Jeremy のことが知りたくて ~ ジェレミー・ブレット(Jeremy Brett)を愛するかたへ

英グラナダ・テレビでシャーロック・ホームズを演じた俳優の人生を言祝いで

この数回で、The IndependentとDaily Mailというイギリスの二つの新聞に載った追悼記事を引用しました。前者は高級紙、後者はタブロイドと呼ばれる新聞ですが、どちらも私はよい記事だったと思います。

前回の引用部分で、多くのひとがいまだにstigma(社会から恥ずかしく不名誉だと烙印を押される事柄)ととらえている精神疾患のことを、ジェレミーは公の場で語った、と書かれていましたが、性的少数者であることも当時は、そして残念ながら今でも社会のいろいろな場面で、stigmaの一つとなっていると言えるでしょう。

ジェレミーがもう少し長く生きていたら、性的少数者であることも公の場所で語ってくれたのではないかと私は思っています。残念ながらその時間がジェレミーには残されていませんでした。ですから本人が語っていないことを「事実」として書くことは第三者にはできません。でも私はいくつかの記事で書いたように、ジェレミーは性的少数者だったと思っています。
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今の私にとってはジェレミーはバイセクシュアルだったのだろうと考えていることはなにか特別なことではなく、ただ、それに触れている、新聞に掲載されたジェレミーの追悼記事をもう一つご紹介しようとしているだけです。

私が知っている限りひとつだけ、ジェレミーがバイセクシュアルだったと追悼記事で書いている新聞があって、このことはなぜか英語圏のジェレミーのファンの間でも、1995年当時から今までほとんど見落とされてきました。1997年にあの、信用ならない記述を多く含むTerry Mannersの本が出て、そこにジェレミーがバイセクシュアルだと書かれていたとき、多くのファンはこれも信用ならない記述のうちの一つだと思いましたが、実はその前にいわゆる「高級紙」であるThe Guardianに、ジェレミーはバイセクシュアルであると書かれていたのです。

この追悼記事の筆者(後で述べますが、演劇評論家)にとってもこの「高級紙」にとっても、誰かが性的少数者であることは、書くのをためらうべきゴシップではなかったのですね。これはうれしいことです。そして演劇関係者でジェレミーと親しいひとにとっては、このことは別に秘密ではなかったのだと私は推測しています。普通にさらっと書かれています。

現在では性的少数者であることをごく普通にとらえることができるひとが増えてきたのは、偏見の中にいたひとたち、社会的に成功したひとたち、影響力のあるひとたちが声をあげてくれたおかげでしょう。ジェレミーももう少し長く生きていたら、その一人となってくれたのではないかと想像しています。


以下が追悼記事からの引用です。引用に先立つ部分でジェレミーの親友、俳優Robert Stephens(ロバート・スティーブンス)の言葉が紹介されたあと、ここでは演劇評論家Michael Coveneyの言葉が書かれています。"Michael Coveney writes: " とありますので、これはこの新聞の求めに応じて文章を送った、その内容ということだと思います。Michael Coveneyはロバート・スティーブンスが自伝(Knight Errant: Memoirs of a Vagabond Actor, 1995年出版)をまとめるのを手伝っていて、ここで書かれているのもロバートの自伝のためにジェレミーと会ったときのことでしょう。

OBITUARY: JEREMY BRETT; Dark Sherlock
By John Ezard, Robert Stephens, Michael Coveney, Michael Cox
The Guardian, 14 September, 1995

Michael Coveneyはこう書く:(略)ある点では奇妙な二人組だった。スティーブンスはとりとめなく話す、女好きの、単純でわかりやすい、ブリストル出身の田舎もの、ブレットはバイセクシュアル、上流中産階級出身で軍人の息子だった。二人は劇場に逃げ場所を求めていた。二人がいるところはどこでも、最高の笑いとわくわくした気持ちがあふれていた。

スティーブンスが1970年代に感情面でのトラブルに見舞われたとき、ブレットは必ずいつも彼を助けて支えた。今年のはじめにブレットから話をきいたとき、スティーブンスのことを話す彼の目には、スティーブンスへのやさしい気持ちで涙が光った。彼は私の言葉をこう訂正した。やさしい気持ちなんてものじゃない、愛だよ、と。

Michael Coveney writes: [...] In some ways they were an odd couple: Stephens the rambling, womanising, uncomplicated country boy from Bristol; Brett the bisexual scion of an upper class military background. Both sought escape in the theatre, both filled any room they entered with laughter and high spirits.

Whenever Stephens was in emotional trouble in the seventies, Brett never failed him. Talking about Stephens earlier this year, his eyes filled with tears of affection. Not affection, he corrected me as we spoke; love.


ロバート・スティーブンスとジェレミーについて、そしてジェレミーがロバートを支えた時のことは、以下の記事でも書きました。
Robert Stephens のベストマンをつとめた時の写真
ジェレミーのギターと歌

ジェレミーがロバートのことを筆者と話したときには、すでにロバートは病気で、彼が亡くなったのはジェレミーが亡くなったちょうど2ヶ月後でした。

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