Jeremy のことが知りたくて ~ ジェレミー・ブレット(Jeremy Brett)を愛するかたへ

英グラナダ・テレビでシャーロック・ホームズを演じた俳優の人生を言祝いで

Jeremyが亡くなる前の週に、お互いに深い友情を感じ、お互いに大切に思っていた、Gary Bondという俳優を病院にたずねたことを最近知り、その時のジェレミーに想いを馳せています。Gary Bondは1940年生まれで、ジェレミーが亡くなったちょうどひと月後に、AIDSによる合併症のために亡くなっています。私は、亡くなる前に二人が会っていてほしい、と願っていましたので、このことをきいたとき、静かな安堵の気持ちを感じました。

Jeremyの生涯の中で、結婚という形で人生を共にしたのは、AnnaとJoanでした。そしてもう1人、ジェレミーの生涯の内の7年間にわたって、人生のパートナーとして大切な存在だったのがGary Bondでした。GaryのことはTerry MannersのThe Man Who Became Sherlock Holmesという本ではじめてその名を知りました。この本は引用元や発言者の名前をまったくひかずに書かれており、もっと悪いことに内容に多くの脚色がされていることは、多くの人が指摘しています。私もそのような部分をいくつかみつけました。たとえばあるインタビューに書かれていた内容が、違う時期、違う状況の記述にはめこまれ、勝手な脚色がほどこされている例はいくつもあります。しかも多くは、悪い方へ、扇情的な内容の方へ、気持ちが暗くなる方へ書き換えられています。そのような本のなかでふれられているGary Bondという俳優とのパートナー関係は、どこまで信用してよいのかわかりませんでした。

今年の春になって、Garyの友人だった女性が、ジェレミーを愛する人たちにGaryとJeremyのことについて話してくれるようになりました。彼女は長年のジェレミーのファンでもありましたが、最近までジェレミーのファンのつながりには参加していませんでした。そしてGary Bondとのことがジェレミーのファンの中で無視されている、あるいは話題にすることを避けられていることを知り、ショックを受けたそうです。ジェレミーのことを語る時、ジェレミーが大切に思った人、ジェレミーが結婚した人のことが語られるのは自然なこと、でもパートナーの中で1人だけが捨て去られているのはおかしい、と言っています。

私もまた、Garyのことは考えないようにしていました。理由はいくつかあって、先ほど書いたように本当のことかがわからなかったこと、本当かどうかも、ジェレミーとGaryの気持ちも、すでに知りようがないと思っていたこと、そして同性同士のパートナー関係ということを今まで考えたり感じたりしたことがなくて、当惑の気持ちがあったこと、などです。

でも今回Garyの友人だった女性が語ってくれたことは、Terry Mannersの本とは違って、私は完全に信じています。二人の結びつきは話をきいて当惑したり、かくしたりするような暗い関わり方でなく、とても美しい、生きる喜びと笑いを共有する関係だったことがわかりました。そしてGaryはとても才能あふれた俳優で、ジェレミーと似たところをたくさん持っている、魅力的な人だったことも知りました。

ジェレミーは伴侶となった2人の女性のこととは違って、Garyのことは何も語っていません。このことについては、一つは時代背景を考える必要があるようです。イギリスでは1967年まで同性同士の愛情関係は法律違反でした。二人が出会ったのは1969年だと彼女はGaryからきいたそうです。またジェレミーがGaryのことを語っていないのは、この関係を後悔して忘れたいと思っていたということではまったくない、と彼女は言い、私もそのように感じます。彼女が教えてくれた二人のこと、死ぬまで続いた友情、ジェレミーが二人がうつっている美しい写真を最後まで持っていたことがそれを示しています。また近くに住んでいた友人のJohn Schlesingerの自伝で二人のことが触れられているように、知人の間では秘密ではなかったようです。

彼女が、「JeremyとGaryの関係について語ることは許されないのか?」とファン・フォーラムで問題提起した投稿はこちらで読めます。多くのファンが彼女を支持していますが、異なる意見の人もいて、いろいろな人の考え方を知ることができました。
http://community.livejournal.com/jeremybrett/285844.html

また彼女は今年の秋に、Gary Bondについての情報や写真を集めたウェブサイト"The Wonderful World of Gary Bond"をつくりました。
http://www.thewonderfulworldofgarybond.com/
その中の"Gary Bond's significant others ... a celebration" (Gary Bondにとって大切な人たち...彼らをたたえるために)というページに、JeremyとGaryの美しい写真も含めて、二人の関わり合いが記されています。抜粋してご紹介します。
出典:http://www.thewonderfulworldofgarybond.com/significant-others.html

このウェブサイトを作ることを計画するにあたって、Gary Bondの生涯において重要だった人たちを賞賛し感謝する場所をもうけるべきかどうか、ずっと考えてきました。私はそうすべきだと思いました。ある人にとってとても大切な存在というのは、この世界でその人が生きた生き方、なしとげたことに深い影響を与えてくれた存在だからです。ほめたたえ、ことほぐべき人たちなのです。そう考えて、私は愛情と尊敬の気持ちとともに、Garyととても親しかった二人の人のことを紹介します。

Jeremy Brettは1969年頃から1976年頃までのGary Bondのパートナーでした。ジェレミーは舞台、映画、そしてテレビで俳優として活躍しました。グラナダテレビのシリーズでホームズを演じたことが、おそらく現在では最も有名でしょう。ジェレミーはGaryと同様、軍人を父に持ち、同じようにCentral School of Speech and Dramaを卒業しました。Garyとジェレミーは1969年12月に行われたNoel Cowardの誕生日コンサートではじめて言葉をかわし、その後二人はパートナー関係を結び、West LondonのNotting Hillで数年間をともに暮らしました。二人のこの関係はジェレミーがJoan Wilsonと結婚する少し前に終わりましたが、二人は生涯にわたって親しい友人であり続け、お互いのことを思いやる気持ちを持ち続けました。

その他に彼女が教えてくれたことは、彼女のウェブサイトにも書かれていますが、Garyはミュージカルにも多く出演して音楽を愛していたのと同時に、シェークスピアやオスカー・ワイルドなどの対話劇にも多く出演し、コメディも得意だったこと、ジェレミーと共演することは残念ながらなかったけれども、同じ役はいくつか演じていること。ジェレミーと同じように明るくて茶目っ気があって、友人が多く、亡くなるまで美しい容姿を持っていた俳優だったこと。ジェレミーと別れたことはとても辛いことだったけれども、ジェレミーへの友情をもちつづけ、ジェレミーがどういう人かをこころのこもった言葉で彼女に伝えたこと。そして"Gary Bond's significant others"でジェレミーの次に書かれている才能ある人形作家と共に暮らし、彼がGaryを看取ったこと。

私はGaryが好きになりました。それまで名前だけで真偽のほどもわからない男性のパートナーのことは、考えずに放っておいていましたが、今はジェレミーの人生における大切な人として、私のこころの中にも刻まれています。そして、人生のパートナーとしては自ら離れていったけれども、死ぬまで続く美しい関係を築いたジェレミーのこともますます好きになりました。彼女はこう書いています。情熱とロマンスは失われても、二人の友情は死ぬまで続き、お互いのことを深く気にかけていた、と。

そしてつい最近、ジェレミーはGaryを数回病院に見舞ったことを教えてもらいました。最後はジェレミーが亡くなる前の週で、その時すでにGaryの病はとても重かったそうです。二人はこの世での時がもう長くないことをお互いに知っていて、静かな時をすごしたのだろう、と書いてくれました。ジェレミーがこの世を去るとき、ジェレミーが愛し、大切に思った人たちの1人として、Garyのことが静かにこころの中を流れていったのだろうと思います。二人がこの世での最後の時に会ったことを知って、私は静かなよろこびに満たされました。

Gary Bondの写真です。クリックで少し大きくなります。1番目と2番目はジェレミーとパートナー関係にあった時です。1番目はとても成功したミュージカルをフィルムにおさめたもの、2番目はAffairs of the Heartというシリーズの中の一本で、ジェレミーもこのシリーズの"Grace"という作品に主演しています。
Courtesy of The Wonderful World of Gary Bond

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Joseph and the Amazing Technicolor Dreamcoat (1972)

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Affairs of the Heart: Milly (1975)

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After The War: Partners (1989)

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(1990s)

RM
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コメント

今年もよろしくお願いいたします

RMさん、今年も引き続きお付き合いよろしくお願いいたします。ネットを見るのにはむらがある私ですが、開いた時の一番の楽しみはりえさんやRMさんのブログです。これからも、時々コメントをさせてください。

G.BONDさんとジェレミーの関係について、ご紹介くださってとても感謝しています。何かの文章でジェ
レミーが男性も好きだったと知って、それについてももっと詳しく知りたいのに、妙に勘ぐったり扇動的な文書が多かったり、不自然に何も触れられていなかったりして、私も興味心に蓋をしていました。不確かな情報を得るよりは、まっさらな目でジェレミーを見たかったからです。

別にそれでもジェレミーをいつも通り大好きでしたが、こうしてきちんと(?)教えていただいて胸のつかえが取れたように思うのです。ジェレミーが付き合った人はみんな知らなければいけない、というのではありませんが、ジェレミーが人生において心から大切にした人は、やっぱり知っておきたいです。

私自身は同性愛はよくわかりませんが、理解する心の準備はあります。人生において、同性だろうが異性だろうが、心から信頼できるパートナーがいることはすばらしいことだと思います。ジェレミーにも素敵な相手がいて、亡くなる時まで大切に思っていられたことに、私もなんだか安心しました。

それから、たくさんの写真も拝見しました!素敵!
どっきどっきしています。

そーなのさん、こんにちは。

今年もよろしくお願いいたします。そーなのさんのコメントを拝見して、とてもうれしかったです。私もまったく同じ気持ちでしたし、今の私の気持ちも多分そーなのさんと同じです。以前は不確かな情報ならいらない、よくわからない人とのよくわからないパートナー関係については考えようがない、どう受け取ってよいかわからない・・・。そう思っていました。

でも今二人のことを知って、Gary Bondのことを知って、本当に自然に同性間の愛情を受け入れられるのです。Garyがとても愛情にあふれた魅力的な人だったことを知って、ジェレミーがとても幸せに暮らしていたことを知って、その時の二人を祝福したい気持ちです。そして亡くなる時まで二人はお互いを気にかけていたのですね。ジェレミーは生きることについて、人を愛することについて、たくさんのことを教えてくれるなあ、とあらためて思いました。そーなのさん、お気持ちを書いてくださって、本当にありがとうございました。

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 RM

Author: RM
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