Jeremy のことが知りたくて ~ ジェレミー・ブレット(Jeremy Brett)を愛するかたへ

英グラナダ・テレビでシャーロック・ホームズを演じた俳優の人生を言祝いで

前回の引用部分もそうでしたが、ジェレミーと会って話をしたインタビューアが、ジェレミーの印象を述べたり、インタビューの内容以外にジェレミーがどんなことを言ったかを書いている文章を読むのが好きです。

今日引用する部分は、ジェレミーが亡くなった時に雑誌The Sherlock Holmes Gazetteの追悼号に書かれたものだということを知ると、悲しい気持ちになるかたもいらっしゃるでしょう。でも私は時々この描写を思い出して、ジェレミーってそういう人なんですよねと思いますし、気持ちがくじけているときには、どんなときでも、ひとがひとに誠実に真摯に向き合うことができるという事実に、こころがなぐさめられたりします。そして自分のいまをかえりみることもあります。

この文章を書いたのはこの雑誌The Sherlock Holmes Gazetteをつくったひとで、この記事のときはかわっていましたが以前の編集発行人です。ジェレミーに三回インタビューをしたそうです。

Some of this, and some of that!
by Elizabeth Wiggins
The Sherlock Holmes Gazette, Issue 13, 1995

1991年春の発刊以来、ジェレミーは私たちの雑誌を応援してくれた。創刊号を受け取ると私に「素晴らしい。ブラボー!」と書かれたカードを送ってくれた。

それから数ヶ月あと、「犯人は二人」の撮影のおりにチェシャーのロケ現場でジェレミーと会った時、ジェレミーが最初に口にしたのは自分のことでもグラナダシリーズのことでもなく、私たちの雑誌へのあたたかい賞賛だった。

その時のこと(そしてジェレミーと会った時すべて)を思い出すと、まず一番に浮かんでくるのは、彼が誠実な紳士だったことである。いつも思いやりがあり、やさしかった。誰かと話しているときには、ジェレミーはかならずそのひとにまっすぐ向き合って細心の注意をはらった。

私はそれぞれ違うロケ地で、3回の長いインタビューをおこなった。ジェレミーはロケ先でとても忙しくて、撮影それ自体も、全体に対しての責任という点でも大変だったのだが、いつも私たちのために話す時間と場所を用意していて、私たちがインタビューしている間、誰にも邪魔をさせなかったし、自分の注意をほかにそらせるようなことは誰にもさせなかった。

Jeremy had been a keen supporter of The Gazette sine its launch in the Spring of 1991. Upon receiving one of the first copies, he sent me a card saying: "Excellent. Bravo!"

When I met him a few months later on location in Cheshire during the filming of The Master Blackmailer, his first words to me were not about himself, or the series but were more kind words and praise for The Gazette.

My overwhelming recollection of that day (and of all other occasions that I met Jeremy) was that he was a gentleman. My experience of him was that he was always courteous and charming and when he was talking to you, he gave you his full attention.

I conducted three lengthy interviews with him on different filming locations. Each time, although the day was extremely busy for him, with its own stresses and personal responsibilities, he set aside time and a place for us to talk and he would not allow anyone else to interrupt or direct his attention away from our interview.


"[W]hen he was talking to you, he gave you his full attention."のところ、「誰かと話しているときには、ジェレミーはかならずそのひとにまっすぐ向き合って細心の注意をはらった」と訳しました。「まっすぐ向き合う」という表現にそのまま合うところは元の英語にはないのですが、「細心の注意をはらった」だけだと私の中ではなにか十分ではなくて、この言葉が思い浮かぶのです。もちろん物理的に「向き合う」だけではなく、気持ちがきちんと向いているということです。

ここに書かれているジェレミーの様子を、自分にひきつけて、自分のいまと関連づけて考えることがときどきあります。

私はジェレミーとはそうとう性質が違って、社交的なんて間違ってもひとから思われない、おしゃべりは上手ではない、静かに一人でいる時間が必要というたちです。ですからジェレミーがインタビューのときにどんなだったかということには、憧れや尊敬の気持ちを持ちこそすれ、自分はどうだろうという思いを誘うものではないとも言えそうですが、でも違うのです。

いま目の前にいるひとに対して、いままっすぐでありたい、開いたこころでありたい、と折々に思います。それは自分の何もかもを話すということでは決してないし、誰とでも仲良くなってすぐに友達になるということでもありません。そして「目の前にいるひと」というのは何も特別なひとではなく、今日たまたま出会った店員さんかもしれないし、仕事の関係で会うひとかもしれません。

いまこのとき、自分のなかの何か本質的なものを自分で遮ることなく、それがしずかに留まるなら留まるにまかせ、自然に流れるのであれば流れるにまかせること、目の前にいるひとが表現している何かに対して、素直な気持ちで向き合うこと。私がこうありたいと思うのはそういうことです。ひとつの笑顔、ひとつの挨拶、そのなかにもまっすぐな何かがあらわれるはずです。そう思うとき、この記事のこのジェレミーの様子を思い出すことがあります。

RM
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