Jeremy のことが知りたくて ~ ジェレミー・ブレット(Jeremy Brett)を愛するかたへ

英グラナダ・テレビでシャーロック・ホームズを演じた俳優の人生を言祝いで

「入院患者」でワトスンが作っていた帆船の模型は、その後ホームズにとって、ワトスンへの気持ちの象徴となったのではないか、とフォーラムのメンバーが以前言っていました。そこで、船の模型がどこに置かれているか、時間を追って見ていくことにします。

まずはワトスンが作りかけている模型。ワトスンのベッドの脇です。
ResidentPatient.jpg

その後の「最後の事件」では、出来上がったワトスンの模型はホームズの部屋にあります。ワトスンがホームズに贈ったのですね。下のスクリーンショットは、ホームズがワトスンにあけてもらって自室の窓から入った後、二人の居間に通じるドアでなく、廊下へ通じるドアを通った瞬間を、廊下側から撮ったものです。画面の右にある台の上に帆船が見えます。
FinalProblem1.jpg

この後ワトスンから傷の手当を受ける時、ドレッサーの鏡に、台と帆船がうつっています。この鏡にわざわざ船が写っているのも、この後述べる「四つの署名」のシーンと同様、偶然ではないのかもしれません。
FinalProblem2.jpg

その「四つの署名」では、ホームズのベッド脇の台の上に模型があって、ホームズの右手が軽くふれられています。
SignOfFour.jpg

それではこのベッド脇の台は、いつもこの場所、ベッドと壁の間にあるのでしょうか?ベッド脇に台を置く時、普通は壁と反対側に置くでしょう。実際、初期作品の「青い紅玉」でも、「四つの署名」の後に撮られた「銀星号事件」でも、そのように置かれています。
BlueCarbuncle.jpg
SilverBlaze.jpg

それではなぜ、「四つの署名」では台と帆船がわざわざここに置かれたのでしょうか。それはこの船は言わば隠れた主役で、船がよくみえることが必要だったから。船に触れる動作は、ホームズの気持ちをあらわしているから、というのです。「ワトスンは僕の友人、彼はここを出て行かない。」

この船は、一度ホームズの部屋を出てホールに移動します。「高名な依頼人」です。右はじに見えているのはワトスンで、居間に入ろうとしているところです。
IllustriousClient1.jpg

でもその後、「犯人は二人」ではちゃんとホームズの部屋にもどっています。暗いですが、画面の右をご覧ください。
MasterBlackmailer.jpg

「高名な依頼人」ではホームズのベッドの位置が、それまでのドレッサーの場所、つまり窓際に移動しています。このエピソードでは、暗い部屋のベッドに横たわるホームズに、窓のカーテンを通して光がさしていたり、居間からの光がもれたりするシーンがありますので、ベッドを動かす必要があったのでしょう。それにともなって他の家具や帆船も移動させたのでしょう。

ただ、ホームズの部屋の模様替えにともなって船を倉庫にしまい込むのではなく、こんなにはっきりとハドスン夫人と共に写る場所に据えて、後でまたホームズの部屋にもどしたグラナダ・チームの気持ちを思うと、もしかしたらこの船は「ホームズがワトスンに抱く気持ちの象徴」から、同じ船に乗り合わせたホームズとワトスンとハドスン夫人のつながりの象徴になっていたのかもしれません。

RM
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コメント

帆船の航跡

RMさん、皆さん、こんにちは。
立て続けのコメントすみません!帆船は、こんなに何度も221B内を旅していたのですね!いくつもの場面を覚えていてくださったRMさんに敬礼を!

位置への解釈もとても面白いですね。
「四つの署名」のラストでホームズが帆船に触れているのには気付きませんでした。
RMさんがおっしゃっていたように、この模型は原作には出てきません。でも帆船というモチーフは、ワトスンが海洋小説を夢中になって読んでいたこと(『オレンジの種五つ』)から来ているのだと思います。そこからも、ホームズが帆船をワトスンになぞらえ、それを手放さなかったという解釈は納得できます。

そして、仲間同士とその絆が、船員と船に例えられることもありますよね。RMさんの「徐々に船の意味合いが拡大されていった」という解釈にも拍手を捧げたいです!

小道具って、まさにお話の一端を担う「道具」なのですね。興味深いですね!
ちなみに現代版では、シャーロックが「友達」と呼んで手元に置いていた頭蓋骨がだんだん隅に追いやられていったり(その分だけジョンが『友達』の位置を占めているのでしょう)、「事件に関する思い出の品」らしきものが増えていったりするんです。
椅子に引き続き、私もRMさんを真似て「小道具の観察」をしてみたいと思います。

RMさん、またまた、こんにちは。

私もちょこっとだけ船について、思い出しました。
どこで、読み覚えたのかはド忘れしてしまいましたが、もともとはスタッフの方が撮影の合間に作製されていて、あまりの出来栄えの良さに使う事になったみたいですね。
そう考えるとあの船の乗組員はジェレミー船長、共演者率いるスタッフ全員かもしれませんね。
しかも、221-Bの中をあんなに移動していたなんて、ビックリです。
BSがはじまったら、しっかり観なくては!

風を帆に受けて

ナツミさん、敬礼をありがとうございます!船が鏡にうつっている場面と、ホールに一時的に移動した後、ホームズの部屋にもどったのを思い出した時は、思わず(小さな)達成感を感じました。

>この模型は原作には出てきません。でも帆船というモチーフは、ワトスンが海洋小説を夢中になって読んでいたこと(『オレンジの種五つ』)から来ているのだと思います。

もしかして原作に?と思って、コメントへのお返事の中でうかがったのですが、早速お答えをありがとうございました。そしてワトスンが海洋小説に夢中だったなんて、知りませんでした。ワトスンにとって、そしてホームズにとって、原作の側から帆船にどんな意味があるかがわかりました。そしてこの後トビィさんが書いてくださったおかげで、スタッフの気持ちもわかりました。こうしてご近所さんのおかげで話題が広がって新しいことがわかって、うれしいです。

>仲間同士とその絆が、船員と船に例えられることもありますよね。

本当にそうです。そして「仲間同士」という点で、トビィさんが船の仲間を撮影クルーまで広げて下さいましたね。

BBC版にも、二人の気持ちを反映するような小道具があって、その場所が変わったり、新しく増えたりするのですね。画面に話の筋として大きくあらわれなくても、物語の世界の中で時間は日々過ぎてゆき、いろいろなことが起きている、ということを感じさせてくれますね。

話が飛ぶようですが、ナツミさんにお返事を書いている間に、以前、ジェレミーと同じ船に乗ることができて本当によかった、と突然感じたことを思い出しました。遠い国の、すでにこの世にはいない会ったこともない人ですが、ジェレミーの演技と作品とを堪能し、人となりを知って、いろいろなことを感じることができるような、この時代のこの世界に生まれて、本当によかった、と思いました。この時代のこの世界で生を受けたというのは、同じ船に乗り合わせた仲間なのですよね。

トビィさん、びっくりする情報をありがとうございます!なるほど、スタッフが元々好きで作っていたのですね。作りかけの船がうつるときの道具が、付け焼き刃で適当に置いたという感じではなかったのも納得です。何に載っていたか、いつか思い出されたらどうぞまた教えて下さい。私の盲点は「NHKテレビ版 シャーロック・ホームズの冒険」の本なので、ひょっとして今回もこれでしょうか。ここに来てくださる他の方も、もしもご存知でしたらどうぞ教えて下さい。

>そう考えるとあの船の乗組員はジェレミー船長、共演者率いるスタッフ全員かもしれませんね。

こちらも、ものすごく納得です。スタッフは家族のようで、ジェレミーがその家族を率いてまとめていた、とエドワードが言っていましたが、まさに船長とクルーですね。

動く帆船にびっくりして頂けて、うれしいです!

RMさん、こんにちは!

プロフィール写真のジェレミー初々しいですね。
ちょっとポッチャリした、本当に「ふわっとした笑顔」です。

「こわいくらい奇麗」ピッタリな表現!!

トビィさん、こんにちは!

>ちょっとポッチャリした、本当に「ふわっとした笑顔」です。

そうなんです、ちょっと珍しい感じがして。

>「こわいくらい奇麗」ピッタリな表現!!

ああ良かった!この表現おかしかったかしら、悪く言っているように聞こえるかしら、と少し心配していました

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 RM

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