Jeremy のことが知りたくて ~ ジェレミー・ブレット(Jeremy Brett)を愛するかたへ

英グラナダ・テレビでシャーロック・ホームズを演じた俳優の人生を言祝いで

フォーラムに投稿があるまで気づかなかったのですが、「ジェレミーの木」がジェレミーの友人達によって Clapham Commonに植えられて、今日(3月30日)で6年だそうです。覚えていられるように、ここに書いておきます。

りえさんのブログに、りえさんがClapham Commonにいらして、この木をご覧になった時の記事がありましたね。

木の種類はhorse-chestnutということですから、マロニエの木ですね。2007年3月30日金曜日の午後2時半から、植樹のための会がはじまったそうです。Edward Hardwicke と David Burkeが、 Peter Howellによって書かれた、ジェレミーをたたえる文章を読みました。 私は知らないのですが、Peter Howellも俳優のようです。
Source: http://www.jeremybrett.info/factfile.html

"A toast to Jeremy Brett" という、この文章へのリンクが上記サイトにありますが、リンクは切れていて、現在はこちらで読むことができます。

エドワードとデイビッドが、遠くの木に霧がかかってみえる Clapham Commonの原っぱに立ち、デイビッドが紙を手にして多分読んでいて、エドワードが横にいてデイピッドの手元をみている写真が以前はネットにあったのですが、現在は鍵付きの場所以外にはみつかりません。エドワードとデイビッドはその時、ジェレミーとのいろいろなことを思い出していたのでしょうね。

RM
トビィさんが「青年Edward Hardwicke;"The Men of Sherwood Forest" (1954)の一場面から」のコメント欄で書いていらしたように、エドワードはコメディが好きで、コメディアンになりたかったといくつかのインタビューで話しています。たとえば以前「補遺、備忘録 その2(David BurkeとEdward Hardwicke)」の記事中でご紹介した、The British LibraryのTheatre Archive Projectで録音された2007年のインタビューでは、こう言っています。

私の興味はシェークスピアだけではありませんでした。シェークスピア劇を演じるのはとても好きでしたが、自分が特に向いているとは思わなくて、コメディの方にもっとひかれましたし、コメディアンになりたかったのです。

And my interests were wider than that. I mean, I love doing Shakespeare. I never thought of myself as particularly good at it, and so I was more interested in comedy and being a comedian [....]


舞台で演じるコメディ(喜劇)としては、エドワードはシェークスピアも含めてたくさん演じていたと思いますが、テレビの、それも(1970年代の)現代作品のコメディにゲスト出演している映像をYouTubeでみつけて、生き生きと楽しそうなのがうれしかったので、記事にしたくなりました。

その前にお断りですが、市販されているものはYouTubeにあってもアドレスを書かないようにしていたのですが、今日NPR (National Public Radio; アメリカの公共ラジオ局)のサイトをみていて、DVDが市販されているシットコムの中のあるエピソードがYouTubeにアップロードされているものに、リンクを貼っているのに気づきました(http://www.npr.org/2013/03/25/175265720/)。これが、作品全体ではなくシリーズ中のエピソードだったからなのか、基準がよくわかりませんが、公共放送のウェブサイトでもそうなのだなあ、と妙に感心して、エドワードが出演したシットコムの中の各エピソードのアドレスを今日は書いておきます。

これは、BBCで放映されたコメディの "Some Mothers Do 'Ave 'Em" のシリーズ1・エピソード7の、"The Employment Exchange" (1973) です。
http://youtu.be/pneYwXTBUO8?t=2m7s

2分7秒からエドワードが出演します。憎めないけど困り者の主人公がしょっちゅう職業紹介所に来て、職を得てもすぐに馬鹿げた理由で職を失い舞い戻ってくるのに、エドワード演じる所員がもううんざりしています。主人公がやってきたのを見て、カウンターの向こうに衝動的に隠れて、その後所長に呼ばれて出て来る時の顔が、もうなんとも笑っちゃいます。その後で主人公や所長に応対する時の、うんざりしたり怒ったりあきらめたり、という表情の変化がすごく好きです。こういう演技を見るのははじめてだったので、ご紹介したくなりました。

この作品では、シリーズ3(1978)の"Australia House" でも別の役(オーストラリア移民局の役人のようです)でゲスト出演しています。
http://youtu.be/b1V1pgrTwwU?t=14m35s

14分35秒からエドワードが出ます。登場した時から挙動がちょっと妙ですよね。そしてたとえば22分20秒ぐらいから堪忍袋の緒が切れかかり、24分15秒には机ばんばん叩いて、自分の頭もばんばん叩いて、さらにこの後大変なことになります。シリーズ1とはまた違ったドタバタ喜劇をエドワードが演じています。

RM
前回の続きを書くつもりだったのに、記事がみつかりません。先日、「女性の直感と子供の感受性(1)」を書いた時には確かにみつけていたのに、どの雑誌(それともGoogle News Archiveの記事?)だったでしょうか。これからはちゃんとメモしておかないといけませんね。みつかったら、また書くつもりです。

それで今日はEdward Hardwicke(エドワード・ハードウィック)の出演作品をご紹介しようと思います。

二十代初めのエドワードの映像をはじめてみました!

これをみつけるきっかけになったaveleymanというサイトについては、以前に「Colin Jeavonsのこと (4)」の記事の中で簡単にご紹介しましたが、IMDbとはひと味違った映像作品データベースです。

ここのエドワードのページをみていて、表の一番上の写真にびっくり。
http://www.aveleyman.com/ActorCredit.aspx?ActorID=7433

1954年の"The Men of Sherwood Forest"という映画に、名前は正式にはあがっていないけれども、出演しているというのです。そしてこの作品はYouTubeに今現在あります。ただ、DVDが販売されているようですので(http://www.amazon.co.uk/dp/B002BI2ID6)ここにはアドレスを記しません。興味があるかたは、「The Men of Sherwood Forest 1954」で検索してみてください。40分10秒から41分30秒までの短い出演ですが、敏捷に森の中の道を走って来て、川で顔を洗い、また走り出すところからはじまります。台詞の後また駆け出して、でも最後に背中を弓で射られて倒れます。

はじめは、これ本当にエドワードかしら?と確信が持てなかったのです。顔が若いのはともかく声がずいぶん違うようにきこえたので。でも何度かきいているうちに、やっぱりエドワードの声の調子がきいてとれるように思えました。それからもちろん顔も若くて、でもやっぱりエドワードですよね?はつらつとした若者で、子鹿のようです!

(追記:その前の33分9秒から25秒までにも出ていました。この横顔はやっぱりエドワードです。)

RM

追記:エドワード扮する若者が話しかけている男、どこかでみたことがあるなあと思っていたのですが、Douglas Wilmerだそうです(http://www.britmovie.co.uk/forums/showthread.php?t=100534&page=8&p=2102814&viewfull=1#post2102814)。彼もホームズを演じていますね。そして多分それが理由で、BBCのSherlockにもカメオ出演しているようです。
今日ご紹介する記事は"The Armchair Detective"という雑誌の1992年の号に掲載されていますが、インタビューは1991年春に行われたそうです。以前にもこのインタビューから一回引用したことがあります。
 ・おはなのはなし;インタビュー "Holmes' Encore" (1992)より

Holmes' Encore!
The Armchair Detective, pp.4-13, Vol.25, No.1, 1992

Brett:「シャーロック・ホームズを演じる上で重要なのは、ホームズは時代をこえた最高の名探偵だということです。彼の域に達する探偵は他にはいません。ホームズは論理と推理の天才です。そして女性的な直感も兼ね備えているので、誰もホームズを打ち負かすことはできません。ワトスンは『チクタク』と時を刻む男物の時計で、でもホームズはすばらしい女性的直感を持っています。だからあんなにも魅力的なのです。

「そしてもちろん子供が持つすばらしい性質も持っていて、そこから子供の直感を得ているのです。子供はなんでもみています。違う部屋の泣き声もきこえるし、蜂が蜘蛛の巣にひっかかるのにも気がつきます。こういう子供の感覚は次第に失われて、きこえたりみえたりするものが減っていきますが、ホームズはその感覚を生き生きとたもっていて、2倍にも3倍にも働かせるのです。だから子供はホームズがとても好きで、そして大人も憧れます。ホームズは子供の頃のことを思い出させてくれますから。」

Brett: [...] The great thing about playing Sherlock Holmes is that he is the greatest detective of all time. There is no other detective to touch him. He is a genius of logic and deduction. And also he has feminine intuition, so he is unbeatable. Watson is "tick-tock, tick-tock" with the lock of a man, but Holmes has this brilliant feminine intuition. That's why he appeals so much.

And, of course, he's got this wonderful childlike trait, whereby he's got all the intuition of a child. All children can see everything. They can hear a cry from another room. They can observe a wasp being caught up in a spider's web. It is only later that all those wonderful senses close in and one becomes a little less hearing and a little less seeing. Holmes has kept them alive and done double work, treble work. That's why the children adore him so. And that's why the adults adore him, because he reminds them of their youth.



「ワトスンは『チクタク』と時を刻む男物の時計で」のところ、原文では「Watson is "tick-tock, tick-tock" with the lock of a man」となっていて、「the clock of a man」ではなく「the lock of a man」です。これは誤植だと考えて上のように訳しましたが、あっているかよくわかりません。ちなみにこれはハヤカワのミステリマガジンで翻訳されていて、参考にさせていただいたところ、「ワトスンはコチコチ時を刻む時計のようで男性的だが」となっていて、大意は変わらないと思います。

さて、ホームズとワトスンを対比した上で、ホームズが女性的直感をもっているとしたところは、はじめに読んだ時に意外な感じがしました。それは、特にエドワードのワトスンの中に、ホームズを思いやる、という言わば女性的特質を感じていたからかもしれません。ハドスン夫人を演じたロザリー・ウィリアムズが、

(ハドスン夫人とワトスンの)二人は友情で結ばれている、と言うのがよいと思います。二人ともホームズのことをこころから大切に思っていて、ある意味では協力してホームズの世話をしています。(中略)二人は一緒にホームズの面倒をみていて、ホームズがむちゃくちゃなことにならないように気をつけているということです。(中略)扱いがとてもむずかしくて、それと同時にとても愛すべき人であるホームズを一緒に見守っているのです。
ハドスン夫人とワトスンとホームズ;Rosalie Williamsの1992年のインタビューから(2)

と言っているのを思い出します。でもその後思ったのは、ワトスンはそのような女性的細やかさを持つとともに、ホームズのためならひとを殺すことさえも辞さない、という激しい気持ちを持った元軍人であり(これはジェレミー自身がワトスンを形容した言葉です。「ワトスンをどのように演じたか その2;軍人の血」)、かつ医者という職業にもとづく分析的な目を持つ職業人であるということ(これはエドワードの言葉です。Scarlet Street , 1992)です。そして推理における分析的側面に関しては、探偵と医者には類似点がある、とエドワードは言います。その部分では医者は探偵に匹敵する能力を持ち得るのでしょう。

そう考えると私にも、ジェレミーが「ホームズは、ワトスンにはない女性的直感をもっている」、「子供の感覚を生き生きとたもっている」と言うことの意味がわかった気がします。ワトスンは勇敢な元軍人で医者であるとともに、あたたかくて実際的な女性性を持ち、ホームズは卓越した頭脳の人であるとともに、直感的で魔術的な女性性を持つのではないでしょうか。ワトスンとホームズはここでも、互いに補完しあうものを持っている気がします。

それからまた連想は広がります。ジェレミーは自分は直感的である、と何度も言っていますし、息子のDavid Hugginsもジェレミーのことをそう言っていました(「直観(または直感)にしたがって」)。そしてジェレミーはJoan Wilson(二度目の奥様、ジョーン)についても、直感がとても鋭い、と言います(「ジェレミーの悲しみと、あたたかさ(5); 1991年のDesert Island Discsから(2)」。これはジェレミーの状況や気持ちをとてもよく理解してくれるということや、作品に対するテレビ・プロデューサーとしての感性のことも含めて言っていたのだと想像しています。また、どのインタビューだったでしょうか、自分がジョーンに電話をするといつもかからなくて、それはジョーンもその時自分に電話をかけているからだ、とジェレミーは言っていました。

敏腕プロデューサーのジョーンと俳優のジェレミーと探偵のホームズ、というまったく違うように思える三人に共通するものを、ジェレミーはその演技の中でみせてくれたようにも思えてきました。

この項、もう一回続けるかもしれません。

RM

追記:ここ数日で、ずいぶん以前のEdwardが亡くなった時の記事も含めて、いくつか拍手をいただきました。書いた頃のことを思い出していろいろと感じ、そして読んでくださったかたのお気持ちがうれしくなりました。もう読んでいらっしゃらないかもしれませんが、お礼を申し上げます。どうもありがとうございました。
このところ、ジェレミー自身が語った言葉を引用していなかったので、何か書きたくなりました。

以前の記事で、ホームズは子どもの感受性を持っている、とジェレミーが語っている言葉と、ホームズは女性の直感も持っている、と言っているインタビューをご紹介しました。

「遠くのくもの巣が朝露で光っているのを、子供がどうやってみつけるか、知ってますよね?うしろで蠅が飛んでいてもきこえるし、お母さんが二階で髪を洗っている音だってきこえる。2マイル先でお父さんの車がゆっくりとうちに向かっているのだって。犬が裏庭で何かをひっかいているのもきこえて、その時自分は何をしているかというと、ジグソーパズルをやっていたりするんですよね?ドイルはホームズにこういう子供の感受性を全部持たせているのです。」
子供の感受性(「Mystery!: A Celebration」から)

「ホームズは女性の直感も持っています。だからホームズは意識にのぼらないようなレベルで直感的に判断します。それはいつも正しくて、それでスコットランド・ヤードの先を行くのです。」
ホームズの複雑さ(2);1989年のインタビューから

こういう言葉を読むと、ジェレミー自身の感受性の豊かさと直感の鋭さを思います。ジェレミーは自分は becomer だといつも言っていますが、ホームズの中にジェレミー自身もまた生きていることは、誰もが感じることでしょう。文字であらわされたホームズにジェレミーが、血と肉をもった一人の人間としてのいのちを与えてくれたこと、そしてそのホームズはこんなにも複雑で深みのある人間であることをあらためて思います。

ホームズのこういう性質、子供の感受性と女性の直感を持っているという性質は、みている私たちの誰もがわかる形であからさまには示されてはいないのだと思います。いわば伏流水のように流れていくものだからこそ、私たちはジェレミーのホームズにこんなにもひかれるのではないでしょうか。

次回は、女性の直感と子供の感受性の両方にふれているところを含む、ほかのインタビューをご紹介しましょう。

RM
ジェレミーが演じるホームズの仕草が、ホームズ以外の作品でもみられるか調べてみよう、というわけで、The Prodigal Daughter (1975) を久しぶりにみました。これも音声をiPodに入れているので、音だけならそんなに久しぶりではないのですが。

みてあらためて思ったことは、役によって表情も仕草も体型(!)も、なんとまあ変わるのだろう、ということ。この作品からは以前こちらの記事で、スクリーン・キャプチャを載せたことがあります。
ジェレミーの笑い声と笑顔

カトリックの神父(Father Daley)の役です。このデイリー神父は誠実でまじめで、主任司祭にも教区の信者にも愛されていることがわかります。上の記事で載せた写真は、若いカップルに一生懸命助言しているところです。でもみている私たちは次第に、彼が聖職者としての道に迷いを持っていること、そしてそれがいくつかのできごとにより、強くなっていることに気づきます。

たとえば手の動きでいうと、気持ちや性質をよくあらわしていて、ほっそりとした華麗な指先という感じではなく(厳密に言うと一箇所、すごくきれいな動きで若者に「少し待っていて」という仕草をしますが)むしろあたたかくてがっしりとしていたり、ちょっと不器用だったり、という感じです。途方にくれて髪に手をやったり、背中を丸めて両手の指や手のひらを、ひざの上やひざの間であわせたりします。体型も、変な言い方をすると、普通なのです。ホームズにみる、あの背中の線の美しさは目につきませんし、頭の大きさも(これも変な言い方ですが)いつものジェレミーに比べて大きくみえます。顔や表情はもちろん素敵だけど、街を歩いていて皆がふりかえる、という感じではないのです。(神父がそれだと、ちょっと困りますよね。)

あらためて、わあ俳優ってすごいなあ、これだけ変わるのだなあと思うのと共に、このデイリー神父の中にもホームズの中にも、ジェレミー自身が入っているのだろう、と感じました。以前の記事でも書きましたが、一生懸命相談にのっている姿に特に、ジェレミーを感じます。

さて、前置きが長くなりました。この真面目で誠実で、ちょっと不器用で、悩める人である神父は、片手を自分の背中に少し回す仕草や、人差し指を口元にあてたり顔の近くまであげたりする仕草をするでしょうか?

私は腕を背中に回すシーンは覚えていなくて、人差し指をあげるところは覚えていたのですが、今回見直したら、両方ともしていました!

まず、礼拝堂から出て行く時に左手を、そして主任司祭をつれて戻ってくるところで右手を背中に回していました。でもそんなに目立たちません。このシーンは、みている人にはまだ彼の悩みがわかっていない時です。聖職者として迷いのない生活をおくっているようにみえています。それに対して、次第に彼の内面がわかってきて、彼の混迷もまた深くなっていく段階においては、この仕草はしていないように思います。

次に人差し指をあげる仕草ですが、私が覚えていたのは、教会を出ることを考えている、と主任司祭に打ち明けている場面で、「でも(他の人がどう思うかではなく)あなたはどう思うのですか?」と主任司祭に尋ねる場面です。ここで右指をあげます。それから今回気づいたのはそのあと元神父で教会を出た男をたずねるシーンで、飲み物( エールでしょうか)をグラスに注がれて、もう結構という印に左の人差し指をあげます。

したがって、ホームズ以外でもこの二つの仕草はみられますが、でもそのニュアンスは非常に違うように感じられます。

ここからは推測になりますが、この二つはジェレミーにとってホームズのかなり以前から、自然に出て来る仕草で、でも芝居の中では自覚的に使っていて、それぞれの場面や作品によって違う意味や印象が付け加えられているのではないでしょうか。私は最初にトビィさんからお尋ねがあった時、普段からこの仕草をしているのではなくて演技のスタイルだと思う、それはThe Prodigal Daughter のような作品ではみられないから、とお答えしたのですが、今は違う印象を持っています。これは一種の癖で普段からしていて、演技においてはそれを役柄や場面にあわせた形で使っていたのではないでしょうか。

最後に2枚、仕草の写真ではありませんが、表情をとらえたスクリーン・キャプチャを。2枚とも主任司祭の部屋で話しているのですが、1枚目はまだ悩みなき笑顔をみせているところ。でも実際はこの時すでに、彼の中に苦悩の種がまかれているのですが。2枚目は聖職者であることをやめようと思っている、と打ち明けているところです。1枚目の笑顔をみると、Marcus Tylorが撮った写真のうちで、一番好きで部屋にかざっている写真での笑顔を思います(「私の部屋の写真」)。この作品でのジェレミーの表情は、普段の表情と共通するところが多かったのではないか、と思います。こんなことを書くと、先ほど「顔や表情はもちろん素敵だけど、街を歩いていて皆がふりかえる、という感じではないのです」と書いたのと矛盾するようですが(だってジェレミーが歩いていたら、絶対ふりかえりますよね!)でも微笑んでいるところとか、うれしそうに笑っているところとか、考え深そうな表情とか、励ますような目とか、今回久しぶりにみて、やっぱり好きだなあと思いました。

ProdigalDaughter2.jpg
ProdigalDaughter3.jpg

RM

追記:この作品はDVDになっています。下のリンク先のDVDに言わばおまけとして入っています。
http://www.amazon.co.uk/dp/B000LXHJJQ
これはフォーラムのメンバー がごく最近、フォーラムへの投稿で教えてくれたことです (Thank you! ) 。とても面白いと思ったので、こちらでもご紹介します。

複数の映像作品のなかで、そして私服でうつっていると考えられる何枚かの写真で、ジェレミーが同じセーターをきている、しかも十数年にわたって、というのです。(ところで彼女はsweaterと書いていますが、日本では前あきのものはカーディガンと言うことが多いですね。ここで言っているのは前あきなので、これからはカーディガンと書きます。)私も何となく意識下で、このカーディガン、以前にみたのと似ているなあと思ったのは、先日「2つの表情の写真」でご紹介した、ArenaPALのサイトにあった2枚の写真をみた時です。ここではその内の1枚だけ、リンクをはります。
http://www.arenapal.com/imageflows/preview/t=arenapal&f=ARP1291440

彼女が指摘してくれた、映像作品でこれと同じと思われる服を着ているのは、

Thriller: One Deadly Owner (1974)
Haunted: The Ferryman (1974)
The Secret of Seagull Island (1979)
Seagull Island (1981)

ただし最後の二つは、後者はテレビのミニシリーズ、前者はそれを縮めたバージョンですから、撮影は一緒で1979年以前でしょう。

ここでは "Haunted: The Ferryman" の一場面を載せましょう。暗い顔をしているのは、不可解で衝撃的なことがあった後だからです。
TheFerryman3s.jpg

そしてこちらは、"Thriller: One Deadly Owner"の宣伝用写真です。宣伝用の服ではなく、作品中でもこのカーディガンを着ています。
Source: http://jeremybrett.info/tv_thriller.html
tv_thriller2.jpg

そして映像作品からではない普段の写真は、彼女が3枚、私が3枚みつけてきて計6枚あります(私があげた写真の内の2枚は同じ時に撮られたArenaPALの写真ですから、時と場所が違う写真という意味では5枚ということになります)。その中には上の"Haunted: The Ferryman (1974)" と同じ頃、またはその前かもしれないと思われるものから、"The Secret of Sherlock Holmes"の楽屋の外での写真まであります。この劇は1988年から1989年にかけてのものでした。 ですから、少なくとも14年は着ていたのですね。

このカーディガンには木でできたようなトグルがついています。そしてこのトグルは"Thriller: One Deadly Owner (1974)" の中で着ている服にも、1988-89年の楽屋の外での写真の服にもありますので、似ているカーディガンということでは説明がつかないと思います。

私が、彼女のこの発見を面白いなあと思った理由は三つあって、一つは、映像作品中で自分の服を着るということが、割とよくあったのだなあ、ということ。そう考えると、現代作品なら作品中の洋服が、ジェレミーがもともと着ていた服だった可能性があるのですね。ホームズではそういうわけにはいかなかったでしょうが。

二つ目は、ジェレミーが洋服を長く大切に着ていたのは素敵だなあということ。これはご存知の方も多いでしょうが、エドワード・ハードウィックが話してくれたエピソードを思い出させます。

「ジェレミーが好きな洋服で、よくみたのは、黒いカシミアのセーターと白いコットンのズボンでした。ある日私がスタジオについたとき、ジェレミーがタクシーから降りてきました。前にかがんで運転手に代金を払ったその時、洗濯を何回も繰り返して長く着ていたことがわかる、彼の白いコットンのズボンが、ウエストの部分の布が破れて地面に落ちたのです。ジェレミーはズボンと格闘しながらなんとか衣装部屋に入って行きましたが、その時のジェレミーのあの笑い声はリバプールまできこえていてもおかしくありません。ジェレミーを思い出す時はいつも、ジェレミーが笑っているのを思うでしょう。これ以上にジェレミーを賞賛する言葉を私は知りません。」(Bending the Willowより)

うふふ、ジェレミーの様子をありありと想像するのもよし、笑い声だけを思い浮かべるのもよし、です。

黒いセーターはよく覚えていて、ある時期のジェレミーでは、どの写真でも同じ服、と言っていいくらいですが、この白いカーディガンも多分長く大切に着ていたのですね。

そして三つ目は、あらためて映像をみなおした時の発見なのですが、このカーディガンと似ていて色が違うものを、"Hart to Hart: Death in the Slow Lane (1979)" や、"The Secret of Seagull Island (1979)" の中にみることができました。大きめの襟がついた丈が長めのカーディガンです。これも私服であるかどうかはわからないのですが、もしかしたらジェレミーはこういう形のカーディガンが好きだったのかもしれません。

こうして新しいことを知るのは大好きですし、その発見を通じて、アメリカに住む彼女と久しぶりにおはなしできたのが、とても幸せでした。ちなみに彼女は、以前こちらで書いたblooperも紹介してくれた人で、私にとって新しくて印象的なことを折々に教えてくれます。
グラナダシリーズのblooper(間違い、へま)その3

RM
3月11日が近づいています。昨年は13日の記事「ジェレミーとエドワード、それぞれの筆跡」の最後でほんの少し触れ、一昨年は震災の後にいくつかの記事を書きました。
ご無事を祈り、お見舞い申し上げます。
ウェブサイト "Jeremy Brett Information" のご紹介(8)Please Help Japan!
ジェレミーの悲しみと、あたたかさ (1)~(9)

今年は明日から留守にするため、3月11日を家を離れたところでむかえます。最初にそのことに気づいた時、複雑な気持ちでした。祈りの時とすべき日に人と会い、普段歩かない街を歩き、外で食事をする。

でも、数日前になって思いました。3月11日をどこでどのように過ごしても、私は一日中そのことを思っていることはできない。そのかわりに、どこでどのように過ごしても、こころの中で小さな花を左胸に一輪つけて過ごそう。

そう思ったということを、ここになら書いておきたい気がして、今日、記しました。

RM
ジェレミーが人差し指をたてる仕草、特に人差し指を唇にあてる仕草に注目してスクリーンキャプチャを撮っていたのですが、やっぱり左手が多いみたいですね。いや、でも、まだサンプル数が少ないのですが。そしてまだ調査対象(うふふ)が偏っていて、一枚以外は最初の二シリーズ(The Adventures of Sherlock Holmes)からなのですが。

ちなみに私は右利きなのですが、物を指すときは利き手の右手、静かに、の仕草は左右どちらでも、考える時に口元や頬に手をやるとしたら利き手の反対側の左手です。でもそれが一般的なのかわかりません。ジェレミーは左利き、そしてホームズは右利きだとジェレミーは考えていたようですが、さあジェレミーは、自分の普段の左利きのままで指を唇にあてていたのでしょうか、それとも右利きのホームズのつもりで演技していたのでしょうか。

そしてやっぱり、この仕草にこめられるニュアンスは、場面によって違う感じがします。

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「美しき自転車乗り」では、訪れた依頼人の様子をじっとみつめています。「まだらの紐」では依頼人の話の展開に興奮しつつ、自分には尋ねたいことがある、と注意をひくニュアンスも含まれているようです。「青い紅玉」は考えている感じ、でもそんなに深刻ではなく。「まがった男」、これはなんなんでしょう、笑ってしまいます。考えているのでも様子をみているのでも、「黙って!」でもなく、単におもしろがっているだけ、というところでしょうか。「赤髪連盟」、これは「黙って!笑っちゃ駄目」ですね。自分にも、ワトスンにも。

ここまで全部左手だったので、右手はないのかしら、と思っていたら、次の「ギリシャ語通訳」で右手が出てきました。これは話をききながら考えつつ、話しかけようとしているところです。この少し前には、ちゃんと唇に指をあてています。そしてこの後では、ワトスンにその右指で指示を出しています。次も「ギリシャ語通訳」、これは典型的な「しーっ!」の合図で、左指にもどりました。最後だけが第三、第四シリーズの「The Return of Sherlock Holmes」からで、右手で地図を指した後、その指を口元に。

というわけで、右手と左手の使い分けはわからずじまいでした。ただ、今のところ物や人を指すシーンと連続している場合はホームズの利き手側の右指で、それ以外は左指を使う、そして左指を使うのは、ホームズは右利きだと思っていたことを関係あるかもしれない、つまり利き手はいざと言う時のためにとっておいて、反対側の方を「静かに」や、沈思黙考のポーズには使うのかもしれない、と仮説をたててみました。

なーんて書いていますが、今日の収穫は、ホームズの顔をたくさん並べて楽しんだ、という、そのことですね!今日と先週末とで、気になっていたことが何とか終わって、ちょっとほっとしたところで、こんな結論のない記事で楽しみました。

RM
トビィさん、たまごさんに良き刺激を受けて、ジェレミーの仕草に注目してみたくなりました。先日、トビィさんのおっしゃったことがきっかけで、腕を自分の背中にまわす仕草について、「An Ideal Husband (1969) その1」や「あっ、これ、癖だったみたいですね!」のコメント欄でお話がはずみましたが、そのおかげで、いくつか課題(うふふ)があることがわかりました。

1. 元々の癖か、演技のスタイルか。
2. 演技のスタイルであれば、それはホームズを演じるにあたって作られたのか。
3. ホームズ以前からだとすれば、演じる役によってどのようにかわるか。
4. どのような場面で、どのようなニュアンスをともなって、その仕草がされるか。
5. 左右の別があるようならば、右と左の使い分けがあるか。

そしてこれらの疑問点は、他の仕草についてもあてはまると思います。

他の仕草、と書きましたが、腕を背中にまわす仕草の他にまず私が思い浮かべたのは、人差し指を唇にあてる、あるいは近づける、または顔の近くで人差し指をたてる仕草です。

たとえば以前の記事の「恋しくなって」でご紹介した大好きな写真は、顔の斜め下で左手の人差し指をたてていますね。好きなので、もう一度載せちゃいます。これはグラナダ版のための宣伝写真ですね。前回も書いたとおり、ネット上の元の写真から縮小して載せています。
Holmes221B_2.jpeg

他に、人差し指が特徴的で私が好きな写真に、"The Secret of Sherlock Holmes"のための写真があります。これは1年半くらい前に、多分はじめてネット上にあらわれたもので、まだ珍しいかもしれませんのでご紹介しましょう。元はeBayに出た写真のサンプル画像でした。こちらは1枚目と違って、人差し指を完全に唇にあてています。

Source: http://jbinfo.tumblr.com/post/7746049636

tumblr_loiby3glkn1qiyljno1_500.jpeg

これも左手の人差し指ですね。ジェレミーが左利きだからでしょうか。でも右手の時もあるんですよ。そして、"An Ideal Husband"でも"My Fair Lady"でも、人差し指を上げていました!

ただ、どういうニュアンスか、一言では言えなくて、場面によってすごくいろいろな意味を含んでいるように思えるのです。たとえば今回の二枚で言うと、2枚目はちょっといたずらっぽい目をしていますね。思ったとおりだ、推理は順調だ。そんな感じでしょうか。静かに、とか、秘密だ、という普通の意味ではないことが、ジェレミーのホームズの場合には多いと思っていますが、この写真ではどうお思いになりますか。ちょっと「秘密」も入っているかもしれませんね、劇のタイトルどおり。

1枚目の指を上に向ける仕草は、ホームズの中のまっすぐな感じをあらわしているように思えます。ホームズは複雑な人間だけど、その中にある純粋でまっすぐな部分。でも、指を顔から少しはなしたところで上に向けているからといって、いつもそういう印象というわけではないのですよね。この写真では、少し上の方をみているこの表情があるからだと思います。

というわけで、この仕草は場面によってものすごく意味が違ってくる気がします。"An Ideal Husband"と"My Fair Lady"の中ではどんな意味をもっているかも、また考えてみたいと思います。

さて、それでこれがジェレミーの元々の癖だったか。うーん、これは難問です。ものすごくジェレミーらしい仕草であることは間違いないですね。でも普段もしていたか。うーん、うーん...。

RM

 RM

Author: RM
コメントは承認後に公開されます。古い記事へのコメントも大歓迎です。2010年8月7日に始めました。
私の記事へのリンクはどうぞご自由になさって下さい。
和訳には間違いがあるかもしれません。最近は必ず英語原文を併記・またはアドレスを書いて読めるようにしていますので、どうぞそちらも参考になさってください。

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