Jeremy のことが知りたくて ~ ジェレミー・ブレット(Jeremy Brett)を愛するかたへ

英グラナダ・テレビでシャーロック・ホームズを演じた俳優の人生を言祝いで

前回からの流れで、Draculaのお話をします。Draculaの写真は以前4回にわたってご紹介したように、New York Public Library Digital Collections でたくさんみることができます。
舞台 Dracula(1978-1979)の写真(その1)
舞台 Dracula(1978-1979)の写真(その2)
舞台 Dracula(1978-1979)の写真(その3)
舞台 Dracula(1978-1979)の写真(その4)

また、Draculaの頃のアメリカでの新聞もネット上でいくつか読めて、Los Angeles、およびChicagoでのDracula公演時の新聞インタビューを以前ご紹介しました。
舞台 Draculaの頃のインタビュー;新聞記事(1979)より
舞台 Draculaの頃のインタビュー(その2);新聞記事(1978)より

今日は雑誌Scarlet Streetからです。これは1992年ですから、上の二つのインタビューとはちがって、Dracula公演時ではなくホームズを演じていた時のインタビューです。

Sherlock Holmes as Dracula
by Jessie Lilley
Scarlet Street, No.8/Fall, 1992

Scarlet Street: ブロードウェイでドラキュラ伯爵を演じたんでしたっけ?

Jeremy Brett: いや、私は西海岸のドラキュラだったんです。4週間ブロードウェイに行ってドラキュラを演じないかと言われたんですが、残念ながら他の仕事があったので。ちょうどMax De Winterを演じたRebeccaの撮影が終わったところで、その後に飛行機でロサンジェルスに戻っていた時でした。ニューヨークの最高のプロデューサーの二人、Elizabeth McCannとNelle Nugentが連絡してきて、「あなたにドラキュラを演じてほしいんですけど」と言いました。それで「舞台をみせてもらえますか?」と頼みました。ニューヨークでは、あのすばらしいFrank Langellaがドラキュラを演じていました。第二幕の終わりまでには「ああ、是非ともこの役を!」と思っていました。「ブレットさん、このひとに一週間教わってください」と二人が言うので、「一週間?ええと、何を習うんですか?」「マントの練習です。」

SS: マント?

JB: 最初に舞台に出てくる時、ドラキュラは羽織っていた美しいマントを脱いで「こんばんは、Seward先生。ご機嫌うるわしくおいででしょうね。」そして手から離して見事に回転させると(マントには重りがつけてありました)、飛んでいったマントが後ろにいるメイドの腕におさまるという演出なんです。Frankが演じたとき、劇場全体、大喝采でした。観客がまるまる1分間拍手し続けたのを覚えています。私が最初の夜にこのシーンを演じた時、アドレナリンが駆けめぐったおかげで、マントがドアから飛び出して、闇の中をコウモリのように飛んでいってしまいました。

SS: ああ、それは困った!

JB: マントがどこかへ行ってしまった!マントはメイドに完全に覆いかぶさっていたんです。メイドはベルベットの重いマントの下で息ができなくなってジタバタしていました。まったくたいしたアドレナリンです。


SS: Didn't you play Count Dracula on Broadway?

JB: No, I was the West Coast Dracula. I was asked to go to Broadway for four weeks, but unfortunately, I had to do something else. You see, I'd just finished playing Max De Winter in REBECCA, and I was flying back to Los Angeles. I was approached by Elizabeth McCann and Nelle Nugent, two of New York's finest producers. They said, "We want you to play Dracula." So I said, "Well, can I see it?" I went to see it in New York and it was being played by the brilliant Frank Langella. I remember, by the end of Act Two, thinking, "God! Yes, please!" They said, "We're sending you for a week's rehearsal, Mr. Brett, with this gentleman." And I said, "A week? Well, what's it for?" They said, "To practice the cape."

SS: The cape?

JB: On his first entrance, Dracula removes his beautiful cape and says, "Good evening, Dr. Seward. I hope you're feeling well this evening." And with that he releases the clasp of the cape and twists it with enormous dexterity—the cape was weighted—so that it lands behind him in the maid's arms. Well, when Frank did it he brought the house down; I remember the audience applauded for a full minute. The first night I did it, with the adrenaline pumping through my veins, the cloak went straight out of the door and flew like a bat into the night!

SS: Oh, no!

JB: Lost my cape; it went all over the maid. She was fighting for air under all the velvet. Sheer adrenaline.


ジェレミーのことですから、マントを翻す練習も徹底的に行ったのでしょうね。見事なマントさばきは、写真でもみることができます。でも初日は勢いあまって、マントが飛びすぎちゃったということでしょう。こう話している時のジェレミーの表情が想像できますよね。あのいたずらっぽい笑顔でしょう。

具体的な描写のところ、日本語訳が間違っていないことを願っています。状況を想像しながら訳しているのですが。わからないのは、ドアからコウモリのように飛び出していったマントがメイドに完全に覆いかぶさったというところです。うーん、ジェレミーとドアとメイドの位置関係がわからない。ドアというのは舞台にしつらえた部屋のドアですね、もちろん劇場自体のドアではなく。マントは舞台上で大きくカーブを描いて飛んだのでしょうか。私の英語理解が間違っているのでしょうか。いえ、こんなことを言うのは野暮で、ジェレミーの話をくすくす笑いながらきくのが一番よいのかもしれませんね。(でも私の訳が間違っていたらごめんなさい。)

あのマントにはおもりが入っていたのですね。それできれいに翻るのでしょう。別のインタビューでは、あのマントは30ポンド(13.6キログラム)の重さで、あれを劇的な身振りで激しく振り回したので左腕が「ドラキュラ肘(ひじ)」になったと言っています。("He also has what he called 'Dracula elbow' in his left arm from flinging his 30-pound cape around dramatically." Chicago Tribune, February 16, 1979) 

ジェレミーは左利きだから「ドラキュラひじ」を患ったのは左腕なんですね。

RM
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コメント

マントの重さ

30ポンドのマントですか!
この手のかっこいいシーンを観るとき,俳優さんの工夫や努力まで考えが及ばないでいますが,う〜ん,大変なんですねえ。

飛び過ぎちゃったマントの話も,その話をする時のジェレミーの様子も,想像すると楽しいですね。

想像できますよね

>この手のかっこいいシーンを観るとき,俳優さんの工夫や努力まで考えが及ばないでいますが,う〜ん,大変なんですねえ。

はい、私もです。たとえばこの前の「パリの四銃士」のあの四人も、撮影の前に合宿をして、乗馬やフェンシングなどの訓練をしたそうですね。ジェレミーも、若い頃に「三銃士」に出演したときは、乗馬はおてものだったでしょうが、フェンシングの稽古をずいぶんしたようにインタビューで言っていました。

なりきるのも大変で、でもジェレミーのことだから、楽しんでもいたでしょうね。

>飛び過ぎちゃったマントの話も,その話をする時のジェレミーの様子も,想像すると楽しいですね。

うふふ、そうなんですよね。あんな表情だろうな、なんて想像できますよね。

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 RM

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