Jeremy のことが知りたくて ~ ジェレミー・ブレット(Jeremy Brett)を愛するかたへ

英グラナダ・テレビでシャーロック・ホームズを演じた俳優の人生を言祝いで

残りの3枚の写真についてご紹介します。この3枚は、二日目にドライブした時の写真です。3枚とも、ジェレミーはとても小さくしか写っていません。ジェレミーは写されていることに気がついていないはずです。

写真を撮った時のことに触れた文章を、元の記事を紹介した時には省略した部分も含めて訳します。

「両側に海と陸の風景が広がる曲がりくねった道のカーブをまがるたびに、見たことのない景色がつぎつぎと姿をあらわしました。話をしているうちに、私はすぐにジェレミーが特別な人であることに気づきました。ジェレミーの観察眼、外界を見る目は、彼が自分の内面の感覚や感情を見る目を反映して、彼独自の味わいを持っていました。美しさへの感受性がとてもゆたかで、彼が口にする言葉は、まるで内面の深いところから今日初めて生まれた言葉であるかのように、すべてが深い意味を持っていました。

興味をひく何かをみつけると、車をとめて近くまで行きました。その内のある場所で、ジェレミーは浜辺の大きな岩の上に登り、顔を太陽に向けて両手を上にさしのべ、目を閉じて動きをとめ、じっとたっていました。

下で私はゆっくりとカメラを持ち上げ、その写真を撮りました。みる人によっては、ちょっと芝居がかっていると感じたかもしれません。でも私は、彼が自分の近くの目に見えるものだけでなく、その向こうのすべてのものを抱きしめて、すべてとつながろうとしているのがわかったのです。」


Myers氏は、この3枚の写真は浜辺での写真だと、フォーラムのメンバーに説明していますので、3枚ともこの時の浜辺で撮られたのでしょう。ここで言及されている写真はその内の3枚目だと思います。でもまず1枚目からご紹介します。

1枚目では画面中央よりも少し上を、小さな流れが横切っています。その両側にはこぶし大からもう少し大きめの石が一面にころがる岸辺が広がっていて、こちら岸の右手前は砂浜になっています。そこに上半身は服を脱いで、脱いだ濃紺のシャツをブルージーンズのももの部分にかけ渡し、両足を組んですわるジェレミーがいて、左半身をこちら側にみせています。椅子の上で両足を組んだ姿はホームズでおなじみですが、これは砂浜の上で足を組んでいて、瞑想しているようにもみえます。前方に向けられた目は閉じてはいません。後ろの髪は首をほぼおおっています。両腕は膝頭に軽くおいて、手のひらは自然に軽く下を向いていて、膝頭よりも前に出ています。

2枚目では大きな岩が画面の右下から左中央まで空へ向かって盛り上がっています。左の岩の頂上にたったジェレミーが両手を腰にあて、太陽を斜めからあびながら遠くをながめています。シャツは赤いフチどりのある、濃い青のタンクトップです。Myers氏はこの岩のほぼ正面の下からジェレミーを見上げていて、写真を撮っています。

3枚目がおそらく、文章中で触れられている写真で、2枚目の少し後、あるいは前でしょう。この写真では、大きな一枚岩が画面手前の左から右にわたっていて、一枚岩の向こう側は右だけに、2枚目と同様の盛り上がった岩がみえます。ジェレミーは一枚岩の左の方にいます。カメラはここでも下から見上げていて、かなり遠くから撮っています。ジェレミーは2枚目と同じく両手を腰にあてていますが、今度は画面左を向き、斜め上の太陽の方に顔を向けています。顔の表情はまったくみえませんが、目をつぶっているように感じます。これがおそらく、両手を上にさしのべた後なのでしょう。2枚目と3枚目ではジェレミーの背景は、青い美しい空です。

この3枚の写真は、1枚目をのぞいては、ジェレミーの写真だと言われてはじめて、そうかもしれないと思うような、ごく小さい姿でしかうつっていません。1枚目も髪が長めですし、横顔を遠くから写したもので、見せられても気づかないかもしれません。普通私たちは誰かの写真を撮りたい時、こんなに遠くから撮ることはないでしょう。近くに行き、声をかけて、こちらを向いてもらうのが普通でしょう。

それでも私がこれらの写真を特別に好きな理由の一つは、この写真の向こう側にある物語が、私にとって大きな意味を持つからだと思います。そしてMyers氏も、たとえその姿をファインダー上で小さくしかとらえられなくても、自然の中で安らいでいるジェレミーを、あるいはこの自然をすべて含んだ何かを感じているジェレミーを撮りたかったのでしょう。

Myers氏がこの時のことについてメンバーに語ってくれた中から、印象に残る部分を一部省略しながら引用します。

「私は記事を書くにあたって、実際におきたことでない内容をすべりこませたり、脚色したり、おおげさに書いたりしないようにとても注意した、ということを強調したいと思います。」

「どうしてジェレミーがそんなに普通とはちがってみえたのか、なぜそんなにも強くひきつけられる魅力を彼から感じたかについて、お答えするのはかなり難しいです。その時のことを覚えていないからではなく、言葉をみつけられないからです。
(途中略)
私はライターで、彼は俳優だった、というのも大きな理由の一つでしょう。私たちは創造的であろうとする人間で、人生において2+2が必ずしも4にはならないことを知っていたのです。私たちは、人生の本質は冒険だと考えていたのです。」

「その時彼は、突然予定にはなかった行動に出て、誰かに出会うことで、たまっていた緊張をとりのぞいて安らぎをとりもどし、自分の中の本質的で直観的な羅針盤を調整し直して日々の仕事と生活に戻ることが必要だったのだと思います。もしそうならば、私たち人間には見ることができない糸を、何か人智を越えたものが引いた結果、私が彼の前にいた、そしてこのようなことがおきたのだと思っています。
そのようにして、人生と、この人生を生きることに含まれる神秘は、あらわれていくのです。」


直接この写真へのリンクを貼らないことをどうぞお許しください。

登録者限定のフォーラムにアップロードすることを条件に写真を提供していただいたとはいえ、いつかは誰かが外へ持ち出し、その後は事情を知らない人たちの手で、物語抜きで転載されることになると思います。そうであるなら、いつかご覧になることがあるでしょう。その時にはこの写真にはそのような物語があるのだということを思い出していただければ幸いです。

また、写真がある2つのフォーラムについては、関連する名前もアドレスも書いたことがありますので、推測がつく方はどうぞおいでくださいませ。

RM
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コメント

遅ればせながら…

遅ればせながら、開設1周年おめでとうございます!
お祝いの文章を考えているうちにパソコンが壊れてしまい、すっかり遅いコメントになってしまって申し訳ありません。
(今日は家族のPCを借りました。『ハワイでのジェレミー』を一気に読みました!)
もちろん、ジェレミーのことを教えていただけるのも嬉しいのですが、何よりRM様の文章に触れると、優しい気持ちになれます。「好きだから書く」「よい物だと思うから紹介する」という素直な気持ちに立ち返れます。
根気のない私はいつまでブログを続けられるかわかりませんが、やめたとしてもずっとRM様のブログは追い続けると思います。これからも永く続けていただけることを願っております。

Myers氏の文章、美しいですね。(RM様の訳の力に負うところも大きいと思います。)出会うべくして出会う、ということについて最近よく考えるのですが、ハワイでMyers氏はまさにそう感じられたのですね。Jeremyにとっても幸福な時間だったことが随所から感じられて、読んでいるこちらまで嬉しくなってしまいます。

私にとってはジェレミーはホームズそのものだったので、「青い空の下のジェレミー」を想像したこともありませんでした。言っても詮無いことですが、ホームズとしてだけでなく、もっと色々な表情のジェレミーを観ておけばよかったと思うとやりきれない気持ちになります。だから、こうして色々な方の中で生きている彼に触れさせていただけると、小さな奇跡を起こしていただいているような不思議な気持ちになります。

どうもありがとうございます。

「好きだから書く」、本当にそうですね。無理をせずに自分の気持ちに従って書くこと、あるいは書くのをやめることを、このブログをはじめてから知ったように思います。(実際、一度お休みしました。それもよい経験だったと思います。)読んでくださってありがとうございます。「好きだから書く」とはいえ、読んでくださるかたがいらっしゃるということは、心をあたたかくしてくれます。気持ちを共有できるということは、幸せなことです。

おっしゃるとおり、Myers氏は感受性に富んだ、すばらしいかただと思います。ジェレミーがMyers氏に会えて本当によかった。Myers氏が長い時を経て、こうして文章にしてくれてよかった。

そしてジェレミーは、記録に残っていようといまいと、たくさんの人に忘れられない思い出を遺したのだろうとあらためて思いました。実際に会った人にも、画面でしか会っていない私たちにもたくさんのものを遺してくれた。「こうして色々な方の中で生きている彼」、本当にそうです。そしてジェレミーが遺したものは、BBCの「SHERLOCK」の制作チームにも確かに流れているのですね。

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 RM

Author: RM
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和訳には間違いがあるかもしれません。最近は必ず英語原文を併記・またはアドレスを書いて読めるようにしていますので、どうぞそちらも参考になさってください。

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