Jeremy のことが知りたくて ~ ジェレミー・ブレット(Jeremy Brett)を愛するかたへ

英グラナダ・テレビでシャーロック・ホームズを演じた俳優の人生を言祝いで

前回の記事では、雑誌Scarlet Streetに掲載されたRosalie Williamsのインタビューから引用しました。フォーラムでもこの部分を紹介したのですが、この雑誌のことを知らないひとも思いがけず多かったので、他に何人かの俳優がジェレミーを偲んで書いている言葉をさらに引用しました。

最初はRosalie Williamsのインタビューだけにしようと思っていたのです。でも他のことで連絡をとっていたメンバーが少し前に、自分はジェレミーと一緒に仕事をした人にも興味がある、彼らがどんな俳優か、ジェレミーのことをどう思っていたかを知りたい、と書いていました。それを思い出して、彼女のためにもフォーラムでいくつかさらに引用したところ、彼女もとても喜んでくれました。

こんなふうに、私のつたない英語でも、いろいろな時に「わあ、私と同じだ!」と思わせてくれることがたくさんあります。私もここで何度か書きましたが、ジェレミーを知る人がジェレミーを語る言葉を読むのがとても好きなのです。

このブログでは、今日は同じ雑誌の同じ号から、David Burkeの奥様のAnna Calder-Marshall(アナ・カルダー・マーシャル)がジェレミーを語った文章の前半部分を、一部省略した形でご紹介します。Anna Calder-Marshallは「未婚の貴族」に出演しました。

ジェレミーはとても広いこころの持ち主で、自分のからに閉じこもったりしない人でした。まわりの人のいろいろなことに対して感性が豊かで、いつもすぐに気がついていました。あのあたたかさ、洞察力、情熱 ... 彼はまさにスターでした。新聞の追悼記事に私はがっかりしたのです。「彼は --- でなかった」ということばかり書いていたからです。ジェレミーはもっと違う人生もおくれた、違う俳優人生もおくれたのに、ということもあるかもしれませんが、でも共に仕事をした人たちにとって、あらゆる意味でジェレミーはスターでした。私が共演した時には、すでに健康状態はよくありませんでしたが、自分のからだとこころのすべてを演ずることにささげていました。その腕で私を抱くことすら長くはできない状態でしたが、いつも最善をつくしていました。

ジェレミーの健康状態が悪くなってからのことは知るのも苦痛だし、映像や写真を見ても悲しくなる、と思われるかたもいらっしゃるでしょう。私にもそういう気持ちが確かにあります。でも次第にわかってきたことがあります。まわりの人たちにとって、そういうジェレミーを見るのは悲しかったでしょうが、それ以上にジェレミーと共にいることはあたたかさと幸せを運んでくれた、ということです。

たとえばEdward Hardwickeも、ジェレミーと一緒でどんなに楽しかったか、グラナダ・シリーズの撮影現場がどんなに素晴らしかったかを、いつも話してくれていました。決して、次第に困難がふりかかって、シリーズは悲しい最後をむかえた、などということは言いませんでした。私はそれをエドワードの優しさだと思っていました。もちろんそれも大きいでしょうが、でも今思うのは、ジェレミーの健康状態が悲しいことにどんどん悪くなっていた時期でさえ、ジェレミーのまわりにはたくさんの喜びがあった、ジェレミーの存在はとても大きかった、ということです。

アナにとってもまた、自分を長く腕で支えることができないほどのジェレミーであっても、彼と共演したことは、決して、時に気が滅入る悲しい思い出ということではなくて、素晴らしい俳優と共に仕事をした幸せな思い出なのだと思います。特にアナはデイビッドを通じて、ジェレミーがまだ元気だった頃から親交があったとしてもおかしくないと思いますから、その頃との違いに憂鬱な気持ちになることだってできたでしょう。でもアナにとって、「彼は健康ではなかった」「彼のホームズは初期の頃のようではなかった」「ホームズ以降俳優をつづけられなかった」といった「 --- でなかった」という記事がジェレミーを語っているとはとても思えず、ジェレミーは最後までかわらず見事な俳優であり見事なホームズであり、見事な一人の人間だったと感じているのだと思います。

そしてジェレミーは自分の状態がどんなに悪くても、まわりの人を気にかけて、すぐに何にでも気がついたということ、ああジェレミーらしいなあ、と思います。そんなふうにその頃のジェレミーのことを私たちに知らせてくださって、ありがとうございました、とこの文章を読んでDavid Burkeの奥様であるアナにこころで伝えたい気持ちになりました。

なお、同じこの雑誌からは以前「"This is your life" の撮影の時」というタイトルで、Simon Williamsがジェレミーを語っている文章をご紹介しました。こちらもとても好きな文章です。

RM
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コメント

こんばんは。

 RMさん、いつも本当に素晴らしい記事をどうもありがとうございます!!!
 『…でも今思うのは、ジェレミーの健康状態が悲しいことにどんどん悪くなっていた時期でさえ、ジェレミーのまわりにはたくさんの喜びがあった、ジェレミーの存在はとても大きかった、ということです。』
 そして『アナにとってもまた…見事な一人の人間だったと感じているのだと思います。』
 このくだりの文章、本当に素晴らしいです!
 人生の中で、「 --- でなかった」と思う事は多々ある事ですが、視点を変える事で、向ける意識を変える事で、そう思わないで生きて行く事が出来るんですよね…改めて、幸せは自分が作り出しているのだと痛感いたします。
 ジェレミーの優しさ溢れる前向きな生き方で、そしてその素晴らしい生き方を紹介して下さるRMさんのこのブログから、いつも胸の中に広がる温かさと、そしてちょっぴり込み上げてくる『もうジェレミーはいないんだ…』と云う寂しさと共に、自分も頑張ろうという気持ちになります。
 いつもありがとうございます。

みんみんさん、こんばんは。

こちらこそ、いつもありがとうございます。

私もこれを書きながら、うれしい気持ちになりました。今まで私は、後期の作品では俳優もスタッフも、息をひそめてジェレミーの状態を案じながら撮影にのぞんでいたように思っていたことに、これを書きながらあらためて気がつきました。もちろん案じてはいたでしょうが、でも絶対に憂鬱な雰囲気なんかではなかった、ジェレミーのまわりにはいつもあたたかさがあった、今はそう確信しています。「ジェレミーの優しさ溢れる前向きな生き方」、本当にそうですね!

>人生の中で、「 --- でなかった」と思う事は多々ある事ですが、視点を変える事で、向ける意識を変える事で、そう思わないで生きて行く事が出来るんですよね…改めて、幸せは自分が作り出しているのだと痛感いたします。

本当にそう思います。ジェレミーはとても幸せな生き方をした人でしたね!

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 RM

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