Jeremy のことが知りたくて ~ ジェレミー・ブレット(Jeremy Brett)を愛するかたへ

英グラナダ・テレビでシャーロック・ホームズを演じた俳優の人生を言祝いで

胸のカラータイマーが点滅している感じなので、新しく記事を書くよりは、以前書きかけたままになっている文章をさがしてみようと思って自分のブログ記事編集画面をのぞいて、これをみつけました。"Bending the Willow"のeBookの無料で読める部分にあるDavid Burke(デイビッド・バーク)の文章を引用しかけて、途中でとまっていた記事です。11月はじめに書いていたのでした。

"Remembering Jeremy"
By David Burke
In "Bending the Willow" by David Stuart Davies
http://www.amazon.com/dp/B00715DNLA

ホームズを演じるためのものすごい仕事量が、次第にジェレミーの身体的・精神的な健康をそこなわせてしまったのだと思う。この世を去る時、ジェレミーはいくつもの病気を抱えていた。仕事をするために必要な保険に入れないという理由からだけではなく、ジェレミーにとって俳優の仕事自体がもう難しかっただろうと思う。その状態でもグラナダテレビとテッド・ハードウィックの助けによって、ジェレミーは自身の代表作を撮り終えることができた。ジェレミーが演じることができない朝がくるなんて、だれにも考えられなかったはずだ。天上のこころ優しき存在もそう思って、ここで天使たちと共にすべてを祝うようにとジェレミーを天に召されたのだ。

I believe the workload eventually cost him his health, physical and mental. When he died he was suffering from a variety of ailments. It would have been difficult for him to work not least because he would have been impossible to insure. And he had, with the help of Granada TV and Ted Hardwicke, completed his major opus. A Jeremy unable to work in the morning would have been unthinkable. Some kindly spirit up there saw as much, and took him off to celebrate with the angels.


これはデイビッドのジェレミーを偲ぶ文章の一番最後の部分です。同じ俳優としてのデイビッドの、ジェレミーへの気持ちを感じました。エドワード・ハードウィックのことを「テッド・ハードウィック」と書いているのも、エドワードへの親しさと感謝を感じられて、うれしかったです。最後の一文、詩的で優しい表現に涙を誘われました。

その最後の"to celebrate"のところ、どう訳そうかと思って下書きのままで放っていました。ここでは「すべてを祝う」としましたが、

季節の移ろいも、ひとのその時々の喜びも悲しみも、

はだかでこの世に生まれ、時が過ぎてこころもからだも置いてこの世を去り、
それでも何も失われるものはない、ひとという存在も、

そのすべてを祝って。


私はいまそんな気持ちです。でも"to celebrate"のところの訳文にこれを入れたら、これだけで文章の長さが5割増しですね! 

そもそもデイビッドがどういうニュアンスで"to celebrate with the angels"と書いたのか、もしかしたら「天使たちとお祭り騒ぎをするように」と訳した方がよかったかもしれません。私のコンピュータにはじめから辞典が入っていたのですが(ウィズダム英和辞典だそうです)、それには"celebrate"の自動詞の項には

1 (めでたい事柄などを)祝う; 〈司祭などが〉儀式を行う; 祝典を挙行する.
2 ⦅話⦆お祭り騒ぎをする.

とありますから。シャンパンをあけて大きな声で笑いあっているかもしれません。ジェレミーの笑いはうつりますからね!


このeBookについては、以下にも書いています。
Bending the WillowのeBook発売
Bending the Willowの無料サンプルより(David Burkeの文章)
Bending the Willowの無料サンプルより(David Burkeの文章 その2)

RM
英国の名女優Gwen Ffrangcon-Davies(グウェン・フランコン・デイヴィス)の伝記から、「犯人は二人」でジェレミーと共演した時のことが書かれているところを前回ご紹介しました。
「犯人は二人」でのDame Gwenとジェレミー(2)

今回は、ジェレミーがデイム・グウェンのことを話している言葉が含まれているインタビューをご紹介します。

Jeremy Brett Interview, November 6, 1991
Interviewer: Kevin P. Murphy
http://www.murderandwriting.com/entertainment/restored-jeremy-brett-inter.html

これはアメリカツアーの時、シカゴで行われたものです。この30分余りだというインタビューではいろいろと興味深いことを話してくれていて、このブログでは以前二回、別の部分をご紹介しました。
Etonでのジェレミー(2)
建築中のグラナダスタジオでの写真;The Television Sherlock Holmesより

ただし、上の二つの記事で私が記したアドレスにはもうインタビューはなく、現在は今回書いた場所にうつっています。

では、ジェレミーがデイム・グウェンとの共演の時のことを話している部分を引用します。

この一番最近の作品「犯人は二人」で、すばらしい女優と共演することができました。Dame Gwen Ffrangcon-Davies(デイム・グウェン・フランコン・デイヴィス)です。デイム・グウェンは101歳で、それってとても興味深いんです。なぜって、ドイルはもちろん彼女をみたと思いますから。ドイルが亡くなったのは1930年で、そしてデイム・グウェンはもちろん、1890年生まれですから。撮影中デイム・グウェンが「あの女性の服はおかしいわ」って言ったんです。僕はたずねました。「どういう意味なんですか、デイム・グウェン?」「私にはよくわかるんですよ、だってその頃を知っているんですもの。 粗い麻のペティコート、よくのりのきいたペティコートを着てたんですよ。そして砂利の上を歩くときにはドレスを持ち上げるんです。」反対の余地なし、疑問の余地なしです。彼女はその時代にいたんですから。とてもわくわくする経験でした。素敵な素敵な素敵な女性です。

And I had a wonderful leading lady in this last film. Dame Gwen Ffrangcon Davies. She's 101, which is intriguing, because Doyle, of course, would have seen her, because he died in 1930, and she was, of course, born in 1890, and we were filming, and she said, "That lady is improperly dressed." And I said, "What do you mean, Dame Gwen?" And she said, "Well, I know, because I was there. She would have on a hessian petticoat--very starched petticoat--and she would lift her dress as she walked across the gravel." Can't knock that, can't question that. She was there. So, that was thrilling. Lovely, lovely, lovely, lady.


最後のところの "Lovely, lovely, lovely, lady."なんて、うまく訳せなかったのですが、ジェレミーらしくてとっても素敵ですね!

なるほど、ドイルが亡くなった1930年には、デイム・グウェンはすでに有名な女優だったのですね。前々回ご紹介したEncyclopedia Britannicaのサイトの記述によれば、1911年のデビュー後1921年には数々の主要な役を演じていたそうです。ですから当然ドイルは彼女の活躍を知っていたはず、彼女を見ていたはず、というわけです。

でもデイム・グウェンが生まれた年はジェレミーが言っている1890年じゃなくて、1891年なんですよ。ですから1991年11月のこのインタビューの時は101歳ではなく、まだ(!)100歳です。

今までも何度か書いてきましたが、ジェレミーは数字に関しては、細かいことにはこだわらないみたいですね。ホームズの時代の細かいこと、たとえばデイム・グウェンが教えてくれたペティコートのことなどにはこだわっても。いえ、これはもちろん悪口ではなく、そういうところも微笑ましいなあと思って。

このインタビューは、ジェレミーのすごく楽しそうな感じが伝わってきます。インタビューは当時、かなり短く編集されて土地の新聞に掲載されたのですが、それから15年ほどたってこの時のことを突然思い出したインタビューアが、コンピュータの中からインタビューを書き起こした元のテキストをさがしあてたけれども、ワープロソフトの移り変わりのために、文字化けその他でうまく読めないところが多かったそうです。ところが幸いなことに当時の録音がみつかり、そこからあらためて文字におこしたのがこれで、とても臨場感にあふれています。たとえばジェレミーが歌をくちずさんだり、外輪船(paddle-wheel boat)の音の真似をしたところなども、括弧に入れて書かれています。

また機会があったら、このインタビューの別の部分もご紹介しましょう。

RM
前々回の続きです。撮影時はちょうど100歳で、101歳と二日で亡くなった女優Gwen Ffrangcon-Daviesとジェレミーとの共演シーンのリハーサルについて書かれている文章を今回はご紹介します。

今そのシーンを見直していますが、気品のあるしっかりとした声、不幸な出来事の後でうちひしがれるのではなく、達観を感じさせるような笑みをうかべて話す貴婦人の表情としぐさの魅力をあらためて感じました。そして、童女のような可愛らしさも感じられます。

以前フォーラムでこのシーンが話題になったとき、ホームズが別れ際にDame Gwen(デイム・グウェン)の手にキスをする姿に、ホームズだけではなくジェレミーの気持ちも感じる、と言った人がいました。同感です。伝説の名女優への敬愛の気持ちがこもっているのでしょう。今回もそう思いながらこのシーンを見返しました。

ジェレミーは彼女の手にキスをした後、微笑みかけています。カメラがホームズを後ろからうつしているのと、一瞬なので、私は以前は気がつきませんでした。


彼女の伝記の一部をGoogle Booksで読むことができます。そこに、この撮影のリハーサルの時のことが少しだけ書かれています。そして彼女の演技に関しての放映後の新聞評も。そのページを埋め込んでみました。

"Forever Juliet: The Life and Letters of Gwen Ffrancon-Davies, 1891-1992"
By Martial Rose
Larks Press, 2003
http://books.google.co.jp/books?id=fIOoYGF9LrgC




リハーサルについて書かれているところを引用します。

グウェンの目と耳がおとろえていたために、最初のリハーサルの時には彼女はとまどった。だがジェレミー・ブレットのすぐ近くにすわってその唇が動くのを見れば、もっと楽に自分の演技のきっかけをつかめるのがわかった。それからのリハーサルは順調に進んだ。

An account of the first rehearsal describes how, because of her failing eyesight and hearing, Gwen was quite at a loss, but she found by coming close to Jeremy Brett and watching his lips move she could more easily pick up her cues. Rehearsals from that moment went smoothly.


これを読んで、100歳のデイム・グウェンがリハーサルの最初の時よりももっと自分に近づいてすわって、唇を読みながら完璧なタイミングで演じるのをみたジェレミーの気持ちを想像していました。

次回、あるいはもう少し後で、アメリカでのインタビューでジェレミーがデイム・グウェンのことを話しているところをご紹介できたらと思っています。

RM
このブログのテーマとまったく違う記事を書くことになりますが、お許しください。今週10日に施行される特定秘密保護法について、以前この記事で少し書きました。
特定秘密保護法案の強行可決に憤りと不安を覚えます

また以下の記事の最後に、「これからの動きを見続けること、次の選挙まで忘れないことが必要だと思います」と、自分の気持ちを付け加えました。
「悪魔の足」でワトスンをジョンと呼ぶこと

今度の選挙、もちろん投票に行きます。多分期日前投票の形で投票をすませるでしょう。選挙権を得てから投票しなかったことは一度もありません。これは両親の背中をみてきたおかげだと、あらためて感謝しています。民主主義の大切さと、それにともなう権利と義務を、学校教育からだけではなく家庭での会話からも学びました。

私は、東京大空襲を経験した父と、ジェレミーと同い年の、学童疎開を経験した母の娘です。二人とも戦後、教科書の文字を墨で塗りました。(話はそれますが、数字に弱い私がジェレミーの生年だけは忘れないのも、母のおかげです。)両親は、ものが言えなかった戦時中の軍国主義も、戦後の民主主義も経験しています。

現政権がこれまでやってきたことは、戦中、戦後の経験と歩みを無にしかねないと思っています。私にとっては両親の世代、若いかたたちにとっては祖父母の世代からのひとたちが築き上げてきたものです。

ここで「否(いな)」と言わなければ、さらに次の段階まで進む可能性があります。

暗い怒りの気持ちからではなく、静かな判断とこの先への希望にもとづいて、私は選挙へ行って、現政権に「否」の意思表示をします。

RM
「犯人は二人」の最初、はじまって5分くらいのところで、貴族の未亡人が孫息子を陥れた恐喝王の手がかりとしてホームズに詩集を手渡して、そこに書かれている"CAM Devil"の文字を見せるシーンがありますね。
The Master Blackmailer

この老貴婦人を演じたのはGwen Ffrangcon-Daviesという名女優です。たとえばEncyclopedia Britannicaのサイトの記述では、「80年の経歴のなかで、英国の古典劇の舞台における伝説のひととなった、イングランドの女優」となっています。
http://global.britannica.com/EBchecked/topic/205728/Dame-Gwen-Ffrangcon-Davies

生まれたのが1891年1月25日、亡くなったのが1992年1月27日ですから101歳と2日ですね。「犯人は二人」が英国で放送されたのは1992年1月2日だそうですから("The Television Sherlock Holmes"より)、このスクリーンでの最後の姿を英国の人たちがみた25日後に、この世を去られたのですね。撮影はジェレミーが秋にアメリカツアーに行く前で、アメリカツアーは1991年の10月から11月にかけてでしたから、スクリーン上のDame Gwen(デイム・グウェン)はちょうど100歳だったはずです。

このシーンの撮影に関して少しだけですが触れている本がありますので、それを次回ご紹介するつもりです。そして、ジェレミーがインタビューでこの時のことを話していますので、それもいつか。

RM
前回と同じ新聞記事からです。ホームズを演じるための準備を話しています。

「まず最初にしたのは、体重を15ポンド減らすことでした。そして髪をホームズにふさわしくしました。でも僕の顔をどうにかすることについては、たいしたことはできませんでした」と言った。

"The first thing I did was go on a diet and lose 15 pounds," he said. "I worked on my hair, but there wasn't much we could do about my face. [...]"


"Deerstalker Cap Is Gone In Latest TV 'Holmes'"
By Jerry Buck
Kentucky New Era, Mar 8, 1985
http://news.google.com/newspapers?&id=-_QrAAAAIBAJ&pg=1568,884952


15ポンドは6.8キログラムだそうです。でも24ポンドとなっていた記事もありました!

Finally, he undertook the challenge, paring off 24 pounds (mostly by swimming) and immersing himself in the part.

ついに彼はホームズを演じることに挑戦しようと決心して、24ポンドを主に水泳によって落とし、役作りに没頭した。


"For Jeremy Brett, Holmes still bit of a mystery"
By Luaine Lee, Scripps Howard News Service
Reading Eagle, Jul 10, 1990
http://news.google.com/newspapers?id=UZokAAAAIBAJ&pg=5074,4327197

ここでも、数字にはあまり細かくこだわらない(らしい)ジェレミーを感じます。でももちろん、記者の書き間違いという可能性もあるのですが。

Reading Eagleの記事で、おもに水泳で体重を落としたと言っているとおり、ジェレミーは泳ぐのが好きだったみたいですね。80歳のVincent Price(ヴィンセント・プライス)にも、こんなふうに書いていました。
私信(2)

ヴィンセント、
水泳をやってみるのはどうですか?
泳ぐのはとても適度で、そして一番良い運動ですよ。

Dear friend, do try &
get some swimming?
It's the gentlest & bestest
exercise in the world.


Kentucky New Eraの記事にもどって、髪については、前髪をのばして後ろになで付けられるようにしたのと、染めたことを言っているのでしょうね。

そして最後の、顔について!顔をどうにかする必要なんてないですよ!

これもまた、ジェレミーのジョークですね。自分を材料にして、くすっと笑えるようなことを言うんですよね!

RM

 RM

Author: RM
コメントは承認後に公開されます。古い記事へのコメントも大歓迎です。2010年8月7日に始めました。
私の記事へのリンクはどうぞご自由になさって下さい。
和訳には間違いがあるかもしれません。最近は必ず英語原文を併記・またはアドレスを書いて読めるようにしていますので、どうぞそちらも参考になさってください。

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