Jeremy のことが知りたくて ~ ジェレミー・ブレット(Jeremy Brett)を愛するかたへ

英グラナダ・テレビでシャーロック・ホームズを演じた俳優の人生を言祝いで

イートン校でのジェレミーのことを、インタビュー記事などをもとにしてお話する2回目です。

1991年11月6日に、アメリカのイリノイ州シカゴで行われたインタビューです。ですからこれもアメリカツアーの時です。このインタビューもまた、おこなわれてから長い時がたって後に文字になりました。正確には、このインタビューを元に短い記事ができましたが、30分のインタビューの全体が文字になったのは、およそ15年後でした。ここでもまた、ジェレミーに会った人が時を経てもジェレミーのことを忘れずに、その時のことを伝えようとすることに驚かされます。この中からイートンの聖歌隊でのこと、その他歌うことについてジェレミーが話しているところを少し短くして紹介します。

原文が読めるのはこちらのサイトです。
http://homepage.mac.com/kevinmurphy1532/Writer/new_material--or_why_no_mor_2/restored-jeremy-brett-inter.html

(これまでにあなたは歌うことに、ずいぶん関わってきたのですね。)

はい、歌うことについては本当に残念なんですけど。というのは、僕はとても歌手になりたかったんです。オペラ歌手にね。レコードを聴いたからわかるのですが、僕は本当にすばらしいソプラノの声を持っていたんです。8歳、9歳、10歳、11歳、12歳の頃には、ブラームスのレクイエムの"Ye Are Now Sorrowful" などを歌っていました。イギリスの主な聖堂すべてで歌っていたんですよ。そして、ちょっと芝居がかっていると言われながらも(インタビューアが笑う)、すばらしいアリアを歌ったものでした。

その後、変声期で声が出なくなってしまったのですが、「戦争と平和」の撮影のためにローマへ行った時に、音楽学校の教授に会って言われたのです。「すばらしいテノールの声ですね。俳優をやめて、歌うことを考えてみませんか?歌うことに生涯を捧げるべきです。」それで、彼女の部屋でちょっとした音を出してみたら、ソプラノの声の時と同じくらいにわくわくしました。でも困ったことには子供の頃のソプラノは完全に自然な声だったんです。エリザベス・シュワルツコップ(有名なソプラノ歌手)のようにね。僕のテノールの声も相当なもので、しばらくはその声で歌うことができたのですが、でも悲しいことに僕たちの職業でははじめから歌を歌うと、俳優だとまじめにはとってもらえなくなるのです。それで最後に「メリー・ウィドウ」でダニロを歌って、それでやめました。悲しかったのですが、でも今はそれほどでもありません。今は聴く方が好きです。歌うのは本当に大変なことで、特にテノールは自然な声の出し方をする声域ではありませんから、声帯にとても負担をかけるのです。風にあたってもいけないし、歌う前三日間はしゃべってはいけないし。だから歌うことに完全に人生を捧げなければなりません。パバロッティを聴くとき、プラシド(ドミンゴ)を聴くとき、カレーラスを聴くとき、あの声はまったく奇跡なんです。だから舞台で歌えなくなったことをもう後悔はしていません。今は聴く方が楽しいのです。


ここでもレコードの話が出ました。聴いてみたいものです。ローマで音楽の教授にほめられた時は、うれしかったでしょうね。

「イギリスの主な聖堂すべてで歌っていた」というところを読んで、それではイギリスでは多くの人がジェレミーの歌声を聴いたのだなあ、としみじみと思っていました。そしたらロンドンっ子のジェレミーファンがこの部分を引用して、ここを読むと笑みがこぼれる、ジェレミーったら大げさに言ったのね、とコメントしました。それに対してイギリスやイギリス以外のファンが口々に、ジェレミーはいつも冗談が大好きで、このちょっと大げさに言うのもジェレミーらしい、とか、同じことを話して退屈するよりも、時々ちょっと本当と嘘の境のようなことをまぜるんじゃないかしら?とか、ジェレミーは子供のまま大きくなったようなところもありますよね、とか、だから好きなんです!大きな子供で、そして完璧な美しさを持っているところが!とか、いろいろなコメントがつきました。イギリス人からみたら、イートンの聖歌隊がいくら有名でも、イギリスの主要な聖堂すべて、は言い過ぎでしょうと思うのでしょうね。私はまったくわからなかったのですが。

ジェレミーが子供のような無邪気さと情熱を持っていることは、以前にこの記事で触れました。
His zest for life; 生きることへの情熱、この人生を愛して楽しむこと
「こういう、人生を子供のような気持ちで楽しむところが好きです。ジェレミーの中には、この人生に向き合う賢者としての顔と、小さな子供のような、少年のような顔が同居しているようです。」

この人生を今日生まれた子供のように愛した人。この時もアメリカの地で楽しくインタビューを受けて、楽しく、ちょっと大げさなものいいも含めてしゃべったのでしょうね。そして世界中のファンが、ジェレミーのそういうところ、子供のまま大きくなったようなところも含めて、ジェレミーを愛していることを今回はからずも知って、こころがあたたかくなり、うれしくなりました。

RM

追記:そうやってきゃーきゃー言い合うことを、時々ここでもできたらうれしいなあ、なんて思っています。ここをみてくださる方も、時々、こういうところが好き!ということをお聞かせくださると、とてもうれしいです。
関連記事

コメント

すばらしいテノールの声

ジェレミーの歌声のすばらしさ、よくわかります。テノールの声を維持しようとしたら体調にも気をつけなきゃいけないし毎日発声練習が必要ですね。私はメゾソプラノですが合唱団にいたころは訓練するのでかなり高い音が出るようになりました。でも、一日休むと声がでなくなります。ジェレミーも歌うことか演技をすることかを考えたでしょうね。
歌を選んでいたら俳優ジェレミーにもホームズにもあえなかったでしょうね。

両方はなかなか大変なんですね

>テノールの声を維持しようとしたら体調にも気をつけなきゃいけないし毎日発声練習が必要ですね。

そうなんですね。いわばからだが楽器のようなものなのでしょうね。楽器としてのからだを維持するのは大変ですね。

>私はメゾソプラノですが合唱団にいたころは訓練するのでかなり高い音が出るようになりました。でも、一日休むと声がでなくなります。

合唱団で歌を歌っていらしたのですね!「一日休むと自分にわかり、2日休むと仲間にわかり、3日休むと観客にわかる」 というのは、バレエの世界で言われることのようですが、声もまったく同じなのでしょうね。

>歌を選んでいたら俳優ジェレミーにもホームズにもあえなかったでしょうね。

はい、ミュージカルで活躍したかもしれませんが、ホームズには多分会えませんでしたね!

バレエの世界のことなんだけれど・・

ジェレミーとは関係ないけれど、アレキサンダーゴドノフを思い出しました。191㎝の長身で金髪をなびかせて華麗なバレエを踊っていましたが亡命してアメリカで(高額な報酬に米のバレエ界から反対があり)は俳優に転向しましたが、黒のスウェットと金髪を風になびかせてテロリストを演じます。ほんとうに軽く飛ぶように移動します。45才でアルコール中毒による肝炎でなくなりましたが
どんなにバレエを踊りたかったでしょう。
ごめんなさい。つい書いちゃいました。

バレエにも、おくわしいんですね

さくらさんは舞台芸術がお好きなんですね。私はそのダンサーのお名前、きいたこともありませんでした。

でも小さい頃は、家で一人で、勝手に気持ちよく踊っていましたよ、うふふ。

>45才でアルコール中毒による肝炎でなくなりましたが
どんなにバレエを踊りたかったでしょう。

踊ることを天職としていた人が踊れなくなって辛かったでしょうね。そういう意味では、ジェレミーの天職は歌うことではなく、演じることだったのでしょうね。

ジェレミーの天職は歌うことではなく、演じること

ダニロの声を聴くとジェレミーの歌声はとても軽やか美しいです。
この声をだすためにジェレミーは努力したのでしょう。
マイフェアレディのフレディの「君住む街角」は響きのある声です。
映画の製作する側からミュージカルとして成算を重視して吹き替えにしたのでしょう。(製作サイドから)
イライザの花売り娘姿の歌声はオードリーの声ですが、その後はマーニーニクソンですね。
吹き替えの歌手になると名前も出てこないことがほとんどです。
演技をすることと歌手の歌声は違うんだなあと思います。

でも、ジェレミーののびやかな歌声は大好きです。

ジェレミーは俳優を選んでよかったと思います。美声だけれど俳優と歌手との両立はできないと思いました。

余談ですがオペラ歌手となるとでっかい体型の人が多くて「体全体が共鳴器」みたいです。
主役の女性と男性となると(最近はスマートな人もいます)愛の歌を歌っているのに、ビア樽を並べたみたいです。ごめんなさい。オペラの悪口いってるんじゃないので。
日本のオペラ歌手は体型が小さくて声量がたりないです。声楽をしていても世界で通用する人は少ないです。
大学の音楽の先生がオペラ歌手目指しておられてイタリアに留学したら、窓から洗濯物を干している女性が素晴らしい声量で歌っていて断念されたと聞きました。
ジェレミーは素晴らしい演技ができるし容姿も恵まれているのだから。演じることを天職としてよかったです。
とりとめのないこと書きました。ごめんなさい。

俳優でいてくれて、よかったです!

>ダニロの声を聴くとジェレミーの歌声はとても軽やか美しいです。
この声をだすためにジェレミーは努力したのでしょう。
マイフェアレディのフレディの「君住む街角」は響きのある声です。
映画の製作する側からミュージカルとして成算を重視して吹き替えにしたのでしょう。(製作サイドから)

なるほど、「マイ・フェア・レディ」というミュージカルに合う声の質を考えて、ということですね。

>でも、ジェレミーののびやかな歌声は大好きです。

はい、私もです!

>主役の女性と男性となると(最近はスマートな人もいます)愛の歌を歌っているのに、ビア樽を並べたみたいです。ごめんなさい。オペラの悪口いってるんじゃないので。

あはは、オペラをそんなによく知っているわけではありませんが、余命幾ばくもないはずのヒロインが、実にふくよかだったりするそうですね。

>ジェレミーは素晴らしい演技ができるし容姿も恵まれているのだから。演じることを天職としてよかったです

本当にそうです。俳優としてホームズを演じてくれて、本当によかったです。

フレディを演じたころのジェレミー

マイフェアレディの映画は莫大な製作費で作られました。
イライザは当時人気だったオードリヘップバーンを起用しました。
フレディ役に起用したのはジェレミーブレッドでした。
製作した時期(公開が1963年だったかなあ)、ジェレミーは若くてハンサムでかっこいいから俳優として人気があったのでしょう。(テレビや映画など)

キューカー(監督)も出資者側も観客の入りを考えて俳優を選んだみたいです。
主演をしたレックスハリソンも舞台でさほど目立たない「フレディ」が映画では「君住む街角」などで甘くやさしい容姿で注目を集めました。

ジェレミーの容姿からいえば主題がかすみそうです。
舞台のことと合わせてジェレミーの出番を減らすように要望したみたいです。

原作ではフレディと結ばれるのだけれど映画ではなんとなくヒギンズ教授と結ばれそうな結末ですね。

製作者側がレックスハリソンに気を使ったとか書かれているみたいですが、「粗野で下品なイライザから上流階級のレディを作ること」なのでフレディの輝かしい場面はあまり必要ないと考えたのでしょうね。

ジェレミーフレディはまばゆいばかりの存在感ですね。この作品にジェレミーを起用したのは、そういう意図があったのでしょう。

もうちょっと活躍してほしかったですけど

>原作ではフレディと結ばれるのだけれど映画ではなんとなくヒギンズ教授と結ばれそうな結末ですね。

そうですね、これは普通にみれば、そう解釈できますね。

>製作者側がレックスハリソンに気を使ったとか書かれているみたいですが、「粗野で下品なイライザから上流階級のレディを作ること」なのでフレディの輝かしい場面はあまり必要ないと考えたのでしょうね。

フレディがあの作品のなかでしめる位置は、残念ながらあまり重要ではないようですね。

>ジェレミーフレディはまばゆいばかりの存在感ですね。この作品にジェレミーを起用したのは、そういう意図があったのでしょう。

登場シーンは少ないですが、ファンにとってはやはり大切な作品ですね。

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://upwardjb.blog112.fc2.com/tb.php/119-ff45af16

 RM

Author: RM
コメントは承認後に公開されます。古い記事へのコメントも大歓迎です。2010年8月7日に始めました。
私の記事へのリンクはどうぞご自由になさって下さい。
和訳には間違いがあるかもしれません。最近は必ず英語原文を併記・またはアドレスを書いて読めるようにしていますので、どうぞそちらも参考になさってください。

全ての記事を表示する

10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08 

QR