Jeremy のことが知りたくて ~ ジェレミー・ブレット(Jeremy Brett)を愛するかたへ

英グラナダ・テレビでシャーロック・ホームズを演じた俳優の人生を言祝いで

クリスマスイブの日にイギリスから封筒が届きました。ネットオークションサイトのeBayで購入したThe Secret of Sherlock Holmesのプログラムです。このプログラムに関しては、プログラムを手にすることのうれしさの他に、譲ってくださった方とのやりとりが、こころをあたたかくしてくれました。

私はeBayを時々のぞいてはいますが、購入の経験は少ないのです。オークションで競るということに二の足を踏む性格だからかもしれません。また、eBayに多く出品されるのは宣伝用スチルなどの写真で、マーカスが撮ったあの大好きな写真は別にして、後は画面で見るだけで満足するようにつとめているということもあります。舞台出演時のプログラムもよく出品されますが、今まで買おうと思ったことはありませんでした。

ところが今回入札する気持ちになったのはどうしてでしょうか。プログラムを専門に扱う人(業者)ではなく、劇場に実際に行ったイギリス在住の人が出品していて、「1988年11月にこの舞台を観た時に購入しました」という説明が書かれていたからでしょうか。

うれしいことに落札できました。落札すると、あらかじめeBayに登録しているこちらの名前と住所が出品者に知らされます。そうすると出品者から、普通は送料を含めた額を請求する事務的な知らせが届くだけなのですが、今回はこんなメッセージがつけられていました。「こんにちは、○○さん、僕の妻もあなたと同じ名前です。日本の●●の出身です。僕は2002年まで7年間日本の△△に住んでいて、あなたの住む××にも2000年に行ったのですよ。あなたはジェレミーのファンなんですね。届いたら喜んでくれると思います。」

わあ、なんてうれしいんでしょう!私と同じ名前の奥様を持つ方から、プログラムを譲っていただけるのです。言葉をかわした人からの贈り物が届くのを待つ気持ちです。うれしくて、私も普段ならただ入金するだけのところを、こんなメッセージを書き添えました。「なんて素敵な偶然なんでしょう!そう、私の名前は○○、××に住んでいて、生まれたのはあなたが住んでいらした△△、そして甥が今、あなたの奥様の出身地に住んでいるのですよ。私はジェレミーが大好きなんです。プログラムは宝物になると思います。」

そのプログラムがクリスマスイブに届きました。eBayには売り手と買い手が相互に相手を評価する仕組みがあって、取り引きを考えている人がその評価を調べることによって、参考にできるようになっています。ですから「きちんと包装されていて、すばやく届きました。ありがとう。」とか、「支払いもはやく、気持ちよく取引きができました。」とか、「すばらしい出品者(あるいは買い手)として推薦します!」といった内容のことが書かれているのですが、私は、今回とてもうれしかったということを出品者に再度伝えたいと思いました。

評価欄には普通は今後の参考になりそうなことだけを書いて、個人的なメッセージは書かないのですが、こんなふうに記しました。「幸せなお取引きができました。ありがとう。あなたとあなたのご家族が楽しいクリスマスをすごしていらっしゃいますように。」そうしたら私の評価欄にも「本当にどうもありがとう。そして日本のあなたに良い年が来ますように。」と書いてくれました。

私の英語は本当につたないのですが、特に書くことに関してこの2年で驚くほどかわって、無色の断片のように思える単語を無理矢理つなげたものを書くのではなく、自然に気持ちをこめることができるようになりました。もちろん間違いはたくさんしているはずです。相手に伝わっていないことも山ほどあるはずです。かわったのは英語の巧拙ではなく、私の気持ちです。同じ Thank you でも、今までいろいろな場面でいろいろな人に、いろいろな思いをこめて書いてきた Thank you が積み重なって、私の中で豊かな色を持ち始めたということだと思います。私の中で英語が色を持ち始めたということ、これはジェレミーのことを少しでも知りたい、感じたいと思う私にとって、とてもうれしいことです。そしてその英語を使って、つたないながらも気持ちを伝えてこころをかよわせられる幸せを、ジェレミーに関することで、このクリスマスイブにも感じることができました。




年内はこの記事が最後かもしれません。この1年、英語で気持ちを伝える喜びもありましたが、英語で書けることは本当にわずかな私にとって、日本語でジェレミーに関することをご紹介し、気持ちを書くことの喜びもまたかけがえのないものでした。そして何よりうれしかったのは、コメントをいただいて、対話の中で気持ちが深まっていったことでした。

また、はじめた時には個人的なことはここには反映させるつもりはまったくなかったのですが、ジェレミーを語るということは、その言葉の向こう側で私自身を語ることでもあるのを知り、ここで支えていただきました。ご縁をいただいた方々に心からお礼を申し上げます。どうぞよいお年をお迎えくださいませ。

今年この世を去った方々のことを折々に思いながら、年末の残り少ない日をすごそうと思います。ジェレミーにとって大切な人としては、Jeremy Paul, Edward Hardwicke, Anna Massey。この24日に亡くなられていたというお知らせが私の心に深く刻み込まれたのは、中学生の時から好きだった作家辻邦生さんの奥様で、美術史家の辻佐保子さん。(辻邦生さんと北杜夫さんの旧制高校時代からの友情はすばらしいものでした。その北杜夫さんもこの秋に亡くなられました。辻邦生さんをお好きな方がもしもここにいらっしゃるようでしたら、辻佐保子さんを直接ご存知だった方のこの記事をご覧くださいませ。「辻 佐保子さんのために、あるいは届かなかったキャンドル」。)そして3月にこの世を去ったあまりにも多くの方々のことです。それぞれに愛する人、大切な人たちに迎えられていることと思います。

RM
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コメント

遠くからきたプレゼントですね

RMさんにも"somewhere"から素敵なプレゼントが届いたのですね!

私にとっても、多くの人と多くのものを失った一年でした。でも、多くの贈り物ももらいました。このブログからもたくさんの大切なものをいただきました。

そして、受け取るだけではなく、何かを受け取って感動したり考えたりした時、それを伝えるということの大切さと難しさを知りました。
いつかわたしもいなくなる時がくるけれど、その時誰かにひとつでもプレゼントが残せるように、できればそれが色のついた素敵なものであるように、このような拙いコメントでも、伝えるということを重ねて、少しずつ少しずつ練習しているのだなあと思います。

プログラムのご紹介の記事も楽しみにしております。
よいお年を。

ありがとう…しか言えない…。

RMさん、こんにちは~。いよいよ今年も秒読みですね。
そんな年の瀬の最後に、心温まる記事を読ませていただき、ありがとうございました。
そして文中リンク先方の記事も自分の心と重なり、思わず涙ぐんでしまいました。
私はせっかちなので、あまりインターネットで数多く人様のブログを読むタイプではないのですが、今年はジェレミーのお陰で、RMさんのブログに辿りつき、RMさんのお陰で、田中真知さんという方の文章を読むことが出来…心の琴線に触れるいい文章をたくさん読むことが出来ました。本当に感謝です!
ありがとうございます!
今年は、日本や世界中で起きた未曾有な出来事で、数多くの心痛むことが起こりましたが、このほんわかとした心に灯ったろうそくのぬくもりの気持ちを持って、今年を終えることが出来ることに感謝! そしてこの気持を持って新しい年を迎えることが出来ることに感謝です! 来年は多くの人の笑顔で地球が溢れる事を祈るばかりです。
RMさん、皆様、良いお年をお迎えください。
ありがとうございました!

"somewhere" からのあたたかさを感じながら

ナツミさん、こんにちは。私が感じていで、でもはっきりとは書かなかったことを、ナツミさんが同じように感じてくださって、幸せな気持ちです。そう、"somewhere" からのあたたかさを同時に感じながら、イギリスからの贈り物を受け取っていました。

私もこの一年で、伝えるということの大切さを学びました。伝えることは時にとてもむずかしいことで、思わぬ結果に涙を流した経験も(この1年のことではありませんが)あるのですが、それでも、気持ちを言葉にして素直に伝えよう、と思うようになった一年でした。でもそれと矛盾するようですが、たとえ誤解や悲しみを生んでしまったり、あるいは伝えたい人がすでにこの世にいなくて悔やむことがあったとしても、花はただ花として自然に咲くように、思いはいつかどこかで(それはこの世の時間ではないかもしれませんが)自然に伝わるもののように思えた一年でもありました。

>いつかわたしもいなくなる時がくるけれど、その時誰かにひとつでもプレゼントが残せるように、できればそれが色のついた素敵なものであるように、

ああ、素敵な言葉をありがとうございます。

みんみんさん、読んで下さったのですね

みんみんさん、こんにちは。リンク先を読んでくださったのですね。私もみんみんさんとお話をしたいと思っていました。

ここで他の方のためにも補足をさせて下さいませ。辻佐保子さんは、辻邦生さんが亡くなってのち十数年をお一人で過ごされていました。クリスマスイブの夜にお一人でこの世を去られた佐保子さんを、連絡がとれずに案じた親族の方がみつけられたのが26日でした。田中真知さんのTwitterから知ったのですが、23日にはご専門の分野での研究会に出席していらしたそうです。

みんみんさん、私も涙が流れました。ローソクを届けるために、思いを伝えるために、どこまでいっても佐保子さんにたどりつけない、という田中真知さんの気持ち、そして佐保子さんが邦生さん亡き後すごしていらしたご様子。

辻邦生さんがお亡くなりになって一年して、旧制高校以来55年の邦生さんとの友情を育てられた北杜夫さんと、佐保子さんの対談が雑誌に掲載されたのをコピーにとっていました。今探し出して読んでいます。(「辻邦生---言葉の力を信じた人」)はじめて読んだ時もこころにのこった箇所で、今日田中さんの文章を読みながら思い出していた部分を引用します。

北 「それから、ぼく佐保子ちゃんの言葉で感動したのは、お別れの会にたくさんの方がいらしたでしょう。そしたら、佐保子ちゃんが、なんか辻邦生をとられちゃったみたいって言ったでしょ。」 
辻 「ええ、そうね。北さんにもそう言いましたね。私は、自分が主人のことを一番よく知っていて、自分のものだと思っていたからでしょう。お友達がこんなにたくさん来てくださるとは思いませんでしたから。こんな風に多くの方に囲まれて生きて来たのかと。」(中略)
北 「佐保子ちゃんひとりぼっちだから、ぼく腰痛で行けないから電話だけはしてたのね。」
辻 「ほんとうにありがとうございました。毎晩お電話下さって...。」
北 「いや、それで、辻さんをとられちゃったって話を聞いた時も、いずれ佐保子ちゃんのところに戻ってくるよって、言ったでしょ。」
辻 「そう、不思議だったんですけど、今まではっきりした夢を三度見ました。ちょっとした気配みたいのはしょちゅうだったんですけど、はっきり戻って来たていうことがわかった時がありました。だから今は一緒にいる感じが非常に強くなりました。」

佐保子さんは邦生さん亡き後、悲しくてさびしかったでしょうが、でもやはり邦生さんと一緒に生きてこられたのですね。そして今も邦生さんと共におられることでしょう。みんみんさんはそのことを、こころにしみてお感じになれるだろう、そして田中真知さんの悲しみもおわかりになるのだろうと思いながら、田中さんのブログの記事をご紹介したのでした。

嬉しいです!

どうもありがとうございます!!!
RMさんの、その優しさに感謝、ただ感謝!!

初めまして

クリスマスの時期なるとジェレミーのグラナダホームズシリーズが見たくなる私です。
で、別の方のブログでこちらを知りました。
また別のジェレミーファンの方がいることを知り、嬉しく思いました。
クリスマスは、キリスト教国だと特別な意味を持ちます、特に家族、家族の為の日ですから。
またゆっくりと読ませていただきます。

Gabbynaさん、はじめまして

多分りえさんのところから来て下さったのですね、うれしいです。ブラジルにいらっしゃるのですね。ブログに読みふけりました。ブラジルでの生活、語学のお話、日本に帰っていらした時のこと、世界一周の旅をしていらっしゃるAちゃんのことなど。膨大な記事のまだ一部ですが。

クリスマスは家族ですごす日なのですね。Gabbynaさんもブログに書いていらっしゃいましたが、ちょうど日本のお正月のようですね。

クリスマスにご覧になったのは、「青い紅玉」でしょうか?私もここ数日で、「青い紅玉」と「孤独な自転車乗り」を繰り返しみています。

ブラジルでグラナダシリーズが放映されていたか、ご存知ですか?ファンフォーラムにポルトガルの人はいるのですが、ブラジルのファンにはまだ出会ったことがありません。ブラジルのポルトガル語はポルトガルのポルトガル語と少し違うと書いていらっしゃいましたね。そうすると一般に、外国のテレビドラマを放映する時、ポルトガルでつくられた吹替え版をそのまま持ってくるということはしないのでしょうか。

私はGabbynaさんのところとは違って、ジェレミーの話ばかりで話題が広くはないのですが、どうぞよければまたおいでくださいませ。

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 RM

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