Jeremy のことが知りたくて ~ ジェレミー・ブレット(Jeremy Brett)を愛するかたへ

英グラナダ・テレビでシャーロック・ホームズを演じた俳優の人生を言祝いで

前回の写真にもありましたが、ジェレミーはDavidをとても愛していました。ジェレミーはAnnaとの離婚後も、ひんぱんにDavidと会っていたようです。Davidは、父は週末には僕を連れ出した、と言っていますし、一緒に長い旅行にも出ています。AnnaがDavidを育てるのをジェレミーが手助けした、という面もあったでしょうが、Davidとジェレミーが自由に会えるようにはからったAnnaも偉いと思います。ジェレミーがAnnaをすばらしい前妻だと言うのもわかります。そしてAnnaがジェレミーとの関係をDavidのためにもそのように良好なものに保ち続けた原動力の一つは、やはりジェレミーの魅力とやさしさだと思います。

Annaに私が感謝したいもう一つのことは、ジェレミーが人生のある時期に同性をパートナーに選んだことを受け入れサポートした、ということです。Annaはジェレミーとの結婚生活がたちゆかなくなった頃、以前から親しくしていた劇作家、作詞作曲家、俳優、その他多くの仕事をした才人で同性愛者でもあるNoel Cowardに相談していて、その時のことが彼の日記に書かれていることを、Google BooksとAmazonを検索してみつけました。

The Noel Coward Diaries, Page 489:
Adrianne (Annaの母), Bill(Annaの義父) そしてAnnaと木曜日に食事をした。Annaとは腹を割った長い話をしたが、Annaはとても分別があった。ジェレミーとのことをすべて話し合ったが、彼女は何の敵意も恨みも示さず、状況をきちんと受け止めていた。彼女が賢く、大人としての態度を持ち、思慮深いことに感銘をうけた。

(原文)We dined on Thursday with Adrianne, Bill and Anna [Massey]. I had a long heart-to-heart with Anna, who couldn't have been nicer or more sensible. We went into the whole Jeremy [Brett] business and she evinced no malice or spite, merely a dignified acceptance of the situation. I really was deeply impressed with her wisdom, maturity and plain horse-sense.


Annaにとって、ジェレミーがAnnaと別れて男性のパートナーを選ぶということは、ショックだったに違いありません。それでも、そのことを恨まずDavidのためにも友人としての関係を続けたことは、Davidを深く愛していたジェレミーにとって、どんなにありがたいことだったでしょう。そして、離婚は二人が性格的にまったく逆であったことがもともとの原因であったとしても(Davidが二人は正反対だ、と言っています)、ジェレミーはAnnaにすまないと思っていたはずですから、気持ちの上でどんなに救われたでしょう。

JeremyがGary Bondと出会うのは、離婚から約7年がたってからですが、このこともAnnaは受け入れています。Annaは、Garyとジェレミーがパートナー関係にあった時期にもGaryとラジオドラマで共演したことがあり、彼のことをよく知っていたそうです。そして以前に紹介しましたが、Davidもまた父親を深く愛していて、ジェレミーが亡くなった後の悲しみは長く癒えませんでした。Davidは17歳の時に、Notting Hillのジェレミーの家の最上階の独立したフラットに移っています(http://www.independent.co.uk/arts-entertainment/books/features/david-huggins-public-faces-in-private-places-747515.html)。移ったのはおそらくちょうどジェレミーとGaryが別れた頃、あるいはその後ですが、それまでもよく二人の家をたずねていたそうです。そして少なくとも大学生の時にはGaryが父親のパートナーであったということも知っていて、そのことは彼にとって何の問題でもなかったとともに、必要ならそれをそしる人から父親を守るだけの気概を持っていたらしいことを、最近知りました。

時代は今と違って、Davidが大学生だったのは30年以上前のことにもかかわらず、Davidがそのように育った一因は、母親であるAnnaがジェレミーを受け入れていたことでしょう。そしてもちろんここでも、ジェレミーの人間としての魅力を思います。ジェレミーは少なくともはじめは自分が同性も愛することに苦しみ、それを恐れたはずですし、Annaもそう言っています。AnnaとDavidが、ジェレミーが男性も女性も愛することをきちんと受け入れてくれたことは、ジェレミーが自分を責めずに、自分の気持ちに正直でいられるのを支えたことでしょう。

それで私はこのことを最近知って、とてもうれしく思いました。

ここで大学生のDavidが出て来るStephen Fryの去年出版された自伝の一部を引用します。Stephen Fryは俳優、コメディアン、作家、脚本家などの多彩な顔を持つ人で、ガイ・リッチーの映画のホームズの続編でマイクロフトを演じるそうで、以前からのシャーロッキアンでもあります。また「ジェレミーにBAFTA賞を!」の活動の強力なサポーターです。(署名がまだの方はどうぞここをご覧下さい。)以下はケンブリッジ大学でのことです。

ある午後、Dave Hugginsが中庭で私を呼び止めた。「母が君の劇を観に来るって。」「お母さんが?」私は驚いた。Daveは劇には関わっていなかったから、子供が出ない劇を親が見に来るのは妙だと思った。「うん、母は女優なんだ。」私はHugginsという名前の女優を思い出そうとしたが、思い出せなかった。「あー・・・それはいいね」

「うん、父も俳優なんだ。」「僕知っているだろうか。」「さあ。二人とも芸名を使っているからね。母はAnna Massey、父はJeremy Brettっていうんだ。」「えっ、でも・・・何てことだ!」Anna Masseyが僕を観にくるんだって?いや、僕を観に来るとは言わないだろうけど、僕が出る劇を観に来るんだ。「お父さんは来ないんだろうね?」「うん、来ないよ。両親は離婚したんだ。父はゲイなんだ。」「えっ、そうなの?知らなかった・・・。えっと、それはそれは、驚いたね!」私は興奮でよろよろとしてぼーっとなった。


これはちょうど、ジェレミーがGaryと別れてJoanと結婚する頃、あるいは結婚した後ですから、実際はgayではなく、bi なのですが。ただ、言わなくてもまったくかまわないのに、「父はゲイなんだ」と言ったDavidからは、「なんか問題がある?問題だなんて、君はそんな馬鹿な事いわないよね?」という挑戦的な気持ち、あるいは茶目っ気が感じられて微笑ましいと思います。そしてもしもそれを問題にする人がいたら、無視するか、あるいは必要なら父親を弁護して守ったことでしょう。

これが投稿された時に喜んだ人の中には、ジェレミーが両性愛者であったことを家族は恥じているから、ウェブサイトに書かない方がよい、と忠告された人がいました。でもAnnaは自伝でもインタビューでも、ジェレミーが男性を愛したことを言っていますし、今回Davidがまったくそのことを問題としていないことがわかって、喜んでいるのです。

そして私が喜んだのは、先に書いたように、ジェレミーが愛したDavidが、ジェレミーのことを全面的に受け入れてくれていたことを知ったためでした。そしてそのように育てたAnnaへの感謝の念を持ちました。

(原文)
Dave Huggins stopped me in Walnut Tree Court one afternoon.
"My mum's coming to see your play tonight."
"Is she?" I was surprised. Dave wasn't in the drama world, and it seemed odd for a parent to come to a production that her child wasn't in.
"Yeah. She's an actress."
I consulted my memory to see if I could offer any data on an actress called Huggins. It had no suggestions. "Er...well. That's nice."
"Yeah so's my dad."
"Might I know them?"
"Dunno. They both use acting names. She's called Anna Massey and he calls himself Jeremy Brett."
"B-but...good God!"
Anna Massey, coming to see me in a play? Well not expressly to see me, but coming to play that I was in.
"Your father won't be there as well, will he?"
"No, they're divorced. He's gay."
"Is he? Is he? I didn't...well, well. Goodness. Blimey. My word.
I tottered off, numb with excitement.


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