Jeremy のことが知りたくて ~ ジェレミー・ブレット(Jeremy Brett)を愛するかたへ

英グラナダ・テレビでシャーロック・ホームズを演じた俳優の人生を言祝いで

いやあ、その4まで来るとは思っていませんでした。楽しく書いています。今までの3回はこちらです。
グラナダシリーズのblooper(間違い、へま)その1
グラナダシリーズのblooper(間違い、へま)その2
グラナダシリーズのblooper(間違い、へま)その3

多分、「その4」でいったん一区切りとすると思います。今回は「その3」とは別のアメリカからのメンバーが指摘したものです。

「空き家の怪事件」でホームズは3年ぶりに221Bにもどって自分の寝室に入り、ハドスン夫人を「気絶せんばかりに」びっくりさせます。ハドスン夫人を軽く抱きよせて背中をぽんぽんと叩いてあげる、あのシーンを思い出しますね。この後ホームズは、懐かしい居間に入ります。この場面です。

EmptyHouse2.jpg

ホームズの後ろの壁には、上が画面から切れていますが、ゴードン将軍の肖像画がかかっています。これはシリーズ最初の放映の「ボヘミアの醜聞」の時からあった絵ですから、皆様もおなじみでしょう。原作では「ボール箱」にこの絵に関する記述があります。

さて、同じ日にホームズは古本屋の主人としてワトスンの医院を訪れます。ワトスンの書斎に入ったところです。

EmptyHouse3.jpg

後ろにゴードン将軍の肖像画がみえますね!この肖像画が同じ日にベーカー街からワトスンの医院に移動する「へま」が起きたという指摘です。

さて、これがblooperか否かです。結論を先に言いますと、私は「否」と言いたい。ワトスンがホームズとのベーカー街での日々を懐かしがって、同じゴードン将軍の肖像画を購入したのではないでしょうか。この絵はおそらく一点ものではなく、石版画か何かのはずですから。扉をあけて入ってすぐの右側の壁という、部屋の中の対応する位置に同じ肖像画をかかげたワトスンをいとしく思います。

そういうわけで私の想像ですが、撮影班は小道具として同じ肖像画を額ごと流用したのではなく、ワトスンが新しく購入したことを考えて、別の額に入れて用意したのではないでしょうか。

それでは今日のblooperは何かというと、同じ人が指摘したこちらです。

EmptyHouse5.jpg

これもワトスンの医院の書斎での場面です。ワトスンの後ろに絵がかかっています。実はこれと同じものが、殺された男の部屋にもかかっている、というのです。ワトスンが検死に来るのをレストレードが待っていた、あの部屋です。本当でした。もちろんこの絵がロンドンで流行していて、偶然どちらにもあったという可能性もありますが、それは低いと思ってよいでしょう。

これは気がつきませんね!小道具係もこちらに関しては、まさかそんなことに気がつく人がいるとは思わずに、同じ絵をかけたのでしょう。グラナダシリーズのスタッフの皆様、こんなに注意深く画面をみている人と、それを楽しんでいる人が、制作後20年以上たってもいることをどうぞ喜んで下さいね。

RM
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コメント

すてきなお話をありがとうございます

大好きなグラナダ・ホームズとワトスンの記事がいっぱいで、どれにもコメントしたくなってしまいます!

ゴードン将軍の肖像画の件ですが、私もRMさん説に賛成です。「ボール箱」を読むと、あの絵(と、隣にかける予定だったビーチャーの絵)ワトスンがかけたものだったのですよね。
ゴードンは軍人として、ビーチャーは黒人の権利を説いた説法師として、当時「英雄」と呼ばれていた人たちです。ジューン・トムスンは「友情の研究」の中で「こうした英雄崇拝的性癖が、のちのホームズとの交友に重要な役割を果たすことになる」と指摘しています。

「英雄」たちの偉業を心から讃え、肖像画という形で手元に置こう(記憶に留めよう)とする行為と、敬愛していたホームズを失い、彼の物語をひたすら綴っていたこの時期のワトスンの行動は、つながっている気がするんです。

でも多分、ホームズとの生活を思い出させる肖像画を買うのは、軽い気持ちではできなかったでしょうね。
RMさんの仮説のおかげで、絵を買おうかどうか迷っているワトスンや、そっと壁にかけるワトスンが眼にうかびました。(もちろんハードウィックの姿で!)
妄想が過ぎて申し訳ありません。それにしても、細部にわたるスタッフのこだわりには驚かされるばかりです。


二人の再会の笑顔の写真もありがとうございました。
早いもので、もうハードウィック氏の一周忌なのですね。
When you like, where you like!と言えるような関係はとても素敵だと思います。
それをこの笑顔で言ってくれた彼に、あらためてお礼を言いたいです。

こちらこそ、いっぱい教えていただいてありがとうございます。

あれがゴードン将軍なる人の絵だ、ということはフォーラムでの会話や「A Study in Celluloid」の文章で知っていたのですが、ゴードン将軍(延原謙訳ではゴルドン将軍ですね!)がどういう人か実は知りませんでした。「ボール箱」で言及されているということを、今回この記事を書くために付け焼き刃で調べただけで、まだちゃんと読んでいなかったんですよ。ワトスンがかけたものだということも、ビーチャーなる人の肖像画もワトスンが用意していたことも、斜め読みの時に抜け落ちていました。ジューン・トムスンの「友情の研究」もまだ読んでいないし。

ナツミさんのお書きになったのを読んで、私も「絵を買おうかどうか迷っているワトスンや、そっと壁にかけるワトスン」を想像できました!スタッフもエドワードもそしてジェレミーも、その場面をバックストーリーとして思い描いていたとすると、とてもうれしいし、そうだと信じられますね。ジェレミーは芝居でもテレビドラマでもバックストーリーを思い描くタイプで、ご存知のようにホームズについてもいろいろなことを話してくれていますが、ワトスンに関してもジェレミーとエドワードが、画面にあらわれない場面について話し合っているのを想像しました。

>「英雄」たちの偉業を心から讃え、肖像画という形で手元に置こう(記憶に留めよう)とする行為と、敬愛していたホームズを失い、彼の物語をひたすら綴っていたこの時期のワトスンの行動は、つながっている気がするんです。

ナツミさんが書かれた、まさにこんなふうに。わー、うれしいです。

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 RM

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