Jeremy のことが知りたくて ~ ジェレミー・ブレット(Jeremy Brett)を愛するかたへ

英グラナダ・テレビでシャーロック・ホームズを演じた俳優の人生を言祝いで

一週間くらい前のナツミさんのブログの「ドラマ・クイーンはどっち?」を拝見して、嬉しくなってしまって「勝手に連動企画」です。ナツミさんの記事はこちらです。
http://sherlock221b.blog.fc2.com/blog-entry-346.html

ジョンとシャーロックはお互いに「おおげさなやつ」と思っているんですね。特にシャーロックもジョンを「ドラマ・クイーン」と思っているというところが微笑ましく思えました。自分のことは棚に上げて!

ちょっと見、全然似ていなくて、正反対のように自分たちでも思っていて、でもどこかに似たものを持っていることを無意識の内にもあらわしてしまう二人。そんなことを思いました。

そこからの連想です。ジェレミーはホームズと自分は正反対だ、とよく言っていましたね。でもジェレミーはホームズのことを、そしてジェレミーの友人の俳優はジェレミーのことを、それぞれ「ドラマ・クイーン」って言っているんです。うふふ、ジェレミーったら、自分のことは棚にあげて!

「犯人は二人」でBertrand(ベルトラン)を演じたNickolas Grace(ニコラス・グレイス)は、Scarlet Streetのジェレミー追悼特集でジェレミーの思い出を語るなかで、ある出来事に関連して、ジェレミーは「とても素敵に芝居がかっているんです!」("A true drama-queen in the best sense!")と言っています。
"A true drama-queen";Nickolas Grace のジェレミーを偲ぶ言葉(1996)より

そしてジェレミーは、1987年出版の"Granada Companion, Number One: A Sherlock Holmes Album—A Centenary Celebration of Sherlock Holmes" でホームズを描写する中で、ホームズのことを「ちょっと芝居がかったこともします」("He can be a bit of a drama queen.")と言っています。
ホームズの複雑さ;A Centenary Celebration of Sherlock Holmes (1987) より
(前回は原文引用無しの抄訳でしたが、今回は原文を引用して訳しています。)

「ホームズはとても複雑な男です。音楽が好きでバイオリンの名手、冗談が好きで、自信満々、少しうぬぼれているところもあるかもしれない。ほめられるのが好きで、自分以外の名探偵に関しては口が悪いのです。

「ちょっと芝居がかったこともします。自慢しますし、ひとに注目されるのが好きだったりします。特に事件の謎がやっと解けた時にはね。

「難しい事件ではこころの中まで張りつめた状態にあります。事件が解決したときには、ちょっと芝居がかったとも言えるかたちで、その張りつめたものが爆発するのです。

「そういったところをいくらかでも、自分が演じるホームズの中にあらわそうとしています。」


"He is complex. He loves music — he plays the violin very well — he enjoys a joke, he is vain, maybe a little conceited. He likes to be praised. He can be bitchy when he assesses other great detectives.

"He can be a bit of a drama queen; he shows off sometimes, he's something of an exhibitionist, especially when he has pulled off a coup.

"On a difficult case he may build up considerable tension within himself, which explodes in a genial bit of theatricality when the problem is solved.

"I've tried to get some of that into my Holmes."


"Granada Companion, Number One: A Sherlock Holmes Album—A Centenary Celebration of Sherlock Holmes"
Edited by Michael Cox and Andrew Robinson
Published by Karizzma, 1987

これを読むと、ジェレミーのホームズが見事にその全部をあらわしていることに感嘆します。ホームズの複雑さを言葉で説明して、それを実際に表現しているというのは、すごいことですね!でもその中で、音楽が好きで冗談が好きでちょっと芝居がかっているなんていうところはジェレミーとも共通しますね。もっとも芝居がかりかたが二人はちょっと違っていて、ニコラス・グレイスが語った出来事でのジェレミーは、友への思いやりからくる真剣さが、実際の状況から少し遊離していて、いい意味で芝居がかってみえたのですが。

それにしても、ホームズとは正反対で、自分にはホームズと似ているところは一つもないといつも言っているジェレミーを思って、ちょっと微笑ましくなります。

RM
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コメント

ドラマクイーンですね

ジェレミーホームズ ワトソンやレストレードから褒められると感激しますね。六つのナポレオンで紅茶のセットの下からすっとスマートに敷物を取り出します これはジェレミーのしぐさでしょうね、みんなをあっと言わせるところも芝居がかっています。馬から降りるときのしぐさもかっこいい。ホームズじゃなくて、ジェレミーだなあと思いながら、でも実際にホームズがいたらこうなんだろうなと思います。原作では、褒められると美貌を褒められた少女のように顔を明らめます。事件がないときはいつもワトソンにぶつぶつこぼしますが、ワトソンは「ああ いつもの」みたいに受け流します。それでも、おおらかな大人のワトソンをたよりにしています。ホームズって推理も洞察もすごいけれど、どこかであっと驚いてほしいんだと思います。駄々っ子ホームズだから愛さずにはいられないです。

感激するところが可愛いですね

>ホームズじゃなくて、ジェレミーだなあと思いながら、でも実際にホームズがいたらこうなんだろうなと思います。

原作にはない仕草からでも、観ている人にホームズを感じさせるところが、ジェレミーのすごさですね!

>原作では、褒められると美貌を褒められた少女のように顔を明らめます。

うふふ、ジェレミーにここもそのまま演じてほしかったです。

>ホームズって推理も洞察もすごいけれど、どこかであっと驚いてほしいんだと思います。駄々っ子ホームズだから愛さずにはいられないです。

ホームズは子供の部分も残しているということですね。

自分のことは棚にあげて(!)

この部分、くすくす笑ってしまいました。このところジェレミーの、俳優としての誠実さ、ひたむきさに感激してばかりいましたが、こういうところも、彼の魅力ですよね!
偉大な俳優でありながら、どこか少年のようにいたずらっぽい。さくらさんもRMさんもおっしゃっているように、愛すべき「子供の部分」を持っているのですね。でもきっと、本人だけがそれに気づいていないんでしょうね~。ジェレミーも、ホームズも!

リンクをありがとうございました。私の記事の方からもリンクさせていただきました。よろしくお願いします。

ナツミさんをくすくす笑わせたなんて、光栄です

わあ、うれしいなあ。ナツミさんのブログでは私はいつも、くすくす笑わせていただいてますから。

>このところジェレミーの、俳優としての誠実さ、ひたむきさに感激してばかりいましたが、こういうところも、彼の魅力ですよね!

ジェレミーはいろいろな面を持っていて、どれも魅力的なんですよね。

>でもきっと、本人だけがそれに気づいていないんでしょうね~。ジェレミーも、ホームズも!

そうなんですよね。ジェレミーもホームズも、自分がドラマ・クイーンと言われているなんてびっくりでしょう。子供の部分にも大して気づいていないのでしょうが、でも意識していないからこそ、子供のように自由に振る舞えるのでしょうね。

リンク、こちらこそありがとうございました!

口が滑るか 筆が滑るか

RMさんの刷り込みでしょうか。
「ジェレミーはホームズと自分は正反対だとよく言っていましたね」
自分も ジェレミーさんは、演技で ホームズらしさを表しているんだな、
本人は 違う人なんだな、と、思っていました。
でも そういう徹底的にやるところは…やはり、ホームズと共通して
いますねー。
それと、演技者は観察者でもありますから、人を観察することに
長けたホームズさんと役者さんに共通点があるのは、不思議では
ないと思います。

横からとつぜん 失礼します、さくらさんのように、
「人を驚かせることを楽しんでいる」という 形容では
真っ先に、あのテーブルクロス・マジック(マジックではないかな)が
思い浮かびました。(^^)
ドラマを見ていると、物語のラストで、これは推理を語るのに 必要な演出
なのか知らん??? (汗) と 思うこともあるのですが、あっ と、言わせるため、と、
思うと 微笑ましいです。

その行動で、「ここは 起承転結の転だな」と、演出してしまうタイプの
ホームズに対して、ワトスンのドラマ・クイーンぷりは、
書きながら つい 話を膨らませる(?)筆が滑る(?)ところなので
しょうか。(^m^)

わはは、滑るところが違うんですね

>でも そういう徹底的にやるところは…やはり、ホームズと共通して
いますねー。

そうなんですよね。ジェレミーは正反対だとは言っているけど、でも私たちからみたら、ジェレミーのホームズには明らかに、ジェレミー自身の魅力があらわれていますよね。

>それと、演技者は観察者でもありますから、人を観察することに
長けたホームズさんと役者さんに共通点があるのは、不思議では
ないと思います。

なるほど、演技者は観察者、たしかにそうですね。よき演技者には必要な資質なんですね。探偵と俳優の共通点は「ボヘミアの醜聞」にもありましたね。「彼が探偵家になったということは、科学界にとって一個の明敏な推理家を失ったことになるし、劇壇もまた、一人のすぐれた名優を得そこねたことになるわけである。(延原謙訳)」

>さくらさんのように、
「人を驚かせることを楽しんでいる」という 形容では
真っ先に、あのテーブルクロス・マジック(マジックではないかな)が
思い浮かびました。(^^)

うふふ、billylabさんもさくらさんと同じシーンを思い浮かべたのですね。私は「海軍条約事件」の、フェルプスにお皿のふたをとらせるあのシーンでした。

>物語のラストで、これは推理を語るのに 必要な演出
なのか知らん??? (汗) と 思うこともあるのですが、

確かに!テーブルクロスを引き抜くこと自体に意味があるのか?と言われるとないですね!

>ワトスンのドラマ・クイーンぷりは、
書きながら つい 話を膨らませる(?)筆が滑る(?)ところなので
しょうか。(^m^)

そうか、滑っちゃうんですね!

ドイルもドラマクツイーンじやないかなあ

海軍条約では、食欲がないフェルプスに「僕が頂戴します」なんて、ホームズに言わせて食器の蓋を取らせてびつくりさせます。
銀星号事件では、毛色を変えたままの馬を連れてきて大佐をびっくりさせます。
ノーウッドの建築家では、火事(わら束に火をつけて)犯人を飛び出せています。
こういうユーモアもドイルの巧みな筆で書かれています。
ジェレミーもこのドイルの原本(娘さんに父を大切にして)を読み込んで、演じているのでしょう。
観察・推理・洞察力とすべて完全な機械のようなホームズに、こんな茶目っ気たっぷりの表現を加えて楽しませてくれます。
作家としてのドイルのドラマクィーンぶりを感じるのは私だけかなあ。

もともとはドイルですものね!

そう言えば、たしかにこういうホームズをつくりあげたドイルこそがドラマ・クイーンとも言えますね。

>ジェレミーもこのドイルの原本(娘さんに父を大切にして)を読み込んで、演じているのでしょう。

そうですね、そしてジェレミーは、ホームズとワトスンはどちらもドイルのある一面だ、と言っていました。ドイルの中にホームズ的なものもあったのでしょうね。

>観察・推理・洞察力とすべて完全な機械のようなホームズに、こんな茶目っ気たっぷりの表現を加えて楽しませてくれます。
作家としてのドイルのドラマクィーンぶりを感じるのは私だけかなあ。

いえいえ、多分おおくの人が賛成してくれると思いますよ!

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