Jeremy のことが知りたくて ~ ジェレミー・ブレット(Jeremy Brett)を愛するかたへ

英グラナダ・テレビでシャーロック・ホームズを演じた俳優の人生を言祝いで

グラナダシリーズに見られる「へま」をご紹介する3回目です。以前の2回はこちらです。
グラナダシリーズのblooper(間違い、へま)その1
グラナダシリーズのblooper(間違い、へま)その2

今日ご紹介するのは、「編集でカットされなかったblooper」というスレッドを最初に作ってくれたアメリカからのメンバーが書いたうちの一つで、これも「blooper」と言えるのね、と思ったとてもおもしろいシーンです。「へま」というよりは、「シナリオにない出来事がおきた」というべきでしょう。そしてジェレミーが見事にホームズとして対応した、という一瞬です。

「ギリシャ語通訳」の終盤、列車の中で犯人一行をさがしだして対決するところは原作にはなく、グラナダ版で付け加えられたもので、名場面がたくさんありますよね。列車のシーンの最初の方で、検札に来た車掌にホームズが、こういう乗客はいるか、とたずねると、車掌はホームズの役にたてるのがうれしくて、目を大きく見開きながらうれしそうに答えはじめます。ワトスンは、ホームズが会ったこともない犯人一行の様子を描写するのをきいて、何ともいえない表情です。その時たまたま通りかかった乗客に車掌が「チケット拝見」という間、話が中断します。ホームズはワトスンの方を「みつかった、さあこれからだな」というふうに見やります。

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車掌とホームズが中断した会話を続けようとした時、列車がゆれて車掌の帽子のひさしがホームズの額にぶつかります。ぶつかった瞬間ホームズは目を白黒させて、それから少し上を仰ぎ見て、「まったく!」というような顔をします。これがそのシーンです。

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帽子がぶつかったのは多分台本にはないできごとで、たまたま車掌がホームズの方に顔を寄せたのと同時に列車がゆれたので、こういうことになったのでしょう。だから「blooper」という訳なのです。

でも投稿した人が書いていますが、ジェレミーがジェレミーとしてというよりもホームズとして、「キュートに」(と彼女は描写しています)目をまわして対応したのが素敵ですよね。彼女の家では頭と頭がぶつかったり、顔に帽子がぶつかることを、冗談で「シャーロック」する (doing a 'sherlock'、シャーロックる) と言うのだそうです。

これで思い出したのですが、同じ「ギリシャ語通訳」の中で、ホームズとワトスンが二人で歩く先を街の子供達が走っていて、一番後ろの男の子がつまづいて転んでしまったのを、ホームズがさっと手をのばして男の子の手をとり立たせてあげて、ワトスンも手を添えて、その子は駆け去るシーンがありましたね。

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子供が演技であんなにうまく転べるとは思えないので、あれも台本にはなかったと思うのです。ホームズとワトスンはとても素敵なさりげなさでした。(そしてあの子も、転んだ後に片足を押さえ押さえ走り去る姿が実に自然で見事でした!この後ジェレミーに、立派な俳優だ、とすごくほめられたんじゃないかなあ、"A Month In The Country”の13歳の少年のように。)ジェレミーは、ホームズは子供が好きなのだ、と言っていました。あのさりげない自然な仕草はホームズとしての仕草なのだと思います。そしてその後、ホームズはワトスンと話しながら、子供達の集団に向かって軽くにっこりします。

ジェレミーは自分は「becomer」だといつも言っていましたが本当にそうで、カメラが回っている時はいつもホームズなのですね。本当に多面的で魅力的なホームズです。

RM
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コメント

毎回楽しみです

blooperシリーズ、楽しんでいます!
あまりにも完璧で、隙がない感じすらする「グラナダ・シリーズ」にも、ちょこっと「へま」があるんですね!そこに見え隠れするエピソードが楽しいです。

ホームズとワトスンが子供を助けおこす場面は息が合っていますね。本当に、「ホームズとして」自然に出た行動だったのでしょうねえ。後ろにいる馬も「何事?」という感じで覗き込んでいるのがかわいいです!

「その2」に気づいた方の眼はすごい!私はジェレミーが吸っている煙草と灰皿の煙草が違うなんて、まず考えもしませんよ!
「時代劇」なので時代考証も大変なのでしょうねえ。何げなく見てしまっている部分も、細々とした努力と"becomer"たちのおかげで成り立っているのですね。

ところで、blooperとは関係ないのですが、素朴な疑問です。「その2」のホームズの枕元に下がっている紙は何でしょう?飾りには見えないので、何かの資料かな?

楽しんでいただけてうれしいです!

>後ろにいる馬も「何事?」という感じで覗き込んでいるのがかわいいです!

わあ、これ、気がつきませんでした!それまでは前を向いていたのに、この時2頭で覗き込んでいますね。

>「その2」のホームズの枕元に下がっている紙は何でしょう?飾りには見えないので、何かの資料かな?

おお、ナツミさんも気になりましたか!私もです。博物画の一種かな、と思うのです。「四つの署名」の最後の場面では、これと、これに似ている紙があと2枚、枕元の壁に貼ってあります。

で、ここからは想像ですが、ワトスンがホームズの知識の限界を並べ上げたものを思い出すと、これは植物学、地質学、解剖学関係ではないかと考えて、候補は以下のとおりです。
1. 種子の形態、2. 鉱物の結晶構造(には見えないですね)、3. 臓器の形態(うーん)、4. ダニ(典型的なダニの姿が描かれていないですね)

という訳で、植物の「種子」に一票です。

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 RM

Author: RM
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