Jeremy のことが知りたくて ~ ジェレミー・ブレット(Jeremy Brett)を愛するかたへ

英グラナダ・テレビでシャーロック・ホームズを演じた俳優の人生を言祝いで

「趣味は?」と尋ねられて、ジェレミーが「アーチェリー、乗馬」の後に「ピアノ」と答えているインタビューを以前ご紹介したことがあります。
補遺、備忘録 その6(日本での訃報、ピアノ)

その時に、

これはピアノを「弾く」とは言っていないのですが、「聴く」とも言っていないし、やっぱり弾くのも好きだったのじゃないかと思うのですが、どうでしょう。クラパムの家にピアノがあったかはともかく、ある時期にはよく弾いていたのではないかと。よくわかりませんが、忘れないように記しておきます。

と書きましたが、ジェレミーはクラパムの家でやはりピアノを弾いていた、ということがわかる記事をみつけましたので、これも忘れないうちに引用しておきます。eBayに出されていた切り抜きからで、「私の週末」という欄の記事です。

My weekend
"Jeremy takes a bow for an arrowing experience"
Daily Express, December 27 1991

これは金曜日の新聞なのですが、おそらくいろいろな人に週末をどう過ごしているかを尋ねる、週一回の連載シリーズなのでしょう。

引用部分でジェレミーは、グラナダ・シリーズの撮影のためにマンチェスターのホテルに泊まっている時の土曜日の過ごし方を最初に話しています。省略した箇所では、日曜日は撮影のために台本を読んでいると書かれています。その後、撮影がない時のクラパムでの過ごし方を話す中で、ピアノの話が出てきます。

ジェレミーは土曜日の朝、まずホテルのプールに行って泳ぐ。それからテラスにすわって、コーヒーのポットをかたわらに朝刊を手にする。

「健康のための午前の散歩としてマンチェスターの中心街をぶらぶら歩いて、マンチェスター市立美術館かどこかに行って、それから軽い昼食をとって、ホテルの部屋に帰って、ちょっと、うとうとします。夜にはのんびりディナーを楽しむために、ホテルのフレンチレストランに行きます。」

「レストランのスタッフは僕にうんざりしていると思いますよ。だっていつも同じ、かなりシンプルな料理ばかり頼みますから。最初はラズベリーをつめたメロン、それからサーモン。」(中略)

撮影がない時は、ジェレミーはロンドンのクラパム・コモンのそばの広いフラットで過ごす。そこでの生活はもっとシンプルだ。「一番奮闘しているのは、ピアノの練習です」と言って笑う。「楽々と弾いているんじゃないんですよ、がっかりしながら、です。ピアノが上手だったらなあって思うのですが、もう何年も弾いたり弾かなかったりなので、才能はどこかへ行ってしまいました。」


Jeremy starts his Saturday mornings with a visit to the hotel's leisure centre for a swim. Afterwards, he sits on the terrace with a pot of coffee and the morning papers.

"On my morning constitutional, I'll stroll round the city centre, perhaps visit the art gallery, eat a light lunch and go back to my room for a snooze," he says. "Later, I emerge for a leisurely dinner in the hotel's French restaurant."

"The staff must get awfully bored with me as I stick to the same, fairly simple menu, starting with melon filled with raspberries, followed by poached salmon."

[...]

When he is not working, Jeremy stays at his large flat near Clapham Common, London, where his life style is even simpler. "The most strenuous thing I do is practise the piano," he smiles. "I don't play with any pleasure. It's all a disappointment because I would like to have been a good pianist but, as I haven't played consistently over the years, any talent has drifted away."


最初のところ、土曜日はこんなふうに過ごしたんですね。ジェレミーは水泳が好きですね。アメリカでのプロモーショナル・ツアーの時もホテルで泳いでいましたし、俳優Vincent Price(ヴィンセント・プライス)に手紙で水泳をすすめています。
ビバリーヒルズ・ホテルで;1991年のインタビューから
私信(2)

マンチェスターのホテルのフレンチ・レストランも、もうおなじみですね。サーモンを注文するというのも、以前もありました。
The Midland Hotelのレストランで

ここでは"poached salmon"となっていて、"poach"は少量の液体で調理することだそうですが、「シャケの西洋風煮魚」なんて訳すると、実際とはかなり違うイメージを呼び起こしそうなので、ただ「サーモン」とだけ書きました。"melon filled with raspberries"は、私ははじめてです。

"the art gallery"というのはおそらく、Manchester Art Gallery(マンチェスター市立美術館)のことでしょう。Wikipediaによると、ラファエル前派のコレクションが充実しているそうです。入場料は無料、すべての曜日で開いています。いつか行ってみたいですね!こちらが美術館の公式ウェブサイトです。
http://www.manchestergalleries.org/

そしてクラパムでのピアノの練習の話。やっぱり弾いていたんですね!楽しんでらくらくと弾いているんじゃない、と言っていますが、もちろん苦行というわけではなくて、やっぱり好きだから練習したのでしょうね。以前、ギターを奏でるというのもありました。
ジェレミーのギターと歌

ジェレミーは音楽が本当にとっても好きなんですね!歌もギターもピアノも。

RM
前回の記事で、「すぐに車に飛び乗って行っちゃうジェレミーが想像できます」と最後に書きました。どうして想像できるかというと、いかにもジェレミーらしいからですが、一つ例をあげましょう。

脚本家・劇作家のJeremy Paul(ジェレミー・ポール)が "The Secret of Sherlock Holmes"の戯曲を書き上げた時のことをご紹介します。本 "Bending the Willow" に書かれているジェレミー・ポールの言葉からの引用で、引用文中の「ジェレミー」とはジェレミー・ポールのことではなくジェレミー・ブレットのことです。

Bending the Willow
By David Stuart Davies

ジェレミーに電話して、ここに5時に来てくれれば劇の最後のページの文字を打ち終わっているだろうと言いました。ジェレミーは5時には来ていて、最後のページのために15分待たなければなりませんでした。すわってすぐに戯曲を読んでくれました。ジェレミーの反応は、劇作家なら誰でも夢みるような素晴らしいものでした。普通、戯曲を書くと3年たってやっと、4人の方がありがたくもお読みくださる、といった感じなんです。でもその時は、いかにもジェレミーらしい、いつものやり方でこう言ってくれました。「明日はじめよう!リハーサルだ。」

I rang Jeremy and said if you get over here by five o'clock the last page of the play will be off the press. He was there by five o'clock and in fact he had to wait fifteen minutes until the last page was printed. He sat and read the play instantly. He gave the most wonderful response any writer could wish for. Usually you write a play and three years later four people have deigned to read it. In typical Jeremy fashion he said, "We start tomorrow! We rehearse."


ね、戯曲の最後の文字が書かれてすぐにそれを読んで、すぐに「明日リハーサルだ!」ですもの。ジェレミーらしいですよね。これが"typical Jeremy fashion"なんですね。

RM
とっても長く間があいてしまいました。でももう一回だけ、ジェレミーがモデルになったマネキンのお話をしましょう。以下のインタビューの中で、マネキンの件についてジェレミーが少しだけ話しています。

"The Real Jeremy Brett—Alive and Well in 'Exquisite Poverty'"
Interview by Kenneth Passingham
TV Times, February 24-March 2, 1973

タイトルの中の "The Real Jeremy Brett"という表現は、お人形じゃない方のジェレミーは、という意味です。このインタビューではいろいろと面白いことを話していて、今までもこのブログで何回かふれていました。
Annaのこと;1973年のインタビューから
お金のこと; 1973年のTV Timesのインタビューより
両親のこと(その1); 1973年のTV Timesのインタビューより
両親のこと(その2); 1973年のTV Timesのインタビューより
父のこと; 1973年のTV Timesのインタビューより

この1973年のインタビュー記事で使われた写真は、brettish.comでみることができます。
"A Dedicated Follower of Fashion..."
このページの上から4枚目、向かって左です。この人形、似てますか?うーん。

その一つ上の写真、これは雑誌Vogueの1971年の記事からで、ジェレミーの両側がどちらもジェレミーの「クローン」、つまり人形だそうです。うーん。

ちなみに前回ご紹介した、現在マネキン人形製作中という新聞記事の日付は1970年11月16日、Vogueの記事は1971年4月号、TV Timesのインタビューは1973年2-3月号ですから、複数回、少なくとも二回はモデルになったのかもしれませんね。1970年後半、そして1972年頃。二枚の写真のお人形は互いに印象が違いますし。

さて、TV Timesのインタビューからの引用です。

いまや無数の「ジェレミー・ブレット」が英国とアメリカにいる。

「元々のきっかけは、ガールフレンドがキングス・ロードにブティックを持っていて、6ヶ月待たないとショーウィンドウを飾るマネキンが入らないっていうことだったんです。それで車に飛び乗って、(マネキン人形作家の)Adel Rootstein のところに行きました。そしたら人形をすぐに準備すると言ってくれました。僕の顔かたちを次の年の男性マネキン製品で使っていいと言えば、ね。」

There are now thousands of Jeremy Bretts throughout Britain and America.

"I did it originally because a girlfriend with a boutique in the King's Road was told she'd have to wait six months for a dummy to dress her window. I jumped into a car and went to see Adel Rootstein. She offered me a dummy [...] immediately, provided that I would agree to be part of her male line in models the next year."


すぐに車に飛び乗って行っちゃうジェレミーが想像できます。

RM
備忘もかねて、前回ちらっと出てきた、お店のウィンドウに飾られるマネキンのモデルになった話を書いておきます。それにしても、1961年のジェレミーとアナの写真の裏に、現在ジェレミーはハムレットを演じていると書かれていたことのご紹介からはじまって、「そう言えば...」のつながりでお人形まで来ました。こういう数珠つなぎ、芋づる式って好きなんです、とりとめのない話を親しい人としている感じで。

人形のモデルになったことについて、ジェレミー自身がほんの少し触れている雑誌インタビューもあるのですが、今日はGoolge News Archiveにある1970年の新聞記事から引用しましょう。記事はこちらです。

Adel's work has a wolrdwide audience
Evening Times, Nov 16, 1970
http://news.google.com/newspapers?id=VjY-AAAAIBAJ&pg=6051%2C2022402

タイトルにAdelとあるのは、マネキン人形のデザイナーとして有名になったAdel Rootsteinのことで、彼女についてのWikipediaのページはこちらです。
http://en.wikipedia.org/wiki/Adel_Rootstein

この記事によれば、実在の女性をモデルにして彼女が作ったマネキンが大人気で、世界中の大都市のウィンドウに飾られたそうです。そして最後に彼女は、男性のファッションが重要になってきているので男性のマネキン人形を今つくっている、と語っています。

新しくショーウィンドウに飾られる男性の「人形」のモデルとして、Adelは英国の衝撃的にハンサムな男性たちから二人を選んだ --- 俳優のジェレミー・ブレットと、写真家で第5代Lichfield伯爵であるPatrick Lichfieldだ。

「二人は70年代の男性ファッションを身にまとうのにふさわしい容姿です」とアデルは言う。

To model for the new look in male window "dummies" Adel has chosen two of Britain's most sensationally handsome men—Jeremy Brett, the actor, and Patrick Lichfield, photographer and Fifth Earl.

They "have the right lines to show the fashions of the man of the seventies," says Adel.



まあ他愛ない記事ですが、1970年当時の紙面を見てその頃のことが想像できるのと、"Britain's most sensationally handsome men" という表現に微笑むことができるというのが、うれしいところです。

RM
前回に続いて、Sir Ian McKellen(イアン・マッケラン)の公式ホームページ中のQ&Aのページで、サー・イアンがジェレミーのことを書いている箇所をご紹介します。

E-Posts
Correspondence with Ian McKellen
4 August 2004
http://www.mckellen.com/epost/m040804.htm

上のアドレスのページを下の方にスクロールしていただくと、「ジェレミー・ブレットと会ったり、一緒に仕事をしたことがありますか?」という質問があります。答えの前半部分では若い頃のことが書かれていて、以下はその後半部分です。

私達は一緒に仕事をしたことはありません。後年彼がテレビで演じたシャーロック・ホームズはわくわくさせる刺激に満ちていて、気分屋で、神経質で、機知に富んでいて、そしてもちろんとてもハンサムでした。

We never worked together. Latterly his television Sherlock Holmes was electrifying, moody, neurotic, witty and, of course, handsome.


この、"of course, handsome."のところは、とてもハンサムな若い俳優だったジェレミーを舞台でよくみていた、と前半部分で書いているのを受けての言葉です。そこには、お店のウィンドウに飾られるマネキンのモデルになったこともある、とも書かれています。サー・イアンもこのことを知っていたのですね。ジェレミーがモデルになったマネキンの写真をみたことがあるかたもいらっしゃるでしょう。私の目からは、ジェレミーに似ているとはあまり思えないんですけど、でもとにかくモデルにしたいくらいハンサムだったんですよね!

今回のところも前回と同様、まだ自身がホームズを演じることになるとは思っていない時の言葉です。サー・イアンが老ホームズを演じた後の、2014年のインタビューでのジェレミー・ホームズに対する言葉(「Sir Ian McKellen、ハムレット、そしてホームズ」のコメント欄と追記でご紹介しました)とあわせて、ジェレミーのホームズを評価している感じが伝わってきてうれしく読みました。そして、ジェレミーのホームズの中でもっとも印象的な部分が2004年と2014年との間で、サー・イアンの中でかわっていったらしいことも、感じることができました。

RM

 RM

Author: RM
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私の記事へのリンクはどうぞご自由になさって下さい。
和訳には間違いがあるかもしれません。最近は必ず英語原文を併記・またはアドレスを書いて読めるようにしていますので、どうぞそちらも参考になさってください。

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