Jeremy のことが知りたくて ~ ジェレミー・ブレット(Jeremy Brett)を愛するかたへ

英グラナダ・テレビでシャーロック・ホームズを演じた俳優の人生を言祝いで

ミッドランドホテルにまつわるお話の2回目です。以前も紹介しましたが、Google Booksを検索すると、時としておもしろい本を読むことができます。今回の本は「Granada Television: the first generation」という本で、編集がJohn Finch, Michael Cox, Marjorie Gilesです。Michael Coxはもちろん、グラナダシリーズのプロデューサーでした。本の中身をみることができるのはこのサイトで、64ページからJeremy Paulの文がのっています。Jeremy Paulはジェレミーの友人の脚本家で、芝居「The Secret of Sherlock Holmes」の脚本も書きました。

私がグラナダテレビのために脚本を書くようになってからのこと、脚本家は最高のものを仕上げることを要求されたが、グラナダの経費でリラックスした楽しい雰囲気の内にミッドランドホテルに泊まり、打ち合わせや撮影が進むのを見守るのは、脚本家にとって喜びの一つだった。ミッドランドホテルで思い出すのは2つのことだ。

という前置きの後、2つの話が語られますが、その2つ目がジェレミーの話です。

私はグラナダがもっと太っ腹だろうと勘違いして、痛い目にあったことがある。私はその時、自分が脚本を書いた「シャーロック・ホームズ」の撮影に立ち会おうとしていたのだが、ジェレミー・ブレットにミッドランドホテルのフレンチレストランでおごらせてくれ、と頼んだ。ジェレミーに何かをおごるのは不可能に近いのだが、この時ばかりは私は強く出た。「グラナダが払ってくれるよ。」ジェレミーは承知した。彼はそのときレタスと人参しか食べなかった。彼の食事があまりにつましいので、私はワインを選ぶように強くすすめた。翌朝、ちゃんと見ないで請求書を机の上においた。6日後、グラナダの経理部門から断固とした調子の手紙をもらった。シャトーワインの代金70ポンドを小切手で払ってください。これはあの日のフレンチレストランでの代金なのだろうか?それ以降グラナダで働くことはなかった。

ジェレミーにおごるのは不可能に近かったのですね!でも、ワインをどうしても選ぶように言われて選んだのが、よりによって、グラナダの経理が支払いを拒否するようなワインだった、というのがおかしいですね。ジェレミーはいつも上等なワインをみんなにおごっていたのでしょう。だから何も考えずにいつもと同じようにそれを頼んだのではないでしょうか。ジェレミー・ポールはジェレミーの親しい友人ですから、それを知って読むと、この結果的にはちぐはぐだったやりとりにも、くすくすと笑ってしまいます。

この本にはもう一つ、ジェレミーにまつわるエピソードが書かれている文章があります。これは、グラナダ制作の多くのドラマでプロデューサー/ディレクターをつとめた人の筆によるようです。ドラマの制作経費にかかわるあれやこれやを書いた後で、106ページで、制作スタッフが経費を意識して仕事をしているのに、俳優がそれを台無しにした例があげられています。かっとなって殺人を犯す役を演じたある俳優が、ランプとビリヤードテーブルの布張りの部分と、ビリヤードのキューをこわしてしまい、ドラマとしては成功したが経費がかかってしまった、という例。その後が我らがジェレミーの関わるエピソードです。

それに対して、俳優が制作スタッフを救ってくれる場合もある。撮影において時間はいつも貴重であり、Country Mattersというシリーズの中のAspidistra in Babylon (1972) の撮影は、すんでのところで大変な経費がかかってしまうところだった。Doverの近くの海岸でのシーンがあって、主役の女優は1920年代の水着を着て演技することになっていたが、彼女はロケ現場のキャラバンから頑として出てこなかった。というのは彼女は自分の見た目を恥ずかしがったのだ(でもそれは彼女の思い込みだった)。主役を演じたジェレミー・ブレットは、自分が話してみよう、と提案してくれた。彼がキャラバンに入って5分間たつと、女優は微笑みながら外に出て来て、とても素直に指示に従った。私はジェレミーは何をしたのだろう、といつも思ったものだ。

ジェレミーはやさしく、そしてとても情熱的に、水着姿の彼女をほめたのではないでしょうか。ジェレミーが人をほめる時の口調、大好きなのです。Desert Island Discs (1991) というラジオ番組をきいたのが、ジェレミーのラジオインタビューを聴く最初だったのですが、その時にジェレミーの何とも素敵なほめ方を聴いて、それまで以上にジェレミーを好きになりました。この音声が、今は再開準備中のThe Jeremy Brett Archiveで聴けるようになったら、またご紹介しようと思います。

次回はグラナダシリーズの終了がすでに決まっていた1994年春に、ミッドランドホテルでおこなわれたインタビューから、抜粋してご紹介します。

RM
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