Jeremy のことが知りたくて ~ ジェレミー・ブレット(Jeremy Brett)を愛するかたへ

英グラナダ・テレビでシャーロック・ホームズを演じた俳優の人生を言祝いで

前回はがんの化学療法をうけていた女性が、ジェレミーとのディナーでこころなぐさめられていた様子をご紹介しました。今日は、ジェレミーの二度目の奥様のJoan Wilson(ジョーン・ウィルソン)が膵臓がんの治療をうけていた時のことをジェレミーが話している記事をご紹介しましょう。ご存知のように、ジョーンは治療の甲斐無く、亡くなってしまいました。ジェレミーの悲しい思い出をきくのはためらわれるかたもいらっしゃるかもしれません。でも喜びも悲しみも含めてすべてそのひとだということで、私はここにその時のことも書きたいと思います。

記事の題は以下のとおりですが、私が持っているこの記事の画像ファイルには雑誌名や日付が載っていません。
'At Last I'm Free From the Shadow of Holmes'
by Jo Weedon

今日ご紹介する中のかなりの部分がBrettish Empireにも引用されています。
http://www.brettish.com/later-stages.html

そしてそれによるとこの記事が載った雑誌とその日付は以下のとおりです。
Woman's Own, March 11, 1991.

ジョーンがアメリカで治療を受けていたとき、ジェレミーははるか離れたイギリスでホームズに全力で関わっていた。

「不安でいっぱいで、そのためにジョーンのそばについていることができないくらいでした。といっても、ジョーンは化学療法を受けている時に私にそばにいてほしいとは思っていなかったのですが。『あなたはこういうこと、見ていられないわ』と言ってました」とジェレミーは懐かしさの笑みをみせた。

ジョーンはアメリカのテレビ局の重役だった。彼女はもちろん正しくて、ボストンの病院にはじめて一緒に行ったとき、ジェレミーは気が遠くなった。
「治療室に入って、ジョーンの抗がん剤治療のための準備がされているのをみたんです。ただただ茫然としました。」

「でもそれほどの衝撃をうけたのはそこに2歳の女の子がいたことで、抗がん剤治療で髪が全部抜けてしまっていました。ジョーンとその女の子、その二人をみているのは私には耐えられなかった。気を失ってしまいました。」

「私はそんなふうで、役立たずでした。『もう来ちゃだめよ。来てもあなたにとって、よいことは一つもないから』とジョーンは言ったけど、すまないと謝って、次も彼女につきそって行きました。今度はもう少しちゃんとしていられました。」


When Joan was having treatment in the States, Jeremy was thousands of miles away, committed to Holmes.

"I felt so frustrated that I couldn't be with Joan, although actually she didn't really want me around while she was having chemotherapy. She said, 'You're not up to this'," he recalls with a smile.

Joan, an American television executive, was right, of course. The first time he went with her to a Boston clinic, Jeremy fainted. "I walked into the treatment room and saw the equipment pointing up at her. I just fell apart.

"But what really threw me was a two-year-old girl who'd lost all her hair because of the chemotherapy. Seeing Joan and that child together was just too much for me. And I fainted.

"I was such a dead loss. Joan said, 'You mustn't do any more of this; it doesn't do you any good'. I apologised, and in fact I did go again and was better."


ジョーンが「あなたはこういうこと、見ていられないわ」と言ったのは、ジェレミーの性質を知っていたからですね。ひとの苦痛を自分のこころにもからだにも、感じてしまうということでしょう。ジェレミー自身よりもよくジェレミーのことをわかっていたようですね。ジェレミーがこの言葉を口にしながら微笑んだのも、そういうジョーンを愛しく思い出してのことでしょう。

こうしてジョーンの治療の様子を知っていたので、前回ご紹介した友人が抗がん剤治療を受けていたときにも、彼女が身体的・精神的にどんな困難に直面しているかもわかっていたし、彼女のために少しでもなにかしたい、楽しい時間も持ってほしいと思ったのでしょう。

このインタビュー記事の別の部分も次回ご紹介したいと思います。今度は自分の病のことを話しています。


さて、グラナダ版ホームズが、また違うかたちで発売されるようですね。デアゴスティーニ・ジャパンから、「隔週刊 シャーロック・ホームズの冒険 DVDコレクション」が2月2日から発売されているということです。
http://deagostini.jp/shdmt/?server=01

くわしいことは私は知らないのですが、ウェブサイトをみるとノーカット・デジタルリマスター版DVDつきマガジンとのこと。「詳細な解説マガジン」と書いてあります。シャーロッキアンでグラナダ版にもくわしいかたが執筆・監修をなさっているとよいなあと思います。

こうして形をかえてこの作品が何度も世に送りだされるのをみると、ジェレミーのホームズのいのちがずっと続いて行くことを確信できます。

RM
関連記事

コメント

またまたDVDが!

また,グラナダシリーズのDVDが発売されるのですね。
グラナダシリーズはブルーレイのセットで持っているので,多分,誘惑には負けない予定なんですが,どうなるでしょう?
わりと詳しい解説付きみたいで,魅力的ですね。
なんだかもう,物欲のカタマリになってしまいそうですね。

日本語の字幕もきちんとしていると,なお良いんですが。
RMさんはきっとご覧にならないでしょうけど,ブルーレイの日本語の字幕はミスが目立つんですよ。
その上日本語として分かりにくい時もあって,思わず考え込んでしまいます。
日本語としては吹き替えのほうが断然いいんですけど,それではジェレミーの声を聞くことができないし,困ったものです。

ですから新しいDVDの日本語字幕,できればグラナダシリーズへの愛情あふれる字幕だといいなあ,と思っています。

Joanの闘病の様子はいろいろな事を考えさせてくれますが,それでもこの二人は出会えて本当に良かったんだなあ,と思います。
それにしてもJoanさん,気丈な人ですね,すごいなあ。

どんな日本語訳、どんな解説でしょうね

さきさん、こちらでもこんばんは。

>グラナダシリーズはブルーレイのセットで持っているので,多分,誘惑には負けない予定なんですが,どうなるでしょう?

私も同じでブルーレイがあるからと思っているのですが、さあどうなるでしょう。

>わりと詳しい解説付きみたいで,魅力的ですね。

そうなんです、私も解説に興味があります。

>RMさんはきっとご覧にならないでしょうけど,ブルーレイの日本語の字幕はミスが目立つんですよ。

これは知りませんでした。

>ですから新しいDVDの日本語字幕,できればグラナダシリーズへの愛情あふれる字幕だといいなあ,と思っています。

本当ですね。字幕も解説も、愛情いっぱいだとうれしいですね。そして作品はかわらなくても、それをつつむかたちが少しかわって再度発売されることによって、一人でも多くの人の目に触れるとうれしいです。

>それにしてもJoanさん,気丈な人ですね,すごいなあ

私もそう思います。美しくて強くて生き生きとした女性だったんだろうなあと思います。ジェレミーが
"The last thing she said to me was: 'Are you going to be alright?'"
と言っているのを以前ご紹介した時もそう思いました。
http://upwardjb.blog112.fc2.com/blog-entry-523.html

DVD BOOK

RMさん、さきさん、こんばんは。
新しいDVD BOOK、気になりますね。

> >グラナダシリーズはブルーレイのセットで持っているので,多分,誘惑には負けない予定なんですが,どうなるでしょう?
>
> 私も同じでブルーレイがあるからと思っているのですが、さあどうなるでしょう。

私も同じで…(以下同文・笑)
でも沢山売れてほしいです!
現在の売上と予約数はどれくらいかしら、と気になっています。

新しい吹き替えにも興味があります。
ブルーレイ版の吹き替えは露口さんをはじめ声優の皆さんの演技も素晴らしかったし、さきさんもおっしゃるように日本語として味わい深い、粋な言い回しが多くされていますよね。
今度の新しい版も良い仕上がりでありますように。

そしてこれからも、グラナダ版ホームズとジェレミーの魅力に、沢山の人が出会ってほしいと思います。

あ、あと、ジェレミーのつくったゆで卵が食べたいです(笑)

まるさん,私も

何のかんの言っても男性って結構凝るようですから,ジェレミーのゆで卵,とってもおいしいんじゃないかなあ,と勝手に決めつけて(笑)わたしもぜひ,食べたいです。

DVD BOOK,気になりますよね。
ウェブサイトを見ると,イレーネ・アドラーの肖像画を載せていますが,これは元になる絵があるらしいですね。それについて,解説をしているんでしょうか?

そうすると「最後の事件」で,絵を使ってホームズの復活を暗示していることなんかも書いてあるのかなあ?

気にならないふりをしているつもりですが,とっっっても気になります。
そのうちがまんの限界が来るのかな?

まるさん、こんばんは。

>私も同じで…(以下同文・笑)
>でも沢山売れてほしいです!
>現在の売上と予約数はどれくらいかしら、と気になっています。

私もまったく同じです。最初のお知らせ以外にはまだ何も知らないのですが、売れ行きなど、どうなっているでしょうね。

>新しい吹き替えにも興味があります。
>ブルーレイ版の吹き替えは露口さんをはじめ声優の皆さんの演技も素晴らしかったし、さきさんもおっしゃるように日本語として味わい深い、粋な言い回しが多くされていますよね。
>今度の新しい版も良い仕上がりでありますように。

吹き替えも気になりますね。最初にNHKでみた時の印象がとても強いのですが、具体的にどんな言い回しだったか、残念ながら私は覚えていないのです。今では英語音声でしかきかなくなってしまいましたが、また久しぶりにブルーレイ版の日本語音声をきいてみたい気がします。私達には日本語ではあの声が深くしみついていますが、新しい版で、また別の良さがあるといいですね。

>あ、あと、ジェレミーのつくったゆで卵が食べたいです(笑)

うふふ

さきさん、こんばんは。

>何のかんの言っても男性って結構凝るようですから,ジェレミーのゆで卵,とってもおいしいんじゃないかなあ,と勝手に決めつけて(笑)わたしもぜひ,食べたいです。

私も…(以下同文、うふふ)。

>ウェブサイトを見ると,イレーネ・アドラーの肖像画を載せていますが,これは元になる絵があるらしいですね。それについて,解説をしているんでしょうか?

あ、そう言えば私もどこかで、グラナダ版でのあの肖像画には、元になる絵があったことをききましたが、忘れてしまいました。さきさん、覚えていらしたら誰のなんという絵か、教えてくださいますか?

>そうすると「最後の事件」で,絵を使ってホームズの復活を暗示していることなんかも書いてあるのかなあ?

これは全然知りませんでした。これもどうぞ教えてください!

今日は春の陽気ですね

アイリーン・アドラーの肖像画はクリムトの「ソニア・クリプトの肖像」を元にしているそうですよ。
どこかに書いておかないと,また忘れてしまいそう・・・

それからホームズの復活を暗示している絵については,ご存じありませんか?
実はわたしも聞いたことはないんですよ(笑)
でも,きっと気づいている方は他にもあると思います。
特にキリスト教文化圏の人は。

「最後の事件」の前半,ルーブル美術館の盗難事件の場面ですが,ホームズが犯人を特定しますね。
そしてどうやって犯人を捕らえて絵画を取り戻すかを話す時に窓際へ移動します。
その時に一枚の絵の前に立ちますが,その絵はイタリアルネッサンス期に描かれた何枚かの同じ構図の絵を元にしているようです。

で,なんでわたしはこの場面がホームズの復活を暗示していると思ったか,についてですが,まあ,御用とお急ぎでない方はよかったら読んでやってください。

この絵には聖家族と幼い洗礼者ヨハネが描かれています。
ホームズは,聖母マリアの膝に乗った幼いイエス・キリストと重なるようにして立ちます。
キリストは亡くなってから三日後に復活しますし,ホームズはライヘンバッハの滝に消えてから三年後にワトソンの前に現れます。
というわけで,この場面はホームズの復活を暗示しているのではないかと思いました。

この場面で使われている絵には,元になる何枚かの絵には描かれていない人物がいます。
若い女性の姿で描かれた左側の聖人がそうですが,彼女が描き足されたことによって,絵の前に立っているホームズを聖人が囲むようになります。
これは見ている人の注意を惹くための工夫かな,と思います。

少なくともわたしは,描かれている人物に囲まれたジェレミーってきれいだなあ,でも後ろにあるこの絵には何が描かれているのかな?と思ったのがきっかけでしたから(笑)

キリスト教に知識のないわたしとしては,まったくのハズレでもなさそうだけど,確かな自信があるわけでもありませんので,もし,どこかでこんな話を聞いたことがおありでしたら,教えていただけるととってもうれしいです。

元になった絵はラファエロやコレッジョなどが描いています。

うわああ、なんて興味深い!

さきさん、コメント拝見してどきどきしました。

>アイリーン・アドラーの肖像画はクリムトの「ソニア・クリプトの肖像」を元にしているそうですよ。

クリムトでしたか、ありがとうございます!
(ここを読んでいらっしゃる方へ。Wikipediaの"Chronological list of Gustav Klimt's main paintings"のページにこの絵がありましたので、アドレスを書きますね。現在はこのリストの6番目になっています。
https://en.wikipedia.org/wiki/Chronological_list_of_Gustav_Klimt%27s_main_paintings

>それからホームズの復活を暗示している絵については,ご存じありませんか?
実はわたしも聞いたことはないんですよ(笑)

すごい!それではさきさんがご自分でみつけられたんですね。

>で,なんでわたしはこの場面がホームズの復活を暗示していると思ったか,についてですが,まあ,御用とお急ぎでない方はよかったら読んでやってください。

いえ、用事があろうがなかろうが、皆様、必読ですよー!

>この絵には聖家族と幼い洗礼者ヨハネが描かれています。
ホームズは,聖母マリアの膝に乗った幼いイエス・キリストと重なるようにして立ちます。
キリストは亡くなってから三日後に復活しますし,ホームズはライヘンバッハの滝に消えてから三年後にワトソンの前に現れます。
というわけで,この場面はホームズの復活を暗示しているのではないかと思いました。

三日後と三年後。なんと!

>この場面で使われている絵には,元になる何枚かの絵には描かれていない人物がいます。
若い女性の姿で描かれた左側の聖人がそうですが,彼女が描き足されたことによって,絵の前に立っているホームズを聖人が囲むようになります。
これは見ている人の注意を惹くための工夫かな,と思います。

ますます、うなってしまいます。

>少なくともわたしは,描かれている人物に囲まれたジェレミーってきれいだなあ,でも後ろにあるこの絵には何が描かれているのかな?と思ったのがきっかけでしたから(笑)

すごいすごい!

>キリスト教に知識のないわたしとしては,まったくのハズレでもなさそうだけど,確かな自信があるわけでもありませんので,もし,どこかでこんな話を聞いたことがおありでしたら,教えていただけるととってもうれしいです。

いえ、私ははじめてです。ここを読んでいらっしゃる方でご存知でしたら、どうぞ教えてくださいませ。

この絵については以前参加していたフォーラムで、右の女性がホームズの方に向いて手をあわせているようにみえると言っていた人がいました。その時そのひとが、この女性が誰かということにふれていたか覚えていないのです。少なくとも私は意識していませんでした。聖母マリアなのですね。

もしかしたらそのフォーラムにいた人の何人か、特にキリスト教文化圏の人が、さきさんが書かれたことと共通の思いをいだいたかもしれませんが、こちらも私の覚えている限りでは、言及はありませんでした。

でも、さきさんが書いてくださったことを読むと、「まるでホームズの方に手をあわせているようだ」と彼女がいった時に、意識下あるいは無意識下でキリストの復活、そしてホームズの帰還のイメージへとつながっていたのではないかと、今になって私にはそう思えます。

もしもどこかで、この絵に関する話をきいたら、ご報告しますね。
とても興味深いお話をありがとうございました!

おはようございます

いやあ,RMさんにこんな風にコメントしていただくと「気分はすっかりシャーロキアン」です。
ありがとうございます!!!

実際のところ知らないことだらけ,即席で調べたことを並べたようなものですから,「こんなこと書いちゃっていいのかなあ」と思いながらの書き込みでお恥ずかしいんですけど。

>この絵については以前参加していたフォーラムで,右の女性がホームズの方に向いて手をあわせているようにみえると言っていた人がいました。

そうなんですか。
その方は聖母マリアから何か気づかれることがあったのですね。
「ジェレミーが華やかですてき」から入るわたしは,やはり異文化の人間だなあ。

でも異文化の人間でも楽しめるグラナダシリーズのホームズって,やはりすばらしいなと思います。


こんにちは

>そうなんですか。
その方は聖母マリアから何か気づかれることがあったのですね。

そうかもしれませんね。私はその時は、手をあわせているひとは天使かしらと思っていました。

>でも異文化の人間でも楽しめるグラナダシリーズのホームズって,やはりすばらしいなと思います。

いろいろなみかたができますね。私はいつもぼんやりと観ていますけど、それぞれのひとが、それぞれの個性にもとづいて楽しめるだけの奥深さがありますね。

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://upwardjb.blog112.fc2.com/tb.php/745-e5727dfa

 RM

Author: RM
コメントは承認後に公開されます。古い記事へのコメントも大歓迎です。2010年8月7日に始めました。
私の記事へのリンクはどうぞご自由になさって下さい。
和訳には間違いがあるかもしれません。最近は必ず英語原文を併記・またはアドレスを書いて読めるようにしていますので、どうぞそちらも参考になさってください。

全ての記事を表示する

06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08 

QR