Jeremy のことが知りたくて ~ ジェレミー・ブレット(Jeremy Brett)を愛するかたへ

英グラナダ・テレビでシャーロック・ホームズを演じた俳優の人生を言祝いで

ジェレミーは最後の夏をどのようにすごしただろうか、何を感じていたのかしら。日本の暑い夏の日に、ときどき思います。Jeremy Paulは、ロンドンの暑さでジェレミーはさらに呼吸がむずかしくなった、と雑誌Scarlet Streetの追悼号に書いていますから、暑い夏だったのでしょう。Linda Pritchardも本の中で、最期の日々、ジェレミーは朝起きると息を大きく吸って酸素をとりこまねばならなかった、と書いています。その中でThe Manic Depression Fellowship(躁鬱病協会)への寄付をつのり、躁鬱病(双極性障害)と気づいていない人も含めて、人々の躁鬱病に対する理解をうながすための番組の録音をしたのが、このウェブサイトのデータが正しければ、1995年8月23日です。そして録音した番組の放送が9月3日だったことは他でも読みましたが、この日は日曜日、先のウェブサイトによれば時間は朝の8:50-8:55だったそうです。

この録音をジェレミーファンがウェブ上できけるようになったのが2008年、Lindaが提供したものでした。1995年9月3日の朝、ジェレミーはこの番組を聴いたのでしょうか。Edward Hardwickeもフランスで偶然聴いていたと、シャーロッキアンの団体の小冊子The Ritualで書いています。この音源から、ジェレミーが電話番号を読み上げるところを除いて写真をそえたのがYouTubeにあるのはご存知でしょう。右耳は雑音のみですから、左耳だけできくことをおすすめします。

Edwardはジェレミーが亡くなる一週間前に電話で話した、息は辛そうだったけれども、気持ちは明るくて元気そうだったと言っています。Jeremy Paulも一週間前に話したそうです。ジェレミーのThe National Theatre時代からの仲間で友人Charles Kay(グラナダ・ホームズにも出ましたし、The Prodigal Daughter (1975 )でもジェレミーと共演しています)は、ジェレミーが亡くなる一日か二日前にジェレミーを家にたずねたそうだ、とA Study in CelluloidでMichael Coxは書いています。ほかにもたくさんの友人や家族がジェレミーと連絡をたもっていたのでしょう。ジェレミーは自分が愛したたくさんの人が、近くから遠くから自分のことを思っていることを感じながら、最後の夏をすごしたのでしょう。

ジェレミーは自分が長く生きられないことを知っていたようだ、とジェレミーが亡くなるまで親交があったシャーロッキアン、Jean UptonがThe Sherlock Holmes Gazetteの13号に書いています。そして、「With serenely casual humour, he stated, "I've had a good run, so I might as well go out with a bang."(おだやかで打ち解けたいつものユーモアで、『僕の連続公演はなかなかうまくいっているから、威勢良く舞台を去っていくのもいいと思うよ。』と言った)」とあります。そう言ったときのジェレミーの表情、声、姿と、ジェレミーの気持ちを想像しています。でもジェレミーは最期の日々、少なくとも直前まで、生きることをあきらめていたわけではないと思います。同じThe Sherlock Holmes Gazetteで、David Stuart Daviesがジェレミーの亡くなった1週間後のLindaの言葉として伝えています。最期の数週間、ジェレミーの呼吸の状態はとても悪かった。でもジェレミーはいつも困難に立ち向かう人だったから、あんなにはやく去ってしまうとは思わなかった、と。Lindaももう少しジェレミーの生が続くと思っていたのでしょう。そしてジェレミーも生きるつもりだったのでしょう、最期に静かにすべてを手放して、この世を去るまでは。

RM

追記:ジェレミーの言葉、"I've had a good run, so I might as well go out with a bang."をはじめは意訳のつもりで「僕はすばらしい人生をおくってきたんだから、見事に去っていくのもいいと思うよ。」としていましたが、「僕の連続公演はなかなかうまくいっているから、威勢良く舞台を去っていくのもいいと思うよ。」と変えました。元のニュアンスがちゃんと出ているといいのですが。
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コメント

ご紹介、ありがとうございます

最後の日々、ずっと気になっていました。
なんと、1日か2日前にも、友人が尋ねてきたのですね!良かった・・・
見事に去って行きたい・・・突然ではあるけれど、その通りになったのでしょうね。
哀しいけど嬉しくなりました。
ご紹介、ありがとうございます

ちびさん
はい、たくさんの人がジェレミーのことを思い、そして実際に電話で話したり、
家を尋ねたりしていたのですね。ジェレミーは本当に愛情の深い人でしたから、
まわりの人の愛情も人一倍感じる人だったのだろうと思います。
そして、一週間前の電話でも、呼吸はつらくても明るい気持ちですごしていた、
とエドワードが言っているのが本当にうれしいです。
ちびさん、この記事にコメント下さって、本当にありがとうございました。

ジェレミーの人間性

こうしてジェレミーの最期について読むことはやはり哀しくもあります。けれど、私にとっては励まされるところも少なくありません。

重く辛かったであろうことは想像に難くない病と闘って、その病気についてのことを自分から発信する。
このことは改めてジェレミーの人格、人間性を感じさせてくれます。形式的なものではなくて本当に心からの行動だったのだろうなあとしみじみとおもいます。
そして、苦しい状況の中でも役者として人として生き続けた彼にはただひたすらに感服、脱帽…うまくいえませんが…です。
その強い心、魂に救われた人はきっと大勢いるのでしょう 。もちろん私もその一人です。
ジェレミーの素晴らしい魂がどのような形でも消えないことを願います。

Mokaさん、私が感じていることをそのまま、言葉にして下さいました。

ジェレミーがこの世を去ってずいぶんたつけれども、そのあたたかさと強さが、いまなお私たちをひきつけるのだと思います。そしてスクリーン上の一人の俳優ということをこえて、私たちの魂に触れるのだと思います。ジェレミーのことを語る言葉のなかに、"He has touched my life" という表現を何度かみました。

"He has touched my life"

まさにその通りですね。
ジェレミーと出会ったことで、考え方が変わりました。勇気をもらいました。そして細かいことでは時間の使い方も変わりました。
もうすでに彼にはたくさん影響されていますが、これから先の未来でも沢山の変化を彼がくれる気がしてなりません。

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