにとび、写真をもう一回クリックすると最大になります。

まず最初の2枚は、すっかりドラキュラです。つまり、前回前々回の写真はジェレミー度の方が高かったけれども、これはドラキュラ度がかなりのものですね。しっかり舞台用のメーキャップをしているのだと思います。なんといいますか、危険な写真ですね!
Jeremy Brett and Margaret Whit... Digital ID: 2025138. New York Public LibraryDracula, 1978 Aug.-Nov. Digital ID: 2025136. New York Public Library

次の4枚の中では、最後の1枚が特に好きです。軽々と飛んでいきそうではありませんか?
[Jeremy Brett, Margaret Whitto... Digital ID: 2025134. New York Public Library[Jeremy Brett, Margaret Whitto... Digital ID: 2025120. New York Public Library
[Jeremy Brett in Dracula] Digital ID: 2025131. New York Public LibraryDracula, 1978 Aug.-Nov. Digital ID: 2025115. New York Public Library

この2枚はよくみる写真ですが、好きなので大きな写真で。最後の1枚は、劇場で購入するドラキュラのパンフレットのプロフィール欄で使われていた写真だと思います。また、ドラキュラの時だけではなく、たとえばファンレターへのお返しの写真としてもみたことがありますし、テレビドラマ "The Secret of Seagull Island" では、ジェレミー扮するデイビッド・マルコムの写真としても、たしかドラマ中で使われていました。(このあたり最近は横着をして、ちゃんと調べずに記憶にもとづいて書いています。間違っていたら申し訳ございません。後で訂正します。)

ジェレミーも好きな写真だったのではないかと思います。私も好きです。




いかがだったでしょうか。今回載せたものの2倍くらいの写真がありますので、興味があるかたは元のサイトへどうぞ。前回も書きましたが、http://digitalgallery.nypl.org/にあります。ジェレミーがうつっているのは53のイメージファイルで、重複がありますので、写真としては27種類です。

3回にわたって、「ドラキュラ」をアメリカで演じた時の写真をご紹介しました。画質の良い、しかも透かしが入っていない写真が、ネットにこんなに大量に一度にあらわれることは、今後もそんなにはないと思いますので、とてもうれしかったです。これからは落ち着いてゆっくり更新していきます。

折しも昨日コンピュータがこわれまして、バックアップしていた十日ほど前の状態に戻ってしまって、ドラキュラの写真ももう一回New York Public Library Digital Galleryから頂いてきました。でも十日分のデータを失っただけならまだ良い方かもしれませんね。

この十日間、特にこの数日は個人的にいろいろとあったのですが、コンピュータが十日前にもどってみると、時間なんていうものは存外しっかりとしたものではなくて、ふわふわしたものだと感じます。

RM
アメリカの舞台でドラキュラを演じた時の写真をご紹介する2回目です。1回目はこちらです。
舞台 Dracula(1978-1979)の写真(その1)

前回の写真も今回ご紹介するものも、舞台用メーキャップはほとんどしていないのではないかと思います。これに対して、舞台セットを背景にして撮られた写真ではしっかりお化粧して、髪も形をつくって固めています。開演前メーキャップをするのにとても時間がかかったということを、ジェレミーが言っていました。ドラキュラとしてはやはり、普通の人間ではないところをみせねばならないので、メーキャップなしという訳にはいかないのでしょうが、よりジェレミー自身の表情をみることができる写真の方が、特にクローズアップでは私はうれしいです。

というわけで、あと4枚、ほぼお化粧していないと思われる写真から選びました。セットでの写真は後日にまわしましょう。

なお前回の記事の「追記」でふれましたが、この写真がネット上のどこで元々みつかったか、サーチしていてわかりました。NYPL (New York Public Library) Digital Galleryです。
http://digitalgallery.nypl.org/

この4月にこれらの写真のデジタルファイルはアップロードされたようです。同じ写真が複数枚アップロードされているのもあって、その場合は同じネガから印刷された違うプリントに由来するようです。重複をのぞくと、ざっとかぞえて25種類くらいの画像がみつかります。ああ、うれしい!「Dracula」で検索すると全部出てきますが、検索結果にはジェレミー以外の俳優が主演した写真も含まれています。一方、「Jeremy Brett」で検索するともれてしまう写真があります。

さて、写真です。今回からはNYPL Digital Galleryにリンクをはります。クリックして下さるとそちらに飛んで、もう一回写真をクリックすると最大になるはずです。最後の写真だけは、最大の写真の方にリンクしておきます。
Dracula, 1978 Aug.-Nov. Digital ID: 2025099. New York Public Library[Jeremy Brett in Dracula] Digital ID: 2025093. New York Public Library[Jeremy Brett in Dracula] Digital ID: 2025103. New York Public Library


いかがでしょう。私はこれをみると、幸せな笑みがこぼれるのです。わあ、ジェレミー、ドラキュラになってますね!って。つまり、後日ご紹介しようと思っている舞台セット上での写真では、ドラキュラとしてみるのですが、今日の写真についてはドラキュラのポーズをとるジェレミーとしてみる訳です。becomerのジェレミーとしては不満かもしれませんが。皆様はどうでしょう。そして一番最後の写真がもう、この中では一番好きです。これはジェレミー度78%くらい(つまりドラキュラ度2割ちょっと)に感じられます。それにしても目が大きくて、ひきつけられますね!

ホームズを演じている俳優に、ドラキュラも演じたことがある人が多いのです。こちら(http://jeremybrett.livejournal.com/22133.html)にはジェレミーを含めて4人があげられていますが、ここには書かれていないPeter Cushingもそうです。(間違えました!カッシングはドラキュラを追うヴァン・ヘルシング教授役を演じたそうです。ナツミさん、ありがとうございました。そしてどうも、ドラキュラは演じていなかったみたいです。)どちらも人気が高い役ということもあるでしょうが、何か不思議な共通点もあるのでしょうか。

ところで、ドラキュラの頃のインタビューを読んだことはおありになりますか?Google News Archiveでジェレミーが載っている新聞をさがすと、一番多いのはもちろんホームズに関してですが、次に多いのは多分ドラキュラを演じていた頃の記事です。Google News Archiveにはアメリカの新聞が多いということもあって、イギリスで舞台にたっていた頃の記事はほとんどないのですが、アメリカでのドラキュラについては、多く読むことができます。いつかご紹介しましょう。


最後に一つ、正直にお話しましょう。私は拍手をいただいたのがわかるとドキドキして、コメントをいただくと万歳する(いえ、こころの中で...)という性格です。拍手なんて意味ない、と思っているかたも、ときどき気楽に(?)拍手をしていただけると、こころがはずみます。

Rosalie Williamsのインタビューの記事に過去最大くらいの拍手があったのはとてもうれしかったです。どちらかというと地味な記事ですが、ああ、皆様、ホームズとハドスン夫人のこころのふれあいを大切に思っていらっしゃるのだなあ、と感じて。

「地味な記事」なんて書きましたが、「派手な記事」なんて私のブログにあるかしら?いや、今日のはドラキュラのポーズ満載の派手な記事かもしれませんので、また「地味な記事」の時にはどうぞ、こころにとめておいてください(うふふ)。

RM
このところ写真がほとんどなかったので、ここで何枚か写真をおみせしましょう。

舞台でドラキュラを演じた時の写真は何枚もみましたが、また新しい写真をこんなにたくさんみることができようとは思っていませんでした。10枚以上です。解像度がよくとてもきれいなので、本やパンフレットをスキャンしたものではなく、報道機関に配られた写真が出て来たのではないかと思いますが、詳細はわかりません。Jeremy Brett Information のフォーラムのメンバーが、フォーラムと自分のTumblrに同時に投稿した写真です。

(追記:ネットを検索していて、この写真があったもともとの場所にたどりつきました。図書館のデジタルライブラリにこの4月にアップロードされたもので、画質がよい理由や、こんなにたくさん一度にネット上にあらわれたわけが、これでわかりました。次回もう少しくわしく書きます。)

まずは、中でも好きな写真を2枚。

Source: http://goodnightsherlock.tumblr.com/post/26483039315/jeremy-brett-as-dracula
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2枚目は実ははじめてではないのですが、前にみたものよりも画質がよく、好きな写真なので、省くわけにはいきませんでした。

いかがですか?うふふ、ハンサムさんですね、まったく。1枚目なんて、目をみているとすいこまれそうです。りえさんにお会いした時に、「あの美しさは反則ですよね」とため息をつきながら言い合ったことを、懐かしく思い出します。ホームズを演じる約5年前、45歳前後のこの頃はもう、もともとの美しさに加えて、生きていく中でつちかったものが表にあらわれているように感じます。

RM
前回の記事では、雑誌Scarlet Streetに掲載されたRosalie Williamsのインタビューから引用しました。フォーラムでもこの部分を紹介したのですが、この雑誌のことを知らないひとも思いがけず多かったので、他に何人かの俳優がジェレミーを偲んで書いている言葉をさらに引用しました。

最初はRosalie Williamsのインタビューだけにしようと思っていたのです。でも他のことで連絡をとっていたメンバーが少し前に、自分はジェレミーと一緒に仕事をした人にも興味がある、彼らがどんな俳優か、ジェレミーのことをどう思っていたかを知りたい、と書いていました。それを思い出して、彼女のためにもフォーラムでいくつかさらに引用したところ、彼女もとても喜んでくれました。

こんなふうに、私のつたない英語でも、いろいろな時に「わあ、私と同じだ!」と思わせてくれることがたくさんあります。私もここで何度か書きましたが、ジェレミーを知る人がジェレミーを語る言葉を読むのがとても好きなのです。

このブログでは、今日は同じ雑誌の同じ号から、David Burkeの奥様のAnna Calder-Marshall(アナ・カルダー・マーシャル)がジェレミーを語った文章の前半部分を、一部省略した形でご紹介します。Anna Calder-Marshallは「未婚の貴族」に出演しました。

ジェレミーはとても広いこころの持ち主で、自分のからに閉じこもったりしない人でした。まわりの人のいろいろなことに対して感性が豊かで、いつもすぐに気がついていました。あのあたたかさ、洞察力、情熱 ... 彼はまさにスターでした。新聞の追悼記事に私はがっかりしたのです。「彼は --- でなかった」ということばかり書いていたからです。ジェレミーはもっと違う人生もおくれた、違う俳優人生もおくれたのに、ということもあるかもしれませんが、でも共に仕事をした人たちにとって、あらゆる意味でジェレミーはスターでした。私が共演した時には、すでに健康状態はよくありませんでしたが、自分のからだとこころのすべてを演ずることにささげていました。その腕で私を抱くことすら長くはできない状態でしたが、いつも最善をつくしていました。

ジェレミーの健康状態が悪くなってからのことは知るのも苦痛だし、映像や写真を見ても悲しくなる、と思われるかたもいらっしゃるでしょう。私にもそういう気持ちが確かにあります。でも次第にわかってきたことがあります。まわりの人たちにとって、そういうジェレミーを見るのは悲しかったでしょうが、それ以上にジェレミーと共にいることはあたたかさと幸せを運んでくれた、ということです。

たとえばEdward Hardwickeも、ジェレミーと一緒でどんなに楽しかったか、グラナダ・シリーズの撮影現場がどんなに素晴らしかったかを、いつも話してくれていました。決して、次第に困難がふりかかって、シリーズは悲しい最後をむかえた、などということは言いませんでした。私はそれをエドワードの優しさだと思っていました。もちろんそれも大きいでしょうが、でも今思うのは、ジェレミーの健康状態が悲しいことにどんどん悪くなっていた時期でさえ、ジェレミーのまわりにはたくさんの喜びがあった、ジェレミーの存在はとても大きかった、ということです。

アナにとってもまた、自分を長く腕で支えることができないほどのジェレミーであっても、彼と共演したことは、決して、時に気が滅入る悲しい思い出ということではなくて、素晴らしい俳優と共に仕事をした幸せな思い出なのだと思います。特にアナはデイビッドを通じて、ジェレミーがまだ元気だった頃から親交があったとしてもおかしくないと思いますから、その頃との違いに憂鬱な気持ちになることだってできたでしょう。でもアナにとって、「彼は健康ではなかった」「彼のホームズは初期の頃のようではなかった」「ホームズ以降俳優をつづけられなかった」といった「 --- でなかった」という記事がジェレミーを語っているとはとても思えず、ジェレミーは最後までかわらず見事な俳優であり見事なホームズであり、見事な一人の人間だったと感じているのだと思います。

そしてジェレミーは自分の状態がどんなに悪くても、まわりの人を気にかけて、すぐに何にでも気がついたということ、ああジェレミーらしいなあ、と思います。そんなふうにその頃のジェレミーのことを私たちに知らせてくださって、ありがとうございました、とこの文章を読んでDavid Burkeの奥様であるアナにこころで伝えたい気持ちになりました。

なお、同じこの雑誌からは以前「"This is your life" の撮影の時」というタイトルで、Simon Williamsがジェレミーを語っている文章をご紹介しました。こちらもとても好きな文章です。

RM

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Author: RM
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