Jeremy のことが知りたくて ~ ジェレミー・ブレット(Jeremy Brett)を愛するかたへ

英グラナダ・テレビでシャーロック・ホームズを演じた俳優の人生を言祝いで

前回からの続きで、同じインタビューからの引用です。最初の段落、原文はとても長いので、訳文では改行を2回入れました。


Herbert: どんなふうにワトスンの性質を演じようと、二人で決めたのですか。

Brett: 私たちはこんなふうに自問してみました。「ホームズと一緒にいられる人って誰だろう?そう、ワトスンは一緒にいる。でもそれなら、どうして彼はホームズのそばにいるのだろう。」彼は推理にこころ奪われているのです。自分がアフガニスタンから戻ったところだとホームズが知っているのに驚いて、その驚きは消えずにずっと続いています。でもそれだけではありません。ホームズは一緒に住むには最悪の人間なんです!私にわかったのは、私は「演ずる役の寝具の下」という言い方をするのですが、外からは見えないところでどういうわけかワトスンは、ホームズという人間が何を必要としているかを知っているということです。

何より、ホームズは事件がないと精神的にやられてしまいます。これは演じるのはたやすいのです、俳優もそうですから。我々も突然仕事がなくなると、ひどい状態になってしまいます。でもホームズはどうするのでしょう?直接静脈に7%のコカインを打つのです。煙草をひたすら吸って、バイオリンをギーギー鳴らします。化学実験をして、注意が足りないと周りの人を吹き飛ばして粉々にしかねないのです。「孤独な自転車乗り」の時のように、ベーカー街221Bで火事を出しそうになります。だから彼は素晴らしい友人であると同時に問題児なのです。

ワトスンはそれをわかっています。ワトスンはホームズが「ありがとう」と言えないこともわかっています。「お休み」とも言えない、「助けてくれ」とも言えない。でもホームズは時にちょっとした優しいことをするのです。「ボヘミアの醜聞」でワトスンにこう言います。「君が帰ってくるのはちゃんと覚えていたよ。葉巻を用意しておいた。」そしてこういうのは小さいことですが、とても意味があることなのです。私はホームズが本当にどれほどワトスンを必要としているかを、実際にそれを言葉で言うのでなく示そうとしました。

ホームズは死んでしまうと思うんですよ、(ジェレミーは目をきらきらさせて)つまり二人が実在の人だとしてですが、もしもワトスンがいなかったら死んでしまうと思うのです。もしワトスンが突然ホームズの元を去って、たとえばマダガスカルに住むことになったら、ホームズは6週間もたたずに死んでしまうでしょう。そんなふうに私たちは演じることにしたのです。


Herbert: What sort of decisions did you make about the Watson character together?

Brett: We asked ourselves, "Who'd stay with Holmes? Well, Watson does. But therefore why does he stay?" All right, he's fascinated with deduction—he still has never recovered [from his surprise at] Holmes's knowing he had just come back from Afghanistan—but there's more than that. [Holmes is] an impossible person to share rooms with! I think that what I found in what I call the under-bedding of the part is that somehow Watson see this man's need. First of all, Holmes falls apart when he's not working. Well, that's easy to play because actors do that-we all fall apart, really, when we're suddenly made redundant. But what does Holmes do? He actually shoots up, straight to the vein, the seven-percent solution. He smokes too much. He scrapes on his violin, not very well. He does chemistry—nearly blows people to pieces if he's not very careful or, as happens in "The Solitary Cyclist," nearly sets fire to [221B] Baker Street. So he's obviously a problem child as well as a brilliant friend. Watson sees that. Watson see that Holmes can't say "Thank you"; he can't say "Good night," can't say "Help." But what Holmes does occasionally is rather sweet little things like in "A Scandal in Bohemia" he tells Watson, "You see, I did remember you were coming; here are your cigars." And it's the little things that mean a lot. I tried to show how much Holmes does actually need Watson without actually saying it.

I think that Holmes would be dead—(with a twinkle in his eye) I mean, just pretending that they were real people—if Watson weren't there. If Watson suddenly decided to go and live, let's say, in Madagascar, Holmes would be dead inside of six weeks. And that's what we chose to play.


ホームズとワトスンの関係を魅力的に話してくれていると感じます。特に "Holmes can't say 'Thank you'; he can't say 'Good night,' can't say 'Help.'" という繰り返しのところ、そしてそれをワトスンはちゃんと理解しているというところは、初期のホームズと、デイビッドのワトスンを思い浮かべると、ああ本当にそうだなあと思います。一見自信満々、強気にふるまい、ワトスンをリードするホームズ、でもその裏にはこういう関係、ワトスンのホームズの性質に対する理解がありましたね。

さて、今日は「踊る人形」ですね!

RM
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コメント

RMさん、みなさん、こんにちは。

2人も凄いですね。撮影が始まる前から役にこれほど綿密に研究(?)していたなんて。
>「ホームズと一緒にいられる人って誰だろう?そう、ワトスンは一緒にいる。でもそれなら、どうして彼はホームズのそばにいるのだろう。」
ワトスンがホームズと一緒にいるのは当たり前になっていますが、考えてみたら、ホームズに叱責されても(さほど)怒らずに行動を共にしていますよね。
普通なら喧嘩別れしてもおかしくないです。
言葉で言わない、言えなくても理解できるワトスンはよく出来た人間ですね。
お互いが理解していないと一緒にはいられませんね。

「ボヘミアの醜聞」で暖炉の前の肘掛け椅子に膝抱えて待っている姿は可愛いですよね。
極めつけが、>「君が帰ってくるのはちゃんと覚えていたよ。葉巻を用意しておいた。」
こんな事言われたら感動して泣いちゃうかも?!
ホームズのちょっとした(気まぐれな)優しさはクセになるのかもしれません。

「踊る人形」
RMさんが以前載せてくれたジェレミーとデイビッドが銃で遊んでいる画像を思い出しますフフッ♪

トビィさん、こんばんは。

>2人も凄いですね。撮影が始まる前から役にこれほど綿密に研究(?)していたなんて。

ジェレミーは直感的なところと、こういう綿密なところの両方を持っていて、いつもあらかじめ役を研究していたようですね。デイビッドはどうだったのでしょうね。ジェレミーと一緒だったからいろいろと考えたけど、普段は結構大雑把(失礼!)だったのか、それとも普段から役の背景を考える方だったのか。あ、そういえば一つインタビューを思い出しました。ワトスンの話があった時にちょっと悩んだ、という話をしていました。今度ちゃんと読んでみましょう。

>言葉で言わない、言えなくても理解できるワトスンはよく出来た人間ですね。
お互いが理解していないと一緒にはいられませんね。

本当ですね。そしてお互いが理解しているということも、そのまま言葉に出すのではなく表現していましたね。そしてホームズは、ときどきぽろっと優しいことを言うんですよね。

>「ボヘミアの醜聞」で暖炉の前の肘掛け椅子に膝抱えて待っている姿は可愛いですよね。

あれは可愛いですよね!たしかベネディクトもあんなふうに膝を抱えているショットがありましたね。

>RMさんが以前載せてくれたジェレミーとデイビッドが銃で遊んでいる画像を思い出しますフフッ♪

いたずらっ子ジェレミーとデイビッド、ですね!

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 RM

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