Jeremy のことが知りたくて ~ ジェレミー・ブレット(Jeremy Brett)を愛するかたへ

英グラナダ・テレビでシャーロック・ホームズを演じた俳優の人生を言祝いで

シェークスピアの「トロイラスとクレシダ」のオーディオブックから、ジェレミーが出演する部分のハイライトをいくつかあげるうちの2回目です。1回目はこちらにあります。全体をダウンロードできる「Internet Archive」のサイトについても、1回目をごらんください。

悲劇にも喜劇にも分類され、問題劇という新しい分類法で区分けされることもある、という複雑な内容を持つこの劇は、現代的なテーマを多く持つことからさまざまな解釈と演出をさそうようで、ジェレミーが1956-57 年に劇場で演じたときの演出は、舞台装置や雰囲気を本来の古代ギリシャから、第一次世界大戦前のヨーロッパ、1912年頃にうつしたものだったそうです。The Jeremy Brett Archiveにあるジェレミーの写真の衣装をご覧ください。

この時の演出家は、これより以前に、舌癒着による発音障害があったジェレミーにThe Central School of Speech and Dramaに行くようにすすめたTyrone Guthrieです。(出典:The Armchair Detective, vol.18, No.4)

「僕は自分を大きくみせようとして兄のコートをきて、有名な舞台演出家のTyrone Guthrieに会いに行き、『R』の音が出ないままで、『僕は俳優になりたいんです(I want to be an actor vewy vewy much) 』と言ったのです。彼はこの馬鹿な若者に困惑して、せりふのない役につくか、そうでなかったらCentral Schoolへ行って『R』の発音をどうにかしなさい、と言いました。それで僕はSchoolへ行き、10年ほど後ブロードウェイで彼の演出の元にトロイラスを演じました。トロイラス!(訳注:トロイラスには『R』の発音が含まれる)」

Tyrone Guthrieに会いに行ったのはCentral School入学前、舌の手術前ですから17歳より以前です。また、この芝居がジェレミーのブロードウェイデビューになったのですが、そのことについてはまたあらためて紹介します。

今回の箇所は前回の独白部よりも少し前、パンダラスの台詞からはじまり、それをさえぎってトロイラスがパンダラスに向かって言う箇所で、取り持ち役のパンダラスに対するいらだちと、クレシダへの恋心がからみあっています。下のリンクをクリックすると別ウィンドウが開いて、声が流れます。

mp3, 38秒

PANDARUS. I will not dispraise your sister Cassandra's wit; but-
TROILUS. O Pandarus! I tell thee, Pandarus-
When I do tell thee there my hopes lie drown'd,
Reply not in how many fathoms deep
They lie indrench'd. I tell thee I am mad
In Cressid's love. Thou answer'st 'She is fair'-
Pourest in the open ulcer of my heart-
Her eyes, her hair, her cheek, her gait, her voice,
Handlest in thy discourse. O, that her hand,
In whose comparison all whites are ink
Writing their own reproach; to whose soft seizure
The cygnet's down is harsh, and spirit of sense
Hard as the palm of ploughman!

耳に残る7,8行目は、
「おまえは私のこころの傷口に、あの人の目や髪や頬や歩きぶりや声を注ぎ込もうとする」。
テンポよくたたみかける台詞に、若さが持つ一途さと、他がみえなくなる危うさがよくあらわれていると思います。そして前回もそうでしたが、若々しくてニュアンスに富んでいて、情熱的で音楽的なところに魅了されます。二十代後半のジェレミーです。

小田島雄志訳を少し書きかえて、トロイラスの台詞を下に訳します。

ああ、パンダラス!話をきけと言っているのだ、パンダラス、
私の望みが溺れ死にしそうだと言っているのに、
「海底深く沈んでいますな」などと答えるな。
私はクレシダに恋こがれていると言っているのだ。
それなのにおまえは、「彼女はきれいでしょう」などと
よけいなおしゃべりで私のこころの傷口に、
あの人の目や髪や頬や歩きぶりや声を注ぎ込もうとする。
ああ、あの手、あの手にくられべれば
どんな白いものも墨だ。
おのれの黒さを書き記すしかない。そっと握られれば
白鳥の雛の柔毛さえざらざらと感じ、鋭敏な触覚さえ
農夫の手のひらのようにごつごつしたものに思われる、

RM
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