Jeremy のことが知りたくて ~ ジェレミー・ブレット(Jeremy Brett)を愛するかたへ

英グラナダ・テレビでシャーロック・ホームズを演じた俳優の人生を言祝いで

ことりさんと「Colin Jeavonsについてきかれて:1992年の雑誌インタビューより」のコメント欄でお話したインタビューがみつかったので、忘れないうちに引用してみます。

ことりさんが「台詞以外のちょっとした目線の移動や仕草、一瞬の表情などが重要なことを表しているように感じることが多々あります」とおっしゃったのに対して、「 そういえばジェレミーが映画やテレビと、舞台の違いをきかれて、そういうことを言っていたインタビューがありました。目の動きのことを言っていたのだったかしら。あとは、カメラワークやカット割りのことも言っていました」とお返事しました。

私が思い出していたインタビューはこちらに載っていたものでした。
"Partners in Crime: Jeremy Brett and Edward Hardwicke"
Pam Clarke and Yvonne Parkin
Stage Struck, Issue 1, 1990

これは全部で22ページの小冊子です。
https://www.amazon.co.uk/dp/B0000EEUON

第1号となっていますが、第2号以下も出版されたのかはよくわかりません。第2号はDerek Jacobiのインタビューだという予告が書いてあるのですが。

以前こちらでもこのインタビューから引用しました。
短所・長所;1989年のインタビューより

小冊子の発行年は1990年、"The Secret of Sherlock Holmes"の公演が行われていた時の、ジェレミーとEdward Hardwicke(エドワード・ハードウィック)へのインタビューを記したものです。インタビュー自体が行われたのは1989年のはじめの頃とのことですので、このブログの記事の題では前回も今回も「1989年のインタビューより」としています。

PCはインタビューア、JBはジェレミー、EHはエドワードです。

PC: お二人とも舞台で活躍してきた俳優ですね。舞台のほうが好きですか?
JB: いや、映像作品で演じる方が好きです。
EH: 私もです。今は映像の方が好きです。でもこんなふうに言う時がくるなんて、思ってもいませんでした。
JB: 映画やテレビの方が好きです。大好きなんです。つまり、舞台で長いあいだ演じてきたのに対して、映像作品は新しい挑戦ですから。そしてすごく魅力的です。新しいメディアで、幻灯機みたいです。舞台ももちろんとても面白いのですけど、私はこれまで相当長くそこで演じてきました。映像作品で演じるのにはまだ慣れていなくて、今は何よりも楽しんでいます。心底大好きです。大きなモザイク画をつくりあげるように感じられますし、映像作品ではカメラは人にぐっと近づけますから、俳優は細かい表現をいろいろとできます。そして一言も発せず目の表情だけで、相手にどういう感情をいだいているかを示せて、これは本当にわくわくすることです。

PC: You both seem very much theatre actors. Are you happier in the theatre?
JB: No, I prefer film.
EH: No. I can honestly say now that I prefer film. I didn't think I would ever say that.
JB: I prefer film. I love it. Film is my passion. I mean I've been an actor on the stage for yonks, and film is new. And I find it fascinating, and because of its newness, and the magic lantern. Theatre, of course, is exciting too, but I've done that a bit longer. Film is new to me and I, now, enjoy it more than anything. Absolutely love it. I think that it's just the fact that it's like building an enormous mosaic, and when you're in film, because the medium is so close, you can do so many subtleties and we can build up a relationship with looks, without any words at all, and it can be terribly exciting.


このインタビューが、"The Secret of Sherlock Holmes"の公演時のものだということを考えると、二人ともが映像の方が好きだと言っているのは面白いですね。久しぶりに舞台にもどって、表現の面で戸惑いもあったからということでしょうか。でも舞台の楽しさ、特にこの"The Secret of Sherlock Holmes"でホームズを演じる充実感を語るインタビューももちろんたくさんありますし、基本は舞台も映像作品も同じだと言っているものもありました。

ジェレミーは映像作品で演じる方が好きな理由として、自分にとって新しいということ以外にまず、モザイク画を作り上げるようだと言っています。これは小さい断片を貼り合わせて特定のイメージを描くように、小さなカットを積み重ねてシーンを作っていくことを言っているのでしょう。今日の引用部分のすぐ後でカメラワークやカット割りのことをとても具体的に話しています。シーンを実際に見直さないと間違って訳してしまうかもしれないので、次回、あるいはそれ以降にまわします。

もう一つ映像作品の特徴として、細かい表現ができることをあげています。その具体的な説明として"we can build up a relationship with looks, without any words at all"(一言も発せず目の表情だけで、相手にどういう感情をいだいているかを示せる)と言っていて、私がことりさんとの会話の中でぼんやりと思い出していたのはここでした。あらためてこの文脈に該当しそうな"look"という名詞の意味を調べると、たとえばランダムハウス英和大辞典では、「外観,様子,表情」と「(ある表情を持った)目つき」とあります。私は後者に近く訳しましたが、前者でもいいですね。ジェレミーは本当に細かい動き全てでホームズを表現しますから。でも私はやはり、ここは目による表現のことを主に言っていると解釈したいです。"build up a relationship"も意訳してみましたが、意味をかえていないことを願っています。





********

嘘をつく、誠実に対応しない、ひとを脅す、言葉が歪められる。政治の中枢でそれが行われるとき、人権の著しい制限と戦争が明日すぐにやってくるわけではないとしても、この社会が崩れていく音が、小さくても確実にきこえるようです。

そんな時にどう生きていこうか。まず、いま目の前にいるひとにまっすぐ向き合うこと。二度と会わないかもしれない、今日街で会ったひととでも。

私が好きなひとたちは皆、そうしてきました。

そしてやはり選挙は大切です。選挙まで忘れないこと。

RM
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コメント

一言も発せず目の表情だけで…

RMさん、こんばんは。
コメント欄でお話ししていたことから新しい記事を書いていただけてうれしいです! ありがとうございます。

> 「一言も発せず目の表情だけで、相手にどういう感情をいだいているかを示せる」

まさに!ジェレミーホームズはまさにこれだわー!と思いました。
グラナダホームズの評でジェレミーの「舞台俳優ならでは」の身体表現が素晴らしいといわれているのをよく見ますが、そこに映像作品ならではの細かい表現がプラスされているということですね。目が釘付けになるわけですね!

そしてジェレミーの「心底大好き」「わくわくする」という言葉が、本当に演じることが大好きなジェレミーらしくて…好きです(*^^*) インタビューに答えながら目がきらきらしている様が見えるようです。

このインタビューって独立した冊子だったのですね。(リンク先のAmazon見ました。もし今も売ってたら買っちゃってたかも)
以前の記事も、エドワードがジェレミーに向かって「君の声が弱点だなんて」って言うところが大好きすぎて、これも繰り返し読ませていただいているお気に入り記事のひとつです。
RMさんが「文字で読んで二人の掛け合いを想像できました」「お互いの呼吸をよんで会話を回し合うようなところも楽しむことができました」と書かれていた通り、わたしもそういうところを楽しんでいます。

> カメラワークやカット割りのことをとても具体的に話しています

これも、とても興味をそそられます……。いつでも、RMさんのお気が向かれた時に記事にしてくださるのをお待ちしています。(あまり催促しても…と思いつつこっそりと…笑)

私も「まさに!」

ことりさん、喜んでくださって嬉しいです。ジェレミーはそんなに長く説明しているわけではないので、拍子抜けなさったら申し訳ないなあと思ったりしていました。

>まさに!ジェレミーホームズはまさにこれだわー!と思いました。
グラナダホームズの評でジェレミーの「舞台俳優ならでは」の身体表現が素晴らしいといわれているのをよく見ますが、そこに映像作品ならではの細かい表現がプラスされているということですね。目が釘付けになるわけですね!

私もことりさんのこの言葉を読んで、まさに!と思いました。それでなるほど、アップのときもそうでないときも、ジェレミーから目が離せないんですね。

>インタビューに答えながら目がきらきらしている様が見えるようです。

いやもう、まったく同感です。エドワードとジェレミーと、それぞれの姿が目に浮かぶようですよね。

>いつでも、RMさんのお気が向かれた時に記事にしてくださるのをお待ちしています。(あまり催促しても…と思いつつこっそりと…笑)

お気遣いありがとうございます!楽しんで読んでくださるかたがいらっしゃるのは、とても嬉しいことです。さきほどこの続きをご紹介する記事を書きました。ことりさんがおっしゃってくださった、ジェレミーの話を引き出すようなエドワードの発言がこちらでも(短いですけど)みられます。

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 RM

Author: RM
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