Jeremy のことが知りたくて ~ ジェレミー・ブレット(Jeremy Brett)を愛するかたへ

英グラナダ・テレビでシャーロック・ホームズを演じた俳優の人生を言祝いで

少し前に、エドワードの短いメッセージとサイン入りの写真がeBayに出品されましたので、画像をいただいてきました。1989年11月4日、ManchesterのPalace Theatreで、と出品者の説明にはあります。この日付と場所からわかりますが、"The Secret of Sherlock Holmes"上演の、最後のころです。
http://www.jeremybrett.info/st_holmes.html

EdwardHSigned.jpg

エドワードが書いているのは、"What's Jeremy done this time?" です。私はこれは、このサインを頼んだ人がジェレミーに関して何かをエドワードに話したのを受けて、その返事も兼ねて「今度はジェレミーは何をしたんですか?」と書いたのだろうか、と思っていました。でも、これは具体的にはわからないけれども楽しいことを想像して、笑っていいものなのか、それとも何か困ったことが起きていたことが想像できる状況で、笑うに笑えないのか。私にはわかりませんでした。

それで、フォーラムでこの写真を紹介した後で質問しました。これはどういう意味なんでしょう?この状況って、笑えるものみたいですか、それとも何か困ったことが起きたのでしょうか。

そうしたら、一人が答えてくれました。

後ろにあるニューススタンドに、「シャーロック・ホームズ、命にかかわる襲撃を受ける」("Murderous Attack on Sherlock Holmes") って見えるでしょう。エドワードはちょっとふざけたんだと思います。「今度はジェレミーは何をしたんだろう?」これは「ジェレミーはホームズに何をしたんだろう」って冗談で言っているのでしょう。ジェレミーはホームズにちょっと愛憎相半ばするところ(a bit of a love/hate relationship)があったでしょう。だからこれって面白いんです。

なるほど!私はすっかり勘違いしていました。これはサインを頼んだ人への言葉ではなく、この写真の中にいるエドワードとしての言葉だったのですね。写真自体は「高名な依頼人」の宣伝用写真だと思います。エドワードが新聞にいそいで目をとおしながら、「今度はジェレミーは何をしたんだろう?」

そう考えると、いろいろなことが思い浮かびます。まず何より、エドワードがユーモアのある人だったこと。そして、本来はホームズとワトスンがいるこの写真の中の世界に、ジェレミーとエドワードがいるこの世界がまじっているのが面白いと思いました。

そしてあらためて思うのですが、ジェレミーにとって、ホームズと付き合うのは大変なことだったでしょう。そしてエドワードは俳優としても友人としてもそれが理解できて、近くでそれを感じていたことでしょう。でもいたずらに深刻にならず巻き込まれずにジェレミーのホームズに寄り添って、必要な時には受け止めている感じがして、エドワードらしいと感じました。

エドワードがなくなったときの追悼記事の中に、エドワードはグラナダ・シリーズにおいて、the one fixed point(動かない点)であり、シリーズを守る錨のようだった、という言葉がありました。(「The One Fixed Point」)このthe one fixed pointは、ドイルの「His Last Bow (最後の挨拶)」の中の最後のシーンでのホームズの言葉に由来します。

この写真に書かれたエドワードの言葉を知って、こうしてジェレミー(ホームズ)に少しくらい何かがあっても落ち着いていて、時にちょっとふざけてユーモアの種にさえするエドワード(ワトスン)がそばにいてくれて、よかったなあと思いました。そしてますますエドワードが好きになりました。

RM
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コメント

私も大好きです…。

皆様、こんにちは。
RMさん、私もEdward が大好きです。グラナダ版を最初に見た時はワトソン役交代で少しがっかりしたことを白状しますが、当時は私も若かったのです…。(Edward、ごめんなさい)
先日、イギリスのTelegraph紙で、“10 greatest Dr Watsons"という記事が載ったようです。
http://www.telegraph.co.uk/culture/tvandradio/10633928/Sherlock-the-10-greatest-Dr-Watsons.html?image=5
Edwardが5位に入っていたので、喜々としてコメントを読んで落胆しました。Edwardが亡くなった時の新聞記事にもでていたと記憶していますが、Simon Callowという人の言葉を引用して Holmes's “relationship with Edward Hardwicke's transparently decent Watson was that of a drowning man clinging to a raft”とあったからです。私もこの引用の意味が分からなくはありませんが、ジェレミーとEdwardの関係は、ジェレミーがEdwardに依存するとか頼り切るとかそういうことだけではないと思うのです。RMさんが仰るようにEdwardも距離を置いて冷静なところもあると思うし、ジェレミーはEdwardに対してとても感謝していますし、自分とEdwardの関係を客観的に見ていると感じます。
Telegraph紙もトップ5に選んだのだから、もう少しいいコメントをつけてくれたら、と思うのですが…。
ともあれ、Edwardのような、人柄が温かくて、自身は有名な俳優の息子さんとして生まれ長い芸歴を持った人がジェレミーの側にいてくれて、本当によかったと、私も思います。

だんだんその良さがわかるタイプですね。

たけさん、こんにちは。たけさんはワトスンの交替に、少しだけがっかりなさったのですね。私は気がつかなかったんです。そういう人は結構いるみたいですが、今思えば不思議です。たけさんは今はエドワードがお好きなんですね。

Telegraph紙のご紹介、ありがとうございます。たしかにそのコメントは、あまりあたたかいものには思えなくて、私たちにはちょっとがっかりですね。私も以前の追悼記事に同じ言葉が引用されていたのを覚えています。ただ、その時はもう少し長く引用されていて、引用元の文章の意図もある程度伝わる形だったと思います。

ご存知かもしれませんが、これは元はTimes紙にドイルとホームズについて書かれた長い文章の中の一文で、グラナダシリーズについて触れた短い部分はThe Brettish Empireのこのページの最初の部分にほぼすべて書き写されています。
http://www.brettish.com/jeremybrett-links.html

Telegraphで引用されたあの一文のすぐ後は"The authenticity of the performance was unmistakable." であって、筆者のそもそもの意図はジェレミーのホームズの特質をあげて、その演技が正典のホームズをよくあらわしていることを讃えるものだったはずです。その中にもちろん、エドワード演ずるワトスンを描写する言葉も含まれています。でもあそこだけ抜き出すと、ジェレミーが演じたホームズが、エドワードのワトスンに必要以上に全面的によりかかっていたようにも読めますね。引用というのは、時にこわいものだと思います。まして、ワトスンがboringだと付け加えるなんて!

>Edwardも距離を置いて冷静なところもあると思うし、ジェレミーはEdwardに対してとても感謝していますし、自分とEdwardの関係を客観的に見ていると感じます。

まったく同感です。エドワードのインタビューを聴いたり読んだりすると、おだやかなだけでなく、冷静なんですよね。エドワードもまた、いろいろな面をもつ魅力的なひとですね。私もだんだんとそれが感じられるようになってきました。ジェレミーもそういうエドワードがそばにいて、安心できたと思います。病気のあとしばらく、「心配されているというそのことで私も神経質になってしまいました」とインタビューで言っていましたが(http://upwardjb.blog112.fc2.com/blog-entry-346.html)、私自身も、心配されるのはうれしいけど心配されすぎるのはいやなので、ジェレミーの気持ちがわかります。エドワードは必要な時以外はつかずはなれずでいてくれて、ジェレミーにこころの負担をかけなかったのではないでしょうか。

>Edwardのような、人柄が温かくて、自身は有名な俳優の息子さんとして生まれ長い芸歴を持った人がジェレミーの側にいてくれて、本当によかったと、私も思います。

本当にそうですね!

素敵な関係

RMさん、みなさんこんにちは。

エドワードのコメント、楽しいですね~!
元気でいたずらっぽいデイビッド・バークのワトスンと比較して、穏やかでおとなしい印象のあるエドワードのワトスンですが、こういう、ちょっと人をにやりとさせるようなユーモアがあるからこそ、ジェレミーのホームズとのコンビネーションが光るのですね!

ワトスン好きな私は、いずれの要素もワトスンにあってほしいと思うし、ホームズもワトスンも年を重ねていく中で、色々な顔を見せて、関係性も変わっていったのだと思います。
今、そういうことを考えながらこのドラマを見返すと、エドワードは単純にデイビッドが演じたワトスンを受け継ぐのではなく、ホームズの死後の数年間、監察医になる決意、そういったものを経たワトスンを表現したわけで、これは大変なことですよね。
原作のワトスンも、はじめからホームズにとってのthe one fixed pointだったわけではなかった。でもエドワードのワトスンは、「最後の事件」のあの場面を演じるのにふさわしかったろうと思います。

たけさんがリンクしてくださったTelegraphの記事も、興味深く読ませていただきました。
本当に、さまざまなワトスンがいるんですね!ホームズにとっても、時期によってさまざまなワトスンがいたのでしょうが、読者にとってもさまざまな関係性を持ったホームズ・ワトスンのコンビがいるのですね。
もちろん、映画を作る人や演じる人は、物語を面白くするためにキャラクターを作るわけですが、「ホームズとワトスン」はきっと、ちょっと違うと思います。仕事で出会う前から「ホームズとワトスン」が既に心の中にいるとしたら、それは、ゼロから作り上げるよりも、すこしだけ「自分」に近い存在なのではないでしょうか。
ジェレミーとエドワード、ホームズとワトスンも、すこしずつ交ざり合って、時には2人だったり、4人だったり、3人だったりする不思議な関係だったのかもしれませんね。もしそうだったら、本当に幸せな友情だと思うのです。二人の人間が分かち合える以上のものを共有できるのですから!

私も、ジェレミーの「ワトスン」がエドワードでよかったと思います。

「幸せな友情」、本当ですね!

ナツミさん、こんにちは。

>こういう、ちょっと人をにやりとさせるようなユーモアがあるからこそ、ジェレミーのホームズとのコンビネーションが光るのですね!

そうなんですよね。エドワードがよく、ホームズとワトスンの友情のおおもとにはユーモアがあると言っていたように、エドワードのワトスンにとって、ユーモアはとても大切だったのだと思います。そしてナツミさんが書かれたことで気がついたのですが、デイビッドのワトスンではその笑顔自体に愛嬌とユーモアがあったのに対して、エドワードのワトスンは、自身ではあまり表情をかえずに、でも人をにやりとさせるようなユーモアを持っているのですね。

>エドワードは単純にデイビッドが演じたワトスンを受け継ぐのではなく、ホームズの死後の数年間、監察医になる決意、そういったものを経たワトスンを表現したわけで、これは大変なことですよね。

確かにそうですね!自分は演じなかったワトスンの過去と、直接映像ではあらわされていない空白の期間を表現したのですから、ワトスンの気持ちを理解する感受性とそれを演じる繊細さが必要ですね。ジェレミーはエドワードについて、あるいはその演技について、"sensitive"という言葉をよくつかっていたなあと思って調べたら、たとえば "He did it with such sensitivity, making sure everything was alright, fitted, worked."というのがありました。(The Black Box Clubのインタビュー http://www.theblackboxclub.com/#/jeremy-brett/4549127010

>仕事で出会う前から「ホームズとワトスン」が既に心の中にいるとしたら、それは、ゼロから作り上げるよりも、すこしだけ「自分」に近い存在なのではないでしょうか。

なるほど、既に心の中にいる存在をあらためて映像にするとき、自分の本質的な部分がその中に見え隠れするのかもしれませんね。

>もしそうだったら、本当に幸せな友情だと思うのです。二人の人間が分かち合える以上のものを共有できるのですから!

本当にそうですね。役の上の友情と現実の友情が交ざり合うのですね。

>私も、ジェレミーの「ワトスン」がエドワードでよかったと思います。

はい、同感です!そしてナツミさんも賛成なさることを知っていますが、初期シリーズでのジェレミーの「ワトスン」がデイビッドでよかったと思います!

ふたりのワトソン

初期シリーズのジェレミーホームズは冒険に付き合う元気で活動的なデイビッドワトソン、そして親友の死にあい、自らも犯罪と向き合う決意をしたのでしょう。
最後の事件からはエドワードワトソン。
思慮深くてジェレミーホームズの行動に対してブレーキをかけつつ行動します。
行けすすめだけのワトソンじゃなくて、落ち着いた感じもすてきです。
こういうつかず離れず、ジェレミーホームズを支えてくれる存在はみていてうれしいです。
ホームズを演じているときだけじゃなくて、きっとジェレミーブレッドの支えとなったのでしょう。つかず離れず助けたような気がします。

二人とも大好きです

>初期シリーズのジェレミーホームズは冒険に付き合う元気で活動的なデイビッドワトソン、

デイビッドのワトスンは、あのお茶目な笑顔で、どこまでもジェレミーのホームズにつきあって走り回る感じですね。

>行けすすめだけのワトソンじゃなくて、落ち着いた感じもすてきです。
こういうつかず離れず、ジェレミーホームズを支えてくれる存在はみていてうれしいです。

エドワードのワトスンは、ジェレミーのホームズに何があっても、私達は安心してみていられる感じですよね。

>ホームズを演じているときだけじゃなくて、きっとジェレミーブレッドの支えとなったのでしょう。つかず離れず助けたような気がします。

はい、私もそう思います。

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