Jeremy のことが知りたくて ~ ジェレミー・ブレット(Jeremy Brett)を愛するかたへ

英グラナダ・テレビでシャーロック・ホームズを演じた俳優の人生を言祝いで

ジェレミーは音楽が好きで、ピアノも弾く、という記事に関連して、ジェレミーが無人島に持っていくレコードについて、さきさんとコメント欄でお話しました。それで思い出したことがあります。ジェレミーに関わる四つのレクイエムです。

コメント欄には私はこのように書きました。

ピアノはどんな曲でしょうね?ジャズやポップスよりはやっぱりクラシックだろうなどと想像しています。ラジオインタビューで無人島へ持っていくレコードを紹介したときには、すべてクラシック音楽、声楽曲で、プッチーニ、モーツァルト、ビゼー、フォーレ、リヒャルト・シュトラウスの曲でした。モーツァルトやフォーレのピアノ曲なんて、弾いてほしいなあ。

私がこのときモーツァルトとフォーレをあげたのは、この二人の作曲家が特に好きだからなのですが、ラジオ番組のなかでジェレミーが紹介した5曲の内で、モーツァルトとフォーレの曲はどちらもレクイエムなのです。モーツァルトのレクイエムと、フォーレのレクイエム。

そしてイートンの聖歌隊で、ソロで歌っていた時のことをジェレミーが話すなかで出てきた曲名が、ブラームスのレクイエム。ジェレミーに日曜日のあさ電話するとよく背後で流れていた曲として、グラナダシリーズのプロデューサーMichael Coxが回想しているのが、ヴェルディのレクエイム。


ジェレミーを思うとき、その時々にいろいろな面を思い浮かべます。たとえば、目の前にいるひとに対していつもまっすぐなところ、まわりの人を大切にして励ますところ、お茶目なところ、困難な状況の中でも前を向こうとしたこと。

そしてもう一つ、悲しみを知る人、死者とともに生きる感覚、死者の視点をどこかに持っていた人という面も感じるのです。お母様を交通事故で、二度目の奥様のJoan Wilsonを病気で亡くしたこと、そして16歳で死の扉の前まで行ったことを語るジェレミーの言葉が私にそう思わせるのでしょう。16歳の時のことはこちらに書きました。
大病の後に;インタビュー記事 When the lights went out (1990) より
大病の後に:Dancing in the Moonlightより

そう感じるとき、この四つのレクイエムも、ああ、ジェレミーらしい、と思えるのです。

死者とともに生きる感覚、死者の視点を持つことは、ときにひとを助けてくれます。ときに自分を圧迫するように思える、この世界だけがすべてではないことを、感じさせてくれます。

ジェレミーの内に四つのレクイエムがあったことも、苦しいことも悲しいこともあったであろう最後の十年間のジェレミーのこころをなぐさめてくれたのではないでしょうか。それを願う気持ちがあります。


でもジェレミーのピアノのお話にもどると、悲しい曲や情感あふれる曲だけではなく、かわいらしい曲や小品も弾いたんじゃないかな。モーツァルトの「きらきら星変奏曲」なんて、どうですか?(想像力満開です!)

RM


追記:蛇足ながら「レクイエム」について。「レクイエム」の訳として、死者の魂をなぐさめるという意味の「鎮魂曲」がよく使われますが、これは誤訳だ、という興味深い記事をみつけました。

レクイエムは鎮魂曲か 日本語に定着した「名誤訳」
日本経済新聞  ことばオンライン 2013/11/27
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDB22005_S3A121C1000000/

レクイエムとは、キリスト教における、死者のためのミサ典礼で歌われる音楽で、死者が天国へ迎え入れられるように「神に祈る」ものであって、「死者の霊に直接働きかける」ものではない、というのです。しかしこの記事の後の方では、実際にはレクイエムにはいろいろとあり、典礼用ではなく演奏会用に作曲されたブラームスのレクイエム、「天使があなたを迎え入れますように」と歌わせて、ここでの「あなた」は神ではなく故人を指すフォーレのレクエイムもあるので、レクイエムに新たな語釈が生まれていることにもふれています。まさにこの「天使があなたを迎え入れますように」と歌われる部分を、ジェレミーのインタビュー番組で流していました。
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コメント

フォーレのレクイエム

今回も興味深い記事をありがとうございます。
レクイエムを聴くジェレミーの気持ちは,ちょっと私なんかにはうかがい知ることができないんだろうな,と思いながら読みました。

せめて四つのレクイエムを聴いてみたくて,モーツァルト以外は聴いた覚えのない私は,ユーチューブでちらっと聞いてみました。

最初に聞いたヴェルディのレクイエムの感想は『日曜日の朝に聴くには体力がいりそうだなあ」というもので,これではジェレミーの心境に迫る以前ですね。
困ったものだなあ,と思いながらブラームスとフォーレを聴いたところ,幸いにもこちらはきれいだ,と思えました。
よかった,よかった。
特にフォーレのレクイエムは美しいですね。

まあ正直に言えば,すっかり気持ちが穏やかになって熟睡する予感はありますが。
ほんとに音楽鑑賞にむかないわたしです。

今度はいつかジェレミーの好きなポップスについて書いてくださるのを,きなが〜に待っています。

レクイエムの話題のあとに書くのも気が引けますが,マーマイトについてです。
買ってしまいました。マーマイト。

そして私は「マーマイトになんの抵抗もない派」でした。
あんまりすんなりとおいしく食べられたので,拍子抜けしています。

「酢豆腐」みたいなんじゃないか,なんて思ってどきどきしていたんですけどね。
味は八丁味噌や浜納豆に似ている,といえるかもしれません。
自分が嫌いではなかったので,どこらへんが評価の分かれ目なのかがよくわかりませんが,これだけいろいろな評判があると人には勧めにくいですね。
とにかく毎朝トーストしたパンに塗って楽しんでいます。

ジェレミーとRMさんとナツミさんに感謝です。
皆さんのおかげで,絶対に食べることはないだろう,と思っていたものを食べることができました。

さきさん、すごいなあ

こんばんは!さきさんは、何か気になることがあると、まず試してみる、聴いてみる、見てみる、そういうかたなんですね、すごいなあ!

マーマイトをめぐるあれこれ、ナツミさんちでのナツミさんとの会話も楽しませていただきましたよ。それにしても「なんの抵抗もない派」だったんですね!毎朝トーストに塗るなんてきいたら、イギリスのかたは大喜びかしら。ジェレミーも!

私は、うーん、うーん、買う勇気がまだないです。これからの課題ということで、許して頂くことにしましょう。

フォーレのレクイエム、きれいですよね。私も好きです。ヴェルディのレクイエムは、私は実はまだ聴いた事がないんですよ。こちらもさきさんに、先をこされてしまいました(うふふ)。

>今度はいつかジェレミーの好きなポップスについて書いてくださるのを,きなが〜に待っています。

はい、ポップスに弱い私ですが、いつか書きますね。

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