Jeremy のことが知りたくて ~ ジェレミー・ブレット(Jeremy Brett)を愛するかたへ

英グラナダ・テレビでシャーロック・ホームズを演じた俳優の人生を言祝いで

「そう、ジェレミーってこういう人なんですよね、と折々に思う」と、前回の記事の最初で書きました。でも時に、えっ、そうなんですか、と思うこともあり、それはそれで面白いのです。

その一つが、自分の演技に対してとても厳しいというところです。ジェレミーが完璧主義者(perfectionist)であるということは多くの人が言っていますし、わかっていたつもりでしたが、そこまで厳しいのかとびっくりすることがあります。そして演ずることへの愛情や、スタッフや共演者へのあたたかさと、自分の演技に決して満足しないところをどうやって共存させていくのだろうとも思います。たとえば前回引用したように、Edward Hardwickeは「ジェレミーはいつも前向きで楽観的で、まわりの人を元気づけてくれた」("Jeremy was always positive, optimistic and so encouraging") と言っていますが、これから引用する部分で、ジェレミーがほとんどいつも満足していないのを知った時、それと同時に前向きで楽観的でいられるというのが私には驚きでした。

でも優れた芸術家はみな満足するということが永遠になくて、それでも自分の仕事への誇りと情熱をいつも持っている人たちなのでしょうね。

以下は雑誌 Scarlet Streetの1992年のインタビューからの引用です。SSとあるのはインタビューアのJim Knüschを、JBはジェレミーを意味します。


SS: 気に入らなくてがっかりしたエピソードは特にありますか?

JB: いえ、ないです。素晴らしい出来映えにわくわくしたエピソードというのもありません。完璧を目指すかぎり、完璧にはできなくて失敗だった、ということに必ずなるんだと思います。自分の演技でほんのちょっとの短い間だけなら、良かったと思えるところもあります。多分10分くらいでしょう、32時間のうちで。自分の演技を自分でみるのが上手じゃないんです。台詞のない時はいいんです。自分では信じられないのは、台詞がある時です。何かからだの動きが必要な演技をしているとき、「まあ、そう悪くない」って思うことがあります。でもしゃべっているのをみると、ホームズのようには全然思えない。演じているときはホームズだと思っているんですが、でも後でみるとそうは感じません。


SS: Have you been disappointed in any particular episode?


JB: No. I haven't been too particularly thrilled, either. I think that maybe when you seek perfection you can't do anything else but fail. I like little bits and pieces of me: 10 minutes, maybe, out of 32 hours. I'm not very good at looking at myself. I like it when I'm not speaking. What I can't believe is when I'm speaking. Sometimes when I'm doing physical things, I think, "Well, that's not bad." But I never feel like Holmes when I speak. I do when I'm doing it, but not when I see it.

Scarlet Street, No.5, 1992



10分ですか?! と驚いてしまいました。そして、1989年のエドワードと一緒のインタビューで、声が弱点だ、と言っていたように、特に台詞がある時に厳しいのですね。

同じく1989年のインタビューで、「自分の演技の中で一番誇りに思うのは、ちゃんとした演技ができているという確信を完全には持つことがないから、何かに固執することがない点だ」("the thing I'm proudest about in my acting is that I'm actually never totally convinced that I've got it right, which means I don't get stuck") と言っていますので、この自分に対する厳しさを演技へ生かすことができたのですね。

こういう態度は芸術の道を歩む人に必要なのでしょうが、それだけではなく、私の普通の毎日にも何かを教えてくれる気がします。今の自分とまわりのことに対して、気持ちを乱すこと以外に、もう少し別の向き合い方があるということを教えてくれる気がします。

RM
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