Jeremy のことが知りたくて ~ ジェレミー・ブレット(Jeremy Brett)を愛するかたへ

英グラナダ・テレビでシャーロック・ホームズを演じた俳優の人生を言祝いで

前回の2枚の写真、ご覧になれたでしょうか。あの2枚以外にもよい写真、珍しい写真が多かったですね。

今日はThe Problem of Thor Bridge(ソア橋の謎)について、Michael Coxの本、A Study in Celluloid から引用します。アーチェリーのシーンについてですが、まずはその少し前からです。

ソア・プレイスでギブソンを待つ間、ベイツはホームズとワトスンにピストルが置いてあった部屋と、子供達の教室をみせる。この教室でミス・ダンバーがブラジルの文化や歴史の知識を教えていたのだ。脚本を担当したジェレミー・ポールは、このシーンをつくったおかげで、コナン・ドイルのもう一つの冒険譚である「失われた世界」の舞台を話題にできて喜んでいた。

While they are waiting to see Gibson at Thor Place, Bates shows Holmes and Watson the gun-room where the pistols were kept and the schoolroom where Grace Dunbar taught the children about their Brazilian heritage. This allowed Jeremy Paul to work in a happy reference to the location of another Conan Doyle adventure, The Lost World.


本を読むときは読み飛ばしているところも、こうして訳すときは映像を見て、原作を読んで調べます。そしてはじめてわかることがあります。

子供達の母の国であるブラジルのことを教える目的でブラジルの写真や彫刻、剥製、装飾品などが並んでいる教室へ、ホームズとワトスンは入っていきます。このシーン自体が原作にはありません。そしてグラナダ版ではホームズは写真の1枚を手にして、"See, Watson, Ricardo Franco Hills."と言います。このリカルド・フランコ丘陵はコナン・ドイルに縁の深い土地だということを、私は知りませんでした。

下のリンク先の記事によれば、この丘陵地帯のことをColonel Percy Harrison Fawcett が講義したのをきいたドイルが、その土地の様子に魅了されて「失われた世界」を書いたとのことです。脚本家もジェレミーも、わかる人だけに目配せをしたのですね。

The rich imagery of Fawcett's reports was not lost on one member of the audience. Sir Arthur Conan Doyle shared the explorer's vision, going on to write The Lost World, the classic novel where a scientific expedition encounters pterodactyls, dinosaurs and ape-men.
http://www.phfawcettsweb.org/hills.htm


Michael Coxの本、A Study in Celluloid にもどります。

ベイツが話している途中で、やってきたギブソンが厳しい調子でそれを遮るが、その後はギブソンはホームズに協力的で、率直に状況を語る。これは原作ではベーカー街から一旦飛び出して、もどった後でホームズに話した内容だ。実際この後もギブソンは二人の客を丁寧に扱うようになって、敷地を案内して自分のアーチェリーの練習に付き合わせることまでする。目立つこの場面は、ジェレミー・ブレットの弓矢のわざを役立てるために台本に加えたものだった。ただ、ホームズはギブソンを負かしてしまわないように気をつけているが。

Bates is interrupted by a stern but cooperative Gibson, who now offers the information which, in the story, he provided on his return to Baker Street. He has, in fact, become quite hospitable, taking Holmes and Watson for a stroll through his estate and even inviting them to join him in archery practice. This flourish was written into the script to take advantage of Jeremy Brett's skill with the longbow, although Holmes is careful not to outdo his host.


ここでもう一つ知ったのは、原作では一度221Bを飛び出したギブソンが部屋に戻って来るということです。グラナダ版では戻りませんね。戻らない代わりにワトスンの「実際的な」助言と二人の握手があります。こちらの方がいいですね!

そして原作では221Bに戻ってきて話す内容が、グラナダ版では教室の中、敷地を歩きながら、そして敷地内のアーチェリー場で語られます。ここでホームズも腕前を披露します。これはジェレミーの古くからの友人である脚本家ジェレミー・ポールがジェレミーのために入れたシーンなのですね。ジェレミーがアーチェリーが得意で、大好きで、いつか作品で弓を引くことができたら、と思っていたことを知っていたのでしょう。 (In fact, I've never even drawn a bow in a film or in a play, although I'd love to. 「実際、映像でも舞台でも弓を引いたことは一度もないんですよ、やりたいと思っているのですが。」)
アーチェリーに関する1989年の記事より(5)

そうであれば、無理に右腕を使ったり右利きの代役を使ったりせずに、ここはジェレミー自身が利き腕の左で弓を引く決心をしたのもわかる気がします。

そしてMichael Coxが「ホームズはギブソンを負かしてしまわないように気をつけているが」と書いているので気がつきましたが、ジェレミーは手加減しなければ、二本とも的の真ん中に当てられたということなのでしょうね!

RM
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