Jeremy のことが知りたくて ~ ジェレミー・ブレット(Jeremy Brett)を愛するかたへ

英グラナダ・テレビでシャーロック・ホームズを演じた俳優の人生を言祝いで

以前何回か、雑誌Scarlet Streetのジェレミー追悼特集に掲載された、仲間の俳優の文章やインタビューをご紹介したことがあります。
"This is your life" の撮影の時
Anna Calder-Marshallのジェレミーを偲ぶ言葉(1996)より
ホームズがハドスン夫人に花をささげる場面;Rosalie Williamsのインタビュー(1996)より

この雑誌の同じ追悼号からもう一つ、文章の一部を引用してご紹介します。これは「犯人は二人」でBertrand(ベルトラン)を演じたNickolas Grace(ニコラス・グレイス)の追悼文です。


Scarlet Street, vol.21, 1996.

Nickolas Grace
Bertrand (THE MASTER BLACKMAILER)

1983年にはじめてジェレミーと共演しました。BBCテレビの"MORTE D'ARTHUR"で、彼がアーサー王、私がモルドレッドでした。一騎討ちの果てに共に死ぬ場面を撮った時、私が彼の兜に一撃を加えて殺すところで、打ち方が弱くてそうは見えないとジェレミーが言うので、次にはもっと激しく打ちました。ところがジェレミーは痛みのあまり大声でうめいて、衝撃でコンタクトレンズがずれて眼の中に入ってしまったと言うのです。医者を呼んでくれと頼んだあと、セットの中を行ったり来たりしながら、「もしこれで眼が見えなくなっても彼のせいじゃない、僕がもっと強く打つように頼んだのだから」とまわりに言い張っていました。まったく、とても素敵に芝居がかっているんです!

[...] I first worked with him in 1983, playing Mordred to his King Arthur in MORTE D'ARTHUR for BBC TV. During the shooting of our mutual deaths, he told me that I wasn't striking his helmet hard enough to be convincing. When I hit him harder on the next take, he yelled in pain, saying that the strike had knocked his contact lens into his eye. He demanded a doctor be called, and paced up and down the set, protesting that if I had blinded him, it wasn't my fault, as he had asked me to hit him harder. A true drama-queen in the best sense! [...]



最後の "A true drama-queen in the best sense! " のところ、ジェレミーがどんなだったか想像しながら「とても素敵に芝居がかっているんです」と訳しましたが、感じが出ているでしょうか?

"in the best sense" (最高の意味において)と言っているように、これは全然悪口じゃなくて、ジェレミーの愛すべき特徴の一つですよね。そしてジェレミーを知る人がその様子を想像して、ちょっとくすっと笑えるような、そういう文を追悼として書いてもらえるというのは、やはりジェレミーならではです。

私はコンタクトレンズをしていないのでわからないのですが、「コンタクトが眼のどこかに行っちゃった」という状態なのでしょうね。そしてもちろん打たれたこと自体はとても痛かったのだと思いますが、コンタクトがずれて失明するというのは多分、考えられないのでしょう。でもジェレミーは本気でそう思って、もしも失明してもニコラスが責任を感じたり、ひとに責められたりしないように、痛みの中で一生懸命「ニコラスのせいじゃない」と訴えたのですね。これはやっぱり、ジェレミーらしいエピソードです。

eccentric(普通とは違う)とかflamboyant(人目を引く、華がある)などの形容は時々みますが、ジェレミーが "a drama-queen" と言われているのは、これではじめて読みました。そして面白いことに、実はジェレミー自身が、ホームズのことを"a drama queen" と評しているのですよ!以下の記事でご紹介したインタビューで、 "He can be a bit of a drama queen" と言っています。ここでは「ホームズはちょっと大げさな時があります」と訳しました。
ホームズの複雑さ;A Centenary Celebration of Sherlock Holmes (1987) より

ジェレミーは自分とホームズは全然違う、とよく言っていましたが、 実際にはジェレミーのホームズには、ジェレミー自身の特徴や魅力がちゃんと出ていますね。

ジェレミーがコンタクトレンズをしていた、ということは、この時以外はきいたことがありません。これについては、(多分)次回、もう少し話題にしようと思います。



さて、今日はNHK BSでの放送は何かしら、とNHKのウェブサイトをみたら、「青い紅玉」ですね!

NHKのサイトには、りえさんがブログの記事「本『シャーロック・ホームズ映像読本』 」で紹介してくださったように、「『シャーロック・ホームズの冒険』番組観賞ガイド」というページができていましたね。

それからりえさんのブログでも話題の本、「シャーロック・ホームズ映像読本」の総解説とエピソードガイドを担当した岸川靖さんの、「■海外ドラマ■『シャーロック・ホームズの冒険』全41話の放送が始まりました」という記事を、NHKのサイトの「BSコラム」で読むことができます。

RM
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コメント

RMさん、みなさん、こんにちは!
コンタクトの話・・・読んでいて眼が痛くなりました(>_<)

>ジェレミーは痛みのあまり大声でうめいて、

ってどれだけ激しく打ったのでしょう?!
もちろんジェレミーなりのジョークも多少は入っていたのかもしれませんが、

>衝撃でコンタクトレンズがずれて眼の中に入ってしまったと言うのです。

多分ですが、眼頭(ピンクの部分の肉)に埋もれてしまったのではないでしょうか?
私は今はメガネですが、むかしコンタクトしていた時に埋もれて眼科で取ってもらったことがあります。(瞼の裏にも入った事もあります。)

>これはやっぱり、ジェレミーらしいエピソードです。

どんな時でもジェレミーのいたずらっ子は相手を思う優しさいっぱいですね。
思わず笑ってしまうのがジェレミーらしいですね。

「青い紅玉」を観るとRMさんが以前指摘していた、ホームズのタバコの吸い殻に目がいってしまいます(笑)




うわあ、そんな大変なことだったかもしれないのですね!
コンタクトレンズが白目のところにずれてしまったか何かで、お医者さんが「ほらここにあるじゃないですか」ジェレミーが「おや、ありましたね、あっはっは」、そんな会話がかわされたのを想像していました。軽く考えてしまって、ジェレミー、ごめんなさい、眼を痛くさせてしまって、トビィさん、ごめんなさい!

でも多分ニコラスがこんなふうにユーモラスに書いてくれたところをみると、打たれたところも眼も、結局は大丈夫だったのでしょうね。

>「青い紅玉」を観るとRMさんが以前指摘していた、ホームズのタバコの吸い殻に目がいってしまいます(笑)

そうでした、そうでした!これですね。
http://upwardjb.blog112.fc2.com/blog-entry-285.html

RMさん、謝らなくても大丈夫ですよ!!
眼科ですぐに埋もれたレンズ取って、
あとは目薬を注して終わりましたから(^_^)v
ニコラスさん内心は「ジェレミーが失明したらどうしよう?!」って
物凄く動揺していたでしょうね(笑)

トビィさん、わざわざ書き込んでくださって、ありがとうございます!トビィさんも大事に至らずにすんで、よかったですね。

そうですね、ニコラスさんもその時はびっくりしたでしょうね!その反動で、ほっとしたとたんに、ジェレミーに "You are a true drama-queen!" と叫んで、二人で大笑いしたりして。(最近の私は想像がたくましすぎますね!)

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 RM

Author: RM
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