Jeremy のことが知りたくて ~ ジェレミー・ブレット(Jeremy Brett)を愛するかたへ

英グラナダ・テレビでシャーロック・ホームズを演じた俳優の人生を言祝いで

「海軍条約事件」で、ホームズがハドスン夫人に花をささげる場面は、受け取るハドスン夫人の優雅な仕草とかわいらしい笑みと共に思い出す、印象的な一こまです。最近のフォーラムで、ホームズの中にジェレミー自身の姿を直接的に強く感じるシーンはどこですか、という問いかけに対して、この場面をあげた人がいました。花を胸ポケットにさして、その花をハドスン夫人にささげるというのは、ホームズというよりもジェレミーを感じる、と。

NavalTreaty.jpg

この場面は多分、ジェレミーの発案だと思います。そのことにふれた、IMDb上のRosalie Williamsのページに引用されている文章を訳して、以前葉月さんのブログ(at Baker Street)のコメント欄に書かせていただいたことがあります。(葉月さんのブログは残念なことに休止中です。)ここにはその時の文章を、少し修正して再度載せることにします。

IMDb上のRosalie Williams(ロザリー・ウィリアムズ)のページはこちらで、ロザリーはハドスン夫人を演じた女優です。
http://www.imdb.com/name/nm0931600/bio

IMDbでは引用元が書かれていなかったので、葉月さんのところに書かせていただいた時はわからなかったのですが、後にこの雑誌のこの記事から引用していることに気がつきました。

The Memoirs of Mrs. Hudson
Rosalie Williams Remembers Jeremy Brett
Scarlet Street, vol.21, 1996, p.45

以下はIMDb引用部分の訳です。

「ジェレミーは私が演じる場面に、細かな美しい飾りを施してくれたものでした。ハドスン夫人に関してはドイルの原作にはほとんど書かれていないので、ジェレミーはちょっとした素敵なひとこまをよく考えてくれました。たとえばあるエピソードでジェレミーが私に花を一輪ささげてくれた時のように。こんな瞬間がたくさんあって、そういう場面でのホームズをみれば、ホームズがハドスン夫人をとても身近で大切な人だと感じていることがわかったのです。二人がこのような親しい関係であるというのは原作にあったのではなく、このシリーズの中で作り出したものでした。そしてそれはジェレミーと私が心がかよいあった親しい関係だったからできたのです。

もうハドスン夫人を演じることがないのは、本当に本当に寂しいです。彼女がとても好きでした。撮影のセットに入ると私はハドスン夫人で、そこは私の部屋で、すべてがそのようにしつらえられていました。とても容易に、そしてとても幸せな気持ちでハドスン夫人になりきることができました。」



「あるエピソード」としか書かれていないのですが、多分「海軍条約事件」のあのシーンだと思います。

脚本家がドイルから離れようとすると、ジェレミーがそれを元にもどそうと頑張った、というのは、ジェレミー本人も他の人も言っていますが、ドイルにもなく脚本家の元々の台本にもないシーンを、ハドスン夫人役のロザリー・ウィリアムズのためにつくった、というのはとても興味深いと思いました。(この脚本は出版されていますので調べてみましたが、確かに花をおくるシーンはありませんでした。)ジェレミーはただ演じるだけではなく、いろいろな点でとても能動的にこのシリーズに関わったことを、あらためて知ることができますし、共演者とのとても親しい関係も、いかにもジェレミーらしいと思います。ロザリー・ウィリアムズとレストレード役のコリン・ジェポンズのことを、「ながく一緒で、家族みたいなものだ」と言っていました。

そしてロザリーがハドスン夫人を幸せな気持ちで演じていたというのは、映像をみればわかることとは言え、あらためてこうして読むととてもうれしいですね。プロデューサーのマイケル・コックスは、ロザリーは本来はこのような出番の少ない役を演じるような女優ではないのだが、自分とジェレミーのことを知っていて好意を持ってくれていたので出演を承諾してくれた、と"A Study in Celluloid"に書いていました。そのおかげで私たちは、あんなに素晴らしい、ずっと記憶に残るハドスン夫人を得たのですね。そしてハドスン夫人をもう演じることがない、というロザリーの寂しさは、ジェレミーを失ったロザリーの寂しさとかさなって、胸を打ちます。

Scarlet Streetという雑誌の、このロザリー・ウィリアムズのインタビューはもっと長くて、ロザリーがどんなにジェレミーを好きだったかがよくわかりますし、とても知的であり、かつ感情が豊かな人だということを感じることができます。うまく訳せる自信がありませんが、いつか機会があればもう少しご紹介できたら、と思っています。

RM
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コメント

ジェレミーらしさ

私もこのお花を手渡すシーン!大好きです。RMさんの仰るとおりホームズとハドソン婦人が実在して2人の間柄がとても信頼し合っていたことと、実在している演者、2人の関係が一瞬にして感じられる。本当に自然で引き込まれる場面です。
RMさんみたいに上手く表現できませんが心に残る場面です、それが世界共通で感じられるなんて。
自然な「演技」というよりも感性?言葉が分からない(泣)、役と本人が溶け合って出てきた仕草みたいに思えて ふっ と私がそこにいて見ているかのように雰囲気に包まれるんです。(ジェレミーの声みたいに「ふわっ」と。)

上手く表現できずにごめんなさい(哀)ようするに好きってことです。(笑)

「ハドソン夫人をもう演じることができない」・・・ぐっときました、ちょっと悲しくなっちゃいました・・。

素敵な表現をありがとうございます

>ホームズとハドソン婦人が実在して2人の間柄がとても信頼し合っていたことと、実在している演者、2人の関係が一瞬にして感じられる。本当に自然で引き込まれる場面です。

>役と本人が溶け合って出てきた仕草みたいに思えて ふっ と私がそこにいて見ているかのように雰囲気に包まれるんです。(ジェレミーの声みたいに「ふわっ」と。)

本当ですね!ジェレミーとロザリー、ホームズとハドスン夫人、両方が溶け合って、だからあんなに自然で、だからこんなに引き込まれるのですね。素敵な表現です!そしてだいさんも、ジェレミーの声がお好きなんですね。

>「ハドソン夫人をもう演じることができない」・・・ぐっときました、ちょっと悲しくなっちゃいました・・。

どんなことにも終わる時が来るとは言え、やはり悲しいですね。

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 RM

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