Jeremy のことが知りたくて ~ ジェレミー・ブレット(Jeremy Brett)を愛するかたへ

英グラナダ・テレビでシャーロック・ホームズを演じた俳優の人生を言祝いで

ベーカー街の写真、もう少し載せたくなりました!そして前回ふれた、プロデューサーが一番好きなベーカー街の写真も2枚目にご紹介しますね。

Source: http://tinysherrys.tumblr.com/post/40246038319
http://jeremybrett.info/Holmes_Bw/images/JBasHolmes_bw%20(48).jpg
BakerStreet_2.jpg

この写真は、前回の2枚目の白黒写真の少し後でしょうか?ホームズのすぐ後ろを通っている女性が、今までの2枚には写っていませんでしたから。残りの人たちは、どちらの写真が先でも後でも、説明はつく感じですが。

こういう、視線を少し上へ向けている時のホームズも好きです。そしてワトスンは手袋をちゃんとはめています。やっぱりこの写真は、前回の手袋ごそごその写真の後でしょうね。

これはホームズとワトスンが真ん中でなくて少し端にいて、画面の真ん中には通りの地面が広がっている、という点でちょっと異色の写真と言えるかもしれませんが、その分、印象的です。以前はジェレミーがクローズアップの写真を一番喜んでいました。でも今は、いろいろな写真の良さがわかるようになりました。この一連のベーカー街の写真は、クローズアップではない、全体をとった写真の素晴らしさを示す典型だと思います。

さて、それではプロデューサーのMichael Coxが好きなベーカー街の写真です。それは、グラナダシリーズの音楽を集めたLPのジャケットに使われた写真です。最近eBayにこのLPが出品されて、比較的大きな写真がつけられていたので、このことを思い出していただいてきました。クリックで大きくなります。

SherlockHolmesCoverPictureLP.jpg

どうでしょう、ホームズとワトスンがいた時の写真より、もう少しのんびりした感じに私には思えます。新聞売りも、イレギュラーズのような少年達もいません。これもいい写真ですね。でも、グラナダシリーズの生みの親であるMichael Coxがこの写真に思い入れがあるのは、思いがけない理由なのです。A Study in Celluloidからです。


私たちのベーカー街の写真で一番すきなのは、シリーズのためのPatrick Gowersの音楽を集めたTER(レコードレーベルの名前)のLPアルバムで、ジャケット写真として使われたものである。(中略)219番地の本屋の外側の角をよくよくみると、ブルージーンズと赤いセーターを着た、20世紀を体現している録音担当者が、テープレコーダーを前にヘッドフォンをつけていて、マイクロフォンが店のウィンドウにたてかけてあるのがみえるはずだ。おそらく35mmのスライドの1セットの中から選ばれたのだろうが、誰もPhil Smithに気がつかなかったのだ。彼は多くのエピソードで録音責任者をつとめた技術者で、あの時録音のために静かにあそこで待っていた。悲しいことに、CDのカバーでは写真の端が切り取られて、Philは消えてしまった。

My favourite picture of our Baker Street is the one which appears on the cover of the TER LP record album of Patrick Gowers' music for the series. […] If you look closely at the corner outside number 219, where the bookseller is located, you will see a thoroughly twentieth-century sound recordist in blue jeans and a red sweater with his tape recorder in front of him, earphones on his head and his microphone leaning up against the shop window. Presumably the picture was chosen from a series of 35mm transparencies and no one noticed Phil Smith, who was responsible for the sound in so many of the films, quietly waiting to get on with his work. Sadly, the cover picture of the CD of this music is cropped so that Phil has disappeared.


SherlockHolmesCoverPictureLP2.jpg


名前も私たちは聞いたこともない、一般には特に賞賛されることもない、録音の技術者です。毎回の番組のオープニングは馬車の馬の走る音、通りの物音から始まりますが、あの時の音を録るために準備していたのでしょう。その彼が、ホームズの時代のベーカー街の遠景を写した中に現在の姿で紛れ込んでいる。そのことがプロデューサーにとっては、とても面白くて思い出深い偶然だったということが想像できる気がします。CDのカバーからなくなってしまったのが残念、という気持ちも。一緒に作品を作り上げたスタッフですもの、特に番組立ち上げの時のたくさんの記憶がよみがえってくるのでしょう。

そして私がこの画像が好きなのは、スタッフの仕事への意気込み、プロデューサーの仲間への信頼の気持ちのお裾分けをいただけるからです。

ジェレミーもこのカバー写真を見て、録音責任者の姿に気がついたでしょうか?ネットで調べたらこのLPは1987年に発売されたと書かれていました。(http://www.discogs.com/Patrick-Gowers-Sherlock-Holmes/release/2589713)当時の撮影現場で楽しい話題になっていたことを想像します。ジェレミーが、おもてには出ない技術者やスタッフ、たとえば照明や録音、ロケ地選びの人たちの努力や優れた技術や良い成果にすぐに気づいて賞賛したことは、Michael Coxが書いていましたし、ジェレミーと話すとスタッフの名前が次々に出てくると、David Stuart Daviesが記していました。今は引用できませんが、いつかまた記事にしましょう。そんなジェレミーですから、マイケル同様この写真を面白がって喜んで、思いがけずLPのジャケットという表舞台に出たPhilを祝福したのではないかしら。想像できる気がします。

最後の一枚は、LPの写真と見くらべるためのCDの写真です。Amazonからいただきました。
Source: http://www.amazon.co.jp/dp/B000I0S9IW
SherlockHolmesCoverPictureCD.png

向かって左の建物が写真に入ったかわりに、右の一部が削られていますね。

RM

追記:上記CDの日本版は、アマゾンでは現在は中古品しかありません。このCDの輸入版は下記のものです。ただし中の解説は英語のはずです。
http://www.amazon.co.jp/dp/B00003WGNM
写真無しの記事が続くと、写真を載せたくなるという私の癖(悪癖?!)をご存知のかたは、そろそろかなと思っていらしたかもしれません。はい、今回は写真の話です。

同じ時に撮られて、ポーズや表情が少しずつ違う写真を見るのが好きだ、というお話を以前に何回かしました。ものすごくたくさんの写真を一度に撮ったに違いない機会としては、シリーズ全体の宣伝・広告用写真撮影のために、ベーカー街のセットにたくさんのエキストラを集めた時をあげることができます。(追記:そして同じ時にオープニング映像を撮影したのだと思います。)これは、ホームズとワトスン、エキストラの位置やしぐさが少しずつ違うだけものから、ホームズとワトスンがいないものまであります。カラーも白黒も、全景の写真もホームズとワトスンのまわりで切り取ったものもあります。

この写真群が好きなのは、今まで他の写真セットが好きだった理由としてあげたような、ポーズや表情が少しずつ違うから、ということもありますがそれよりも、ベーカー街を眺めることができる上に、ジェレミーとデイビッドを含めたグラナダチームの、このシリーズへの意気込みと愛情を感じられるからでしょう。

写真の例をあげましょう。カラーで比較的画質が良いものを一枚。
Source: http://www.lifo.gr/team/sansimera/35112
ここはギリシャ語で書かれているページで、ホームズ関連のいろいろな画像が面白いです。下の写真については、出典としてFanpopというウェブサイト名が示されています。私もFanpopにある写真を知っていますが、それが色がおかしいので修正したものだということがわかります。この写真をクリックすると、もう少し大きくなります。
BakerStreet


今度は白黒で、David Burkeのサイン入り、eBayからです。時間経過を推測すると、上の写真のほんの少し後でしょうか。こちらはクリックしても大きくなりません。
BakerStreet_1.jpg

こんなふうに、この時の写真はたくさんあります。あ、全部の写真でデイビッドが手袋をごそごそしているわけではないんですよ!

右手前の本屋さんも、おなじみのお店ですね。1枚目の写真を大きくすると、本屋さんの上のところに、219の文字がみえます。この通りの風景、多分建設がすんでまだそんなにたっていないのだろうと想像すると初々しくもあり、そして懐かしくもあります。懐かしいというのは、ホームズの時代のロンドンを見ているという懐かしさ、そしておよそ30年前のマンチェスターの、グラナダスタジオのセットを見ているという懐かしさの両方です。

実際にこの作品とこの場所に関わった人たちは、ベーカー街を撮った写真に、もっとたくさんの感慨を覚えることでしょう。プロデューサーのMichael Coxが好きなベーカー街の写真は実は、ホームズとワトスンの両方ともが写っていないのですよ!それなのになぜ、その写真が特別かはまた次の機会に。(とこんなふうに予告しながらまだ書いてない記事がたーくさんあって、申し訳なく思っています!もう一つの悪癖ですね。寄り道が好きなのでしょう。)

RM
Edward Hardwicke(エドワード・ハードウィック)がグラナダシリーズのことを話している場面がある映像をいくつか知っていますが、特に思い出深いのは、エドワードが話すのにあわせてその全体が構成されている、2003年のインタビュー "Elementary My Dear Watson: An Interview with Edward Hardwicke" です。これは北米版のグラナダシリーズのDVDの特典映像です。エドワードが亡くなったすぐ後の記事で、ご紹介したことがありました。
2011年5月22日

市販されている作品はYouTubeにあってもアドレスを書かないようにしていたのですが、この時すでに書いてしまっていますし、DVDの本編ではなく特別付録としてつけられていた映像ですから、今回もアドレスを書きます。
Part 1: http://youtu.be/UCYzvzp9Z_Q
Part 2: http://youtu.be/d1FBZznsoXU

前回ご紹介したIMDbにある引用集の6番目は、他と同様出典が書いてありませんが、このビデオの中のエドワードの言葉を書き写したものです。


グラナダ・シリーズでの日々は、ものすごく幸せな時間でした。二人の名プロデューサー、Michael Cox と June Wyndham-Daviesがいて、ホームズ物語のことを本当によく知っていました。素晴らしい共演者たちも、演じることを心の底から楽しんでいました。わくわくしていました。生涯の友人がたくさんできて、今でもよく会っています。そしてジェレミーがいてこその、グラナダ・シリーズでした。とても心がひろくて、すばらしくユニークなジェレミーがいたからでした。本当に本当に幸せな時間でした。ジェレミーが亡くなったのは、すごくさびしく悲しいことです。さびしいです... 彼は素晴らしい人で、亡くなったのは本当に残念で、そして悲しいことに充分に報われたとは思いません。あの演技に対して何の賞もうけなかったのです。でもあのホームズの演技はいつまでも残ると確信しています。彼は素晴らしいホームズだったのですから。

"The whole series was a hugely happy occasion. Two wonderful producers, Michael Cox and June Wyndham-Davies, who were wonderfully knowledgeable about the stories. Lovely casts of people, these people were thrilled to be in it, they were *thrilled* to be in it. I made lifelong friends of a number of people I see frequently. And, as I say, dominated by Jeremy; hugely generous, wonderfully eccentric. But it was a very, very happy time and he's deeply and sadly missed. I mean, I miss him . . . he was an extraordinary man and a *great* loss and sadly, I feel, not honored enough for what he did; he didn't get any gongs for that performance. And it will be remembered, I'm sure, because I think he was an extraordinary Holmes."



映像ではこちらです。Part 2の7分28秒あたりからで、クリックするとそこから始まります。8分38秒までですが、途中一部が、上記のIMDbのトランスクリプトには含まれていません。
http://youtu.be/d1FBZznsoXU?t=7m28s


エドワードの声の調子とあたたかさは、独特ですね。いつもながら穏やかな口調で、表情もほとんどかわらず笑みもうかべず、淡々としているとさえ言えるかもしれません。"And it will be remembered, I'm sure, because I think he was an extraordinary Holmes." という胸を打つ最後の言葉でさえも穏やかです。でもだからこそ、こころの中にずっとある思いを口にしていることをうかがわせるように感じました。「ハードウィックはあたたかさに満ちたやわらかい語り口で話し、共演者であり友人でもあったジェレミー・ブレットのことを話す時には特にそうでした」という描写を紹介したことがありましたが、本当にそのとおりだと感じます。

他には、Part 2の4分45秒から5分28秒までで、ジェレミーがポラロイドカメラを衣装のポケットに入れて、クルーや共演者の写真をとって張り出した話のところで、「それで全員が家族の一員のように感じました。そしてその家族の中心にいたのはジェレミーでした。間違いなく、ジェレミーが中心の家族でした。("Jeremy led it, no question about it, he led it.")と言っています。前回トビィさんが、皆が家族のようだとジェレミーが言ったことを紹介してくださったので、この部分も思い出しました。こちらもクリックすると、その部分が始まります。
http://youtu.be/d1FBZznsoXU?t=4m45s

RM
IMDb (Internet Movie Database) のサイトには、それぞれの俳優がメディアに語った言葉の引用集がついていることが多いです。ジェレミーのページにももちろんありますし、 エドワードのページにもいくつかの引用が見られます。ただ、いずれも出典が書いていないのが残念なのですが。

IMDbのエドワードのページの"Personal Quotes" の場所はこちらです。
http://www.imdb.com/name/nm0362570/bio#quotes

この内の現在一番上で読める文章は、ほぼ、Scarlet Streetのジェレミー追悼号 (Vol. 21, 1996) に寄せられたエドワードの言葉の引用になっています。ここではIMDbの言葉をそのまま引きます。


10年間のつきあいの中で、うれしいことに、ジェレミーのことをとてもよく知るようになりました。とても親しい友人になりました。二人とも、ホームズとワトスンの友情は、二人がユーモアを解することに基づいていると強く感じていました。実際のスタジオでもジェレミーのおかげで、一緒に仕事をしている間、笑いが絶えませんでした。病による重荷を背負っているにもかかわらず、ジェレミーは決して、彼本来の喜びのこころを失いませんでした。彼が笑うのは本当に素晴らしくて、すぐにまわりの人に笑いがうつりました。グラナダシリーズで共演した俳優や、シリーズで働いたスタッフのものすごい数の人たちが、あれほど幸せな仕事はなかったと言うでしょう。それこそがジェレミーだったのです。これが、素晴らしい俳優が素晴らしい演技をする、その舞台裏の背景でした。彼がいなくなって寂しくなります。

"During our 10 year association, I was privileged to get to know Jeremy very well. We became great friends. We both believed that the friendship between Holmes and Watson must be rooted in humour. In reality, Jeremy made sure there was always laughter when we were working. In spite of the enormous strain his illness placed on him he never lost his sense of joy. He had a wonderful laugh. It was infectious. The enormous list of actors and technicians who worked on the series will tell you that they never had a happier job. That was Jeremy. This, of course, was the background to a great actor giving a great performance. I shall miss him."



ジェレミーらしいなあ、エドワードらしいなあ、と、いつもながら、そしていつも以上にそう思います。

RM
生まれて初めて、"A Study in Scarlet" を読みました!日本語訳の「緋色の研究」でさえ、今まで読んだことがなかったということが、途中でわかりました。我ながら驚きました。

そもそも私がホームズ譚を初めて読んだのは、小学館の「少年少女世界名作文学全集」全56巻の中の1冊でした。これは祖父母が買ってくれて、私たち10人のいとこの間をぐるぐると回っていた全集でした。この1冊の中におさめられていたのを覚えているのは、「まだらの紐」、「赤髪連盟」、「六つのナポレオン」の3つの短編です。

でもこの全集の中で、ホームズの一冊は特別な興味をひきませんでした。私が好きだった本、この後自分で買い直したり、続編を読んだり同じ作家の別の本を楽しんだりしたのは、「赤毛のアン」、「秘密の花園」、「十五少年漂流記」、「あしながおじさん」、「飛ぶ教室」などでした。

今これを書くためにネットを検索して、全56巻のそれぞれのタイトルと、翻訳者を知りました。翻訳者の名前をみて驚きました。たとえば「小公子」は川端康成訳、「海底二万マイル」は西条八十訳だったのですね。
http://nazede.gozaru.jp/list03.html

「赤毛のアン」、「飛ぶ教室」は、あとで自分で買った新潮文庫、岩波のケストナー少年文学全集と同じ、村岡花子、高橋健二がそれぞれ翻訳したということも、はじめて知りました。訳者が変わると印象が変わって読みにくくなることもありますが、この2冊について何のひっかかりもなく、子供の時から大人になった後まで読み続けられたのは、訳者が同じだったことを今知ると、なるほどもっともなことだ、と思います。

さて、それでは少年少女世界名作文学全集の中の1冊、「シャーロック・ホームズの冒険」の訳者は、と見ると、木々高太郎でした。木々高太郎と言えば、大脳生理学者で推理作家ということで、名前を知っています。読んだこともあるかもしれません。(「緋色の研究」を読んでいなかった私ですが、後で記すように、一時期推理小説は結構よく読んでいたのです。)

そして掲載作は、

六つのナポレオン
赤い髪連盟
踊る人形
はんてんのあるひも
マスグレーブ家の儀式
吸血鬼
悪魔の足

とあります。
http://ci.nii.ac.jp/ncid/BB00114543

後ろの3編は全く読んだ記憶がありません。そして4編目が「はんてんのあるひも」というタイトルだったとは、覚えていませんでした。短編を選んでいるので、おそらく抄訳ではなく全訳だったのでしょう。

この少年少女世界名作文学全集の後、私はホームズにいつどこで触れたのでしょうか。私たちの年代では、ポプラ社の「名探偵ホームズ全集」を覚えている人が多いようですが、私は読んだ記憶がありません。図書館と本屋にいれば幸せな子供でしたが、ホームズには興味がなかったのでしょう。

一方で、小学校高学年から中学校にかけては、探偵小説の黄金時代(1918-1939)に活躍した作家の作品を中心に、探偵小説をかなり読みました。だいたいの読んだ順番、夢中になった順番で書くと、ヴァン・ダイン(「グリーン家殺人事件」が最初。夜読んでいて、後ろを振り向くのが怖かった)、クイーン(国名シリーズに夢中、その後読んだライツヴィル物は本当に好きだった)、クリスティ(友達が次々に貸してくれた)、チェスタトン、シムノン、レックス・スタウト、チャンドラーなどなど。でもホームズは読まなかったのです!でもいくら何でも、ホームズものの有名な話については、グラナダ版で映像化されていないものでも、その筋くらいは意識せずにどこかで目にしているのではないか、と漠然と思っていました。

そして話は今に飛びます。ドイルの原作は、アメリカで "The Case-Book of Sherlock Holmes " の著作権が消滅していないのを除いては、無料でネット上で読むことができます。私はコンピュータの液晶画面での読書は好きでないので、Kindle形式のホームズ譚ひと揃いを、オーストラリアのアデレード大学のサイトからダウンロードしました。オーストラリアですから、"The Case-Book" も手に入ります。
http://ebooks.adelaide.edu.au/

そして "A Study in Scarlet" を読み始めました。最初のホームズとワトスンの出会いの場面は、何十回となくきいた"The Secret of Sherlock Holmes” でのジェレミーとエドワードの台詞そのままです。いえ、本当は原作そのままの台詞なのですよね。その後わくわくしながら、ホームズの後についていく思いで、私もロンドンを動き回ってPart 1が終了、さあこれから謎解き、ちゃんと読んだ覚えはないけど、多分読み進める内に、あああそこでちらっと読んだあの話、とか、あの人があの本で触れていた、あのトリックね、とか思い当たるのではないかと思っていたのです。そしたら何と、アメリカに連れていかれたではありませんか!こんな話だったとは!そしてまたロンドンへ、ホームズとワトスンの元へと戻っていきます。これは、私が生まれて初めて読む物語だということに気づきました。

ここにおいでの方で「緋色の研究」を読んでいらっしゃらない方、筋さえ知らない方は、多分いらっしゃいませんね。私くらいでしょう。ホームズの4つの長編と56の短編をこれから、知っている話、知らない話を含めて楽しめるなんて、そしてホームズとワトスンのやり取りを、グラナダシリーズを思いながら、あるいはシリーズからは少し離れて、目の前に想像できるなんて、わくわくします。私は辞書はよっぽどのことがないとひかないので、大切な謎解きの場面ですら、思わぬ勘違いをしているかもしれません。英語の後は日本語で読んで、解説書や研究書を読んで...と考えると、宝の山を前にした気分です。

そして、うふふ、これでいつかホームズについての知識と愛情で、ジェレミーと並ぶことができるでしょうか。

RM

追記:文字としてばかりでなく、オーディオブックを聴く形でドイルの原作を楽しみたい方もいらっしゃるでしょう。また、文字を読むのに疲れた時や、自分の英語の能力よりも少し上の本を読む時、あるいは耳からだけでお話を聞き取るのは難しい時に、耳で聴きながら目で文字を追うことは、読書の助けになってくれます。「聞き読み」という言い方もするようです。

有料なら、たとえばエドワードが読むドイルがAudibleにあり、それ以外にもいろいろな読み手のオーディオブックが市販されているはずです。無料がよければ、著作権が切れた文学をボランティアが読んで配布しているサイト、たとえばlibrivox(http://librivox.org/)は、オーディオブックの無料の音源として、私も時々利用しています。ボランティアとは言え、玄人はだしの人もいますし、若い頃に俳優を目指していた人もいるようです。

ただホームズ物に関しては、プロが読んだオーディオブックを無料で楽しめます。John Telferというイギリスの俳優が読み、市販もされているオーディオブックが、Project Gutenberg (http://www.gutenberg.org/) におさめられていて、無料でダウンロードできるのです。これを教えてくれたフォーラムのメンバーは、あまりに良いオーディオブックが無料なので、不正にアップロードされた海賊版ではないかしら、と心配していましたが、調べたら心配ご無用、Project Gutenbergに海賊版があるはずはなく、正規の契約によって配布されていると書かれていました。その証拠と言ってはなんですが、アメリカでは著作権が存続している "The Case-Book" も John Telferが読んで市販されていますが、無料のProject Gutenbergにはありません。以下にご参考までに、無料でダウンロードできるアドレスを書きます。

John Telferの紹介
http://www.audiobooksforfree.com/info/narrator/John+Telfer

Project GutenbergのパートナーとしてのAudioBooksForFree.comの紹介。このサイトでは低ビットレートのファイルのみ無料ですが、ここがProject Gutenbergに提供したドイルの録音は、高ビットレートでも無料です。
http://www.gutenberg.org/wiki/Gutenberg:Partners,_Affiliates_and_Resources#AudioBooksForFree.com

ダウンロードページのアドレスです。
A Study in Scarlet
http://www.gutenberg.org/ebooks/9556
The Sign of the Four
http://www.gutenberg.org/ebooks/9558
The Hound of the Baskervilles
http://www.gutenberg.org/ebooks/9552
The Valley of Fear
http://www.gutenberg.org/ebooks/9557

The Adventures of Sherlock Holmes
http://www.gutenberg.org/ebooks/9551
The Memoirs of Sherlock Holmes
http://www.gutenberg.org/ebooks/9555
The Return of Sherlock Holmes
http://www.gutenberg.org/ebooks/9553
His Last Bow
http://www.gutenberg.org/ebooks/9554

彼のホームズの声をきいてもジェレミーは思い浮かばないのですが、でもこれはこれで、とてもよい朗読だと思います。
前回の記事を書いた後で、Edward Hardwicke(エドワード・ハードウィック)のジェレミーに関する文章を追加しましたので、よければどうぞお読みくださいませ。
"I'm a reluctant hero today"

その時にエドワードの文章を和訳しながらあらためて思ったことがあります。エドワードを、やさしくてあたたかい人、と形容するとき、おそらく誰もが賛成するでしょう。でもエドワードにはもう一つの面があって、彼は自分のこともひとのことも、しっかりと見ることができた、と言えるのではないでしょうか。あの文章を読んでいて、深い感情が流れているけれども、自身は情に流されない人だという感じを持ったのです。インタビューを読んだりきいたりしても、穏やかというだけでなく冷静で考え深いところを感じます。

有名な俳優を父に持って、若いときから「あの父の息子」という理由でまず注目される立場にいたこと、もともと内向的な性格だったこと(俳優とは思えないほどシャイだったという記述を読んだ覚えがあります)、そしてコメディを演じるのが好きだったこと、これらのことにより、自分の中にどっぷりと浸らずに、自分をいわば他人の目でながめることができた、そしてその目で、まわりのひとのこともしっかりと見ることができたのではないか、と想像しました。

ジェレミーとのことで言えば、David Stuart Daviesが"Dancing in the Moonlight"に書いていますが("Bending the Willow"にも同じ記述があったかもしれません)、ジェレミーとエドワードの友人関係の中で最も困難な出来事が、"The Secret of Sherlock Holmes"の上演中に起こっています。双極性障害の症状が出て、エドワードがもうこの劇を演じたくないのだと思い込んで、ジェレミーが怒りに駆られた時に、エドワードは一晩考えて、朝の6時までかけて20ページの手紙を書いて、「議論はしたくないんだ。ただ、これを読んでくれ」と言ってジェレミーにその手紙を渡した、というエピソードがあります。ジェレミーはその長い手紙の1ページ目を読んで微笑み、"Oh darling, I'm sorry...." と言ったそうです。

ジェレミーは病気のために完全にすべてを誤解しているのだから、議論するのではだめだ、手紙に書いて渡さないと、と考えたとエドワードは言っています。そこにエドワードの思慮深さと、状況を見抜く賢さを感じます。そういうエドワードがジェレミーの近くにいてくれて、本当に良かったと思います。


そしてこのエピソードを思い出す時にはいつも、双極性障害の辛さを思います。気持ちが極端に高揚したり、抑うつ的になったりするだけが双極性障害なのではなく、現実認識が損なわれてしまうことがあるという悲しさ。そのために人を悪く思ってしまうことも、あるのですね。エドワードはジェレミーに双極性障害の症状が出た時のことを、"I must make it clear, however, that this was not Jeremy—this was his illness acting for him." と言っています。病気に乗っ取られて、本来の自分なら絶対にしないことをしてしまうとは、精神の病というのは、なんと残酷なのでしょう。

そういうことも起こり得る病をかかえた俳優が、グラナダテレビの最も重要なドラマシリーズの主役を長く演じ続けたことは、一つの奇跡のようにも思えます。そしてその奇跡を生んだ要因は、ジェレミーのプロフェッショナリズムと、症状が出ていない時の本来のジェレミーが持つあたたかさを、スタッフや共演者の誰もがよく知っていて、尊敬して愛していたこと、そしてエドワードが共演者として友人として、常に支えてくれたことだと思います。

RM
(エドワードがジェレミーの "I'm a reluctant hero today" という言葉に触れている文章をみつけましたので、追記として一番最後に記しています。)

お暑うございます。この言葉ではじめる毎日が続いていますね。おからだの具合の良くない方、何か心配ごとがおありの方には、気候の厳しさは特にこたえるのではないでしょうか。お見舞い申し上げます。

私は、多分他の多くの方と同様、日々それなりに困ることがあるのですが、ここ数年安心して困っていられるようになりました。安心して不安の中にいられるようになってきました。

でもやはり折々に、ごく小さいことの中にも、こういう思いが忍び込んできます。私が、あの人が、状況が、こうであればよかったのに、という思い。あるいは、これが起きなければよかったのに、という思い。それがもっと大きな困難につながるならば、何故私にこれが起きたのか、という気持ち。

そんな時に思い出すことの一つは、ジェレミーは"Why me?"「何故自分がこんな目に?」とたずねたり、人生は不公平だと嘆くような性質(たち)の人間ではまったくなかった、という描写です。そして一番辛い状態の時に口にするのは、実際は不平とは言えない、"I'm a reluctant hero today."という言葉だった、というものです。これは「今日はちょっとやる気のないヒーローなんだよ」という感じでしょうか。

これはLinda Pritchardの本に書かれているもので、私はこの本については、二つの違う感情を同時に持っています。でも私はこの描写はジェレミーをよく表していると思っていますし、たしかエドワードも何かの文章かインタビューで、"I'm a reluctant hero today"というジェレミーの言葉に触れていたように記憶しています(追記をご覧ください)

ひとや状況を責めたり、あるいは特に自分を責めたりしそうな時にこれを思い出して、"I'm a reluctant hero today."とこころでつぶやいてみます。英語では今では男女の区別なく a hero を用いるということを知りました。

この間の文を加えて、もう少し訳してみます。


ジェレミーは"Why me?"「何故自分にこんなことが?」と言い、人生は不公平だと嘆くような性質(たち)の人間ではまったくなかった。まったく逆で、人生が自分に投げかけたものをすべて受け取り、自分が知る最善のやりかたで取り組み、微笑みを浮かべながら、すべてはうまく行くだろうという態度をとっていた。一番困難な時期にも、愚痴に近いといえるかもしれない言葉は、実際には愚痴や不平ではまったくなかった。"I'm a reluctant hero today."「今日の僕は、少しやる気がないヒーローなんだよ。」


私がジェレミーのことを知ってはじめに思ったのは、何故、こんなに輝いていた人が、そんなに苦しんだ果てにこの世を去らねばならなかったのだろう、ということでした。でも今は違う気持ちを持っています。彼らしく生きて、そして最期に静かにすべてを手放してこの世を去っていった、そういう生と、そういう死だったと思っています。

RM

追記:
Bending the Willowの本に寄せて、前書きとしてエドワードが1996年に書いた文章の中にありました。

私がジェレミー・ブレットと、そしてシャーロック・ホームズと共にすごした時間は、8年間に及んでいる。彼ら二人とワトスンに、本当に感謝している。わくわくするような経験だった。いつも何の困難もなかった訳ではないが、退屈とは程遠い日々だった。たいていの時はとても興奮して、心の底から楽しんだ。素晴らしい才能を持った俳優であり、特別な友人であるひとと一緒に仕事をしている時に、そのことを忘れられる訳がないのだ。双極性障害という病があっても、ジェレミーは物事を前向きに明るく考えるようにしていた。Jeremy Paulの劇 "The Secret of Sherlock Holmes" をロンドンで上演しようと心に決めて実行したことがそれを示している。暗い気持ちにおそわれる時があっても、彼はただ、'I am a reluctant hero today' 「今日の僕は、少しやる気がないヒーローなんだよ」と言うだけだった。

My association with Jeremy Brett and Sherlock Holmes covers an eight year period. I owe them and Dr Watson a great deal. It was a fascinating time—not always easy, but never dull. More often than not it was most exciting and tremendous fun. You could never forget that you were working with a very special actor, and a very good friend. In spite of his manic depression, Jeremy somehow trained himself to think positively. His determination to get Jeremy Paul's play, The Secret of Sherlock Holmes, put on in London is proof of that. On his black days he would merely say, 'I am a reluctant hero today'.

今日8月7日はEdward Hardwicke(エドワード・ハードウィック)のお誕生日です。そして私がこのブログをはじめて3年たちました。エドワードのお誕生日にブログをはじめたということに気づいたのは、昨年のこの日が終わる頃でしたから、今年はこの二つのことを思いながらこの日を迎える初めての年になりました。(そして、ワトスンの誕生日も1852年の今日という説があるのですね!さらに追記です。まるで元から知っていたように書いていますが、このことは去年の記事へのコメントでナツミさんに教えていただいたのでした!去年の記事を読み返していて気がつきました。

エドワードは本当にジェレミーの良き友人で、あたたかさにあふれた人でしたね。エドワードが亡くなって間もなく、エドワードを偲んで録音され配信されたPodcastの内容を思い出しました。"I Hear of Sherlock Everywhere" というPodcastのこの回はゲストとして、いずれもエドワードを個人的に知っていた、David Stuart DaviesとSteven Doyleが参加しています。David Stuart Daviesはご存知のように "Bending the Willow" 等を書いた人ですし、"Dancing in the Moonlight"の本の最初にはエドワードへの献辞を書いています。Steven Doyleも何冊かホームズ関係の著作がありますし、"A Study in Celluloid" を出版したアメリカの出版社の経営者でもあります。また、"From Gillette to Brett" という、4年に一回開かれているシンポジウムを主催しています。

この回のPodcastは以下のサイトで聴くことができ、ダウンロードもできます。
http://www.ihearofsherlock.com/2011/06/episode-33-remembering-edward-hardwicke.html

私がエドワードのお誕生日にあたって思い出したのは、Steven Doyleが31分25秒頃から話しだすエピソードです。"From Gillette to Brett"と名付けられたシンポジウムの第一回がアメリカで行われた時に、主催者であるSteven Doyleはエドワードにこの集まりへの参加を依頼します。自己紹介したり、共通の知人であるDavid Stuart Daviesの名前をあげたりして、来てくれるように頼みました。

でも当時住んでいたフランスからはるばるアメリカに行く決心をエドワードにさせたのは、 シンポジウムが開かれる週末がジェレミーの誕生日だったことだと思う、というのです。32分8秒から、そのことを話しています。そしてエドワードは "Well, we'll do it for him."と言ったそうです。

今回このエピソードを思い出したので、以前訪れたことがある、2003年の"From Gillette to Brett"のサイトに行ってみました。それがこちらです。エドワードは赤いセーターですね。
http://www.sherlock-holmes.com/gillette_brett.htm

もう一カ所、このシンポジウムに参加した人が書いた文章と写真をみることができるサイトです。こちらにも赤いセーターのエドワードの写真が3枚あります。
http://bakerstreetdozen.com/symposium.html

以前来た時は見落としていたのですが、ここにこのような記述がありました。抄訳と、原文の引用です。


ハードウィックはあたたかさに満ちたやわらかい語り口で話し、共演者であり友人でもあったジェレミー・ブレットのことを話す時には特にそうでした。病気を抱えていたせいで、ブレットは共に仕事をする上で、いつも何の問題もないということはなかったはずですが、ハードウィックがブレットをこころのそこから好きだということがはっきりと伝わってきました。最後にハードウィックは、翌日がブレットの誕生日だということを私たちに告げました。私たち全員が立ち上がって拍手を送り、ブレットへの賞賛をあらわしました。

Following the final break of the day, and another door-prize draw, we took to our seats to hear Edward Hardwicke. In a variation from the other speakers that day, Hardwicke's presentation took the form of an onstage interview hosted by the ever-versatile David Stuart Davies. The soft-spoken Hardwicke spoke with great warmth, particularly when discussing his late co-star and friend, Jeremy Brett. Although Brett, due to his illness, was not always the easiest person to work with, there is no mistaking the genuine affection that Hardwicke has for the man. After David Stuart Davies guided interview, questions were taken from the floor and finally it all came to an end when Hardwicke reminded us that the next day was the anniversary of Brett's birthday. For the second time that day, the audience expressed their appreciation with a well-deserved standing ovation. And on that note, the presentations wound to a close.



エドワードはジェレミーが本当に好きだったのですね。エドワードの言葉をきっかけに、ジェレミーのために皆が立ち上がって拍手を送ったのを知って、とてもうれしくなりました。

ところで、ジェレミーのお誕生日は11月3日で、2003年の11月3日は月曜日でした。このシンポジウムが11月2日の日曜日に行われたのなら、上にあげたPodcastの内容共々、日にちがあうのですが、上の2番目であげたウェブサイトの記述がただしければ、エドワードが話したのは11月8日の土曜日なのです。もしそうなら、エドワードはジェレミーのお誕生日を11月9日と勘違いしていたのでしょうか?上に抄訳をあげた記録が間違っていて、実際はエドワードは「明日が」お誕生日、とは言わなかったのかもしれません。あるいはもしかしたら、ジェレミーが亡くなった9月の「9」がエドワードの記憶にすべり込んで、「11月9日」になったのかもしれません。あるいは、"The Dying Detective" 撮影終了パーティはジェレミーの60歳のお誕生日パーティを兼ねていたそうなので("Bending the Willow"より)、その日にちが11月9日だったのかもしれません。

でも、Podcastで語られた内容と、参加した人の記録を読んで一番こころうたれるのは、ジェレミーが亡くなって8年たっても、ジェレミーのお誕生日をエドワードがとても大切に思っていた、ということですよね。おそらくエドワードの記憶の中にずっとジェレミーのお誕生日のことがあったのでしょう。

「エドワード、あなたがジェレミーのお誕生日を大切にしたように、たとえ日にちを間違えても、私もあなたのお誕生日を大切にします。そしてこのブログを続けている限りは、日にちも間違えないと思います。だってこの場所を始めた日なんですもの。」

RM

追記:覚え書きも兼ねて。
ワトスンの誕生日にはいくつか説があり、そのうちで1852年8月7日というのは、 William S. Baring-Gouldが "Sherlock Holmes of Baker Street: A Life of the World's First Consulting Detective" (1962) に書いたものだそうです。この日本語訳が「シャーロック・ホームズ―ガス燈に浮かぶその生涯」
http://www.amazon.co.jp/dp/4309460364)ですから、いつか読んでみたいと思います。

以下はワトスンの誕生日のいくつかの説について、記述があるウェブサイトです。
http://thenorwoodbuilder.tumblr.com/post/49196124038/more-birthdays
http://always1895.net/post/28887649071/watsons-birthday-august-7-1852
http://www.sherlockpeoria.net/Report_pages/HWRArticleArchive/WatsonsBirthday.html
今回は1枚の写真、ではなく、3枚の写真を並べたものになりました。

これは "The Abbey Grange"(「修道院屋敷」)のための写真で、この作品の宣伝用写真は本当にたくさんあります。第二シリーズである "The Return of Sherlock Holmes" の最初の放映作品である「空家の怪事件」よりも、「修道院屋敷」の写真を多くみるのは、このシリーズの最初の撮影作品だったからでしょうか。あるいは、ロケ地の景色が美しくて写真撮影に適していたからかもしれません。

この3枚のように、同じ場所で同じ時に撮られた、少し表情の違う写真をみるのも好きです。最近、ジェレミーの数秒間のシーンを切り取ったようなGif アニメーション(静止画像をパラパラマンガのように順に表示させた、簡易的な動画)をよくみますが、私はそれよりは、数秒の間の3、4枚の静止画像を、ある意味では潔く切り取ってただ並べたものをじーっと(あるいはぼーっと)みるほうが好きです。それと似た感覚で、こんなふうな少しだけ違う写真も好きなのでしょう。

AbbeyGrange.jpg

1枚目はネット上でもよくみるもので、後の2枚はeBayからです。2枚目の白黒写真は以前から好きでしたので、画質のよいサンプル画像がeBayに出たときに大喜びでいただいてきました。エドワードの美しいサインがあります。3枚目は "The Secret of Sherlock Holmes" のポスターやちらしに使われていた写真です。少し見上げる視線ですね。

こういう、表情が少しずつ変わる写真が好きなのは、これは流れる時間の中のある瞬間を切り取った写真なのだということが、一枚の写真をみるよりも組み写真をみるときの方が意識できて、撮影の時のこと、その時の気持ちに思いを馳せることができるからかもしれません。

ジェレミーは新しいワトスンのエドワードを助けつつ、仕事に没頭しようとしていたのでしょう。エドワードは、ワトスン役を引き継ぐにあたって、ジェレミーとスタッフがとても助けてくれた、といつも感謝の言葉を口にしていましたね。ジェレミーは情熱的に共演者やスタッフをほめる人で、エドワードはあたたかく心からの感謝を述べる人でした。この二人の、新しいホームズとワトスンの船出の時に撮られた写真なのですね。

RM
今日ネットをさまよっていましたら(ハイ、もちろん検索語は"Jeremy Brett"です)、DVDやBlu-Rayの発売についてのフォーラムの7月27日付けの投稿に行き当たり、1977年にBBCで放映された8回シリーズの作品 "Supernatural" がはじめて、DVD2枚セットで発売されることを知りました。
http://www.criterionforum.org/forum/viewtopic.php?f=29&t=12696

British Film Institute (BFI) が10月末に発売するということを、BFIのDVDショップサイトで確かめて、ファンフォーラムにこのリンクを投稿しました。
http://filmstore.bfi.org.uk/acatalog/info_27235.html

そうしましたら、メンバーがアマゾンを調べて、すでにアマゾンにも出ていることを教えてくれました。下のリンクはイギリスのアマゾンで、日本やアメリカのアマゾンにはまだありません。
http://www.amazon.co.uk/dp/B00E65SGH4

もちろん、ジェレミーがこのシリーズに出ているから、フォーラムで、そしてここでご紹介しているというわけです。思い起こせば去年の今頃、やはり新しいDVDの発売を知って喜んだのでした。
Haunted: The Ferryman (1974) のDVD発売

これからも新しいDVDの発売が続きますようにと願っています。同じBBCで放映された作品で言うと(もちろん今回の作品がDVDになるのはうれしいのですが)、Merry Widow, On Approval, Rebecca, The Barretts of Wimpole Street といった、誰もが認める名作がまだDVDになっていないのが残念です。Rebeccaについては、権利関係が難しいとネット上では噂されていますが、真偽のほどはわかりません。

さて、それでは簡単にご紹介します。このシリーズについては、Wikipediaでもあまり詳しく書かれていません。
http://en.wikipedia.org/wiki/Supernatural_(1977_TV_series)

今までビデオにもならずDVDにもなっていませんでしたから、情報が限られています。もっともジェレミーの回は、画質が悪いながらも映像の存在がファンの間で知られていて、そしてこの画質の悪いビデオが今現在YouTubeにあります。(市販されている作品については、YouTubeにあってもここで書かないようにしていますので、この作品が発売された時点でこの記述は消します。)

8回のシリーズのそれぞれの話は直接はつながっていないのですが、Club of the Damned(地獄クラブ?呪われた者達のクラブ?)のメンバー候補が、現メンバーの前で恐怖話を語って、それが十分怖ければ入会を許されるというのが共通の枠組みのようです。Master Blackmailerで恐喝王ミルヴァートンを演じたRobert Hardyが第一話に主演し、Edward Hardwickeも第二話に出演しているようです。そしてジェレミーは第四話 "Mr Nightingale" に主演しています。ジェレミー演じるMr Nightingaleは、上品とは言いがたい偏屈老人なのです。あのジェレミーが、ですよ!

Jeremy Brett Informationにあるこの写真がそうです。
http://jeremybrett.info/tv_supernatural.html

どうみてもジェレミーにはみえませんよね。この頃から変装の名手だったのですね!そしてこの老人が、若い頃に体験した恐怖に満ちた話をクラブのメンバーの前で話し、その回想シーンでは若い頃の姿で出てきます。でもその姿もやっぱり、洗練された紳士でも情熱的な男でもなく、少しおどおどしているのです。ジェレミーは役柄がまあなんと広いのでしょう!

私は前述した画質の悪い映像をさーっと流し観た程度だったのですが、DVDになったら、この異色の恐怖物語をじっくりと観ようと思っています。

RM

 RM

Author: RM
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和訳には間違いがあるかもしれません。最近は必ず英語原文を併記・またはアドレスを書いて読めるようにしていますので、どうぞそちらも参考になさってください。

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