Jeremy のことが知りたくて ~ ジェレミー・ブレット(Jeremy Brett)を愛するかたへ

英グラナダ・テレビでシャーロック・ホームズを演じた俳優の人生を言祝いで

自分にとっての映像上のホームズはBasil Rathbone(バジル・ラスボーン)だということ、いろいろなインタビューでジェレミーは話していますね。たとえばこのブログではこちらで触れました。
Rathboneへの敬意

それではどのワトスンがもっとも好きなのでしょう。もちろんグラナダ・シリーズ以前ということです。そのことを話しているインタビューは、私はこれしか思い出せません。
Baker Street Regular: Jeremy Brett and Edward Hardwicke
Interviews by Jim Knüsch
Scarlet Street, No.5, 1992

ジェレミーが、どのホームズとワトスンが好きか質問されている部分で、SSはインタビューア、JBはジェレミーです。

SS: あなた方より前の作品で、特に素晴らしいと思うホームズかワトスンはいますか。
JB: 一番好きなのはJames Mason(ジェームズ・メイソン)だと思います。私が一番好きなワトスンです。一番好きなホームズはこれからもずっとRathbone(ラスボーン)でしょう。ラスボーンは、Paget(パジェット)の挿絵がそのまま動いているようにみえます。William Gillette(ウィリアム・ジレット)はもちろん見たことがないのです(笑い)。

SS: Are there any predecessors in either role that you particularly admire?
JB: I suppose my favorite one is James Mason; that's my favorite Watson. I guess my favorite Holmes will be Rathbone forever. He seems to me to be the Paget drawings on the move—not having seen William Gillette, of course (laughs).


James Mason(ジェームズ・メイソン)が一番好きだと言っています。彼がワトスンを演じたのは、Murder by Decree (1979) で、ホームズはChristopher Plummer(クリストファー・プラマー)でした。ちなみにクリストファー・プラマーは、「ジェレミーにBAFTA賞を!」の活動を支持するメッセージを書いています。
https://web.archive.org/web/20120229202932/http://www.bafta4jb.com/2011/10/a-letter-of-support-from-christopher-plummer-cc/

演じるという私たちの職業にジェレミーがどれだけの貢献をしたかを見落としてしまって、しかるべき賞を与えないというのは、ひどく残念なことだと思います。たとえば彼はシャーロック・ホームズで世界的な名声を得ましたが、いままで私が観たうちで最高のホームズでした。もっとも完全に近く、もっとも人並みはずれていて、断然、一番本物のホームズでした。

It seems a crying shame to ignore Jeremy and his outstanding contributions to our profession. His Sherlock Holmes for example, which made him an international star, is the best interpretation of the role I have ever seen - the most complete, the most eccentric, the truest by far.


自分もホームズを演じたクリストファー・プラマーが、これほどジェレミーを讃えてくださったことにこころ打たれます。

さて、ジェレミーが過去の作品の中で一番好きなワトスンであるJames Mason(ジェームズ・メイソン)は、1984年になくなったのですね。ジェレミーのホームズはまったく、あるいはほとんど観ていないでしょう。とても残念です。

クリストファー・プラマーとジェームズ・メイソンの二人が出演した作品の邦題は「名探偵ホームズ 黒馬車の影」だそうで、DVDも出ています。「シャーロック・ホームズと切り裂きジャックの対決を描いたミステリー」と書かれています。
https://www.amazon.co.jp/dp/B008RVBX6O

ジェレミーはどういうところが好きだったのでしょう。The New York Timesの映画評を斜め読みしてみました。Mr. Mason's Watson is a splendidly staunch and reliable friend(ジェームズ・メイソンのワトスンは誠実で頼りになる友人だ)と書かれています。
http://www.nytimes.com/movie/review?res=9A00EEDF1331E432A2575AC0A9649C946890D6CF

この、ホームズの良き友としてのワトスンを、グラナダシリーズより前に演じたからこそ、ジェレミーに、自分たちより以前の作品で「私が一番好きなワトスン」と言わせたのかもしれませんね。機会があったら観てみましょう。


ところでジェレミーが「William Gillette(ウィリアム・ジレット)はもちろん見たことがないのです」と言って笑っているのは、ウィリアム・ジレットがホームズを演じたサイレント映画は1916年のもので、しかも映画は失われていたからです。

ところが2014年にフランスでこの映画のフィルムがみつかったという話はご存知のかたもいらっしゃるでしょう。
https://en.wikipedia.org/wiki/Sherlock_Holmes_(1916_film)


なお以前に下の記事に書きましたが、このインタビューは今では全文をネット上で読めます。
「青い紅玉」が大変だった理由:1992年のインタビューより

このインタビューの他の部分にも興味があるかたはどうぞ。少し誤植等がありますので、私は元の雑誌から引用していますが。

RM
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コメント

ジェイムズ・メイスンがワトソン

わたしにとって,ジェイムズ・メイスンはヒッチコックの映画「北北西に進路を取れ」の魅力的な悪役が一番印象に残っているんですが,ワトソンを演じたこともあるんですか!
びっくりしました。

ユーチューブでちょこっと観たんですけど,「北北西に進路を取れ」から20年たったジェイムズ・メイスンは,ちゃんとワトソンに見えるんですねえ。
ジェレミーの好きなワトソンを演じるジェイムズ・メイスン,ちょっと観てみたいです。

ほんとにいくら時間があってもたりませんね。

動機の99%

さきさん、こんばんは。お返事が遅くて申し訳ございません。コメントいただけてうれしいです!

>わたしにとって,ジェイムズ・メイスンはヒッチコックの映画「北北西に進路を取れ」の魅力的な悪役が一番印象に残っているんですが,

おお、その映画の名前はきいたことがありますが、観たことはありません。悪役だったのですね。「魅力的な」という形容がつくのがいいですね。

わたしもこの記事を書くとき、Youtubeでいくつかのシーンを観ました。ホームズの頼れる友人という感じでしたね。でも滑稽なシーンもあって、お皿の上の最後のお豆をフォークの先に刺そうと苦労していると、ホームズがフォークの背中でぐちゃっとつぶしてしまって、ワトスンが情けなさそうな顔をするのが面白かったです。

>ジェレミーの好きなワトソンを演じるジェイムズ・メイスン,ちょっと観てみたいです。

はい、わたしの場合、観てみたいという動機の99%は「ジェレミーの好きな」というところにあります、えへへ。

>ほんとにいくら時間があってもたりませんね。

ほんとです!

ワトソンってやはり

>お返事が遅くて申し訳ございません。

とんでもないですよ〜
いつも丁寧にお返事,ありがとうございます。
RMさんのブログを読んでいると,ついふらふらと思いついたことを書きたくなってしまいます。

そしてお返事に,河合隼雄さんの講演の様子など書いてくださるので,また書き込んでしまうのですね・・・

以前にも噺家の市馬さんについて,書いてくださいましたね。
あのお話も,市馬さんの落語を聞くときに思い出したりしています。

そういえばいつだったか,大相撲の客席に市馬さんを発見したことがありましたっけ。もちろんテレビの画面でですけど。
お相撲さんの動作のひとつひとつに「うん!うん!」とうなずきながら見ていたのが印象的でした。

>お皿の上の最後のお豆をフォークの先に刺そうと苦労していると、ホームズがフォークの背中でぐちゃっとつぶしてしまって

ホームズと一緒にいると,どのワトソンも「やれやれ」な思いをすることになるんですねえ,気の毒やらおかしいやら,ですね。

どうぞ「ふらふら」と書きにいらしてください

さきさん、こんばんは。
お優しい言葉をありがとうございます!

>そしてお返事に,河合隼雄さんの講演の様子など書いてくださるので,また書き込んでしまうのですね・・・

私も、記憶の中に沈んでいたことを思い出す楽しさ、それを読んでくださるかたがいらっしゃる楽しさを感じています。

>あのお話も,市馬さんの落語を聞くときに思い出したりしています。

わあ、うれしい!

>そういえばいつだったか,大相撲の客席に市馬さんを発見したことがありましたっけ。

私も一度大相撲で、市馬さんをおみかけしたことがあります。もちろん私もテレビでです。

>お相撲さんの動作のひとつひとつに「うん!うん!」とうなずきながら見ていたのが印象的でした。

想像したら嬉しくなりました!市馬さんらしいなあ。

>ホームズと一緒にいると,どのワトソンも「やれやれ」な思いをすることになるんですねえ,

うふふ、本当に。

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 RM

Author: RM
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