Jeremy のことが知りたくて ~ ジェレミー・ブレット(Jeremy Brett)を愛するかたへ

英グラナダ・テレビでシャーロック・ホームズを演じた俳優の人生を言祝いで

前回、Macbethの公演の時と思われるスナップ写真をご紹介しました。それで思い出したのが以下のエピソードです。これは雑誌"The Armchair Detective"の、ジェレミーを追悼する記事からの引用です。"The Secret of Sherlock Holmes"の公演中の劇場でジェレミーにインタビューした時のことを、筆者は思い出しています。この劇はご存知のように、ジェレミーとエドワード・ハードウィックの二人芝居でした。

And Here There Are Genuine Tears
by Daniel Stashower
The Armchair Detective, Vol.29, 1996.

ブレット氏はインタビューの相手として、生き生きと活気にあふれていて、しかもちょっと変わっていた。俳優たちの迷信では、シェークスピアの劇のタイトルである「マクベス」を劇場で口にすると、悪運にみまわれるとされている。二日間のインタビューの間ブレット氏は私に、問題のこのタイトルをなんとか言わせようとしておおいに楽しんでいた。「その年は...」と声を低めてささやくように言った。「僕はあの『スコットランドの劇』の公演中で...」。劇場関係者と知り合って長く、罠にかかって「『マクベス』ですね?」と言ってしまったら、ロビーに出て3回まわってつばを吐いて、悪運をはらわねばならないことを知っていたので、用心して口を閉じていた。そのあとで、ブレット氏の友人が消火用の砂バケツにつばを盛大に吐いているのをみつけて、ブレット氏の罠が成功したのがわかった。彼の笑い声が舞台そでにこだましていた。そしてシャーロック・ホームズがドクター・ワトスンにハイファイブ(ハイタッチ)をするという、不思議な光景を見た。

Mr. Brett was an animated and quirky interview subject. An actorly superstition holds that it is bad luck to speak of Shakespeare's Macbeth in a theater. Over the course of two evenings Mr. Brett took great delight in trying to coax the offending title out of me: "That was the year," he would say, his voice falling to a dark whisper, "that I toured with...the Scottish play..." I had spent enough time around theater people to know that if I rose to the bait―"You mean Macbeth?"―tradition would require me to run into the hall, turn three times and spit on the floor in order to ward off bad luck. I kept my mouth shut. Later, when I spotted a friend of Mr. Brett's spitting mightily into a fire bucket, I knew the actor had sprung his trap. His laughter echoed through the wings, followed by the peculiar sight of Sherlock Holmes giving Dr. Watson a high-five.


high-fiveというのは、日本語ではハイタッチと言うことが多いですが、腕をあげて互いの手のひらを叩きあって、喜んだり祝福し合う、あの動作ですね。ここでのシャーロック・ホームズとドクター・ワトスンは、もちろんジェレミーとエドワードです。この二人が(多分あの衣装で)ハイファイブをしているなんて、想像してにこにこしてしまいます。

そしてその前の、筆者をひっかけようとしているジェレミーの低いささやき声、でも目がキラキラしている様子なんて、目に浮かびます。

この記事はエドワードが亡くなった時にもご紹介しました。2011年5月でした。
High-five

その時は日本語を訳という形ではつけずに、内容を紹介する文章として書きました。好きなエピソードなので、今回もう一度ご紹介しました。

そして少し遅れましたが、8月7日はエドワードのお誕生日でした。1932年生まれですから、ご存命なら86歳ですね。天国でもジェレミーとハイファイブをしているでしょうか。

RM

追記:備忘録として、Macbethの公演の記録が載っていて、プログラムが読めるページを書いておきます。
http://www.playbill.com/production/macbeth-winter-garden-theatre-vault-0000011581
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コメント

噴き出しちゃった

>>シャーロック・ホームズがドクター・ワトスンにハイファイブをするという、不思議な光景を見た。

思わず笑ってしまいました。
RMさんも書かれているけど、目に浮かびますね。
楽しい・・・ものすごく想像できるけど、見てみたい・・・

暑さに倒れそうになっているこの頃、辛いニュースも多い中、ウキウキするような記事を有難うございます。

わあい!

MMさん、こんにちは!わあ、コメント嬉しいです。私も大好きなエピソードの一つです。

>楽しい・・・ものすごく想像できるけど、見てみたい・・・

ふふふ、まったくその通りです!

ジェレミーらしいです。そしてエドワードも温和な紳士であるとともに、実はユーモアたっぷりなんですよね。だからジェレミーも安心して、エドワードにハイファイブができるんだなあと思って、嬉しくなります。

MMさんにウキウキ喜んでいただけて、私もウキウキしています。

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