Jeremy のことが知りたくて ~ ジェレミー・ブレット(Jeremy Brett)を愛するかたへ

英グラナダ・テレビでシャーロック・ホームズを演じた俳優の人生を言祝いで

前々回前回とで引用した"Women in My Life"というタイトルの記事からもう少し。これは1988年か1989年のインタビューで、"Woman's Journal"という雑誌かららしい、ということは前々回に書きましたが、くわしいことは不明です。引用箇所はJoan Wilson(ジョーン・ウィルソン)の死の後のことで、ここに引用した内の後半部分は"Bending the Willow"にも引用されていましたが、この本にも出典は記されていませんので、やはりくわしい書誌情報はわかりません。

中で"Annie"(アニー) とあるのは、最初の奥様のAnna Massey(アナ・マッシー)です。

二度目の妻のジョーン・ウィルソンが1985年7月にガンで亡くなった後、僕のこころはつぶれてしまいました。自分がいつも他の人に助言するようなことを誰かから言ってもらっても全然聞き入れないで、妻の死を悲しむ時間を自分に与えませんでした。(中略)とうとう精神的にひどい状態になって、Maudesley病院に10週間閉じ込められました。(中略)その頃は特に息子のデイビッドには辛い日々でした。そしてその時アニーが、僕に会いに病院に来るデイビッドを車で何度も送ってくれたのを決して忘れません。アニーは外で待っていました。病室に入って僕の気持ちを動揺させたくなかったのです。彼女の大きな愛です。

After my second wife Joan Wilson died of cancer in July 1985, I just cracked. I ignored all the advice I usually give to other people and didn't allow myself time to mourn. [...] And finally I had a dreadful breakdown and I was locked up in the Maudesley for 10 weeks. [...] It was particularly hard on my sun David. And I shall never forget that Annie used to drive him to the Maudesley to visit me. She would wait outside for him because she didn't want to come in and upset me. That's love.



引用部分の前半、自分が誰かになら本心から言ってあげられることも、自分には言ってやれないこと、ひとの言葉を聞き入れないこと、ありますね。ああ、本当だなあと思いながら読みました。私は自分に甘いほうだと思うけど、でも肝心のところで、時を信じて時にまかせることができなくて、自分の気持ちを追いつめてしまうことが、日々の生活の中であるのを思いました。ひとにならそう言ってあげられるのに。そしてジェレミーが誰かの肩を抱きながら、そう言ってあげているところを想像しました。

後半、ジェレミーの最初の奥様、アナの細やかさを感じます。アナとジェレミーは性格の上で正反対だった、と息子のデイビッドが言っています(「Anna Masseyの自伝と、Penhaligonのバスオイル」)。アナの自伝を読んでもそれが感じられて、アナは内向的で思慮深い性質だったように、私はみています。また、精神的に苦しんでながく心理療法を受けていたようで、子供の頃からのこころの傷があって、拒食症や舞台恐怖にも苦しんだそうです。論理的な思考をするタイプでもあったのでしょう、1961年のDesert Island Discsでは、無人島に持っていく本として数学の本を選んでいますし、ジェレミーと離婚した26年後に再婚した相手のひとは、理系の学者(冶金学者)でした。そしてアナの声は本当に素晴らしくて、知性を感じさせる落ち着いた声です。BBCのウェブサイトのiPlayerで何度か聴くことができた"This Sceptred Isle"という番組は、イギリスの歴史を語るプログラムで、私には難しすぎてほとんどわからなかったのですが、アナのナレーションのために時々きいていました。

私はジェレミーやジョーンよりも、アナに近い性質だと自分のことを思っています。あ、思慮深いとか、声が素敵とか、そういうことではないんですよ。内向的だという意味です。だからアナの自伝も私にはとても興味深いものでした。そして、ジェレミーが入院した時のアナのこころ配りが、いかにも彼女らしいと感じられました。

それと同時に、そのアナの気持ちがわかって、それを彼女の愛だと言えるジェレミーにも、ああジェレミーらしいなあと思いました。この元夫婦は苦しい時をこえて、このような形でお互いを尊重できる関係を育ててきたのですね。

RM
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