Jeremy のことが知りたくて ~ ジェレミー・ブレット(Jeremy Brett)を愛するかたへ

英グラナダ・テレビでシャーロック・ホームズを演じた俳優の人生を言祝いで

もうすぐこの一年も終わります。

「私」と「あなた」ということも、折々に考えた1年でした。

私は本当のあなたのことを知ることはできない。「あなた」が私の家族であっても友人であっても、世界の向こう側の人であっても。(ここに来てくださっているあなたのことも。そしてジェレミー・ブレットという名のあなたのことも。)でも私が本当の私を「こう」感じるように、あなたは本当のあなたを「こう」感じているのですね。そこにおいて私たちは同じものです。

自分の中の子供ということを、折々に考えた1年でもありました。理屈とか価値とか評価とか、そういうことへの目が開く前の自分。

子供が自由できままでわがままで、好きなことを、好きだというだけの理由で楽しめる時間をすごせますように。不安と恐怖の中にいる子供が、少しでも減りますように。

この1年、いろいろなことがあったけれども、ふりかえって感謝の気持ちをたくさんもちます。


ジェレミーが子供のことを話しているインタビューはたくさん思い浮かびます。今までにもいくつか引用しました。
子供の感受性(「Mystery!: A Celebration」から)
女性の直感と子供の感受性(2);1992年のThe Armchair Detective のインタビューから
子供とホームズ:1991年の新聞記事より

今日はこちらからです。
Jeremy Brett Interview, November 6, 1991
Interviewer: Kevin P. Murphy
http://web.archive.org/web/20131231002736/http://www.murderandwriting.com/entertainment/restored-jeremy-brett-inter.html

これはインタビューア自身のウェブサイトにアップロードされていたのですが、サイトがなくなってしまっていますので、Wayback Machineによって2013年にアーカイブされたページのアドレスを上にあげました。

Kがインタビューア、Jがジェレミーです。1991年ですからアメリカツアーの時です。

J: ホームズが子供にとってヒーローだとは思ってもいませんでした。この9年で知ったのです、特に舞台で演じた時に。「シャーロック・ホームズの秘密」という劇を、彼が100歳になったのを祝って上演しました。

K: いつかアメリカでも上演したいと思っていらっしゃるんですよね。

J: もうその時間はないんじゃないかと今は思っています、正典を全部映像化しようとしているので。1995年までかかるでしょう。そしてバトンをダニエル・デイ・ルイスに渡そうと思っています。その頃には私はホームズにはもう歳をとっていますから、彼にやってほしいですね。

公演のあいだ劇場の責任者に「ずいぶん空席がありますね」と言ったことが何度もあるのですが、そのたびに「ブレットさん、もう一度みてください。あかりがつきましたから、さあもう一度」って言うんです。そして(客席の椅子の背中一つ一つの向こう側を覗いている身振りをして)、子供がいっぱい!かわいい顔、顔!信じられない!子供はホームズが好きで、僕はその理由を知っています。これは去年おきたことで、その理由がごく最近わかりました。セント・ルイスに住む8歳のMichael McClure II(マイケル・マクルア二世)に4週間前に教えてもらったのです。ホームズがドラゴンを退治している絵を僕にくれて、僕が「マイケル...」と言うと、「ホームズはドラゴンをやっつけるんだ。僕はもう、夜いやな夢をみたりしないんだよ!」

K: すごい!

J: すごい!よかった!そして、ドイルが子供の鋭敏な感覚と感受性のすべてをホームズに与えたのが子供達にはわかるのです。ホームズの推理と直感はそこから来るのですからね!子供はその感覚と感受性を8歳でなくしてしまいます。窓の外を見てはいけません、教科書をみなさいと言われた時に。でもドイルはホームズにそのすべてを与えました。だから子供はホームズが大好きなんです。ホームズは法の正義を守り支える者でもあります。だからママとパパがけんかしていると「ホームズを呼ぶよ」って言えるのです。そして子供は少し支えをもらいます。だからホームズは子供のヒーローなんです。3歳のSolomon(ソロモン)とダラスで会ったのですが、私のホームズを全部観ていて、せりふを全部知っているんです!信じられない!ソロモン!

J: And, um, well, what I didn't realize was "You-know-who: S.H." is a great hero to the children. That, I've learned over the last nine years, largely from the play I did. I commissioned a play called, "The Secret of (you-know-who)," for his 100th birthday. 

K: This is the one you're hoping to bring to the States yet.

J: I don't think I've got time now, because I'm going to complete the canon. That will take until 1995. Then, I think I'll just pass the torch on to Daniel Day Lewis, I think. Let him get on with it, because I'll be over the hill by then. Umm, it's the fact that I used to say to the house manager that there are so many empty seats. He'd say, "Mr. Brett, just look again. The lights are on, now. Look again." And, of course [motioning to show eyes just barely peeking over the back of the seats]--children! Little faces! Absolutely unbelievable! They adored him, and I think I know why. I think it's to do--this has all happened over the last year--this particular idea has only recently come to me--through a little boy, called Michael McClure II, age 8, of St. Louis, about four weeks ago. And he gave me a picture of Holmes killing a dragon. And I said, "Michael...," and he said, "Oh, he kills my dragons. I don't have nightmares anymore!" 

K: Oh, wow!

J: Wow! Good news! Then, there are the children who recognize that Doyle has endowed his hero with all the antennae and sensibilities of a child...that's what his deduction and intuition is all about! Children lose it at the age of 8, I think, when they're told not to look out of the window, get on with their books, and it closes in. Whereas Doyle endowed "you-know-who" with all that. That's why the kids absolutely love him. He's also a great upholder of the law. So, when Mom and Dad are fighting, they say "I'll get S.H.," and they've got a little strength there. So, he is a hero to the children. Three-year-old Solomon, is there in Dallas, a little aficionado, has all my films, and knows every word! I couldn't believe it! Solomon! 


このインタビューがネットにあらわれた経緯については以前このように書きました。

このインタビューは、ジェレミーのすごく楽しそうな感じが伝わってきます。インタビューは当時、かなり短く編集されて土地の新聞に掲載されたのですが、それから15年ほどたってこの時のことを突然思い出したインタビューアが、コンピュータの中からインタビューを書き起こした元のテキストをさがしあてたけれども、ワープロソフトの移り変わりのために、文字化けその他でうまく読めないところが多かったそうです。ところが幸いなことに当時の録音がみつかり、そこからあらためて文字におこしたのがこれで、とても臨場感にあふれています。たとえばジェレミーが歌をくちずさんだり、外輪船(paddle-wheel boat)の音の真似をしたところなども、括弧に入れて書かれています。
(「Dame Gwenのこと;1991年のインタビューより」)

ジェレミーの声がきこえてきそうで、好きなインタビューの一つです。客席の椅子の背中の向こう側に子供達をみつけて、"Children! Little faces! Absolutely unbelievable!"(子供がいっぱい!かわいい顔、顔!まったく信じられない!)と言うところ、 "I couldn't believe it! Solomon!"(信じられない!ソロモン!)と子供の名前を呼ぶところ。

短く編集された記事はこちらで読めます。

たとえば新聞掲載記事では"I didn't realize that Holmes is a great hero to the children"というところが、長い方では "what I didn't realize was 'You-know-who: S.H.' is a great hero to the children"となっています。ジェレミーはよく、「ホームズ」と直接名前を出さずに、'You-know-who'とか'S.H.'とか言っていましたね。訳には反映できませんでしたが。

この中でジェレミーが"He's also a great upholder of the law"(ホームズは法の正義を守り支える者でもあります)と言っているところ、もしかしたら首をかしげる方もいらっしゃるかもしれません。正式な法的手続きをすっ飛ばすことも何度かありましたから。でもここで言いたいのは、「悪は露見し(自分が推理により明らかにし)、正義が行われる」とホームズは信じている、ということだと思います。それが、直接ちからを発揮できない、弱い立場にいる子供にとって支えであり救いである、と。

別のインタビューでジェレミーは、「パパがママを叩くんです。助けてくれますか?」という(ジェレミー・)ホームズへの子供の手紙について話していました。そんな時どうすればよいかはとても難しいけれども、決してそのままにすることはなく、専門家の手に委ねる、と。('Holmes is where my heart is...' 雑誌・日付不詳 )

ジェレミーは劇場やアメリカツアーで子供と接することで、子供がホームズを大好きなことを喜び、時にホームズが子供の支えとなっていることに安堵したでしょう。でも悲しい手紙をもらっても直接には助けられないつらさも感じたことでしょう。


最後に、ドラゴンをホームズに退治してもらって悪夢をみなくなった、セント・ルイスのマイケル・マクルア君とジェレミーの写真をご紹介しましょう。Sherlock Holmes Society of St. Charlesのブログからです。写真をクリックすると大きくなります。ジェレミーが右手でマイケル・マクルア君の肩を抱いています。
http://sherlockholmesofstcharles.blogspot.jp/2013/09/how-interesting.html

そしてコメント欄にそのマイケル・マクルア君、いえ大人になったマイケル・マクルア氏からのコメントがついています。今は数学の教授だそうです。「ジェレミー・ホームズは、モリアーティ教授と同じ職業を選んだマクルア青年をよしとするでしょうか?」と書いています。もちろんジェレミーはにこにこ笑っていますよね。


今年はこれが最後の記事かもしれません。ここに来てくださるかたとのご縁に感謝いたします。コメントを下さったかた、拍手をくださったかた、長く来てくださるかた、最近みつけてくださったかた、どうもありがとうございました。みなさま、どうぞよいお年をお迎えください。

RM
関連記事

コメント

年の瀬ですねー

RMさん、こんばんは(*^_^*)
ほんと今年もRMさんにはお世話になりっぱなしでした<(__)>
先週末、ご紹介頂いた本が海外アマゾンから届きまして、RMさんのおかげでやっと本物を手にできました!
今年も沢山の素敵な情報、ほっこりする記事と、ジェレミーへの愛溢れる文章に癒やされました、有り難うございます!

記事を読ませ頂いて、3歳の子が台詞を全部知っている事に驚きました。
3歳と言えばまだまだBBCの幼児番組を見ている頃なのに、もうホームズを見ることが出来るなんて。
台詞を覚えていると言うことは、何度も繰り返し見ている証拠。
3歳でグラナダ・ホームズの内容が分かるなんて、天才です!
ジェレミーが「I couldn't believe it! Solomon!」と快活に話すところが想像できますね(*^_^*)

RMさん仰るように、子供が平和で暮らして、愛情を沢山受けられるように祈ります。
来年が世界にとって、よりよい年になりますように。
そして、来年も宜しくお願いします♪♪

今年もあと数日ですね

りえさん、こんにちは。本が届いたとのこと、よかったです!
(ここを見てくださるかたへ。りえさんが以前ブログに書いていらした本のことで、イギリス・アマゾンでのアドレスはこちらです。
https://www.amazon.co.uk/dp/0951300008
中古本ですから、出品者も本の状態も値段も時によりかわりますので、興味のあるかたはしばらく観察していらっしゃるとよいかもしれませんね。)

>台詞を覚えていると言うことは、何度も繰り返し見ている証拠。

子供って、好きなものは大人が驚くくらいに覚えてしまうものみたいですね?ジェレミーのホームズが大好きだったんでしょうね!

それにしても(こっそりと、にっこりしながら申し上げますと)、ジェレミーは感激屋さんですから、ジェレミー言うところの "He knows every word!"というのは、少し差し引いて聞いておかないと、と思ったりするのですが。

>ジェレミーが「I couldn't believe it! Solomon!」と快活に話すところが想像できますね(*^_^*)

はい!まるで声が聞こえてくるように、想像できます。

こちらこそ、どうぞ来年もよろしくお願いいたします。

あけましておめでとうございます

昨年は大変お世話になりました、というかいろいろと楽しくさせていただいてありがとうございました!
今年も宜しくお願いいたします。

上のりえさんへのコメント、「ジェレミーは感激屋さん」に思わず顔がほころびました~~
記事中のマイケル・マクルア君の肩を抱くジェレミーもとても素敵です。いいなぁマイケル君。

今年はジェレミーとホームズのお蔭で沢山本を読み、ドラマや映画も(わたしにしては)沢山観ました。英語にはずっと苦労すると思いますが、まだまだ観たいもの読みたいものが山積み!新しく知ることもどんどん出てくる!ので楽しみは続きます。

いつでも記事の更新と皆さんのコメントを楽しみにしております。
またゆっくりお邪魔しますね。

ことりさん、あけましておめでとうございます

こちらこそ、コメントなどたくさん頂いて、どうもありがとうございました。今年もぼちぼちと続けていきますので、どうぞ読みに来てくださいませ。

>上のりえさんへのコメント、「ジェレミーは感激屋さん」に思わず顔がほころびました~~

うふふ、ことりさんもそうお思いになるでしょう?共演者を褒める時も、本当に情熱的に、こころから褒めるんですもの。そういうところ、大好きです。

マイケル・マクルア君との写真もみてくださって、ありがとうございます!あのブログは時々読みにいっていましたから、あそこに載った時に写真はみていたのですが、今回この記事のために久しぶりにいってみたら、コメント欄にご本人からのコメントがついていて、それを読めたのもうれしかったです。

>新しく知ることもどんどん出てくる!ので楽しみは続きます。

ことりさん、ジェレミーとホームズへの愛情で、世界を広げていらっしゃるのですね。私は比較的せまーい世界で満足してしまう方なのですが、私もジェレミーの関係で新しく知ったことがいくつもあります。あ、ブログを書くなんてことも、以前の私なら考えられないことです!

どうぞ今年もよろしくお願いいたします。

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://upwardjb.blog112.fc2.com/tb.php/809-8818c04b

 RM

Author: RM
コメントは承認後に公開されます。古い記事へのコメントも大歓迎です。2010年8月7日に始めました。
私の記事へのリンクはどうぞご自由になさって下さい。
和訳には間違いがあるかもしれません。最近は必ず英語原文を併記・またはアドレスを書いて読めるようにしていますので、どうぞそちらも参考になさってください。

全ての記事を表示する

04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08 

QR