Jeremy のことが知りたくて ~ ジェレミー・ブレット(Jeremy Brett)を愛するかたへ

英グラナダ・テレビでシャーロック・ホームズを演じた俳優の人生を言祝いで

少し間があいてしまいました。

David Huggins(デイビッド・ハギンズ)のオートバイについてAnna Massey(アナ・マッシー)の自伝から前回引用したのに続いて、デイビッド自身が語っている記事から引用しましょう。これは2001年のThe Guardianからですから、1959生まれのデイビッドは42歳になっています。

At Christmas I dreaded playing charades
The Guardian, 14 November 2001
http://www.theguardian.com/books/2001/nov/14/shopping.familyandrelationships

両親は職業とユーモアのセンス以外には共通するところがほとんどなくて、私が3歳の時に離婚したのだが、そのあと子供時代の私の目から、二人は驚くほど仲のよい関係にみえた。(中略)

父が私の18歳の誕生日にオートバイをプレゼントしてくれた時、両親はテレビドラマRebeccaの撮影で一緒だった。母は父にとても腹をたてたので、二人は撮影のあいだずっと互いを無視していた。その時は私は父の側についていたが、今は母の気持ちの方がよくわかる。両親ははじめてまわりにもみえるかたちで喧嘩をしたのだが、この諍いは二人の性格がもともと正反対だということをよく示していた。母は理性的で慎重で几帳面、父は直観的で自分の気持ちに従う。私が子供の頃二人がなんの苦もなく気持ちを通い合わせているようにみえていたのは、それが子供を育てるために必要な態度であるのに加えて、彼らがプロの俳優だったからかもしれないとも思う。今でも私の頭の中では、父が「危険をこわがらずに冒険しなさい」、母が「よく考えるんですよ」、と正反対のことを言いあうのがきこえる。

With little in common besides their careers and a sense of humour, my mother and father divorced when I was three, but for the remainder of my childhood, they appeared to get along surprisingly well [...].

When my father presented me with a motorbike for my 18th birthday, my parents happened to be working together on a television adaptation of Rebecca. My mother was so angry with him that they ignored each other for the entire filming. At the time, I took my father's side, but now my sympathies lie more with my mother. It was the first time they'd fallen out openly, and the row pinpointed the fact that they were, by nature, opposites. My mother is cerebral, cautious and organised, while my father was intuitive and impulsive. I suspect that the easy rapport they seemed to share when I was a child might be due to the fact that they were professional actors as well as caring parents. I can still hear them battling out their differences in my head: my father urging me to take risks; my mother advising me to think things through.


デイビッドは、バイクで怪我したことも、そのバイクに乗らなくなったことも特に書いていません。いろいろな解釈があって、一つは自分が怪我した話は照れくさかったかもしれませんし、あるいは彼にとってバイクに乗ったことこそが大切で、事故のことはもう忘れていたかもしれません。

それに対してアナの自伝を読むと、母親のアナにとっては事故こそが忘れられない一大事だったのですね。そしてその事故のおかげで、オートバイはやはり危険なもので贈るべきでなかったとジェレミーもわかっただろう、と書いていました。

デイビッドは当時はジェレミーの味方だったとありますから、父が母の反対を押し切ってバイクを買ってくれてよかったと思っていたのでしょう。そしてデイビッドに「危険をこわがらずに冒険しなさい」と言っていた父は、もちろんオートバイを贈ったことを後悔なんてしていなかったでしょう。

でもデイビッドは、今は母の気持ちの方がわかると言っています。理由は何も書いていませんが、この記事が書かれた2001年は彼が結婚した年ですから、それもなにか関係していたかもしれません。

離婚した両親のそれぞれの性格と、その性格の違いにもかかわらず、二人が子供の自分のためにみせた姿の描写も、興味深いものでした。両親が離婚した人がフォーラムで、私の両親も私の前では子供のためを思ってこんなふうだったらよかったのに、と言っていたことを思い出します。



ところで、ジェレミーとアナが共演しているRebeccaにはデイビッドも「出演」しているということをご存知でしょうか。「出演」といっても通行人の役で、出演者として名前も出ていませんけど。でも親子3人が出ているというのもちょっとおもしろいです。

そのことをデイビッドが話していたのは、イギリスの新聞 The Independentの記事中でした。以前はネット上にあったのですが、今はThe Independentのウェブサイトから削除されてしまいました。以前のページのアドレスです。
http://www.independent.co.uk/arts-entertainment/books/features/david-huggins-public-faces-in-private-places-747515.html

過去のページを収集して公開しているウェブアーカイブサイトに残っていますので、そちらのアドレスを書きます。

David Huggins: Public faces in private places
The Independent, 3 November 2001
http://web.archive.org/web/20100530062834/http://www.independent.co.uk/arts-entertainment/books/features/david-huggins-public-faces-in-private-places-747515.html

たった一度だけ演じたのは、Rebeccaのテレビドラマ版でした。母はダンバース夫人、父はマキシム役、私は(おどされて)ちょい役で出ました。女優のVivienne Picklesが運転する車にあやうくひかれそうになる役です。

The only time I acted was in a TV adaptation of Rebecca. My mother played Mrs Danvers and my father played Maxim de Winter. I played an extra (under some duress) who was almost run over by the actress Vivienne Pickles.


3人が同じ作品に出る最初で最後のチャンスかもしれないから、と言われたのでしょうか。「おどされて」って、両親に?どちらか一方に?あるいは照れてそう言っているだけで、一回だけなら案外面白がって出てみたなんてこともあるかもしれません。

そしてこの通行人役のデイビッドが出るシーンは、おそらくこちらです。RebeccaはいままでビデオにもDVDにもなっていませんので、Youtubeのアドレスを書いてもよいでしょう。このアドレスをクリックして、数秒後です。(記事では車を運転している女優の名がVivienne Picklesとなっていますが、正しくはVivian Picklesのようです。)
http://www.youtube.com/watch?v=iJWEYaN08ws&t=4m51s

いかがですか?家庭用ビデオデッキで録音されたぼんやりした画面で、顔は全然わかりませんけど、足が長いのはわかりました(うふふ)。ジェレミーはこのシーンをみて、にっこり笑ったでしょうか。

RM
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コメント

別の記事でも思ったのですが

Davidはいいこだなぁ!と思うんです。(42歳にむかって「いいこ」だなんて変ですけど)
もちろん優等生という意味の良い子ではなくて、ジェレミーにこんな息子がいてよかった、という思いです。
お父さんとお母さんの良いところをそれぞれ受け継いだような、まっすぐで元気だけど冷静でもある、よく見て考えて判断することができる、愛情深い、いいこだ、と。彼がジェレミーのそばに息子として存在していてくれて、力をあたえてくれていたのがうれしい、と思います。

> ジェレミーとアナが共演しているRebeccaにはデイビッドも「出演」しているということをご存知でしょうか。

ご存知じゃなかったです!びっくり!
わーなんかすてきですね(^^)
喧嘩中で口をきかない両親と一緒におしごとしたんですね(笑)
「おどされて」ってのもオモシロ。出ろといわれて「えー」とか言いつつ出た感じでしょうか。本気で嫌なのに脅されて、てわけではないんでしょうね。

同感です!

まるさん、こんにちは。

>Davidはいいこだなぁ!と思うんです。
>まっすぐで元気だけど冷静でもある、よく見て考えて判断することができる、愛情深い、いいこだ、と。

ああ、まったく同感です。私も感じたことを、そのまま言葉にしてくださいました。そしてこれもまるさんが書かれたとおり、こういうところは両親の両方の特質を受け継いでいますよね。

>別の記事でも思ったのですが

とまるさんが書かれたのは、ジェレミーが入院した時のことか、Stephen Fryの自伝にあった、大学生の頃のことかもしれないと思って拝見しました。

Stephen Fryの自伝にはもう一カ所、デイビッドのことが書かれているんですよ。(もっとあるかもしれませんが、無料で読めるところに限れば、です。)両親がらみの記述ではないこともあってまだ記事にしていないのですが、ケンブリッジ大学入学直後の気取った雰囲気のクラスのうちでただ一人、パンク・ロッカーみたいな格好をしていたのですって。ひとの目や因習にとらわれないところは、ジェレミー譲りかもしれませんね。

>彼がジェレミーのそばに息子として存在していてくれて、力をあたえてくれていたのがうれしい、と思います。

本当にそうです。そしてデイビッドがジェレミーをまっすぐみてちゃんと理解しているところを思う時、いつも母親のアナに尊敬と感謝の気持ちを覚えます。

そしてレベッカでの「共演」について

>「おどされて」ってのもオモシロ。出ろといわれて「えー」とか言いつつ出た感じでしょうか。本気で嫌なのに脅されて、てわけではないんでしょうね。

うふふ、デイビッドの性質だと、本気で嫌だったら絶対出ないと思うので、役者になる気持ちはさらさらなかったけれども、一度なら「えー」と言いつつ出たんじゃないでしょうか。

うれしいです

> >別の記事でも思ったのですが
> とまるさんが書かれたのは、ジェレミーが入院した時のことか、Stephen Fryの自伝にあった、大学生の頃のことかもしれないと思って拝見しました。

はい、その二つとも。それと、ナツミさんとやり取りされていた「ソファの背をひらり」もです。

> ケンブリッジ大学入学直後の気取った雰囲気のクラスのうちでただ一人、パンク・ロッカーみたいな格好をしていたのですって。ひとの目や因習にとらわれないところは、ジェレミー譲りかもしれませんね。

ほほえましい。。。(´▽`)

ところで「ひとの目や因習にとらわれないところ」ってホームズの特徴でもありますね。
常識人のワトスンがホームズの振る舞いを横で見てて困ったような顔をするシーンは、さらに横で(?)みてるわたしは、「こいつらおもしろいな」といつもニヤニヤしちゃいます。

> そしてデイビッドがジェレミーをまっすぐみてちゃんと理解しているところを思う時、いつも母親のアナに尊敬と感謝の気持ちを覚えます。

そうですね。本当によかった。
ジェレミーに関わった人達のことをこうして後から知るわたし達も幸せですね。
今日更新の記事で書いてくださったオリヴィエの手紙にも、幸せな気持ちになりました。

ジェレミーの花束,見てみたいですね

大人になったデイヴィッドが両親について,こんな回想をしてくれるなんて,ジェレミーもアナもうれしいでしょうね。

離婚はしたけれども,デイヴィッドの両親としてお互いにちょうどいい距離を一生懸命探ったのだろうな,と思いました。
フォーラムで「自分の親にもこんな姿を見せて欲しかった」と言われた方のことを考えながら。

ローレンス・オリヴィエが冗談で家具をどけなきゃ,といったジェレミーの花束,ぜひとも見てみたいですね。
ジェレミーのすることって,「うれしいよお!」という気持ちがあふれてますね。

いい親子ですね

まるさん、そうそう「ソファの背をひらり」もそうでしたね!理解し合っている親子ということがよくわかってうれしい気持ちになりました。

>ところで「ひとの目や因習にとらわれないところ」ってホームズの特徴でもありますね。

ああ、たしかにそうですね!ジェレミーは自分はホームズと似ていないといっていたけれども、ここにも似ているところがありますね。

>ジェレミーに関わった人達のことをこうして後から知るわたし達も幸せですね。
今日更新の記事で書いてくださったオリヴィエの手紙にも、幸せな気持ちになりました。

はい、私もあの手紙を読んでいる時のジェレミーの表情が想像できて、嬉しくなりました。

バラかしら?

さきさん、私も花束見てみたいです。やっぱりジェレミーらしく、赤いバラかしら?

>大人になったデイヴィッドが両親について,こんな回想をしてくれるなんて,ジェレミーもアナもうれしいでしょうね。

本当にそうです。二人がデイヴィッドのことを語る時、とても誇りに思っている様子がうかがえますし、ジェレミーの口から「息子であり友人」という言葉も出てきたことを思い出します。自分たちのことをきちんと理解できる大人になって、友人としても向き合えるということで、うれしいでしょうね。

>ジェレミーのすることって,「うれしいよお!」という気持ちがあふれてますね。

まさにそうですね!私もいつも「あふれるほどに」という言葉が、こころに浮かびます。あふれるほどのあたたかさを持つひとだなあって。

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 RM

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