Jeremy のことが知りたくて ~ ジェレミー・ブレット(Jeremy Brett)を愛するかたへ

英グラナダ・テレビでシャーロック・ホームズを演じた俳優の人生を言祝いで

今日はちょっと珍しい作品のスクリーン・ショットを載せたくなりました。"Young Dan'l Boone" というシリーズの第一回 "The Trail Blazer" にゲスト出演した時のものです。颯爽と馬に乗るジェレミーを楽しめます。この作品についての説明は、また今度にしますね。下のリンク先は、Wikipediaと、Jeremy Brett Informationです。

http://en.wikipedia.org/wiki/Young_Dan'l_Boone
http://jeremybrett.info/tv_boone.html

このブログでは「舞台 Draculaの頃のインタビュー(その2);新聞記事(1978)より」でこの作品の名前を出しました。1977年にイギリスを離れた、と別のインタビューで言っていましたから(「イギリスを離れた時のこと(その1);RADIO TIMESのインタビュー(1982年)より」)、この作品はアメリカでの第一作だったのかもしれません。

ジェレミーは騎手になりたかったけれども、身長が大きくなりすぎてあきらめた、と言っていましたし(「バレエ;1988年のインタビューから」)、子供の頃は競技会にも出たそうですし("Berkswell Miscellany, Volume V"より)、ホームズの撮影で馬がいると、まず一番に厩に行ったそうですから(「ウェブサイト "Jeremy Brett Information" のご紹介(7)ホームズ撮影舞台裏の写真」)、この作品の中で馬で野や林を駆けるのは楽しかっただろうなあと思います。

Young Danl Boone2
Young Danl Boone3
Young Danl Boone4
Young Danl Boone5

1枚目でも馬に乗っています。2枚目は、この後この馬で走り出します。4枚目、主人公を殺そうと狙いをつけているところです。ジェレミーは悪役で、最後は死んでしまいますが、でもやっぱり魅力的な「悪い奴」ですね!

これはビデオにもDVDにもなっていないので、YouTubeへのリンクを書きましょう。

これがpart I です。part Vまであります。
http://www.youtube.com/watch?v=eQZlcmJO-Dc

ご覧になるとわかりますが、映像は色がおかしいのです。それで上の画像では少し色を修正しています。

このシリーズは4つのエピソードが放映された後、視聴率が悪くて打ち切りになってしまいました。脚本にも無理があったようです。ですからDVDになるのはあまり期待できないという気がします。YouTubeにあるものは色がおかしく、きれいな映像とは言えないのですが、音声は悪くなくて、ジェレミーの声や口調も十分楽しめます。

お話としては傑作とは言えなくても、他ではみられないような役を演じるジェレミーを楽しむ、そして馬に乗って幸せそうなジェレミーを見て幸せになれるという点で、ファンにはうれしい作品だと思います。

RM
無事に見つかりました、日本のことにふれているインタビュー記事。いえ、ほんの一言なんですけど、でも読んでいてJapanと出てくると、どきっとします。こちらです。

Beaver County Times - Nov 13, 1991
Jeremy Brett reprises his role as Sherlock Holmes
http://news.google.com/newspapers?id=D7UiAAAAIBAJ&&pg=1217,2695166

1991年11月ですから、プロモーショナル・ツアーに行った時のアメリカでのインタビューですね。掲載された新聞もアメリカのPennsylvaniaの新聞のようです。

最後の方です。


「ホームズを演じるのはとても大変ですが、そのおかげですばらしい経験をしていて、とてもありがたく思っています。買い物に行くと、まわりの人が立ち止まって話しかけてくれます。一生懸命やった仕事が認められずに終わってしまったのではない、と感じるのは幸せなことです。」

微笑みながら言った。「信じられません。フランスでは今また放送されていて、フランスからの観光客がロンドンにあふれているので、取り囲まれて動けません。うれしい気持ちで、言葉では言い尽くせないほどです。

「日本からもひっきりなしにやってきて、西ドイツでも好評です。今は80の国で放映されています。休暇にはアイスランドへ行きました。」



こんなふうに言っています。喜んでいる感じ、楽しんでいる感じが伝わってきて、うれしくなります。「一生懸命やった仕事が認められずに終わってしまったのではない、と感じるのは幸せなことです」というところを読むと、努力したけれども認められない時期を何度も乗り越えたてきたのだろう、とあらためて感じます。そして今、素直に純粋に喜んでいるのだろう、と思います。

ひとの好意にすごく感激したり、後先をあまり考えずにぱっと思いついたりする、いわば子供のように無邪気なところと、考えが深くて、人のこころの内を感じることができる賢いところと、ジェレミーはその両方を持っているところが好きです。

日本のことに戻りますと、日本から人がたくさん行ったのは、おもに「The Secret of Sherlock Holmes」の時だろうと想像します。その後もファンレターがたくさん届いたのでしょうね。もう一つご紹介する予定のインタビューは、日本からのファンレターについてです。

今日のインタビュー記事にはその他にも興味深いところがあります。たとえば、ドイルのファンで、パイプも吸うお兄様が、ジェレミーが元々はパイプを吸わないことは見たらすぐにわかる、と言ったそうです。私たちにはもちろんわかりませんが、どこか違うのでしょう。他のインタビューでは、ジェレミーがホームズを演じると決まった時、「全然似ていないのに!」とホームズファンのお兄様に驚かれたと言っていました。ジェレミーを子供の頃から知るお兄様、ホームズファンのお兄様からみたら、この組み合わせは信じられなかったのでしょうね。そして、大好きなホームズを自分の弟が演じることに、最初はもしかしたら、ちょっと嫉妬していたのかもしれません(うふふ)。(追記:「嫉妬」なんて強すぎる言葉ですね、うらやましいなあ "I envy you!" くらいの感じです、)実際に映像をみたら、納得なさったでしょうが。これが3人のうちのどのお兄様のことだったか、今度注意してインタビューを読んでおきましょう。ジェレミーの追悼式で司式をなさったお兄様だったかもしれない、と思います。

それから、ホームズの歩き方その他にも触れています。抄訳します。挿絵にあるような先のとがった靴で、ホームズの歩き方がわかった時に、役への入り方をみつけた。それから手の動き。ただ、ホームズの中の静けさの感じがまだつかめない。ホームズが話し続けている中で、どうやって不動の静けさを持つことができるのだろう。ホームズを演じるのはわくわくするような経験で、彼に次にどこに連れていかれるのか、全くわからない。

こんなふうに、このインタビューを読むと、ホームズを演じる喜びが伝わってきます。歩き方については、「ホームズの歩き方;1995年のインタビューより」でご紹介したインタビューでも言っていました。歩き方も手の動きも、役をつかむための大切な要素なのですね。ジェレミーのホームズの仕草、たとえば指を口元に近づける仕草や、時に少しスキップするような歩き方、片腕(まれに両腕)を後ろにまわす様子などを、あらめて思い出します。

RM
前回、1985年の作品 "Deceptions" が中国では放映されたことがある、ということを書いたのですが、そう言えばこの作品に、ここでは触れたことがなかったですね。これは現代を舞台にしているという点で、ジェレミーの出演作品としては珍しいと言えるでしょう。日本ではこの作品についてはあまり知られていないと思いますが、アメリカのテレビ局NBC製作のミニシリーズなので、アメリカの新聞でのインタビュー記事は結構みつかります。アメリカPBSでグラナダシリーズの放映がはじまっていたので、ジェレミーに注目が集まっていたということもあるかもしれません。

DVDは私が知っている限りでは、なぜかアメリカで発売されたことがなく、イギリスにもないかわりに、ドイツからの輸入版が英米アマゾンで販売されています。
http://www.amazon.co.uk/dp/B004IIB838
http://www.amazon.com/dp/B004GE89B8

私はデンマーク版を持っていますので、このドイツ版の映像の質がどうかなどについてはわからないのですが、レビューを見る限り問題なさそうです。(実は私のは北欧の版だったいうことしか覚えていません。英アマゾンのレビューに、自分はドイツ輸入版ではなくデンマーク版を持っている、という人がいますので、多分私のもデンマークだと思いますが、確認はしていません。)

約3時間の作品で、私からみたら、この話の筋では途中が(ジェレミーが出ていないところが!)ちょっと長過ぎるのではないかと思ってしまいますが、アマゾンのレビューではこの作品は全般的に好評のようです。私は例によって、ジェレミーが出ていなくて話も退屈なところはまじめに見ていないので、批評をする資格はないですね!

双子の女性の片方は華やかな暮らしをしている美術商で、ジェレミー(役名はBryan)はその片腕、もう片方は日々の暮らしに疲れぎみの、教師の妻。この二人が久しぶりにイタリアで会うのがこの場面で、ジェレミー演じるブライアンが二人にシャンペンをすすめています。スクリーンショットの一部を載せています。
Deceptions1.jpg

こちらはその後、二人の誕生日を祝って仮面舞踏会が開かれた、その時のブライアンです。このあたりから、彼の裏側がみえはじめてきます。これは宣伝用スチルの一部を切り取ったものですが、どこからいただいたか忘れてしまいました。Jeremy Brett Informationの前身のJeremy Brett Archiveのような気がします。元の画像の色を少し修正しています。(追記:LiveJournalからでした。コメント欄を参照してください。)
Deceptions4.jpg

ハンサムな、画商のアシスタントの顔の1枚目と、得体の知れなさと危なさを感じさせ始めた頃の2枚目。この眼差しの強さ、表情はホームズとはまた違って、でもやっぱり見惚れてしまいます。

また機会があったら、この作品のことを話しているインタビュー記事などをご紹介しましょう。

次回は、日本のことにふれたインタビューについて...に予定どおり、ちゃんとなるでしょうか?

RM
トビィさんとお話していて、日本にも世界にもジェレミーのことをたった今話している人がいるんですね、と書いた後、ジェレミーはびっくりしているかしら、アジアの国の一つである日本に、ジェレミーとグラナダシリーズのファンが今でもたくさんいることを、と考えていました。いえ、当時たくさんの日本人がロンドンに行って劇をみたと聞いているし、手紙もたくさん届いたでしょうし、NHKでの放映は各国にくらべてとてもはやかったので、ジェレミーも日本は特別にファンが多い国だと知っていただろうなあ、インタビューでも何回か日本のことを口にしているし、とつらつらと考えているうちに、そういうインタビューを引用してみようと思いつきました。

こんなふうに、お話しているうちに書きたいことができるのは、すごくうれしいことです。ここを読んでくださる方も、時々おしゃべりに来てくださると幸せです。

さて、いくつか日本のことにふれたインタビューを思いつくのですが、全部記事が見つかってから書こうとすると、一つ見つけると最初の一つがどの記事中にあったかを忘れる、という状態ですので、とにかく今回は新しく二つと、以前ご紹介した一つの、あわせて三つを引用しましょう。(ええと、新しい二つが、今からさがしてちゃんとみつかったら、です。)

以前に紹介した記事はこちらです。
「息子の涙が彼を救った」;病気について話している記事から

ジェレミーの言葉としてではなく、地の文になっています。

ジェレミーはかつてJoanがいた場所を、もう誰も占めることはないだろうと言う。そのかわりに彼は次のチャレンジを楽しみにしている。シャーロック・ホームズの上演でイギリス中をまわり、そのあと日本と中国に行くことを。

これは多分、計画というよりはこの時点での希望だったのだと思います。でもやはり日本と中国に、と言ってくれたことがうれしいですね。

中国もまた、ジェレミーやグラナダのファンがとてもたくさんいるようで、英語圏のジェレミーのファン・フォーラムで二人知っていますし、ここに一度来てくださったデイビッドのファンのかたが一人いらっしゃいました。その関係で中国のファン・フォーラムなどをのぞくことがありますが、ずいぶん多くの人が集まっています。人口がそもそも違いますが、それでも驚きです。ジェレミーが亡くなった時の中国の新聞記事も、そこでみました。

中国では私が思っていた以上に、欧米のテレビ番組を放映しているようです。たとえば、フォーラムのメンバーが教えてくれたのですが、ジェレミーが1985年に出演した "Deceptions" も、レストレードを演じたColin Jeavonsがイギリス版での声優をつとめて歌も歌ったアニメーションフィルム "Barnaby The Bear"(「Colin Jeavonsのこと(2)」参照)も、中国のテレビで放映されたそうです!多分どちらも日本では放映されていないでしょう。

そしておもしろいことに、"Barnaby The Bear" は中国では "小熊杰里米" となっていて、これは "Jeremy The Bear" という意味だそうです。以前の記事で書いたように、この熊はカナダ版ではJeremyとなっていたのですが、中国でもジェレミーだったのですね!そして「ジェレミー」の中国語表記は「杰里米」なのですね。

今のところ、英語圏のフォーラムで日本人に会ったことは、私はありません。中国からは上で触れた二人以外に、自己紹介の時だけお話した一人、私が以前のフォーラムに参加したころにはもう投稿していなかったけれども、以前のフォーラムのある時期の常連さんの二人、の計5人を知っています。私はほんとうにお粗末な英語で参加していて恥ずかしい限りで、どなたかをお誘いするのもさらにお恥ずかしいのですが、でも、いつか日本のかたにもフォーラムでお会いできたらうれしいです。

思いがけず長くなりましたので、新しく紹介するつもりだった記事については、次回にまわします。さあ、ちゃんとみつかるでしょうか?

RM
今日はさっきから、あれを書こうか、この画像を載せようか、といたずらに自分のコンピュータとネット上をさまよっていました。また真面目になってしまいました!すぐにこうして、まとまった記事を書きたくなります。で、今日はとりとめもなく、思い浮かんだことから書き始めましょう。

以前のフォーラムにいたころ、多分インタビュー記事を紹介した時だったと思うのですが、こんなふうに書いたことがありました。ジェレミーは人をひきつける魅力と実力と美しさを持っていて、なおそれであんなふうに、ある意味では飾り気がまったくなく、そして謙虚でいられるのはどうしてかしらといつも思うのです、と。

二人の人が、それぞれに書いてくれました。一人は、ジェレミーは賢い人だから、と言いました。いま、その時の投稿を見ながら書いているわけではありませんが、多分彼女がその後言ったのは、愚かな人だけが自分をよくみせようとしたり、気取ったふるまいをする、ということだったと思います。

もう一人の人は、そういう育ち方をしたのだと思う、特にお母さまの性格や育て方のためではないか、と書いてくれました。この人はお孫さんもいる女性です。

私はこの二人の、それぞれ違う視点から書いてくれた意見をとても興味深く感じました。そんなことを今日思い出していたら、この言葉をご紹介したくなりました。Michael Coxの言葉で、The Ritual の1995年秋号のジェレミー追悼の文章からです。


ジェレミーと撮影スタッフの関係には魅了された。彼は天性のリーダーの資質を持っていて、スタッフはそんなジェレミーを敬愛していた。ジェレミーはというと、彼らの仕事の腕前を熱烈に賞賛していた。(略)彼はスターだったが、スター気取りの振る舞いはまったくなかった。スタッフはジェレミーのためなら何でもした。それは自分の空き時間に、撮影に使う小物をさがすことであったり、ジェレミーの誕生日にとてつもないパーティを開くことであったりした。

はじめは、ジェレミーはホームズに対して、相反する感情を抱いていた。自分が演じているこの役が好きではない、とよく言っていた。ホームズは冷たくて暗い、と。実際ジェレミー自身はというと、あたたかくて、人のなかが大好きで、人の成功を自分の成功以上に誇りに思いよろこぶという性格だった。

His relationship with the crew was a fascinating one - he was a natural company leader and they respected him for that. He in his turn, admired their skills extravagantly. [...] Although he was a star, he never behaved like one. The crew would do anything for him, whether it was to search for a particular prop in their own spare time, or give him an outrageous party on his birthday.

In the beginning, Jeremy's attitude to Holmes was ambivalent. He often said that he did not like the character he was playing, that Holmes was cold and dark, and it is certainly true that Jeremy was a warm, outgoing person who took more pride in the success of others than in his own.



リーダーとしての資質や、この引用部分の前に書かれているプロフェッショナリズムという点に関しては、ジェレミーの賢さを感じます。でも、もちろん賢さだけではひとがついてくるはずがなくて、あのあたたかさがあったから、プロデューサーが "fascinating" と形容するような気持ちの通い合いが、撮影スタッフとの間に生まれたのでしょう。お母様についてジェレミーが、"Everybody came to my mother. She was like a light of great warmth.(誰もが母のところに来ました。母はとてもあたたかい、ひかりのようなひとでした。)" (The Armchair Detective, 1985) と言っていたことを思い出します。

この小冊子の中ではJeremy Paulも、ジェレミーには虚飾というものがまったくなかった、と言っていました。そして友人達の子供のことを気にかけて、いつも手をさしのべていた、と。

やはりジェレミーは、賢くてあたたかい人だったなあ、と思います。もちろんジェレミーに欠点がまったくなかったわけではないでしょう。過剰にまつりあげるのも滑稽です。ただ、2年前の記事に書いた気持ちと、今もまったくかわりません。ジェレミーは多くの人を愛し多くの人に愛され、人生における幸せな時も悲しみの時も十分に生きた人だと思っています。

RM

追記:The Ritualの1995年秋号からは以前、こちらでも引用しました。はじめの二つはDavid Burkeの文章、3つ目はEdward Hardwickeの言葉を紹介しています。
Colin Jeavonsのこと(4)
コメントのご紹介、そしてジェレミーがひとの名前をすぐに覚えること
The Secret of Sherlock Holmesの全幕の音声と、Edwardの言葉
ジェレミーの、腕を背中にまわす仕草、映画 "Girl in the Headlines" の最後の方にあったことを思い出しました。これは調べてみたら1963年、29歳なんですね。もしかしたら撮影はそれより少し前かもしれません。でもとにかく、もっと若くみえます。そしてこの頃からこの仕草があったということを、あらためて確認しました。このシーンです。でもホームズの時とはずいぶん印象が違います。時をへだてて同じ仕草でそれぞれの人物になりきる、というのもおもしろいですね。

GirlInTheHeadlines1s.jpg

実はジェレミーが出ないところはちゃんと観ていなかったりするのですが、ミステリーで探偵ものです。ジェレミー扮する Jordan Barkerは、殺されたモデルのボーイフレンド(の一人)で、テムズ川で船を操っています。

あらすじに関して参考になるのはこちらです。
http://www.britmovie.co.uk/films/Girl-in-the-Headlines_1963/

りえさんが紹介してくださった時の記事はこちらで、スクリーン・キャプチャも3枚あります。美しいですね!
DVD「Girl in the Headlines」

これはキャビンから顔を出したところで、この後りえさんの記事の写真に続きます。
GirlInTheHeadlines2s.jpg

違うシーンからも一枚。
GirlInTheHeadlines3s.jpg


それから、以前みたときも似ているなあと思っていたのですが、確認したらやはり、「ノーウッドの建築士」で家政婦のレキシントン夫人を演じた女優が出演していました。ジェレミーと一緒のシーンはありませんでしたが。彼女はRosalie Crutchleyといって、印象的な鋭く暗い目をした女優として、多くの作品に出演していたようです。

この作品が、あるフォーラムで話題になった時に(私は参加していない場所です)、殺された恋人の名前Ursulaを口にする時に、ジェレミーにはまだ言語障害の名残がある、という投稿がありました(どのページか、今はみつからなくて引用できません)。

ジェレミーは舌癒着症で、子供の頃はRとSがうまく発音できなかったと言っています(「俳優であることの重圧;インタビュー記事 When the lights went out (1990) より」)。17歳で手術を受けた後に一から発音を学びなおしたそうですが、この頃もまだ影響が残っていたのですね。The Typewriter (1962) をみた人も、同じように指摘していました。(「The Typewriter (1962) の概要」)すでに俳優としての経験を重ねていますから、多分普通には気づかれないくらいだったのでしょう。彼女たちはジェレミーの言語障害を知っていたから、それを感じたのだろうと思います。でも、手術後10年以上の長い時間をかけて、ジェレミーが障害の克服のために努力してきたことを、あらためて感じます。

この作品はDVDになっています。英国アマゾン、そして今現在は日本のアマゾンからも購入できます。
http://www.amazon.co.uk/dp/B000PY5268
http://www.amazon.co.jp/dp/B000PY5268

RM
先日、引用しようとしていた記事が見つからなかったのに懲りて、エドワード関連の記載があるサイトのアドレスを書いておきます。はじめの二つは前に一度みたことがあったのですが、忘れていました。サイトの説明はあまり詳しくはしませんが、あしからずお許しください。


Britmovieのフォーラムのエドワード関連スレッドはこちら(The Sherlock Holmes Gazetteのインタビュー記事もあります)。
http://www.britmovie.co.uk/forums/actors-actresses/106682-edward-hardwicke.html
http://www.britmovie.co.uk/forums/obituaries/108675-edward-hardwicke-r-i-p.html


次は"Colditz" (1972-74) を紹介しているブログの記事です。"Colditz" はおそらく、エドワードが出演したテレビ番組としては、シャーロック・ホームズと並ぶ代表作品だと思います。DVDになっていますが、YouTubeにも今現在あります。第一シーズンのみの出演ですが、非常に重要な役です。長いお話の全体像をつかむのに、このブログのスクリーン・キャプチャと人物紹介が役に立ちました。ただし独自の視点で書かれているところがあります。(筆者はこれを題材に、いわゆるslash fictionを書こうとしているので、その視点を含みます。)
http://kindkit.dreamwidth.org/184151.html
http://kindkit.dreamwidth.org/184436.html
http://kindkit.dreamwidth.org/184828.html
http://kindkit.dreamwidth.org/185010.html


最後はフランスのサイトで、Peter O'Tooleとの写真をここではじめてみました。(今調べたら、eBayにwatermarkつきの同じ写真が出ていました。それによると、1968年のコメディ "Present Laughter" の広告用写真だそうです。)上記 Britmovie のフォーラムにあるThe Sherlock Holmes Journal, Vol. 30 No. 2のMichael Coxの追悼文、およびThe Guardianの追悼文によれば、二人はBristol Old Vicの時代にフラットをシェアしていたそうです。ジェレミーもRobert StephensとManchesterでフラットをシェアしていたことを考えると、当時、若い俳優の卵たちは貧乏しながら、励まし合いながら、夢を語りながら、ともに舞台に立っていたのだろうなあ、と思います。(下のアドレスのサイトにあるのは、Bristol Old Vic以後、約10年後の写真です。)
http://www.cinereves.com/acteurs/acteurs/1855-edward-hardwicke

RM

追記:Colditzの情報と画像があるブログを追加します。
http://kooltvblog.blogspot.jp/2010/10/great-escapes-long-awaited-return-of.html
http://colditzthetvseries.wordpress.com/characters/

2011年に書かれた追悼記事を追加します。
http://www.criminalelement.com/blogs/2011/05/a-lovely-dr-watson-edward-hardwicke-in-memoriam
英国の多くの新聞のウェブサイトに書かれた追悼記事は、以前にアドレスをご紹介しました。
カナダ人の俳優・劇作家・小説家のCharles Dennis (http://en.wikipedia.org/wiki/Charles_Dennis) という人が、自身のサイトに2011年5月23日の日付で書いている、Edward Hardwicke (エドワード・ハードウィック)を偲ぶ文章を最近みつけました。エドワードが亡くなったのが16日ですから、1週間後になります。「テッド・ハードウィックは先週『ツアー公演』に出た。(親しい友人の俳優が生涯の最後に舞台から去る時、私はこう表現する。)」という文章で始まります。

http://www.charlesdennis.com/www.charlesdennis.com/Paid_to_Dream/Entries/2011/5/23_edward_hardwicke.html

若い頃からエドワードを知っていた人の、こころのこもった文章です。1967年カナダでのThe National Theatreの公演で、大学生のチャールズ・デニスは、当時35歳のエドワードが喜劇を演じるのをみました。40年以上たった今でさえ、彼がみた内で一番おかしな、抱腹絶倒の演技だったそうです。モントリオールからトロントに公演がうつったときに、インタビューのためにエドワードの楽屋をたずねます。そこでエドワードからきいた、子供の頃の話がその後に書かれています。一つご紹介すると、お父様のセドリック・ハードウィックが出演した映画 "Stanley and Livingstone" を一緒に見に行って、セドリックが演じた Livingstone が映画の中で死んだのをみて大泣きしたエドワードを、セドリックは必死で慰めたそうです。自分はちゃんと生きていて、あれは演技なんだ、と。1939年の映画ですから、エドワードは7歳頃ですね。

さて、楽屋で1時間話してすっかり仲良くなって、エドワードは彼に、大学を卒業したらイギリスに来ないか、と言いました。イギリスには知り合いが一人もいないから、と彼が答えると、エドワードはあたたかい笑みをうかべなら、「僕がいるじゃないか」と答えたそうです。

これはまさに、ジェレミーとそっくりの、楽観的で前向きなあたたかさです!ジェレミーもカナダでの公演(この公演とは別のものです)で出会ったカナダの若い俳優をイギリスに誘っています。イギリスで成功したその俳優の自伝にかなりくわしく書かれているので、いつかご紹介したいと思っています。チャールズ・デニスもイギリスへ渡り、エドワードにも助けてもらって、仕事を得ることができました。

1988年には "Going On" という喜劇をチャールズが書いて、その舞台監督をエドワードに頼んでいます。この時エドワードはジェレミーと一緒に舞台に出ていましたが、この話にとても興味を示してくれました。1989年に、エドワードが演出してチャールズが俳優の一人として出演した舞台が上演されました。エドワードと一緒に仕事をするのはとても楽しかった、喜劇と劇演出に関して、エドワードが知らないことは何一つなかった、と書いています。

そして、「テッドがこの世を去ったことは私にとって、ご家族にとって、そして世界中の彼のファンにとって、大きな喪失である。」と結んでいます。

ここでご紹介した他にも、いくつかの興味深いエピソードが書かれています。また1989年の写真も一枚あります。

数十年エドワードを知っていた人が、エドワードのことを語る文章はほとんど読んだことがありませんでしたので、このようなこころのこもった文章を読むことができて、うれしく思いました。そして、エドワードはやっぱり喜劇が大好きで、舞台でも見事な喜劇を演じたり、演出をしたこと、純粋なこころを持っていて、お父様にもとても愛されて、そしてジェレミーとそっくりのあたかさを持っていたことなど、あらためて知ることができて、もちろんこの文章は悲しみの中で書かれたものではありますが、読んでこころがあたたかくなりました。

RM
ナツミさんのブログに行ったら大変なことになっていて(うふふ、昨年も楽しかったけど、今年もです)、それで私も4月1日という今日のために、何か書きたくなりました。1995年11月29日のジェレミー追悼の式でDavid Burke(デイビッド・バーク)が話してくれたエピソードで、David Stuart Davies著 Bending the Willowからの引用です。


デイビッド・バークは、ジェレミーが茶目っ気のあるユーモアの持ち主だったことを、「最後の事件」のモリアーティ教授の配役に関するエピソードで披露してくれた。

ジェレミーがスタジオの私の控え室に来て、「モリアーティ教授を誰が演じることになったか、絶対あてられっこないよ」と言うので、何人か名前をあげたのですが、ジェレミーは違うと言うのです。
「言ったって君は信じないね」
「まあ、ためしてみたら」
「Joan Plowrightだ(ローレンス・オリビエの妻ジョーン・プローライト、ジェレミーとの共演多数)」
「ちょっと待てよ、ジェレミー、冗談だろう」
「いや、ジョーンの弟がグラナダ・テレビの重役なのは知っているだろう。ローレンス・オリビエにモリアーティを演じてくれないかとたずねたのだけど、残念なことにオリビエは忙しくて出られないというので、ジョーンに頼んだら、ジョーンが体重を3ストーン(約19キロ)落としてモリアーティを演じることになった」
「まあ、可能ではあるね」
「そうだとも」ジェレミーは勢いこんで言いました。「まったく可能だよ。彼女なら3ストーン落とせる」
「そういう意味で言ったわけじゃないんだけど」
それから少し考えて、言いました。
「まあそうだね、19世紀のフランスではハムレットを演じた女優がいたし、Vanessa Redgraveはいくつか男役を演じたからね」
ジョーン・プローライトがモリアーティを演じることを、なんとか受け入れようとしていたのですが、その時ジェレミーが言いました。
「今日が何日か知っている、デイビッド?」
「いや」
「今日は4月1日だよ。4月1日はエイプリルフールだ」
ジェレミーがいたずらっぽく笑ったので、その頭をたたいてやりました。

David Burke illustrated Jeremy's wicked sense of humour in this story about the casting of Professor Moriarty in 'The Final Problem':

'He came into my dressing room and said, "You'll never guess who's going to play Professor Moriarty". I tried several guesses, but Jeremy shook his head. "You won't believe it," he said.
'"Well, try me."
'"Joan Plowright."
'"Come on Jeremy," I said, "you're joking."
'"No. You know her brother is Managing Director of Granada Television. We asked [Sir Laurence] Olivier if he would play Moriarty. Unfortunately he's too busy, but they've asked Joanie [Olivier's wife] and she's going to lose three stone—and she's going to play it."
"Well, I suppose it's possible."
'"Oh, yes," cried Jeremy, "it's perfectly possible: she can lose three stone."
'"I didn't quite mean that."
'Then I got to thinking and I said, "Well, there was that French actress in the nineteenth century who played Hamlet, and Vanessa Redgrave has played male parts."
'I was really trying to come to terms with the idea of Joan Plowright as Moriarty when Jeremy asked, "Do you know what the date is today, David?"
'"No."
'"It's April the first. April the first is April Fools' Day," he grinned wickedly, and then I hit him over the head.'



ね、楽しいでしょう。ジェレミーを偲ぶ場で、デイビッドがこういう楽しい話を披露してくださって、本当によかったです。ジェレミーも喜んだことでしょう。

いたずら好きな二人ですから、こういうおかしなことがいっぱいあったのでしょうね。

このエピソードは以前、ナツミさんのブログのコメント欄でもお話しました。
マイクロフトについて(2)シャーロックとマイクロフト

この時にはじめて知ったのですが、ローレンス・オリビエはモリアーティを演じたことがあったのですね。そのことがジェレミーとデイビッドの頭にはあったのかもしれません。

RM

 RM

Author: RM
コメントは承認後に公開されます。古い記事へのコメントも大歓迎です。2010年8月7日に始めました。
私の記事へのリンクはどうぞご自由になさって下さい。
和訳には間違いがあるかもしれません。最近は必ず英語原文を併記・またはアドレスを書いて読めるようにしていますので、どうぞそちらも参考になさってください。

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