Jeremy のことが知りたくて ~ ジェレミー・ブレット(Jeremy Brett)を愛するかたへ

英グラナダ・テレビでシャーロック・ホームズを演じた俳優の人生を言祝いで

BBC版、人形劇版、そして原作でのIrene Adlerについて、ナツミさんのブログの記事とコメント欄の両方で、興味深い考察や感想が書かれています。
アイリーン・アドラー

BBC版、人形劇版では完全に遅れをとって、原作においてもとてもシャーロッキアンとは言えない私は何かを書くことはできなかったのですが、皆さんの言葉を読みながら想像の翼を広げて、心の中でイメージを描いていました。そのイメージの中にはもちろん、グラナダ版でのIreneの姿もあり、ジェレミーが語る言葉が私の中に呼び起こしたイメージもあります。そこで、それを少し書いてみようと思いました。久しぶりの「勝手に連動企画」です。

ただその前に、Ireneの名前をカタカナで書こうとして、発音のことに触れない訳にはいかなくなりました。

以前、Lestradeの発音について書いたことがあります。グラナダ版では多くの映像作品が用いているレストラードではなく、レストレードでしたね。これはデイム・ジーン・コナン・ドイルが語ったことにもとづいている、というものでした。
Lestradeをどう発音するか(2)

あのときご紹介した同じ本に、Irene Adlerの名前の発音についても書かれています。ただしこれは、あの時とりたててこのブログで書くほどではなく思えたので引用しませんでした。でもグラナダ版でのIreneの話の前なら、書いてもよいかもしれません。以下の本からです。

The Sherlock Holmes Miscellany
by Roger Johnson & Jean Upton
The History Press, 2012
http://www.amazon.com/dp/075247152X

下のリンク先はGoogle Booksでの該当するページです。
http://books.google.co.jp/books?id=OHc7AwAAQBAJ&pg=PT116#v=onepage

Irene Adlerの名前の発音をどうするかは、(Lestradeの場合とは違って)それほどわかりやすいものではありません。標準的なアメリカ発音では'Eye-reen'(アイリーン)と読みます。アメリカのニュー・ジャージー出身だということからは、この発音が適切だとも考えられるでしょう。英国での発音は、ペネロピーやハーマイオニーといった古代ギリシャにその由来を持つ名前では最後の'e'をギリシャ語発音に従うことにより、'Eye-ree-nee' (アイリーニー)となります。グラナダ版では、英語圏以外で使われるもっと異国風な発音を選びました。'Ayr-ray-na'(エレーナ、イレーナ)です。これには、ヨーロッパのオペラハウスでその名声を誇ったプリマドンナにふさわしいヨーロッパ大陸の香りがします。BBCのSherlockシリーズでは熟慮の末に、よく使われる、そしてもっと現代的なEye-reen(アイリーン)を選びました。後は読者にその判断をまかせます。

Irene Adler is not quite so clear cut. There is the standard American pronunciation of 'Eye-reen', which would be appropriate since she is said to have come from New Jersey. British usage follow the original Greek in pronouncing the final 'e' of the name, thus: 'Eye-ree-nee' (as in 'Penelope', 'Hermione' and other names of Ancient Greek origin). The Granada TV series opted for a more exotic version - 'Ayr-ray-na' - which has a continental flavour fitting for a diva who made her name in the opera houses of Europe. The BBC Sherlock series, after considerable deliberation, went for the popular and more modern Eye-reen. We leave it to the reader to decide.


この本ではグラナダ版での発音を'Ayr-ray-na'と表記していて、これをカタカナであらわすならば「エレーナ」となるのかもしれません。でも耳できくと「イ」により近いようにきこえて、「イレーナ」も併記しました。ちなみに下記ページではグラナダ版での発音を"ee-RAY-nə"と表記しています。またこの発音はドイツ語、フランス語、オランダ語での発音に似ていると書かれています。
http://bakerstreet.wikia.com/wiki/Irene_Adler

下記サイトできける音声では、イタリア語はカタカナであらわせば「イレーネ」に近くきこえます。フランス語では「イレーヌ」。
Pronunciation of Irene | How to say or pronounce Irene

ドイツ語では下記サイトでの書き方では ee-RAY-nuh、カタカナで書けば「イレーナ」が適当でしょう。
Behind the Name: Comments for the name Irene

こちらでは iyREHNah in German と書かれています。この表記の最初の部分は、グラナダ版でボヘミア国王が最初に発音する時の音をはじめとして、ワトスンやホームズの発音を想起させてくれるように思いました。
Irene - Meaning of Irene

いくつかのサイトを巡って、グラナダ版ではヨーロッパのオペラハウスで活躍したIreneの発音として「イレーナ」を選んだということが理解できました。

今日は名前の発音の話で終わってしまいましたが、いつか(次回?)ジェレミーがホームズとイレーナについて言っている言葉を少しご紹介しようと思っています。

RM
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コメント

発音に込められた思い

リンクをありがとうございます!
そして、ひとつ前の記事で私のブログの開設日のこともお書きくださってありがとうございました。5月5日に始めたということを、私自身すっかり忘れていました。
でも、そうでした。当時ちょっと悲しいことがあって、それを埋めるような気持ちでPCにひたすら文字を打ち込んでいた連休を思い出しました。

当時は自分の書いた文章がネット上で開示されたという実感もなく、RMさんにコメントをいただいて初めて「あ、見てくれた人がいるんだ!」とちょっと焦るような、でもやっぱり嬉しい気持ちになったことを、昨日のことのように思いだします。
そのRMさんにその頃のことを覚えていただいていたとは、なんて幸せなブログなんでしょう。この言葉をさまざまな意味で語ることが許されるなら、私からもRMさんに"Love"をお届けしたいです。

さて、興味深い発音問題ですね!
アイリーンを主人公とした「おやすみなさい、ホームズさん」(キャロル・ネルソン・ダグラス著、日暮雅通訳)というパスティーシュでは、アイリーンの親友でイギリス人のペネロピーが、彼女のことを「アイリーニ」と呼びます。アイリーン自身は、「アメリカではアイリーンと発音するのよ」と言いながらも、大好きな親友が呼んでくれる特別な愛称として「アイリーニ」を受け入れています。この発音がペネロピー同様にギリシャ由来の名前だから使われる、ということは知りませんでした!レストレードの時も思いましたが、どの発音にも、呼ぶ人それぞれの思いが込められているんですね。(過去記事に遡ってレストレードの話になってしまうのですが、先日イギリスで行われたSHERLOCKのイベントでは、司会者が『レストレード』と発音するたびに、製作者に『レストラード』と直されていたそうです。まったく、名前に対する思い入れとは揺るぎないものですね。それでもブログを『レストラード』に直さない私も、延原チルドレン、あるいはグラナダチルドレンとしての頑固さは筋金入りです!)

私はアメリカ風の発音が耳に馴染んでいるせいか、例えばチョコレート屋さんの「ゴディバ」は「ゴダイヴァ」、家具屋さんの「イケア」は「アイキア」がしっくりきます。(多分、日本で一般的な『ゴディバ』『イケア』が現地の発音に近いのではないかと思うのですが)
Ireneも「アイリーン」と読んでしまうのですが、ホームズとワトスンはまずボヘミア王の口から彼女の名を聞くのだから、「エレーナ」や「イレーナ」と呼び続けるのが妥当で、わざわざアメリカ風の発音に呼び変えることもないのかもしれませんね。アドラーという苗字がドイツ風だということを考えても、グラナダ版の選択には納得がいきます。同時に、現代ではアイリーンが一般的、ということからBBC現代版の選択にも頷けました。

最後に、ひとつ前の記事でいただいたコメントのお話に戻ってしまうのですが、私もこのところ「愛」について深く考える日々が続いていました。またどこかで、このことについてお話ができたら嬉しいです。

こちらこそ、ありがとうございます

ナツミさんのところのプロフィール欄で、朗読の記事を紹介してくださって、ありがとうございます。そして素敵な紹介文を書いてくださいました。

ブログをはじめた時はそんなふうだったんですね。はじめてお邪魔したとき、わあ同じ日にたくさん記事があるなあ、あふれでたのだろうなあと思いました。どこかにその悲しいことにまつわる思い出が眠っているとしても、その時からの楽しい思い出とも結びついていますね、きっと。何よりも、ナツミさんのブログでゆったりと、あるいは楽しく笑ってすごしている私達は、たくさんの幸せをいただきました。そして遠慮がちに、友情、と書いた私に"Love"を届けて下さってありがとうございます。

さて、私も発音問題に移りましょう!
そのパスティーシュのアイリーンと親友のペネロピー、素敵ですね!アイリーニとペネロピー、名前も寄り添うんですね。

ホームズ物語での名前の呼び方、今までどれだけの人が「これが私の呼び方」とこころに決めて、大切にしてきたことでしょう。

>司会者が『レストレード』と発音するたびに、製作者に『レストラード』と直されていたそうです。まったく、名前に対する思い入れとは揺るぎないものですね。

面白いですね、想像できます、直すところ。私はひとがどう言っても直さないけど(うふふ)、自分は絶対「レストレード」です。ナツミさんもBBC版が「レストラード」とよんでいても、「レストレード」でとおしていらっしゃいますね!そしてやっぱり私は「イレーナ」ですけど、こちらに関してはナツミさんは元から「アイリーン」だったのですね。

英語で原作を読んでいる人の多くは、"Irene"のところだけわざわざドイツ語ふうにはよまないですね、きっと。グラナダ版をみた英語話者の多くは、「イレーナ」ときいて一瞬「あれっ?」と思ったのかもしれませんね。そしてやっぱり、ヨーロッパのオペラハウスの空気を感じたのでしょうか。

そして私も元にもどって...。人生と生活と愛について語ることができるひとと出会えてお話できるって、幸せなことですよね。たとえ実際に口にしていることが、たとえば目の前にある鉛筆のことだったとしても、そのひとと話すとき、わたしのこころは自由になります。自分が自分として自由にゆったりと、ここにいられる気持ち。ナツミさんとの間でも、そういうご縁をいただいたと思っています。

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 RM

Author: RM
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和訳には間違いがあるかもしれません。最近は必ず英語原文を併記・またはアドレスを書いて読めるようにしていますので、どうぞそちらも参考になさってください。

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