Jeremy のことが知りたくて ~ ジェレミー・ブレット(Jeremy Brett)を愛するかたへ

英グラナダ・テレビでシャーロック・ホームズを演じた俳優の人生を言祝いで

今回は写真のご紹介です。1枚目はジェレミーがMyers氏に声をかけて、車(スバル)にのせてもらった日の写真です。元の記事をご紹介した時には省略した部分も補って、この時のことだろうと思う箇所をもう一度訳し直します。

ラハイナに着いてから、私たちの出会いを祝って祝杯をあげました。私は、自分は近くのモーテルに予約していて、明日マウイの西の端を車でまわるつもりだけれども、一緒にどうですか、と言って誘いました。彼の顔は明るく輝きうれしそうに笑いました。

Myers氏は、1枚目の写真はラハイナに着いた日の午後に、ラハイナのホテルのレストランで撮ったものだ、と書いているので、祝杯をあげた、この同じ時だと思います。

ジェレミーは七分袖で濃いえんじ色(暗めのワインレッド)、襟のある前あきの、胸ポケットつきの体にぴったりとしたシャツを着て、ボタンの上3つくらいをはずしています。左の胸ポケットには煙草の箱が入っているのか、膨らんでいます。リゾート地の簡素なテーブルの手前ぎりぎりに、煙草をもった右手の肘を軽くついて、右手が口元を覆う形で煙草を吸い、少しの煙の向こうからこちらをみつめています。髪は後年のジェレミーとくらべたら少し長め、軽いウェーブがかかっています。まわりはいかにもリゾート地のレストランらしく、背後には床まで続く壁一面の窓、その手前には簡単なテーブルが三列にわたって並び、そこには何人かのラフな格好の客がいます。自然光の中です。Myers氏はテーブルのこちら側にすわったままで、ジェレミーを撮っているのだと思います。

ジェレミーは出会った時に名前を名乗り、俳優である、とは言いましたが、Myers氏はその時、ジェレミーのことを本当に知らなかったそうです。つまり俳優としてのジェレミーのことを知りませんでした。そして「ジェレミー・ブレット」という名前を持つ一人の人間としてMyers氏の前にいることに、ジェレミーはほっとしたのではないか、と書いています。それ以外の外面的なものはすべて脱ぎ捨てて。俳優としての仕事についてはMyers氏は何も尋ねず、ジェレミーも何も言わなかったそうです。(そしてそこまではMyers氏は書いていないのですが、それ以外の日々の生活のことも、おそらくほとんど話題にのぼらなかったのではないでしょうか。)

Myers氏は、この時の印象を語る部分ではなく、この出会いから別れまでの短い時間について記す別のところで、こう書いています。二人の人間が、お互いがどんな人かを知らず、そんなことを気にかけもせず、ただ共にいてすばらしい時をすごしたのです、と。ですからこの写真は、ジェレミー・ブレットという名前を持つことと、俳優であることしかわかっていない、一人の人間として撮られたものです。

この写真についてMyers氏は、どこか「haunting (印象が強くて容易に忘れられない)」なところがある、ということしか今は言葉にできない、と言っています。このhauntingという言葉でMyers氏が具体的に何を言おうとしているのか、最初はよくわかりませんでした。(彼自身が、この言葉は完璧ではないけれども、こう言いあらわすことしかできない、と書いています)。

そこで私は自分の言葉で、この写真のジェレミーから受ける印象を書いてみます。ジェレミーの表情は、口を手でおおっているのではっきりとはわかりません。ただ、大笑いに笑っている目ではないことはわかります。眉をひそめる、というほどではありませんが、考え深げな目、Myers氏の方をじっとみているとともに、自分のこころの奥底も同時にみている瞳のように私には思えます。この目は少し哀しげでメランコリックにみえる、と感想を書いた人がいました。私は哀しげ、とまでは思いません。ただ、リゾート地で何もかも忘れて羽をのばす気楽な人の目ではなく、自分の中の複雑さと深さをそのまま魂に宿す人の瞳だという気がします。

この写真が特別な何かをMyers氏に感じさせたのは、この時のジェレミーの瞳が、彼の内面をそのままあらわしていたからではないでしょうか。強い意思とともに、感受性にあふれて、複雑で感じやすいこころも含めて。

残りの3枚は次回ご紹介します。

RM
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