Jeremy のことが知りたくて ~ ジェレミー・ブレット(Jeremy Brett)を愛するかたへ

英グラナダ・テレビでシャーロック・ホームズを演じた俳優の人生を言祝いで

ジェレミーの言葉として、こんなのを読んだことがおありになるかもしれません。ネット上、たとえばTumblrなどで、広まっていますから。

「いま誰かを探してなんていませんし、探しに行くたちでもなくて、誰かにみつけてもらうタイプなんです。」

"I'm not looking and I don't go hunting. I'm the type who's got to be found."


IMDbのジェレミーのページにもありますが、Tumblrでもこちらでも出典は示されていません。
http://www.imdb.com/name/nm0107950/bio?ref_=nm_dyk_qt_sm#quotes

これだけ読むと、自分からは何もしなくてももてるんです、って言っているようにも受け取れるかもしれませんね。

でも、以下の1990年の記事ではその前の言葉を読むことができて、これを読むと、ジェレミーがどんな気持ちでこう言ったかわかる気がします。(ただ、brettish.com が上記の言葉を引用した最初だと推測するのですが、そこには出典が書いてあって、それは以下の記事ではなく1991年の雑誌からとなっています。したがって、1991年にもジェレミーはこの言葉を言ったのかもしれませんし、あるいはその雑誌が以下の記事の言葉を引用したのかもしれません。)

「ある意味ではホームズに似てきたと言わなければなりません。パイプも吸い始めました。でもコカインまでは絶対に吸いませんけどね!ホームズはとても孤独な人物です。以前は孤独に過ごすなんて、僕には絶対になかったんですが、今ではかなりの時間を一人で過ごしています。」孤独の内に過ごす ---「一人だけど、一人を寂しがっているわけじゃなく」--- その理由の一端は、彼がこころから愛した二度目の妻、アメリカ人のJoan(ジョーン)をいまも深く慕い、偲んでいるからだ(その前に女優Anna Masseyと結婚したが、離婚した)。ジョーンは1985年、ジェレミーがホームズの第二シリーズに関わっている時に亡くなった。悲しみと、重要な役を演じる重圧とから、彼は精神的な危機に陥った。

「僕の妻のあとに、誰かと出会って愛するなんて、とても難しいことです。いまはその可能性はまったく考えられませんし、いま誰かを探してなんていません。探しに行くたちでもなくて、誰かにみつけてもらうタイプなんです。」


'I have to admit I've become very like him [Sherlock Holmes] in certain ways,' he says. 'I even started smoking a pipe, though I draw the line at snorting cocaine! Holmes was a very isolated creature. I was never like that in the past, but now I spend a lot of time on my own.' Part of the reason for that isolation — 'alone but not lonely' — is the memory of his much-loved American second wife Joan (his first marriage to actress Anna Massey ended in divorce). Joan died in 1985 when Jeremy was working on the second Holmes series. Grief and the strain of playing the key role resulted in a breakdown.

'My last wife is very hard to replace. I can't see any possibility at the moment, and I'm not looking. I don't go hunting, I'm the type who's got to be found.'


"Love and Sherlock Holmes"
By William Hall
Daily Mail, November 16, 1990

これなら、ジェレミーの言葉の意味がわかる気がします。ジョーンを今でも愛していて、ほかの人を愛せるとは思えない。自分は今は独身だけど、新しい出会いを自分から探しにいく気持ちにはなれない。

そして最後の「誰かにみつけてもらうタイプ」という言葉は、ジョーンが自分をみつけてくれた、というジェレミーの思いから来るもののはずです。以前の「ジェレミーの悲しみと、あたたかさ(4); 1991年のDesert Island Discsから(1)」の記事から、省略しながら引用します。なお最近もジョーンに関する記事を書きましたが、ジョーンはアメリカの公共放送サービスPBSに属する放送局WGBHのプロデューサーでした。

「それから『Design for Living』の芝居に出ました。その時は知らなかったのですが、最愛の人が僕をみていました。彼女はステージにいる僕をみたのです。

1975年には、『The Rivals』の撮影をしていました。そしてそのとき僕たちは出会ったのです!彼女がそのお膳立てをしたのじゃないかと思うのです。というのは僕以外にも主要な出演者はいたのに僕が選ばれたのですから。カメラの前ではじめて出会い、話しているところを4分間収録するはずが、2時間半カメラの前で話し続けました。」



こうして見ていくと、「誰かにみつけてもらうタイプ」と言ったジェレミーのこころの内には、自分をみつけてくれたジョーンが懐かしくて恋しい、という気持ち以外には何もないように思います。

RM
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コメント

文字通りにとりました。

こんにちは。
私、ネットでジェレミーのこの言葉だけを読んで、文字通りに理解しました。ジェレミーって、人の中心にいるような人なのに、どこか内気なところもあるのかなぁって。SNSの熱烈なジェレミーファンの方は、この彼のコメントについて「ジェレミーが追いかけなくても、みんながジェレミーを追いかけるわ!」って言っていましたけどね笑。
ジェレミーは率直な人だと思うので、感じたままを言っていて、自分はモテるんだよ!ってアピールではないと私も思っていましたが、今回ご紹介いただいたこの言葉の前後の文脈が分かって、とてもありがたいです。

確かに!持って回った言い方をするタイプじゃないですよね

たけさん、こんにちは。

>ジェレミーは率直な人だと思うので、感じたままを言っていて、自分はモテるんだよ!ってアピールではないと私も思っていました

本当です、言われてみればそうです。率直すぎてハラハラしたりもしますよね。

>ジェレミーって、人の中心にいるような人なのに、どこか内気なところもあるのかなぁって。

なるほど、そういう解釈もありますね。少なくともこのインタビューの時の気持ちとしては、内気だからじゃなくて探す気がないからだと思いますが、そもそもはどうなんでしょう。一般的な意味では内気でなくても、好きな人には内気という人もいますよね。興味深いテーマなので(うふふ)これから注意してみてみましょう。

>今回ご紹介いただいたこの言葉の前後の文脈が分かって、とてもありがたいです。

そう言ってくださって、ありがとうございます!ジェレミーの言葉の引用集のようなものを読むと、その発言の前後が知りたいと思いますよね。元の記事だってジェレミーの言葉が逐一載っているのではなく、誰かが編集しているものではありますが、それでも状況が知りたいと思うことがあります。特に英語だとなおさらニュアンスがわからないことが、私は多いです。

だれかに見つけてもらうタイプという言葉

「だれかに見つけてもらう」タイプってわかるような気がします。いろんな場面でたくさんの役柄を演じているけれど、本当に純粋なんだなあと思いました。一途にジョーンを愛し、なくなった後も思い続けています。ジョーンは生前ジェレミーの心の支えだったのでしょう。すごく恋しくてたまらなくなる
純粋さ 胸がいたくなります。

純粋で不器用ですね

>本当に純粋なんだなあと思いました。

はい、純粋で、ある意味では不器用なのだと思います。「ジェレミー」と「不器用」なんて、なんだかいちばんつながらない言葉のようにも思えますが。

>一途にジョーンを愛し、なくなった後も思い続けています。ジョーンは生前ジェレミーの心の支えだったのでしょう。

そうですね。ジョーンが亡くなった時に、人生から光が消えた("When Jeanie died, all the lights went out in my life.")と言っているのを思い出します。

人生から光が消えたという言葉

ジョーンはがんで大変な時もジェレミーが動揺することを恐れて「ここへ来てはいけない」と言ったそうですね。ジョーンの母性愛・自制心の強さを感じます。ジョーンはジェレミーを大きく包んでくれる母親やエレンに通じる愛し方をしたのではないかなあと思います。幼いこどものような無防備さも含めてい俳優としてのジェレミーを愛したのだから。「今日のタイムス読んだ?」なんてかわいい言葉でうれしさを素直に表現する人だから。ハドソン婦人じゃないけれど
「殿方はいつまでも子供なんですよ。だから
女性が支えなくては・・」っていう言葉を思い出します。

無防備と言えるほどのまっすぐさ

>ジョーンはがんで大変な時もジェレミーが動揺することを恐れて「ここへ来てはいけない」と言ったそうですね。

そうでしたね。病院で化学療法を受けていたときでしたね。

>ジョーンはジェレミーを大きく包んでくれる母親やエレンに通じる愛し方をしたのではないかなあと思います。幼いこどものような無防備さも含めてい俳優としてのジェレミーを愛したのだから。

ジョーンが自分のすべてを受け入れて愛してくれていると、ジェレミーは感じていたというふうに私も想像しています。

>幼いこどものような無防備さも含めてい俳優としてのジェレミーを愛したのだから。「今日のタイムス読んだ?」なんてかわいい言葉でうれしさを素直に表現する人だから。

うふふ、そうですね。無防備と言えるほどまっすぐで、そしてかわいいですね。

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 RM

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