Jeremy のことが知りたくて ~ ジェレミー・ブレット(Jeremy Brett)を愛するかたへ

英グラナダ・テレビでシャーロック・ホームズを演じた俳優の人生を言祝いで

前回の記事で

からだを使って何かをする能力にもたけていたところも(ヴァイオリンの指使いも、ダンスも、マントを翻すことも、ソファを飛び越えることも...)若い時からホームズの頃までかわらなかったのですね

と書きました。それで今回も私の得意な芋づる式連想で、ダンスやバレエに関わることを少し書いてみましょう。踊ることに関しては何回か触れました。
バレエ;1988年のインタビューから
Wild gymnastic dances:1984年の記事より

今日はジェレミー自身が踊ったのではないのですが、Martha Graham Dance Company(マーサ・グレアム・ダンスカンパニー)の公演に俳優として関わった時のことを書きましょう。

マーサ・グレアムはモダンダンス確立の中心人物で、私も名前だけはきいたことがあります。1991年に96歳で亡くなりました。ジェレミーが参加したのは、1985年にニューヨークで三週間行われた"Song"の公演です。これについて書かれた部分がある、いずれもThe New York Timesの記事を、ネット上で読むことができます。

DANCE: MARTHA GRAHAM GIVES PREMIERE OF 'SONG'
by Anna Kisselgoff
The New York Times, April 3, 1985
http://www.nytimes.com/1985/04/03/arts/dance-martha-graham-gives-premiere-of-song.html

DANCE: GRAHAM WRAPS UP SEASON
by Anna Kisselgoff
The New York Times, April 23, 1985
http://www.nytimes.com/1985/04/23/arts/dance-graham-wraps-up-season.html

FROM SHERLOCK TO MODERN VILLAIN
by Judy Klemesrud
The New York Times, May 26, 1985
http://www.nytimes.com/1985/05/26/arts/from-sherlock-to-modern-villain.html

はじめの記事からです。

「わたしはシャロンのばら、野のゆり。」このよく知られた言葉は聖書の「雅歌」の一節だ。イギリスの俳優ジェレミー・ブレットがこの一節を朗読するにつれて、マーサ・グレアム・ダンスカンパニーのThea Nerissa Barnesがこころにうったえかけるようなステップで歩むと、ダンサーはまさに誇らしげに咲く花になっている。

''I AM a rose of Sharon, a lily of the valleys.'' These familiar words come from the Bible, and more specifically from ''The Song of Songs.'' And when Thea Nerissa Barnes of the Martha Graham Dance Company steps sensuously forward while Jeremy Brett, the British actor, speaks these lines, she is unabashedly a flower abloom.


「雅歌」(あるいは「ソロモンの雅歌」)は男女の恋の歌だそうです。恋の言葉をジェレミーはどんな優雅さと情熱で口にしたでしょうね。

ミス・グレアムの作品の見事さは、踊りが音楽にあっているのと同じように、発せられた言葉のリズムが音楽にきちんとあっていて、そしてもっと重要なことに、その言葉が踊りにあっていることだ。ミス・グレアムは今までも少なからぬダンス作品の中で朗読を使ってきた。しかし今回自分の主題にどうしても必要な要素に思い当たって、それをとりいれた。

その彼女の主題とは、こころにしみる愛だ。それは時に誇りたかく官能的な愛でもある。この作品の元になった聖書の「雅歌」あるいは「ソロモンの雅歌」とも呼ばれる一編は、愛を歌う叙情詩である。そしてミス・グレアムの作品の場合は、叙情詩として詩の読み手が自分の感情を歌うだけではなくて --- それは彼女の本来のスタイルではないから --- この作品"Song"全体で、愛するひとにやさしく触れ続ける。

そしてもしかするとブレット氏の声が本当に言葉をやさしく撫でているようであるのをきくとき、神秘的にも観客のこころにこの作品の主題がしみてくるのかもしれない。今の多くのテレビ視聴者はブレット氏を、ミステリー・シリーズの中で現在演じている役、シャーロック・ホームズとして知っている。彼はもちろんシェークスピア俳優でもあって、そのシェークスピア的な味わいが舞台袖からただよってくるようにしたのは大成功だ。ブレット氏は舞台上には出てこないが、その声は観客のこころにひびき続ける。

Miss Graham's achievement has been to see that the rhythm of the spoken words fits the music as much as the dancing fits the music - and more importantly, that the words fit the dancing. Miss Graham has used narrators and speech in quite a few other works. But here she has hit upon an element fundamental to her subject.

That subject is sensuous love, unabashedly erotic at times. ''The Songs of Songs,'' sometimes called ''The Song of Solomon'' is an outright love lyric. And while nothing in Miss Graham's canon can be totally lyrical - it is not her innate style - she has managed to make the theme of ''Song'' one long caress.

And perhaps this is felt most uncannily in the way Mr. Brett's voice seems to actually caress the words. Most television viewers of the moment know Mr. Brett as Sherlock Holmes, a part he is currently playing on a mystery series. He is, of course, also a Shakespearean actor and it is a coup, in fact, to have this Shakespearean resonance waft out from the wings. Mr. Brett is offstage, but he does not go unheard.


今回は特に訳すのが難しくて、自信がないところがいくつかあります。おかしいと思われたら、どうぞ原文もごらんください。マーサ・グレアムの踊りのスタイルというのが私にわかっていれば、もっと理解しやすかったかもしれません。

ジェレミーの音楽的な声とリズムが、音楽にも踊りにも見事にあっていたのですね。そしてこのダンスの主題である"sensuous love"(「こころにしみる愛」と訳しました)を感じさせてくれたということでしょう。 "Mr. Brett's voice seems to actually caress the words"のところ、「本当に声が言葉をやさしく撫でているようだ」としました。「詩の朗読のCD」でご紹介した 愛の詩を思い出しながら想像すると、私にとってこんな感じなのです。

俳優としてモダンダンスの公演に参加したこと、そしてそれが愛をテーマとしたものだったことは、ジェレミーにとって思い出深かったことでしょう。

RM
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