Jeremy のことが知りたくて ~ ジェレミー・ブレット(Jeremy Brett)を愛するかたへ

英グラナダ・テレビでシャーロック・ホームズを演じた俳優の人生を言祝いで

前回ご紹介したインタビューは1987年3月16日におこなわれたと記事の前書きに書かれていて、インタビューの中でジェレミーが、"The Sign of Four"の撮影が終わったところだと言っています。他にもなかなか興味深いことを話してくれていて、以前にも一度別の箇所を引用したことがあります。
ソファの背をひらり;1987年のインタビューより

前回の引用箇所に続くところをもう少しご紹介しましょう。 "The Second Stain"(第二の血痕)で、ホームズが秘密の隠し場所をさがしまわる、あのシーンのことです。

文字で書かれていることを実際にはどうするかで悩むことはたくさんあって、生身のからだで、その場面をちゃんと表現しないといけないんです。たとえば「第二の血痕」でホームズは床にある秘密の落とし戸を探そうとします。そうやって探しまわるときには、床板に爪をたててさぐりながら、からだをそれにつれてひっぱりながら動くのがいいと、やってみてわかりました。

There are so many times when you come up against things that are there in print, and then you're suddenly there in the flesh and have to make them work. As, for example, in "The Second Stain" when he's actually trying to find the trap door in the floor, I discovered the way to get around was by clawing with my hands into the flooring and pulling myself along.

The Sherlock Holmes Review, Vol. 1, Nos. 3/4, 1987

最後でジェレミーが言っているのは、私の理解が間違っていなければこういうことだと思います。ドイルの原文ではここの描写は以下のようになっています。訳は延原謙によるもので、ここでの"The Second Stain"という題の訳は「第二の汚点」です。

まず敷物をはねのけると、たちまち四んばいになって、床に張りつめてある四角な寄木のますを、かたっぱしから調べてゆく。すると一つだけつめをかけて引くと横にずれるのがあって、蝶番であんぐりと蓋があき、その下に暗い孔が現われた。

He tore the drugget from the floor, and in an instant was down on his hands and knees clawing at each of the squares of wood beneath it. One turned sideways as he dug his nails into the edge of it. It hinged back like the lid of a box.


インタビューを読むまでは、ジェレミーのホームズは見事にこの文章のままをやっていると思っていました。Sidney Paget(シドニー・パジェット)による挿絵にもこの場面があって、下はWikipediaにある挿絵の画像です。
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/5/5b/Seco-06.jpg

でもよくみると挿絵では膝をついたかたち、文章でも"down on his hands and knees"なのに対して、ジェレミーは爪の先に意識を集中して、「四角な寄木のます」を次々にさぐっていく動きにつれて腕でからだを引っ張りながら、這い回っていましたね。多分そのことを言っているのだと思いました。

膝をついた四つん這いでやってみて、その姿勢では落とし戸をさぐるために爪をたてることが難しかったかもしれません。何よりそこにはあの緊迫感は出なかったと想像します。今あらためてあの場面をみたのですが、ただ探すことに没頭して這い回っているジェレミーのホームズを前からとらえた、名場面の一つですね。変な格好なんて全然思わせず、ただドキドキ、そしてわくわくします。

見事に原作どおりだと私たちが驚く場面一つ一つの向こう側には、演じるジェレミーの経験と直感にもとづく工夫がされているのだろうと感じられて、この部分も興味深く読みました。

RM
前回の記事で引用した中の"never touched apart from being scrubbed by a starched, harsh Victorian nanny"という部分を読んで、連想したことがあります。

母や乳母に抱かれた記憶がないなら、突然女性に抱きつかれたら、それが恋愛感情から来るものではなく感謝の気持ちからだとしても、混乱してしまうでしょう。女嫌いだからではなく、やさしい手で抱きしめられた記憶がないために。そう、私が思い出したのは"The Abbey Grange"(修道院屋敷)のあの場面のことです。

あの若い女性がホームズに抱きつく場面があります。監督のPeter Hammondに「どうふるまっていいかわからないんです。自分だったらどうするかはわかるけど、ホームズならどうするかは、わからない」と言うと、監督は「まあ、やってみてください」と言いました。ホームズがあの美しい女性に抱きしめられるのを、そしてどんなふうに反応するかをみるのは驚くべき瞬間でした。こういった経験ははじめてでした。

There's a moment when the girl throws herself into Holmes's arms, and I said to Peter Hammond, "I don't know how to react to this. I know what I would do, but I don't know what Holmes would do." He said, "Well, just do it." It was an extraordinary moment when one suddenly sees this man completely enveloped by this absolutely beautiful girl and how he's going to react to it. It was all virgin ground for me.

The Sherlock Holmes Review, Vol. 1, Nos. 3/4, 1987

あれはとても印象深い場面ですね。原作では221Bでの場面はCaptain Croker(クローカー船長)のみですが、グラナダ版ではLady Mary Brackenstall(メアリ・ブラックンストール夫人)もホームズから電報で呼ばれて、後から来ます。そして、クローカー船長は無罪、というホームズの言葉にメアリは思わず、"Oh, thank you"とホームズに抱きつきます。ホームズはその瞬間困惑した顔で反射的に身を固くして、それから少しの笑みを浮かべてぎこちなく彼女の抱擁から身を解き、窓際へと歩いていきます。

「修道院屋敷」のあのシーンについて話しているのを、このインタビュー以外では読んだことがありません。ホームズのあの反応は脚本や監督の具体的な指示によるものではなく、ホームズがどうふるまうかをジェレミーがやってみた結果だということがわかって、興味深く感じました。becomerのジェレミーならではです。

RM
前々回の記事の最初にちょっと書いたように、ホームズとIrene Adler(イレーナ・アドラー)について考えるとき、ジェレミーが彼女のことを話しているいくつかのインタビューが思い浮かびます。その内の一つ、1991年アメリカでの"Desert Island Discs"のインタビューからご紹介しようと思っていました。

もっとも、この番組でのイレーナについてのジェレミーの言及は書き起こせばほんの二行なんです。そしてこれを引用するためには、その前の部分から書かねば、あ、それじゃもう少し前も... というわけで、今日のタイトルは予定していた「グラナダ版でのIrene Adler」ではなく、「ジェレミーが語るホームズの少年時代」となりました。

1991年・アメリカ、というとこのブログでもおなじみの、グラナダ・シリーズ宣伝のための旅です。そしてアメリカでの"Desert Island Discs"のインタビューについても今までも何度もふれています。たとえばこちらです。
ジェレミーの悲しみと、あたたかさ(7); 1991年のDesert Island Discsから(4)

もともと"Desert Island Discs"というのはイギリスBBCの長寿ラジオ番組で、今でも放送されています。ゲストは無人島へ持っていくレコードや本などを選び、司会者はそれを選んだ理由、これまでの人生についてなどをたずねます。ジェレミーがインタビューを受けたアメリカでの番組は、イギリスBBCのこの43分の番組を模してつくられた、より長い2時間ものでした。

司会者はRobert Aubry Davisで、下記のトランスクリプトでは"RD"となっています。なお、トランスクリプトと録音は、フランスのSociété Jeremy Brett de France (JBSF)というグループが"A thrilling time"というタイトルで以前出版しました。興味がおありでしたら下記サイトを参照してください。下二つはフランス語です。
http://www.m.amazon.com/dp/B000I2REY0
http://www.sshf.com/news.php?id=114#.VU32Ltrtmko
http://jbsfasso.free.fr/publication/athrillingtime2.htm

ここではこのトランスクリプトから一部を引用します。また録音は、ジェレミーが選んだ5曲のうちフォーレのレクイエムのみを含んだ音源がネット上にあります。上に記した記事「ジェレミーの悲しみと、あたたかさ(7); 1991年のDesert Island Discsから(4)」にその場所と注意していただきたいことを書いています。

さて、それではジェレミーの言葉です。

JB: ホームズの内面はまったくわからないので、それぞれのひとが中身を埋める必要があります。内面を作り出すんです。つまり、僕はホームズの乳母を知っています。母親も知っています。ホームズは8歳まで母親ときちんと顔をあわせませんでした。母親の香水の香りは知っていたかもしれないけど。そしてドレスの裾のサラサラという音も。でも8歳まではちゃんと会うことはなかった。のりの効いた服を着た、厳格なビクトリア時代の乳母にごしごし洗われる以外は、ひとに触られることはなかった。1850年頃のことです、もちろん。21歳まで父親に会うこともなかった。兄がいたけど、兄も同じように誰ともまじわらず、ひとりぼっちでドーナッツのようなお菓子を食べる太った少年だった...。

RD: あの小さなクラブにひきこもっている...。

JB: そう、ディオゲネス・クラブでは誰もしゃべらない。


JB: [W]hat you have to remember is that Holmes is hollow and therefore one has to fill that with an inner life, [...] [Y]ou invent an inner life. I mean I know his nurse; I know his mother whom he didn't meet until he was 8; maybe caught a fragrance of her scent, the rustle of her skirt, but he certainly didn't see her before that; never touched apart from being scrubbed by a starched, harsh Victorian nanny - we're talking about 1850 of course; never met his father until he was 21. He had a brother who was also isolated and lonely who ate donuts, or the equivalent... fat boy...

RD: Lived in this little club and stayed away...

JB: Yes, the Diogene's where nobody speaks.

From "A thrilling time" published by JBSF

この部分で私が印象的だと思うのは、とても感覚的だということです。母の香水の香り、ドレスの裾のサラサラという音、ごわごわした乳母のエプロンと、ごしごしと洗われる時の感触、そしてもしかしたら、兄が一人で食べているお菓子のにおい。

ジェレミーにとってホームズは、敏感な感覚と知覚を持つ孤独な少年だったのでしょう。そしてジェレミー自身が、感覚の鋭い子供だったのではないかと思います。

そして録音をきいていただくとわかりますが、ジェレミーは途中から何かを思い出しながら話しているような静かな声で、ホームズの少年時代を語っています。上記トランスクリプトに相当するのは、ご紹介した音源の5分30秒からです。

RM
先日の記事「ジェレミーがエドワードに話しかけているところ」でご紹介したインタビュー映像から、もうすこし取り上げたくなりました。前回はPart2となっていましたが、今度はPart1としてYoutubeにアップロードされた映像からです。
Jeremy Brett and Edward Hardwicke interview (Part1)

今までにジェレミーが、ホームズは女性の直観を持っていると話しているのを何回か読みました。たとえばこちらです。3つ目では男物の時計との対比が面白いです。
ホームズの複雑さ(2);1989年のインタビューから
女性の直感と子供の感受性(1)
女性の直感と子供の感受性(2);1992年のThe Armchair Detective のインタビューから

追記:最初は今日のタイトルにも「直感」と書いていましたが、「直観」の方がよさそうな気がして修正しました。そういえば「直観(または直感)にしたがって」という記事でこの二つの意味についてちょっと触れていました。)

今日の引用部分でも、ホームズが女性の直観を持っていると言っています。ほんの一言なのですが、その時の笑顔が素敵なのです。

以下のトランスクリプトに先立つところでは司会者のうちの一人が、「ドイルがホームズ物語を書いたのは、自分が読んだ探偵小説には推理の過程が書かれていないことが不満だったからで、ドイルは推理するということに魅せられたんですね。あなたが魅力を感じるのも、同じところですよね?」とたずねます。映像ではジェレミーの答えは6m20sからで、以下がそのトランスクリプトです。トランスクリプトが載ったページは、先日書いたとおりすでに削除されているのでアドレスを書くことができません。

私がいつも魅力を感じるのは、ホームズはすばらしい論理の力、すばらしい観察力を持つだけではなくて、すばらしい女性的直観力を持っていることなんです。あの立派でカッコいい口ひげのドイルをみたら、彼にもそういうところがあるなんて考えられないでしょうけど。でも僕は、ドイルはホームズに女性的な資質も与えたと思っています。とても面白いのは、あの紳士があの二人の人物を創造したということで、だからホームズとワトスンは同じさやの中の二つの豆なんです。

JB: I think that it's always been the thing that has fascinated me about him, the fact that he not only has brilliant logic, brilliant observation but he also has a brilliant feminine intuition...(smiles) which looking at Doyle with that big whoop-whoop moustache you'd hardly imagine he would have. But I think he endowed Holmes with that as well. You see, what is fascinating is that dear gentle man created these two people and therefore I do think they are two halves of the same pod.

Transcribed by poison_apple37 for a forum called "For fans of Jeremy Brett" in 2006

司会者の女性が、ホームズの推理の能力こそが他の探偵小説の主人公と違うところ、ドイルが目指したところ、そして読者を魅了するところで、演じるあなたにとってもそうですね?と尋ねるのに対して、ジェレミーは彼女の言葉も認めた上で、でも自分がホームズを魅力的に思うのは、その女性的な直観力だと言うのです。これは司会者にとっては意外に思う表現でしょうね。私も今までジェレミーが何度もそう言うのを読んでいなかったら、ぽかんとしたでしょう。

でも今ではジェレミーらしいなあと思いますし、"a brilliant feminine intuition"と言ったときの笑顔がうれしいのです。"that big whoop-whoop moustache"のところも続いて笑顔、そして無邪気な仕草です。

その後で、ホームズとワトスンは"two halves of the same pod"(同じさやの中の二つの豆)と言っていて、他のインタビューで二人はどちらもドイルのある面なのだと言っていることを思い出します。ホームズとワトスンは一人のひとの違う面だということは、かなり違うようにみえても、実は通い合うものをたくさん持っているという言い方もできるかもしれません。この時の手の使い方も、いかにもジェレミーですね。

RM
BBC版、人形劇版、そして原作でのIrene Adlerについて、ナツミさんのブログの記事とコメント欄の両方で、興味深い考察や感想が書かれています。
アイリーン・アドラー

BBC版、人形劇版では完全に遅れをとって、原作においてもとてもシャーロッキアンとは言えない私は何かを書くことはできなかったのですが、皆さんの言葉を読みながら想像の翼を広げて、心の中でイメージを描いていました。そのイメージの中にはもちろん、グラナダ版でのIreneの姿もあり、ジェレミーが語る言葉が私の中に呼び起こしたイメージもあります。そこで、それを少し書いてみようと思いました。久しぶりの「勝手に連動企画」です。

ただその前に、Ireneの名前をカタカナで書こうとして、発音のことに触れない訳にはいかなくなりました。

以前、Lestradeの発音について書いたことがあります。グラナダ版では多くの映像作品が用いているレストラードではなく、レストレードでしたね。これはデイム・ジーン・コナン・ドイルが語ったことにもとづいている、というものでした。
Lestradeをどう発音するか(2)

あのときご紹介した同じ本に、Irene Adlerの名前の発音についても書かれています。ただしこれは、あの時とりたててこのブログで書くほどではなく思えたので引用しませんでした。でもグラナダ版でのIreneの話の前なら、書いてもよいかもしれません。以下の本からです。

The Sherlock Holmes Miscellany
by Roger Johnson & Jean Upton
The History Press, 2012
http://www.amazon.com/dp/075247152X

下のリンク先はGoogle Booksでの該当するページです。
http://books.google.co.jp/books?id=OHc7AwAAQBAJ&pg=PT116#v=onepage

Irene Adlerの名前の発音をどうするかは、(Lestradeの場合とは違って)それほどわかりやすいものではありません。標準的なアメリカ発音では'Eye-reen'(アイリーン)と読みます。アメリカのニュー・ジャージー出身だということからは、この発音が適切だとも考えられるでしょう。英国での発音は、ペネロピーやハーマイオニーといった古代ギリシャにその由来を持つ名前では最後の'e'をギリシャ語発音に従うことにより、'Eye-ree-nee' (アイリーニー)となります。グラナダ版では、英語圏以外で使われるもっと異国風な発音を選びました。'Ayr-ray-na'(エレーナ、イレーナ)です。これには、ヨーロッパのオペラハウスでその名声を誇ったプリマドンナにふさわしいヨーロッパ大陸の香りがします。BBCのSherlockシリーズでは熟慮の末に、よく使われる、そしてもっと現代的なEye-reen(アイリーン)を選びました。後は読者にその判断をまかせます。

Irene Adler is not quite so clear cut. There is the standard American pronunciation of 'Eye-reen', which would be appropriate since she is said to have come from New Jersey. British usage follow the original Greek in pronouncing the final 'e' of the name, thus: 'Eye-ree-nee' (as in 'Penelope', 'Hermione' and other names of Ancient Greek origin). The Granada TV series opted for a more exotic version - 'Ayr-ray-na' - which has a continental flavour fitting for a diva who made her name in the opera houses of Europe. The BBC Sherlock series, after considerable deliberation, went for the popular and more modern Eye-reen. We leave it to the reader to decide.


この本ではグラナダ版での発音を'Ayr-ray-na'と表記していて、これをカタカナであらわすならば「エレーナ」となるのかもしれません。でも耳できくと「イ」により近いようにきこえて、「イレーナ」も併記しました。ちなみに下記ページではグラナダ版での発音を"ee-RAY-nə"と表記しています。またこの発音はドイツ語、フランス語、オランダ語での発音に似ていると書かれています。
http://bakerstreet.wikia.com/wiki/Irene_Adler

下記サイトできける音声では、イタリア語はカタカナであらわせば「イレーネ」に近くきこえます。フランス語では「イレーヌ」。
Pronunciation of Irene | How to say or pronounce Irene

ドイツ語では下記サイトでの書き方では ee-RAY-nuh、カタカナで書けば「イレーナ」が適当でしょう。
Behind the Name: Comments for the name Irene

こちらでは iyREHNah in German と書かれています。この表記の最初の部分は、グラナダ版でボヘミア国王が最初に発音する時の音をはじめとして、ワトスンやホームズの発音を想起させてくれるように思いました。
Irene - Meaning of Irene

いくつかのサイトを巡って、グラナダ版ではヨーロッパのオペラハウスで活躍したIreneの発音として「イレーナ」を選んだということが理解できました。

今日は名前の発音の話で終わってしまいましたが、いつか(次回?)ジェレミーがホームズとイレーナについて言っている言葉を少しご紹介しようと思っています。

RM
以下にあてはまる方のために。

1. ひとの声が好き。
2. 朗読やオーディオブックが好き。
3. ベネディクト・カンバーバッチの声が好き。
4. でもベネディクト・カンバーバッチの情報を積極的には追っていないので、知らないこともたくさんある。
5. 長い手紙を書くのも好き。
6. 物語が好きだし、手紙や日記によってストーリーが展開していく形式の物語も好き。
7. でも実際の出来事を知り、実際の手紙や日記を読むのも好き。

以上のすべてにあてはまる私が昨日偶然知ったのが、第二次世界大戦中にあるイギリス人の兵士が北アフリカから、イギリスに住むある女性に送り続けた手紙をベネディクト・カンバーバッチが読んでいる朗読でした。彼の膨大な量の手紙から選んで書かれた本を、ラジオ朗読用に脚色したものです。

BBCの"Sherlock"やベネディクト・カンバーバッチに関係するニュースを私は特には追っていなくて、ジェレミーに関することを知るために定期的に特定のサイトを訪れたりグーグルで検索したりする中で、ベネディクトのニュースに出会って読むことが多いのです。当然とても限られた情報です。そしてこうして知ったことについては、彼がジェレミーのことを話している場合以外は、特にここに書こうと思ったことはありませんでした。

でも今回は、この朗読をきいて内容も声も表現もとてもいい朗読でこころに響いて、いったい誰が読んでいて何という本からなのだろうと思って調べたところからはじまりました。聞こえてくるフレーズを使った何度目かの検索で、オーストラリアの本屋さんの本の紹介ページがヒットしました。こちらに著者の序文と、何通かの手紙からの引用があります。
http://www.bookworld.com.au/books/my-dear-bessie-chris-barker-bessie-moore/p/9781782115670

これで、この本のタイトルと著者がわかりました。
My Dear Bessie: A Love Story in Letters
by Chris Barker, Bessie Moore and Simon Garfield

本のタイトルで検索したところ、BBCのRadio 4のページに行き当たりました。
http://www.bbc.co.uk/programmes/b05r78dw

このページをみておわかりになるように、"Sherlock"でMolly Hooperを演じたLouise Brealeyも共演しています。Chris Barkerが手紙を出し続けた女性、Bessie Mooreの声を担当しています。

そしてこの朗読は、上記ページのiPlayerであと17日間聴けますが、こちらはストリーミング配信ですから通常は自分のコンピュータに保存することはできません。でもPodcastで配信されていて、以下のBBCのサイトからあと6日間に限ってダウンロードできます。今日が5月3日ですから5月9日まででしょうか。声も気持ちの表現もすばらしい朗読です。興味のあるかた、最初に書いた7つの条件の多くにあてはまるかたは、はやめにダウンロードをどうぞ。
http://www.bbc.co.uk/podcasts/series/ptw

BBCのこちらのページには手紙を交わした二人、そして手紙の写真があります。
http://www.bbc.co.uk/programmes/articles/46X06Sr0LpByShxTmMNQ7Cm/my-dear-bessie-photographs

これを知るきっかけを作ってくださったかた、ここをご覧になることはないでしょうが、こころの中で感謝申し上げます。

RM

追記)ナツミさんへのお返事に書いたアドレスも含めて、いくつかのアドレスをこちらにも書きます。

二人の俳優はLetters Liveというイベントでもこの手紙を読んだそうです。こちらはLetters Liveのサイトです。
http://letterslive.com/

このLetters Liveのためのビデオクリップが上記サイトにありますが、同じものをYoutubeでも見ることができて、そちらでは英語や日本語の字幕も表示させることができます。
https://www.youtube.com/watch?v=sgN66KN_FYg
https://www.youtube.com/watch?v=dAOKsDhMsaE

それから、年老いた Chris と Bessie の笑顔の写真がとても素敵な、The Telegraphの記事です。手紙からの引用もあります。
http://www.telegraph.co.uk/women/sex/valentines-day/11409408/Dear-Bessie-World-War-One-letters-that-started-a-lifelong-love.html

追記2)自分の覚え書きも兼ねて、あといくつかのアドレスを書きます。

この作品の元になった本の著者のページ
http://www.simongarfield.com/pages/books/my_dear_bessie.htm
http://www.simongarfield.com/pages/books/to_the_letter.htm

Letters Liveのイベントに参加した人のブログ記事。2013年、2014年にもベネディクトはこの手紙を朗読したそうです。ルイーズは2014年からのようです。
https://acrosstheartuniverse.wordpress.com/2015/02/14/letters-live/
前の記事のコメント欄でさきさんにお話したように、ホームズを演じているのではない時のジェレミーがエドワードに話しかけているところに特に注目して、二人のインタビュー映像の一部をご紹介したくなりました。このインタビューのクリップは2007年にYoutubeにアップロードされたものですので、さきさんも、そして多くの方もご存知かもしれませんね。
Jeremy Brett and Edward Hardwicke interview (Part2)

このインタビューでは、ジェレミーとエドワードがそれぞれインタビューアの質問に答える中でも、お互いに発言を補足し合ったりもしています。その中でジェレミーが直接にエドワードに話しかける部分が、下に引用したところの最後です。

以下には2m00sから2m44sまでのトランスクリプトをあげます。これは"For fans of Jeremy Brett"というフォーラムへの投稿によるものなのですが、残念ながらこれを書いてくれた人は自分のアカウントを削除してしまったらしく、今ではそのページがなくなってしまったので、リンクをはることはできません。

Were you worried - not about him coming - but the change in your sparring partner on screen?

JB: Yes. Yes, truthfully. But then this miracle occurred (gestures to EH) and, Edward is a very gentle person and very sensitive and so tried very hard not to upset or shake the boat in any way, and succeeded. What could have been a disaster for the series turned into a bonus. It was a great shock at the beginning, because David and I had been together for about a year and a half, we'd built up a great rapport and he wanted to go home because he had a young son called Tom, who was then 2 - he's a bit older now - and wanted to be with him. In actual fact it was his wife who suggested you, wasn't it?

EH: Yes, we were working together.

JB: That's right.

EH: And David had been trying to decide what he was going to do.

Transcribed by poison_apple37 for a forum called "For fans of Jeremy Brett" in 2006

インタビューアの質問に答えた後、このトランスクリプトでは最後の部分、映像では2m35sからジェレミーはエドワードに笑顔で話しかけています。

「ワトスンには君がいいんじゃないかって言ってくれたのはデイビッドの奥さんだったよね。」「うん、僕たちはその時ちょうど共演していたんだ。」「そうだったね。」

最後の"That's right"というのも実に優しくて、ジェレミーらしい声と調子に思えます。

その後エドワードはインタビューアの方を向いて、「デイビッドは、これからどうしようかって考えていたところだったんです」と言っています。インタビューアの質問にジェレミーが答え、そしてエドワードに確認するとエドワードがジェレミーに答えて、エドワードがインタビューアに補足説明をする。こういう自然な会話の流れが気持ちよいのです。

その前の部分では、ジェレミーはTom Burkeのことも話していますね。この時のジェレミーの笑顔も素敵です。Tom Burkeのことは何回か、このブログでもとりあげました。そのうちのいくつかはを以下にあげます。
いろいろな写真、その1(David Burkeの息子、Tomのことも少し
Mr Binksのこと(1)、でも脱線してTom Burkeのこと
David BurkeとTom Burkeの共演と、二人のインタビュー記事
David Burke, Anna Calder-Marshall, Tom Burkeの写真

そして3m00sからは、司会者の質問に答えて話しているエドワードをジェレミーがじっとみつめていて、エドワードは話しながら時折確認するように、あるいは当時のことを思い出すようにジェレミーの方を見ます。二人がお互いを信頼して大切に思っている様子が伝わってきます。

RM

 RM

Author: RM
コメントは承認後に公開されます。古い記事へのコメントも大歓迎です。2010年8月7日に始めました。
私の記事へのリンクはどうぞご自由になさって下さい。
和訳には間違いがあるかもしれません。最近は必ず英語原文を併記・またはアドレスを書いて読めるようにしていますので、どうぞそちらも参考になさってください。

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