Jeremy のことが知りたくて ~ ジェレミー・ブレット(Jeremy Brett)を愛するかたへ

英グラナダ・テレビでシャーロック・ホームズを演じた俳優の人生を言祝いで

前々回の記事の最初にちょっと書いたように、ホームズとIrene Adler(イレーナ・アドラー)について考えるとき、ジェレミーが彼女のことを話しているいくつかのインタビューが思い浮かびます。その内の一つ、1991年アメリカでの"Desert Island Discs"のインタビューからご紹介しようと思っていました。

もっとも、この番組でのイレーナについてのジェレミーの言及は書き起こせばほんの二行なんです。そしてこれを引用するためには、その前の部分から書かねば、あ、それじゃもう少し前も... というわけで、今日のタイトルは予定していた「グラナダ版でのIrene Adler」ではなく、「ジェレミーが語るホームズの少年時代」となりました。

1991年・アメリカ、というとこのブログでもおなじみの、グラナダ・シリーズ宣伝のための旅です。そしてアメリカでの"Desert Island Discs"のインタビューについても今までも何度もふれています。たとえばこちらです。
ジェレミーの悲しみと、あたたかさ(7); 1991年のDesert Island Discsから(4)

もともと"Desert Island Discs"というのはイギリスBBCの長寿ラジオ番組で、今でも放送されています。ゲストは無人島へ持っていくレコードや本などを選び、司会者はそれを選んだ理由、これまでの人生についてなどをたずねます。ジェレミーがインタビューを受けたアメリカでの番組は、イギリスBBCのこの43分の番組を模してつくられた、より長い2時間ものでした。

司会者はRobert Aubry Davisで、下記のトランスクリプトでは"RD"となっています。なお、トランスクリプトと録音は、フランスのSociété Jeremy Brett de France (JBSF)というグループが"A thrilling time"というタイトルで以前出版しました。興味がおありでしたら下記サイトを参照してください。下二つはフランス語です。
http://www.m.amazon.com/dp/B000I2REY0
http://www.sshf.com/news.php?id=114#.VU32Ltrtmko
http://jbsfasso.free.fr/publication/athrillingtime2.htm

ここではこのトランスクリプトから一部を引用します。また録音は、ジェレミーが選んだ5曲のうちフォーレのレクイエムのみを含んだ音源がネット上にあります。上に記した記事「ジェレミーの悲しみと、あたたかさ(7); 1991年のDesert Island Discsから(4)」にその場所と注意していただきたいことを書いています。

さて、それではジェレミーの言葉です。

JB: ホームズの内面はまったくわからないので、それぞれのひとが中身を埋める必要があります。内面を作り出すんです。つまり、僕はホームズの乳母を知っています。母親も知っています。ホームズは8歳まで母親ときちんと顔をあわせませんでした。母親の香水の香りは知っていたかもしれないけど。そしてドレスの裾のサラサラという音も。でも8歳まではちゃんと会うことはなかった。のりの効いた服を着た、厳格なビクトリア時代の乳母にごしごし洗われる以外は、ひとに触られることはなかった。1850年頃のことです、もちろん。21歳まで父親に会うこともなかった。兄がいたけど、兄も同じように誰ともまじわらず、ひとりぼっちでドーナッツのようなお菓子を食べる太った少年だった...。

RD: あの小さなクラブにひきこもっている...。

JB: そう、ディオゲネス・クラブでは誰もしゃべらない。


JB: [W]hat you have to remember is that Holmes is hollow and therefore one has to fill that with an inner life, [...] [Y]ou invent an inner life. I mean I know his nurse; I know his mother whom he didn't meet until he was 8; maybe caught a fragrance of her scent, the rustle of her skirt, but he certainly didn't see her before that; never touched apart from being scrubbed by a starched, harsh Victorian nanny - we're talking about 1850 of course; never met his father until he was 21. He had a brother who was also isolated and lonely who ate donuts, or the equivalent... fat boy...

RD: Lived in this little club and stayed away...

JB: Yes, the Diogene's where nobody speaks.

From "A thrilling time" published by JBSF

この部分で私が印象的だと思うのは、とても感覚的だということです。母の香水の香り、ドレスの裾のサラサラという音、ごわごわした乳母のエプロンと、ごしごしと洗われる時の感触、そしてもしかしたら、兄が一人で食べているお菓子のにおい。

ジェレミーにとってホームズは、敏感な感覚と知覚を持つ孤独な少年だったのでしょう。そしてジェレミー自身が、感覚の鋭い子供だったのではないかと思います。

そして録音をきいていただくとわかりますが、ジェレミーは途中から何かを思い出しながら話しているような静かな声で、ホームズの少年時代を語っています。上記トランスクリプトに相当するのは、ご紹介した音源の5分30秒からです。

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