Jeremy のことが知りたくて ~ ジェレミー・ブレット(Jeremy Brett)を愛するかたへ

英グラナダ・テレビでシャーロック・ホームズを演じた俳優の人生を言祝いで

前回の記事で、ジェレミーがDavid Stuart Daviesに話したエピソードとして、Arthur Conan Doyleのお嬢さんであるJean Conan Doyle(ジーン・コナン・ドイル)がジェレミーの病名をきいた時に「まあ、可哀想に、ぜひうちにお寄りなさいね。いいワインをあけましょうよ」と言ったという話を書きました。

私はデイム・ジーンがジェレミーをなぐさめたくて、あなたのためにいいワインを、と口にして、後でお互いにお酒はだめだと気がついて笑い合った、と解釈したのですが、トビィさんは、ジェレミーを励ますために冗談として言ったのだろうということを、コメント欄に書いて下さいました。どちらをとっても、デイム・ジーンがジェレミーと親しくて、ジェレミーを思いやっていたことを感じさせます。どちらの可能性もあると思います。でも今日ご紹介する文章を読んで、トビィさんのおっしゃるとおり、はじめから二人で笑い合うための冗談を言ったのではないか、と思うようになりました。

デイム・ジーンのことを書いてあって、今日ご紹介したいのはこの文章です。

Dame Jean Conan Doyle
1912‑1997
A Certain Gracious Lady
by Jean Upton
http://www.ash-nyc.com/DameJean.htm

シャーロッキアンの一人である Jean Uptonについては、以前もこのブログで触れたことがありますが、「四つの署名」の試写会もかねて行われたThe Sherlock Holmes Society of Londonのグラナダスタジオ訪問の時にアメリカから参加して、はじめてジェレミーに会い、ジェレミーが亡くなる時まで親交があった女性です。

The Sherlock Holmes Society of Londonのグラナダスタジオ訪問(1987)
The Sherlock Holmes Society of Londonのグラナダスタジオ訪問(1987);Sherlock Holmes Gazetteの記事から
最期の日々(1)

彼女はデイム・ジーンとも個人的に親しくて、そのことを書いています。いろいろと興味深い話が書かれていて、私はサー・アーサーのお嬢さんのことはほとんど何も知らなかったのですが、これを読むととても有能でしっかりしていて、冗談が好きであたたかい人柄だったようですね。たとえばこのように書かれています。


亡くなる前の数年間でさえ、彼女は素晴らしく精力的で、人と会うのを楽しみ、ユーモアのセンスにあふれていて、彼女が冗談好きなことを知らない人を驚かせていた。

Even into her final years she was amazingly energetic and outgoing, with a sense of humour that often surprised the uninitiated.



彼女が明るくてユーモアにあふれていたことについてはいくつかの逸話が書かれていますが、その一つを引用します。デイム・ジーンはThe Sherlock Holmes Pubに友人をつれていって、父のポートレートをみせるのが好きでした。(このポートレートの除幕式では、彼女自身が除幕を行ったそうです。このポートレートは写真でしょうか、肖像画でしょうか。)このパブは小さくて、違う席どうしで楽しい会話がはずむこともまれではないそうです。


ある時、ジーンの近くの席に座っていた一人の紳士が、彼女の方に顔を向けて尋ねた。「あのポートレートの人は誰か知っていますか?」いたずらっぽい笑みを浮かべて彼女が答えた。「ええ、私の父です!」彼はジーンを見つめポートレートを見つめ、そしてまたジーンを見て、「なんてことだ、まさしくそうですね!」それから紹介しあって、お店の皆がすばらしい時を過ごした。

On one occasion a gentleman sitting near Jean leaned over and enquired, "Can you tell me who that is in that picture?" With a mischievous grin she replied, "Yes, that's my father!" Her enquirer looked from her to the portrait and back again, and pronounced "By God, it is!" Introductions were made, and a splendid time was had by all.



こんな彼女ですから、ジェレミーの心臓の状態ではお酒はだめかもしれないということを忘れていたというよりも、「よいワインをあけましょうよ」と茶目っ気たっぷりに言って、ジェレミーと一緒に笑った、そしてジェレミーを励ました、という方がずっとあっている気がしてきました!

こんなふうに、コメント欄でのお話を楽しむ過程で、新しい考え方を知るのは、本当に幸せなことです。

さて、今日ご紹介した文章中にも少しですがジェレミーに関係することが触れられています。筆者がはじめてデイム・ジーンに会ったのは、"The Secret of Sherlock Holmes"の初日に、Wyndham's Theatreのジェレミーの楽屋に迷い込んでしまった時でした。そこはおそらく人でごった返していたのでしょう。出口が人でふさがれてしまっている場所に間違って入ってしまって、筆者は場違いに感じていました。その時よく知っている顔をみつけました。それがデイム・ジーンで、筆者が彼女の顔を知っていても、彼女が筆者と会うのはその時が初めてだったにも関わらず、そして多くの人から手紙をもらっていたはずであるにも関わらず、手紙のやりとりがあった筆者のことをすぐにわかってくれて、おしゃべりを楽しんだそうです。

デイム・ジーンが"The Secret of Sherlock Holmes"を観た、ということは他で読んで知っていましたが、初日に観ていたことは知りませんでした。これもジェレミーとデイム・ジーンの親しさを示していますね。

今日の文章で、デイム・ジーンの人となりが想像できるようになり、ジェレミーが彼女を大切に思っていたわけも、よりわかるようになりました。ジェレミーは彼女のことを、大切な友人の一人(a great personal friend of mine)と、1991年のNPRのラジオインタビューで話しています。

RM
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コメント

RMさん、こんにちは。
 
前回のエピソードを読むまでデイム・ジーンのイメージは「神経質で冗談の通じない人」だと思っていたのですが、本当は優しくて感受性が強くジェレミーとよく似ているのですね。
そう思うとディム・ジーンのこと好きになちゃいます。
コナン・ドイルもそんな感じの人だったのかもしれませんね。

>・The Sherlock Holmes Society of Londonのグラナダスタジオ訪問(1987);Sherlock Holmes Gazetteの記事<を読んでいて、そういえば(誰だったかは忘れてしまいましたが)ジェレミーに抱きしめられると骨が折れそうになる。というのを思い出しました(笑)
そんなに抱きしめられるなんて!ちょっとジェラシー感じてしまいます(><;

トビィさん、こんばんは。

>そう思うとディム・ジーンのこと好きになちゃいます。
コナン・ドイルもそんな感じの人だったのかもしれませんね。

はい、私も好きになりました!そしてコナン・ドイルも、あのホームズ物語を書いた人ですから、才能と魅力を持った人だったのでしょうね。

>・The Sherlock Holmes Society of Londonのグラナダスタジオ訪問(1987);Sherlock Holmes Gazetteの記事<を読んでいて、そういえば(誰だったかは忘れてしまいましたが)ジェレミーに抱きしめられると骨が折れそうになる。というのを思い出しました(笑)

うわあ、トビィさんの記憶力と直感に脱帽です!それは「熊の抱擁」(http://upwardjb.blog112.fc2.com/blog-entry-152.html)の記事に書いたエピソードですね。実は「ろっ骨が折れそうになって足が宙に浮く、熊に抱きしめられるような抱擁」を受けた女性こそ、今回紹介した文章を書いたJean Uptonなのです。でも「熊の抱擁」を書いたときは、Jean Uptonの名前を出さずに、「ある女性」としてしか書かなかったのです!

続けてお邪魔致します。

RMさん、そうです!そうなんです
まさに『熊の抱擁』です(笑)
(ちょっと興奮してしまいました。)
『肋骨が折れて足が宙に浮いてしまう』ような抱擁って、よく考えたら関節技に近い気もしますけどσ(^_^;)大丈夫だったのかしら?
この時の優しいエピソードはジェレミーらしいと言えますよね。




いらっしゃいませ

>(ちょっと興奮してしまいました。)

うふふ、私も驚いて興奮しちゃったのです。

>『肋骨が折れて足が宙に浮いてしまう』ような抱擁って、よく考えたら関節技に近い気もしますけどσ(^_^;)大丈夫だったのかしら?

彼女はグラナダスタジオ訪問の時は、「眼鏡の細いフレームからレンズがはずれそうになるくらいの強さ」で抱きしめられたのですよね。多分どちらの時も、大丈夫だったのでしょう。(^_^)

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 RM

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