Jeremy のことが知りたくて ~ ジェレミー・ブレット(Jeremy Brett)を愛するかたへ

英グラナダ・テレビでシャーロック・ホームズを演じた俳優の人生を言祝いで

私はオーディオブックが好きです。ここでも何度かジェレミーのオーディオブックをご紹介してきました。以下にあげたオーディオブックはすべて、ジェレミー単独の録音ではなく多くの人が参加している作品です。

Troilus and Cressida のオーディオブック (1961) , その4
Love's Labours Lost (1974) のオーディオブック再発売
Richard II (1961) のオーディオブック再発売;その2
Puss in Boots のオーディオブック (1972)

今日ご紹介するオーディオブックはJean Cocteau(ジャン・コクトー)がギリシャ悲劇の「オイディプス王」を元に書いた戯曲、"The Infernal Machine"(地獄の機械)で、これも多くの俳優が参加しています。ジェレミーはオイディプスを演じています。

この録音のことをジェレミーが話しているのをきいたり読んだりしたことは、残念ながらないのですが、「オイディプス」という名前を出しているインタビューは覚えています。

「ホームズを演じるのはオイディプスやハムレットやマクベスと同じくらいむずかしい。ホームズにいまだに夢中なのは、ホームズの演じ方が私にはまだわからないからなのです。ホームズはいまだに私の視界の少し先にいます。」少し考えて続けた。「いや、さらにまたその先です。宝探しみたいなものです。」

"[Holmes] is as tough to play as Oedipus or Hamlet or Macbeth. Why he fascinates me still is the fact that I still can't play him, he's still one field ahead of me." He pauses. "Two fields. It's like a treasure hunt."

Tracking the Master Sleuth
by Louise Sweeney
Nov 14, 1991, The Christian Science Monitor
http://www.csmonitor.com/1991/1114/14121.html

ジェレミーはハムレットもマクベスも演じていますね。そしてオイディプス役もこのオーディオブックで演じて、印象が強かったのでしょう。

私にとってもこれはとても思い出深い作品です。2012年5月にこんなふうに書きました。
俳優であることの重圧;インタビュー記事 When the lights went out (1990) より

最近、ジェレミーがギリシャ悲劇のオイディプスを30代で演じたオーディオブックのLPを手に入れて、聴いています。ジャン・コクトーがオイディプス悲劇を元に書いた「地獄の機械」のオーディオブックです。「おまえは父を殺し、母と交わって子をもうけるだろう」という神託のままに、地獄の機械の歯車がまわって圧倒的な悲劇の結末へと進んでいくオイディプス、しかも最後の時が来るまで、歯車が止めようもなく回っていることを知らないこのオイディプスを演じる、ジェレミーの声と表現のすばらしさ。英語を母語とする人ならはるかにそれを感じられるでしょうが、私でもジェレミーの演技に息を飲み、魅了されます。19歳の若者の時から、自らの目をつぶして、娘にともなわれて絶望のうちに放浪する最終場面まで。(シェークスピアよりはわかりやすい英語です。でもこういう時は特に、英語母語話者をとてもうらやましく思います。)

この時の感想に何も足すことはありません。(あ、でも、英語母語話者をうらやましく思う気持ちはその頃より薄れました。その言葉の母語話者ではないからこその受けとめ方、近づき方があると思えるようになったからです。)

さて、これは私の知る限りでは現在絶版です。CDとしてもデジタルオーディオファイルとしても販売されていません。ですからYoutubeでの場所をここでお知らせしてもよいでしょう。2013年にアップロードされて、二つのパートに分かれています。

まずは登場シーンです。下のアドレスをクリックすると、19歳のオイディプスが育った国を出て、それと気づかずにスフィンクスと出会う場面から再生されます。スフィンクスは若い女性の姿に身を変えています。

Jean Cocteau - The Infernal Machine - Part One
https://youtu.be/L73Ny5uPf2Q?t=47m57s

47分57秒から58分45秒までが若い女性との会話、ここが見事なんです。若者の冒険心・野心・自尊心。一方で神託への恐れと、でも自分の力でそれを跳ね返せるという自信。美しく勇敢な若者の魅力と若さの持つ傲慢さの両方があらわれています。

そして女性はスフィンクスの姿にもどります。ここからスフィンクスののろいの言葉が続き、スフィンクスの独壇場、1時間03分あたりから、あのスフィンクスの謎かけの場面です。でもこのあたりはともかく、オーディオブックがお好きな方、ジェレミーの声の表現がお好きな方、ホームズ以外を演じるジェレミーもお好きな方は、若い女性としてのスフィンクスとの58分45秒までの会話をどうぞおききください。

スフィンクスを演じているのはDiane Cilentoで、Troilus and Cressida のオーディオブックではCressida役で、Troilus役のジェレミーと共演しています。

この続きは(多分)次回です。

RM
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