Jeremy のことが知りたくて ~ ジェレミー・ブレット(Jeremy Brett)を愛するかたへ

英グラナダ・テレビでシャーロック・ホームズを演じた俳優の人生を言祝いで

A Picture of Katherine Mansfield (1973) のDVD発売について、先日書きました。そこでふれたように、Katherine Mansfieldを演じるのはVanessa Redgrave(ヴァネッサ・レッドグレイヴ)です。

彼女の父はMichael Redgrave(マイケル・レッドグレイヴ)、娘はNatasha Richardson(ナターシャ・リチャードソン)ですから、考えてみると三代にわたってジェレミーは一緒に仕事をしているのですね。名優マイケル・レッドグレイヴは、ジェレミーとIngrid Bergmanが共演した舞台A Month in the Countryを演出しました。また、ナターシャ・リチャードソンは「ぶなの木屋敷の怪」でViolet Hunterを演じた女優ですね。

さて、ヴァネッサ・レッドグレイヴとジェレミーの共演で他に、というと思い浮かぶのがDesign for Living (1973)です。 ちなみに、二度目の奥様になるJoan Wilson(ジョーン・ウィルソン)がジェレミーをはじめてみたのがこの舞台でした。

この1973年の舞台のプログラムの、ヴァネッサのサイン入りの見開き1ページを最近ネットでみましたので、それをご紹介しましょう。かなり大きな写真で、ジェレミーもみることができます。

How I met the queen of Camelot
by Joel Recla
The Philippine Reporter, Jul 10, 2015
http://philippinereporter.com/2015/07/10/how-i-met-the-queen-of-camelot/

この筆者は公演の時にヴァネッサの楽屋を訪れて、このプログラムを彼女から直接もらっているのですが、記事の中には、劇場に行って彼女に会えることになった経緯、そして彼女との会話の様子が書かれています。

プログラムからの見開き1ページは、この記事の一番最初にあって、クリックするとかなり大きくなります。右にジェレミーがガウン姿で写っていますよ。

Brettish Empireに今日の写真も含めて、このプログラムから写真が4枚載っています。このページの一番下です。
http://www.brettish.com/middle-stages.html

この舞台の時ジェレミーはまだ、未来の奥様になるジョーンが観ているなんて知りませんでした。ひとの運命というものも面白いですね。考えてみると十日前には今日の天気も、誰と出会うかも、私には何もかも予想できなかったし、これからも予想できないんですもの。

RM
今年の1月だったと思います。雑誌The Armchair Detectiveの1985年秋号でのインタビューからの抜粋が、The Lineupというウェブサイトに載りました。
http://www.the-line-up.com/jeremy-brett-sherlock-holmes/

このブログでもThe Armchair Detectiveのこの記事を今まで何回かご紹介してきました。
「海軍条約事件」について;1985年のThe Armchair Detective のインタビューより
ホームズとワトスンの友情;1985年のThe Armchair Detective のインタビューより(1)
ホームズとワトスンの友情;1985年のThe Armchair Detective のインタビューより(2)
扉をあけて;1985年のThe Armchair Detective のインタビューより

The Lineupには、私がかつて引用した部分もありますし、そうでない箇所もあります。興味のあるかたは上にあげたThe Lineupのページへどうぞ。

ここでは、このページでも引用されている、「まだらの紐」の中のあるシーンについて話している短い部分を紹介します。このインタビューはジェレミーが「最後の事件」を撮り終えてアメリカにいた頃のもので、Herbertはインタビューアの名前です。

Herbert:シャーロック・ホームズは恐怖という感情を経験しているんでしょうか?もしそうなら、ワトソンはそれを知っていますか?

ブレット:ホームズは経験しています。私は「まだらの紐」の中に、ホームズが恐怖を感じているところを入れました。ホームズは恐ろしさでふるえていて、でもワトスンには背中をみせています。俳優は原作をもとにそれをどう演じるかを選ぶんですよ。ワトスンはその時ホームズがふるえていたのを見ていません。


HERBERT: DOES SHERLOCK HOLMES EXPERIENCE FEAR? AND IF SO, DOES WATSON KNOW IT?

Brett: Yes. I put that in, in "The Adventure of the Speckled Band." Holmes is quaking, but he's got his back to Watson. An actor's got a choice in dramatizing something. Watson doesn't see it.

Interview With Jeremy Brett
by Rosemary Herbert
The Armchair Detective, Vol.18, No.4, Fall 1985
(Source: The Lineup)

手がわななく、あのシーンですね!

これを読んで、あらためて原作をみてみました。

私はピストルを出してテーブルの上においた。

ホームズはもってきた細長いステッキを膝のわきにおき、そのそばへマッチと蝋燭を一本用意した。それからランプの芯を回して消したので、あたりはまっ暗になってしまった。(延原謙訳)


I took out my revolver and laid it on the corner of the table.

Holmes had brought up a long thin cane, and this he placed upon the bed beside him. By it he laid the box of matches and the stump of a candle. Then he turned down the lamp, and we were left in darkness.


確かに原作には、ステッキやマッチや蝋燭を置くホームズの手が恐怖で震えた、という描写はありませんね。

Jeremy Paulによる元々の台本も読んでみました。Scene 47が該当シーンで、そのト書きは以下のようになっています。

ワトスンはピストルをすぐに使えるようにしてテーブルの上におく。ホームズはランプをテーブルにうつして、ベッドの片側に腰かけて、ワトスンに背を向けて通風孔に面する。ホームズは細長い杖を自分のそば、ベッドの上にのせ、さらにマッチと蝋燭をおく。

Watson places his revolver ready on the table. Holmes moves the lamp to the table, then sits on the edge of the bed, facing the ventilator, away from Watson. Holmes puts his long, thin cane on the bed beside him—also some matches and the stump of a candle. Then he puts out the lamp.

The Speckled Band: The Adventures of Sherlock Hollmes
by Jeremy Paul
http://www.amazon.com/gp/product/0860254356?

ここにも震えるという描写はありません。ちなみに実際の映像では原作や台本とは順番が少し違っていて、部屋に入ってすぐにベッドの上に杖をさっと置いて、ワトスンに二度ささやいた後、蝋燭、マッチをベッドの上に丁寧に並べ、そして杖をそのそばに置きなおしていました。ジェレミーがインタビューで言っているのは、その杖を置くホームズの手、です。

ジェレミーは自分が演じるホームズに、原作や台本にはない、恐怖におののく部分を入れたかったんですね。そのことをこのインタビューを読み直して、あらためて知りました。

そして、ジェレミーのなかのホームズは、そういう自分をワトスンには見せたくないと思った、あるいは自分の恐怖心を見せることでワトスンまで恐怖に陥れたくないと思ったのでしょう。

RM

追記:おととい、ジェレミーがIngrid Bergman(イングリッド・バーグマン)と共演して、彼女から幸運のトロール人形をもらったことにふれましたが、今日はこの名女優の生誕100周年の日だそうです。
今日もぶらぶら歩きです。

子供はホームズが好きだということ、あるいはホームズは子供の感受性を持っているということ、何度もジェレミーは話しています。たとえば子供の感受性をジェレミーがどう描写しているか、こちらでご紹介しました。この表現、大好きです。
子供の感受性(「Mystery!: A Celebration」から)

今日の言葉はとてもシンプルですけど、でもこれも好きです。

ホームズは特に子供をひきつけます。8歳までは子供の感覚はホームズのように鋭くて、すべてのことをみて、嗅いで、きいています。でも8歳になると、ラテン語文法を勉強しなさい、って言われるんですよね。子供たちはホームズがどんなふうに推理するか、ちゃんとわかります。子供もホームズと同じように考えますから。

"I think he appeals especially to children because until they are 8, their senses are as acute as his," he says. "You see and smell and hear everything, as Holmes does. Then you're told to learn your Latin syntax. Children understand his deduction, because they think that way."

Five New Cases For Brett's Holmes
by Jerry Buck
The Free Lance-Star - Nov 12, 1991
http://news.google.com/newspapers?&id=pgFOAAAAIBAJ&pg=4710,2174495

"You see and smell and hear everything, as Holmes does."(子供はホームズと同じように、すべてをみて、嗅いで、ききます)というところ、シンプルだけどいいなあと思います。

最近、自分の中の子供の部分、もっと前の赤ちゃんの自分を思うことがあります。理屈とか、判断とか、分類とか、過去から持ち越したイメージとか、そういうもの以前の世界。そういう世界を生きるのが、大人になった私は多分不得意だけど。ああ、でもそういえば、今日生まれた赤ちゃんのようだ、と感じながら暮らしていた頃がありました。

ジェレミーは、ホームズは歩く頭脳みたいな人間だ、と言っていますが、ジェレミーの演じるホームズはそれだけではないんですよね。子供の感受性を持っている。それはジェレミー自身が、そういう部分もちゃんと生きていたからじゃないかしら、と思います。

RM
このところちょっと大変で、そうすると、ほっと一息ついたところで何か書きたくなるみたいです。かるーい、ぶらぶら歩きをしたくなるみたいです。(同じ日付で二つ書いていますが、前の記事は日付がかわってすぐでした。)


ちょっと前の記事で、Ingrid Bergman(イングリッド・バーグマン)から北欧神話に出てくるトロールの人形を幸運のお守りとしてもらった、とジェレミーが話しているのをご紹介したあと、

他のインタビューで、幸運のお守りとしての馬の蹄鉄を持っている、と言っていた記憶があるのですが、それもイングリッド・バーグマンからじゃなかったかしら。うーん、記憶がさだかではありません。みつかったらまた書きましょう。

と書きましたが、この記憶は間違っていました。

トロールと馬の蹄鉄が出てくるのはBrettish Empireのこのページに載っていたインタビューでした。
http://www.brettish.com/jackie_meets_jb_again.htm
1969年の雑誌からです。

「迷信を気にしたり縁起をかつぐほうじゃないんですよ。とは言っても、緑の手と顔をもつ小さなトロールを持ってます。イングリッド・バーグマンからもらったもので、これは何があっても手放したりしません!」

ジェレミーは幸運の馬の蹄鉄も持っていて、それがいつもと違う向きになっていたら、数時間ですべてがめちゃめちゃになるのを知っている。


'I'm not really worried about superstitions,' he insists, 'but I do have this little troll with green hands and face. Ingrid Bergman gave it to me, and I wouldn't part with it for anything!'

He also has a lucky horse-shoe, and if that gets turned the wrong way up, Jeremy knows everything will go haywire in a few hours.

Jackie, September 13, 1969

というわけで、馬の蹄鉄はバーグマンからじゃなかったんです。馬と一緒に育ったジェレミーですから、もしかしたら、子供の頃から持っていたのかもしれませんね。

トロール人形はこの時の言葉どおり、約30年後の1988年の時点でも手放すことなく大切に持っていたんですね。ちなみにバーグマンが亡くなったのは1982年です。


バーグマンのインタビューをYoutubeで検索してみました。私がみたのは、一つは英語、もう一つはフランス語でのインタビューでした。(フランス語はチンプンカンプンでした。第二外国語だったので、音としてはどこか親しみを感じますが。)どちらも気品と威厳と魅力と慎ましさがあって、あらためてひきつけられました。

RM
三年ほど前に、こんな記事を書きました。
ジェレミーとアナの結婚式の時のニュース映像

「アナ」と書いたのは、Anna Massey(アナ・マッシー)のことです。ここでご紹介したのは1958年5月29日のニュース映像で、実際の結婚式は5月26日でした。

結婚式のニュース映像のクリップは、上の記事で書いたアドレスに今もあります。AP (Associated Press) 通信社のアーカイブサイトの中、British Movietone Newsを集めた部門のページです。でも、ブラウザによって、あるいはプラグインの有無によっては、観ることができない場合もあったようです。

ところが最近になって気がついたのですが、 AP アーカイブ、British Movietone部門の公式Youtube チャンネルが今年の6月にできていました。そして7月にジェレミーとアナのクリップがアップロードされました。Youtubeのビデオの方が視聴が手軽だと思いますし、画質も同等かそれ以上だと感じましたので、あらためてご紹介します。
https://www.youtube.com/watch?v=FDZr4vVKOy4

(ただしビデオの説明はAP アーカイブのウェブサイトの方が詳しいです。)
http://www.aparchive.com/metadata/view/959f27bbeb1249fca58f5e8df66bf1d9


これをはじめてみた時のことを思い出します。時を一瞬でこえて、1958年のイギリスにいるような気がして、ぼーっとしました。あ、もちろん二人の結婚式に参加しているような気持ち、とまでは言いません。でも、映画館でニュース映画をみている気持ちになりました!

その、時をこえたような気持ちを味わった2012年10月を、今は少し夢の中のことのようにも感じます。いろいろな思い出があります。そのころはまだ、ジェレミーのファン・フォーラムに参加していたこと、これをみつけたすぐ後に京都に行った時のこと。

そして、いろいろな思いを抱いている今のことを、いつか夢のように思い出すことが多分あるのでしょうね。「時」って、当たり前のようでもあり、でもおもしろいものです。

RM
嬉しいことに、ジェレミー出演作品がDVDになります。1973年のBBCのドラマ "A Picture of Katherine Mansfield" で、当時5回シリーズとして放送されました。全部で307分となっていますから、1回1時間ですね。これは過去にビデオとしても発売されていなかったので、まったくのはじめてです。

イギリスアマゾンのページはこちらです。10月5日発売となっています。
http://www.amazon.co.uk/dp/B00XNB1JXU
今のところ日本のアマゾンにはページがありません。もう少ししたらできるかもしれませんね。

数ヶ月前からイギリスアマゾンに名前があがっていたのですが、書影...というかDVDのパッケージ画像が掲載されていなかったので、発売がどこまで確実かわからず、ご紹介をためらっていました。でも先日アマゾンに画像があがって、さらにYoutubeに紹介映像がアップロードされましたので、もう間違いないですから大喜びでここに書きます。

発売元のSimply Mediaのぺージはこちらです。写真が一枚、そしてこのDVDの説明が書かれています。
http://www.simplymedia.tv/smymedia/a-picture-of-katherine-mansfield/

このページの説明によりますと、Katherine Mansfield(キャサリン・マンスフィールド)はニュージーランドで生まれて15歳でイギリスに渡り、主に短編の作家として知られています。23歳でJohn Middleton-Murray(ジョン・ミドルトン・マリー)と結婚し、34歳で亡くなりました。このシリーズは毎回、彼女の生涯を描いた部分と、彼女が書いた短編とから構成されます。

Vanessa Redgrave がこの作家を、そしてジェレミーがジョン・ミドルトン・マリーを演じます。

Jeremy Brett Informationのページにも、この作品の説明と、2枚の写真があります。
http://jeremybrett.info/tv_mansfield.html

そしてYoutubeのページはこちらです。Readers Digest UKのDVD紹介チャンネルのようです。
A Picture of Katherine Mansfield - DVD available 5th October
https://www.youtube.com/watch?v=vdnKGpNCwr0

最初はマンスフィールドの棺に歩み寄るマリー、そしてその後、講演か何かでしょうか、亡くなった妻のことを話しているマリーと、妻との日々の回想場面がいりまじった映像が流れます。


最後に、この作品に関してジェレミーが少し触れている記事のご紹介をしましょう。いつものように演じることにまっすぐなジェレミーですが、実在の人を演じるということで、さらに責任を感じていた様子がうかがわれます。1987年のインタビュー記事からですから、このドラマでマリーを演じた十数年後の言葉で、すでにホームズを演じていたころです。

実在の人物を演じるのは、架空の人物の場合よりもむずかしいですか?

「どっちも大変ですよ!」とジェレミーは笑う。「でももしも実際にいた人を演じるなら、特に家族や親戚がまだ生きている場合は、その人たちがいやな気持ちにならないか気にかけておく必要があります。私はいつもそのことを考えています。」

「"A Picture of Katherine Mansfield"でジョン・ミドルトン・マリーを演じた時、マリーの未亡人から手紙が来ました。『夫をどんなふうに描くか、どうぞよく考えて演じてくださいね。』それを読んで、ずいぶんいろいろと考えました。


Are real people any harder to play than fictitious characters?

"They're both as difficult!" Jeremy laughs. "But you have to be very careful if you're playing a person who has lived, not to offend the relations if there are any still alive. I'm always aware of that.

"I remember when I was playing John Middleton Murry in 'A Picture of Katherine Mansfield,' I had a letter from Murry's widow, saying, 'Please take care how you portray him.' That mede me think quite a lot, as you can imagine."

The Secret of Success
by Christine Palmer
January 17, 1987 [source unknown]

RM
前々回引用した部分の続きです。ただし最初の一文はこの前と同じで、その次からが今回の新しい部分です。

「昔からなじんでいるものに触れると、台詞を覚えるのがとても楽になるんです」とジェレミーは言う。こういった「もの」というのは実に様々で、たとえば子供の頃一緒だった犬の写真が小さな金属のフレームにはいっていて、下に「Mr Binks」とその名前が彫られているものもあるし、北欧神話に出てくるトロールの、手作りの松ぼっくり人形は、Ingrid Bergman(イングリッド・バーグマン)から幸運のお守りとしてもらったものだ。軍人だった父が第一次世界大戦での功績により勲章を授かった時の、Lord Kitchener(陸軍大臣キッチナー卿)の署名入り勲記もある。

"Touching familiar things when I'm learning my lines helps me tremendously," he says. These "things" are as varied as a tiny framed photo of his childhood dog, in a metal frame with "Mr Binks" engraved on the bottom, a handmade pine-cone troll given him by Ingrid Bergman as a good luck charm, and his father's military commendation for service in World War One, signed by Lord Kitchener.


出典は前々回にふれたとおり、題と筆者以外ははっきりしませんが、ひとつの情報として疑問符付きで書いておきます。

On the Holmes Front
by Marilyn Murray Willison
Sunday Mirror magazine (?), November 13 1988 (?)

はっきりしないというのは、たとえばこのeBayの過去の記録(写真つき)では、"source: unknown, published c.1988" となっていて、判型からThe Observerの日曜版ではないか、と書かれていますし、
http://www.worthpoint.com/worthopedia/jeremy-brett-sherlock-holmes-magazine-250219349

こちらのフランスのファンサイト(現在は更新していないサイト)では、July 1989の記事となっていて、掲載紙(誌)はわからないとされています。
http://jbsfasso.free.fr/revuedepresse/revuedepresse.htm


さて、今日のところです。ジェレミーの愛犬Mr Binksのことは、ご存知のかたも多いでしょう。ただ、子供のころ一緒で、ジェレミーが15歳の時(1948年か49年)に死んだMr Binksと、1970年代に死んだMr Binksがいます。すくなくともジェレミーのインタビューを読んだりきいたりするとそうなのです。

写真をみると両方のMr Binks(と思われるワンちゃん)は同じとは言えないけど似ていて、ジェレミーのなかではこの二匹は名前だけでなくその存在もつながっていたんじゃないかしら、と私は想像しています。たとえば15歳の時にMr Binksを失った時の衝撃と悲しみを話した後、Mr Binksを失ってからはもう犬を飼わなかったと言っているのですが、実際には30代でまた、別のMr Binksと暮らしています。ジェレミーの中でMr Binksは言わば一匹だけだったとすれば、理解できます。

Mr Binksについてはまたあらためて書くことにします。

次に出てくるイングリッド・バーグマンからの幸運のお守りのお人形は、この記事以外では読んだことがありません。イングリッド・バーグマンと共演した舞台はA Month in the Country (1965) ですから、23年くらい前の手作りの松ぼっくり人形をずっと持っていたんですね。ジェレミーはこういうものを大切にする性格なんですね。二人の舞台写真はたとえばこちらにあります。
http://jeremybrett.info/st_month.html

他のインタビューで、幸運のお守りとしての馬の蹄鉄を持っている、と言っていた記憶があるのですが、それもイングリッド・バーグマンからじゃなかったかしら。うーん、記憶がさだかではありません。みつかったらまた書きましょう。

最後には父の勲章の勲記について書かれています。軍人としてのお父様の功績にまつわる品を、こうして身近に置いていたのですね。勲章のメダルをアメリカでの舞台公演で持っていたのも、思い出されます。
父の勲章:1985年のインタビューより

こういう思い出の品に囲まれて、部屋を歩きながら時々それらにふれつつ、台詞を覚えているところを想像しています。

RM

追記:イングリッド・バーグマンに関するところ、二つ記憶違いがありました。幸運のお守りについてジェレミーが話している別のインタビューも読んだことがあるという点、そして馬の蹄鉄はバーグマンからとは言っていない点。こちらの記事に書いています。
約一ヶ月後の9月12日は、ジェレミーがこの世を去ってから20年目の日になります。この日にあわせて、ロンドンで友人達やファンによる集まりが計画されていますのでご紹介します。

Facebookのグループで昨年来計画され、折々に予定が告知されていましたが、数日前にThe Sherlock Holmes Society of London(ロンドン・シャーロック・ホームズ協会)のウェブサイトにお知らせが載りました。協会のこちらのページです。
http://www.sherlock-holmes.org.uk/remembering-jeremy-brett/

Claphamのフラットの屋上で撮られた写真がつけられていて、クリックで大きくなります。ジェレミーの後ろにみえるのがClapham Commonです。

このブログでも以前書きましたが、2007年3月30日にClapham CommonのBandstand(屋根付きの屋外ステージ)の近くに木が植えられました。木の種類はhorse-chestnut(マロニエ)です。
「ジェレミーの木」が植えられて6年たちました

今回はさらに、近くに記念のベンチが置かれて、仕事仲間や友人達も集まる予定です。参加したい方は9月12日の午後1時にBandstandのあたりに集まってください。

"The Secret of Sherlock Holmes"がロングラン上演された Wyndham's TheatreのRoyal Circle Barの壁には普段から、Marcus Tylorによってこの劇場の楽屋で撮られたジェレミーの写真がありますが、この日はKeith Hardingによる"The Secret of Sherlock Holmes"の舞台写真のセットも飾られる予定です。劇場の好意により、9月12日午前10時からお昼12時の間、バーに入れます。


なお、Keith Hardingによるこの写真のセットの一部は、権利保護のマークつきではありますが、こちらでみることができて、購入も可能です。
http://www.goodnessgracious.co.uk/newsite/gallery.php?album=main/SherlockHolmes
これらはYvonne Arnaud Theatreで撮影されたものです。

またバーの写真はMarcus Tylorが撮ったものに言葉がそえられていますが、同じ時に撮られたジェレミーの写真は36枚セットとして購入できますし、写真集にもなっています。
ジェレミーの写真集(再度のご紹介)


この集まりに関しては、最新情報はFacebookのページをご覧ください、として二つのグループのアドレスが書かれていますので、興味があるかたはそちらへどうぞ。

7月16日に書かれたFacebookの記事では、ジェレミーと親交のあった参加予定者・希望者としてDavid Stuart Davies("Bending the Willow"の著者)、David Burke(ジェレミーのワトスンの一人)、Rosalyn Landor(「まだらの紐」のヘレン・ストーナー)、Jean Upton(このブログでも何回かふれた、ジェレミーをよく知るシャーロッキアン)の名前があがっています。
https://www.facebook.com/events/1462453807302910/permalink/1652756301605992/

私はもちろん参加できないのですが、よい集まりになるように願っています。

RM
前回、ジェレミーがお母様のことを話しているところを引用しましたし、少し前に、お父様の乗馬ズボン勲章(メダル)をずっと持っていることに触れましたので、思い出して書きたくなったことがあります。お母様からの贈り物で、小さい頃からそばにあったもののことです。

有名人の家はたいてい、来た人に感銘を与えることができるようにしつらえてあるものだが、ジェレミー・ブレットのフラットはそれとは無縁だ。高価なものではなく、自分に価値のあるものが置かれている。両親から受け継いだ古い家具や調度ががいろいろとある。よく使い込まれていて、金銭的な価値ではなく懐かしいものということで大事にされているのだ。鉢植えのランの下の真鍮の皿は母からの贈り物だ。子供の頃は小物を入れておく皿として使っていた。今は身の回りの多くの物と同じように、ジェレミーが家のなかを歩き回りながら台詞を覚えるのを助けてくれる。

「昔からなじんでいるものに触れると、台詞を覚えるのがとても楽になるんです」とジェレミーは言う。

Unlike the homes of many successful celebrities, there is nothing in Jeremy Brett's flat designed to impress visitors. It is furnished with valued, rather than valuable, items. The antiques are a varied mixtures of inherited pieces, well used and treasured for their sentimental rather than monetary value. A brass plate underneath an orchid plant was a gift from his mother. As a child, he used it to hold his trinkets. Nowadays, like so many of his possessions, it helps him as he paces up and down the flat, trying to memorise lines.

"Touching familiar things when I'm learning my lines helps me tremendously," he says.


この記事についているClaphamの家でのジェレミーの写真はネット上にありますので、みたことがあるかたも多いでしょう。たとえば以前こちらでご紹介しました。
ジェレミーの写真(若い頃の写真と、Claphamの家での写真)

この切り抜きはeBayにも時々出るのですが、書誌情報が今一つはっきりしません。今回はある出品者が説明文に書いていたのに従って、疑問符付きで下に記します。

On the Holmes Front
by Marilyn Murray Willison
Sunday Mirror magazine (?), November 13 1988 (?)

ジェレミーのClaphamの家には、懐かしいものがたくさん置かれていたのですね。こういう記事も好きです。ホームズを演じていた頃のジェレミーの近くに、子供の頃からの思い出の品があったという、そんな些細なことではあるけれども。多分「思い出」と「歴史」を持つ一人の人間を感じさせてくれるからでしょう。


私にも「思い出」と「歴史」があって、でも時としてそれは夢のようにも思えます。そして今の私が「私」を感じているのもいつかは夢のようにも思えるのでしょう。でも今の私が感じている「私」は、今はちゃんとここにいる。

私以外の人にもそれぞれの「思い出」と「歴史」があって、私が「私」を感じるように、それぞれの「私」を感じている。それは当たり前と言えばそうでしょうが、静かにそのことを感じていると、だんだん不思議に思えます。そしてそれぞれが「私」を生きているということが、時にとても愛すべきことのように思えます。

私はなんだか妙なご縁で(あ、もちろん一方通行のご縁で)、ジェレミー・ブレットというひとのことを知りたいというこころの動きにあわせて、これまで読んだりみたり聴いたりしてきたのですが、いつも思うのは、ジェレミーじゃなくてもよかったのに、なぜかそうだったということです。そして、こうして私の実際の生活とは何の関係もない一人の人のことを思うのは、私の周りのそれぞれの人が持つそれぞれの「私」のことを、どのように感じることができるか、私の周りの世界をどう感じるかということに、意外に思えるけれどもとてもしっかりとつながっているようです。


このブログをはじめた2010年8月7日から5年たちました。そのちょうど一年前は、私にとって大きな意味を持つ日でした。ジェレミーとの一方通行のご縁に感謝して、読んでくださるかたとのご縁に感謝して、のんびりと続けていくことになるだろうと思っています。

そして今日は、Edward Hardwickeのお誕生日です。あたたかい気持ちをこめて、おめでとうございます、とこころのなかでお祝いをお伝えします。

RM

 RM

Author: RM
コメントは承認後に公開されます。古い記事へのコメントも大歓迎です。2010年8月7日に始めました。
私の記事へのリンクはどうぞご自由になさって下さい。
和訳には間違いがあるかもしれません。最近は必ず英語原文を併記・またはアドレスを書いて読めるようにしていますので、どうぞそちらも参考になさってください。

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